全国大学生協連の研究会報告

障害学生の実状と大学の対応の実態

7月2日、全国大学生協連が後援し、報道関係者が参加する第42回「学生の意識と行動に関する研究会」が、「障害学生の実状と大学の対応の実態」をテーマに、東京都杉並区のセシオン杉並(高円寺地域区民センター)で開催されました。

平成28年、不当な差別的取扱いの禁止と合理的配慮の提供をうたう障害者差別解消法が施行されました。法律の推進は国立大学が義務であり、公立・私立大学は努力義務であります。障害のある学生は平成29年度は3万1204人(全学生数の0・98%)と前年度より3948人増、平成18年度からの10年間では6・2倍と大きく増加しました。
本研究会では学生に関わる様々なテーマを扱ってきましたが、障害学生をテーマにしたことはありませんでした。今回は、行政の大学に対する調査と、障害学生と支援者の報告をいただき、その実状と大学の対応の実態に迫ります。

障害のある学生等に対する大学の支援に関する調査

総務省 近畿管区行政評価局 総務行政相談部行政相談課長(前評価監視部第3評価監視官) 山根 京子氏

総務省 近畿管区行政評価局 総務行政相談部行政相談課長(前評価監視部第3評価監視官)	山根 京子 氏
総務省 近畿管区行政評価局 総務行政相談部行政相談課長(前評価監視部第3評価監視官)
山根 京子氏

 障害者差別解消法が全面施行されて2年が経過しましたが、まだまだ取組は途上段階で各大学千差万別の状態です。私どもは本調査を行うに当たり、できるだけ障害のある方々の立場に立った調査となるよう、企画・立案をいたしました。

ホームページのアクセシビリティ点検

 我々は大学を選ぶとき、ホームページで情報を得ようとします。ところが全盲の方がホームページを見る場合、アクセシビリティが行き届いている大学とそうでない大学があります。そこで、全盲・弱視・晴眼者の方々に、受験希望者の閲覧が多いオープンキャンパスや入試要項、事前相談、障害学生支援担当部署等のページの使い勝手を検証してもらいました。

 その結果、コントラストが悪いなど弱視の方が視認しにくい箇所がある、スライドショーの表示時間が短く読み上げる前に画像が変わってしまう、代替テキストが設定されていない、リンク先が分からない等の状態が各大学でみられました。視覚障害のある受験希望者にも分かりやすいようにと改善意見を通知したところ、5月31日の回答期限までに各大学から回答が来ており、今年度検討中、あるいは既に改善された大学もありました。

※代替テキスト…視覚障害のある方々が「音声ブラウザ」を使うときに、画像や動画等に代えて情報が読み上げられる。

調査の概要

  • 調査担当局  近畿管区行政評価局
  • 実施期間   平成29年5月〜11月
  • 調査対象機関 7国立大学
  • 関連調査等対象機関 1公立大学、6私立大学
  • 主な調査内容 ①バリアフリー点検、②ホームページのアクセシビリティ点検、③障害のある学生に対する意識調査

*平成29年11月30日に国立大学法人に改善意見を通知・提言、今年5月31日に改善の報告を受理。

*報告書全文はこちらで見られます。

意識調査(インタビューを含む)

 大学の支援に関する質問を、障害のある220人の学生に配布し、延べ218件の生の声を寄せていただきました。 驚いたのは入学試験で「障害者が福祉を学ぶ意図が分からない」、受入れ拒否された大学に「障害者は人に助けられることが多いのに、社会福祉士を取ったところで何ができるのか」(肢体不自由)と差別発言を受けたということです。配慮申請すると「入学試験は対応するが入学後の対応はしかねる」(視覚障害)、「親が付きっ切りで介助するのなら入学してもいい」(肢体不自由)と言われた、あるいは「受験時の配慮申請に了解を得たが、問題冊子は印刷不鮮明で解答用紙も枚数が少なく、試験中に対応が間に合わなかった」(視覚障害)という声も聞かれました。

 多かったのは災害時の支援に関してです。「大勢の中での車椅子の移動は難しい。別ルートがあると有難い」「対応マニュアルを作ってほしい」(肢体不自由)、「放送が聞こえないので支援が必要」(聴覚障害)、「上層階で災害が起きたらどうすればいいか」(肢体不自由)等、障害が理解されていないという意見がありました。

バリアフリー点検(一部掲載)

 バリアフリーについては、国土交通省が基準を示していますが、基準に則っているからといって、果たしてユーザーである障害のある方々に使い勝手のいいものになっているのでしょうか。点検に当たっては、当局・大学・障害のある方(全盲の方1人・車椅子の方1人・サポーター2人)の三者で実施し、この4人一組の同じ方々には、福井から和歌山まで一緒に行っていただきました。

*点字ブロックで多目的トイレに誘導される

 「障害者イコール多目的トイレと考えていませんか?」と問われたのは全盲の方です。男性用・女性用・多目的が並ぶ中、点字ブロックは多目的に向けたものだけ。しかし多目的トイレは広いため、施錠、便器、トイレットペーパー、手洗い用水道、便器洗浄ボタン等の位置の把握がしにくく、中で右往左往するためできるだけ使用しないのだそうです。「一般トイレへの誘導ブロックもあった方がいいし、点字案内板で一般トイレに誘導してもらえると有難い」と言われました。

 また、多目的トイレの出入り口付近に椅子が置いてあったのでトイレに入れなかったという車椅子使用の方は「普段から障害者に接しておらず、その立場の観点や理解がないということを実感した」との感想を持たれました。施設や設備を整えただけでは真のバリアフリーとは言えず、ソフト面(意識の面)での配慮も当然必要であり、ハード・ソフトの2面が両輪となって初めて配慮の意味をなすのだということを私どもも痛感しました。

バリアフリー点検より(一部)

バリアフリー点検
白杖が溝にすっぽりはまり込む。歩行中、不意を突かれてつまずくおそれあり

バリアフリー点検
点字ブロックに駐輪されたら白杖が自転車に当たるし、鞄で自転車を倒してしまう

大学側の支援

*配慮申請添付書類

 入試の配慮申請にも医師の診断書が必要で、当然お金も取りに行く手間もかかります。「写しで可」と明記している大学、個別に聞けば「写しで可」と回答する大学、センター試験受験者にだけ「写しで可」と回答する大学と、取扱いに差がみられました。当方で指摘をした結果、今年度の入試要項等では変わっている大学もあります。

*障害学生の支援担当部署

 「支援室がなかったら大学を続けられていたか分からない」という声が聞かれます。専門家もいない大学には支援担当部署の重要性を指摘させていただき、今年度からコーディネーターが配置されるようになりました。また、相談スペースを整備し、障害のある学生が空き時間を気軽に過ごせる場所の確保を検討するよう指摘させていただきました。私立大学の中には本当にいろいろな配慮をして、配置等も工夫している大学もありました。

*授業支援に係るホームページでの情報提供

 ホームページで障害別に配慮する事項の詳細が掲載されていると分かりやすい、というご意見があります。まったく記載されていない大学もありましたので、これも指摘させていただいて、今回新たなページが設けられた大学がありました。

*ノートテイカー養成講座の実施状況

 ノートテイカーがいなくて授業内容が分からず、中退せざるを得なくなった学生がいます。ノートテイクは、1人の学生の横に2〜3人ついて授業内容を筆記する、又はパソコンで記録する方法です。多くは学生のアルバイトで構成されていますが、養成の仕組みがない大学もありました。テイカーが少なくて苦労しているという話を聞きますが、急に必要になったときにすぐには養成できません。「養成の仕組みを作る準備を」と通知すると、養成講座を開講する、または検討するという回答をいただきました。

*教職員に対する研修・啓発

 教員に対する研修を充実させてほしいという意見があり、実際に研修を実施していない大学については指摘をしましたら、今年度は多くの教授の方に参加いただいたということです。

災害時の支援

 特性に考慮したマニュアルが未作成の大学には、改訂又は検討中という回答をいただきました。避難場所・避難経路を学生が閲覧できない大学には、誰でも目に付くところに掲示するという改善がありました。防災訓練等は、ほとんどの大学が障害のある学生に配慮した取組をやっておられなかったのですが、今後検討するという回答を多くいただきました。

 私どもはこの調査結果を一人でも多くの人にお伝えすることで、誰もがどの授業でも平等に学べる環境・機会が実現し、障害のある学生にとって大学が安心して学べる場所となるよう、切に願います。


障がいのある人たちは新しい文化を教えてくれる人!

亜細亜大学客員准教授/同 障がい学生修学支援室コーディネーター 橋本 一郎氏

亜細亜大学 橋本 一郎氏
亜細亜大学
橋本 一郎氏

 私自身、幼少期から喘息をもっていたため、小学校4・5年を全寮制の病虚弱特別支援学校で過ごしました。高校時代に手話を習得し、手話の一芸一能入試で亜細亜大学に入学。それが現在の仕事に結び付いています。大学卒業後、横浜国立大学で特別支援教育を学び、その時に横浜の聾学校の生徒たちと出会ったのがきっかけで教師となりました。聾学校、知的の学校、肢体不自由の現場で22年半働き、関東近辺の聞こえない学生はほぼ把握していると自負しています。退職後は亜細亜大学に籍を置き、今に至ります。

 本学では一般教養で手話を教えています。受講希望者が多く、手話や障がいに関心を寄せる学生が多いと実感します。ほかに大東文化大学、横浜国立大学、東京学芸大学で聾教育や障がい児教育についての教鞭をとっています。本日は手話を交えて報告をさせていただきます。

「障がい」とは何か?

 バリアフリーについては、国土交通省が基準を示していますが、基準に則っているからといって、果たしてユーザーである障害のある方々に使い勝手のいいものになっているのでしょうか。点検に当たっては、当局・大学・障害のある方(全盲の方1人・車椅子の方1人・サポーター2人)の三者で実施し、この4人一組の同じ方々には、福井から和歌山まで一緒に行っていただきました。

亜細亜大学の今

 私の恩師である亜細亜大学学長の栗田充治先生は、ボランティアの専門でもあります。2年半前に栗田先生が就任されてから、本学は大きな転換を迎えました。大学の式辞の中に、必ずボランティアや障がいについてのコメントを入れてくださり、ホームページにも「障がいのある学生に対する配慮」がちゃんとアップされ、有り難いと思っています。

 先程の山根課長の報告を伺っていて思ったのですが、近畿は関東に比べて権利については随分進んでいるような印象があります。本学のハード面は資金が潤沢でなくまだまだバリアだらけですが、ソフト面で人を育てていくことがコーディネーターの大きな役割です。私は障がいのある学生のみではなく、健常と言われる学生たちも一生懸命育てて、社会を変えていくうねりが起こせるようになるといいなと思って、日々仕事をしています。

本学の障がい学生修学支援室

 昨年の春に本学にも支援室ができました。倉庫を片付けた支援室はとても狭く、段差があり、建物内には障がい者用のトイレもありません。そこに常勤職員1名、パート職員2名(各日1名)、コーディネーター(私・週2日)で勤務しています。

 本学の支援室は障がい学生の修学支援、生活支援、就職支援、そして障がい学生の居場所として集まりやすい空間をつくっています。障がいのある学生だけでなく、みんなで楽しく支援方法の学習会や情報交換をします。本学の学生はボランティアに熱心で、年間のべ千名を超える学生が地域の様々な催しの手伝いをしています。支援室は障がい学生の居場所でありながら、共に生きるピアサポーターの養成・居場所にもなっているのです。

現状と支援内容

 本学の今現在の障がい学生は、視覚障がい(全盲)1名、聴覚障がい3名、肢体不自由5名、そして精神・発達。こちらは、特に年度途中からの申請が多くなります。支援室として先生方に配慮願いを出している学生は7名ですが、これ以外にカウンセリングセンターに相談に行くケースは山のようにあります。

視覚障がい学生への支援は、教科書や講義の資料のテキストデータ化、音声ガイド、移動サポートなどです。聴覚障がい学生の場合は、ビデオの文字起こし作成、授業のノートテイク、地域の登録手話通訳者への連絡などがあります。

昨年は研修会を開いていただき、学長先生も出席されました。先生方に障がいのある学生への理解を深めていただく機会を学長先生自らつくっていただけたのは、とてもうれしいことだと思います。

心理的サポートの重要さ

 全盲の学生が亜細亜大学での生活を「19年間生活してきた自分にとってベストな場所」と言ってくれました。盲学校から本学に入学した当初、周りは見える人ばかりで見えないのは自分だけ。自分のことを説明する難しさを実感したといいます。しかし、自ら素直にお願いすれば相手にも優しくしてもらえるということに気付きました。視覚障がい者ではなく、「一人の人間」として理解し親しくしてくれる仲間との出会いがあったのです。

 例えば、視覚障がい学生に資料やパワーポイントが送られてきても、友達がいないクラスに割り振られたら自主休講になりかねません。聴覚障がい者に対しても最近では遠隔モバイルやUDトークなど情報保障もどんどん革新されていますが、本当に欲しい情報というのは授業だけではなく、友達との雑談や食事のときのくだらない話から得るものだったりします。

 その学生が、自分はこの大学の学生なのだと意識できるのには授業以外の観点も必要で、居心地のいい支援室、居心地のいい大学にしていくことで、一緒に過ごす仲間ができていきます。情報保障の有無はもちろんですが、精神的な安心感があれば、大学の楽しさ・講義に対する意欲が大きく変わるということを私たちは忘れてはならないでしょう。

 本学の障がい学生修学支援室にはピアサポーター68名が登録しており、その中には障がいのある学生もいます。支援を受けるだけではなく、当事者だからできることもあるという視点は非常に大切です。

 聴覚障がいの学生がデフリンピックに出場したり手話講習会を開いたり。全盲の学生が留学を志し、肢体不自由の学生がアルバイトをする。どれだけ満足した大学生活を送れるかは、単にバリアをなくすだけではなく、支えあえるような人間関係がつくれるかどうか、安心できるようなはけ口があるかどうかによるところが大変大きいと私は思っています。


学生の方たちからの報告
大学が自分にとってベストな居場所になるように

研究会には、聴覚障害のある学生1人とサポーターの学生2人、それに全国大学生協連全国学生委員会から2人の計5人が参加し、意見を述べました。

研究会
聾の学生の方にご報告いただいたので、手話通訳の方2名にサポートをお願いしました

大学生活を振り返って

神奈川工科大学4年 竹村 光樹さん

 家族5人全員が聾で、当然コミュニケーションは手話です。幼稚園から高等部まではずっと聾学校で育ってきました。中2のときに数学に夢中になり、筑波技術大学に進みたいと思いました。筑波技大は、全国で唯一聴覚&視覚障害者のための大学です。しかし、社会人になれば健聴者ばかりの環境に入るときが来ると考え、初めて普通の聞こえる人の中に飛び込んでいこうと決意しました。

 いろいろな大学のオープンキャンパスに行きましたが、まずショックを受けたのは第一志望の大学で「情報保障が配慮できない」とはっきり言われたことでした。「入試で手話通訳を配慮して欲しい」と要望しても拒否されました。納得できず、ゼミの先生や聾の先輩も大学に配慮を頼んでくれましたがだめだったので、その大学の講義内容を学べる大学を調べて、神奈川工科大学を知りました。聴覚障害者が2人いたので、聴覚障害者への理解があると思ったのです。一般の公募推薦・面接を筆談で合格しました。

 しかし入学した頃の講義には、情報保障がありませんでした。「なんとかなるだろう」と思ったのが、最終的に自分を苦しめる結果になってしまいました。講義内容が全く分からず、講義終了後に先生に「授業内容を教えてください」とお願いしましたが、情報量は自分には足りないものでした。それが1カ月続いたのです。「講義に情報保障を付けてほしい」と大学に頼むと、「今調整しているのでお待ちください」と言われました。小学校から聾学校で一度も休んだことがなかったのに、大学に入学して人生で初めて学校生活が楽しくなくなり、行きたくないと非常に苦しい思いをしました。

 相談できる相手もおらず、大学のカウンセラーを教えられ、行くようになりました。カウンセラーにサポートしてもらい、1年後に情報保障が付くようになりました。実際の講義では、ノートテイカー・パソコンテイク・手話通訳・遠隔通訳なども入れてもらい、講義の内容も把握できるようになり、とても満足できるようになりました。しかし、情報保障担当者が途中で抜けたり、講義中なのに携帯を弄ったりする人もいたりすると、情報保障に対して要望しにくくなります。障害者の不安や要望、不満を全部言える居場所があれば安心感が得られ、大学に行かない人も減るだろうと思います。

 私は情報保障に配慮をいただくだけで感謝しています。皆さんに伝えたいことは、やはり自分の夢を叶えるために大学に入学したのであって、大学は自分のスキルを向上させる場であるということを忘れてはいけないと思います。

お互いに学び合える関係

大学4年 鈴木 圭吾さん

 私の大学には情報保障に関する支援室がありません。現在、障害学生や彼らを支援する学生がノートテイクのコーディネートをし、新しい情報保障の要望もすべて学生が行います。私はノートテイカーとして活動しながら、大学に様々な要望やほかの大学の情報保障の様子を強く伝えてはいるのですが、やはり教職員の方の理解がまだまだだという現実があります。

 オープンキャンパスなどではノートテイクや手話通訳がつくので、障害学生の多くが配慮があるかと思ってそのまま入学してしまい、入学後に「情報保障がない」と嘆く声をよく聞きます。

 私だけでは何も変わらないと思いますが、一人になる学生がいなくなればと思い、聾学生だけではなく盲学生、肢体不自由の学生と積極的に関わってきました。相談にのって情報を教えたり、逆に聾学生からは手話を教えてもらったりすることで、自分も学ぶことがとても多いと感じています。

コミュニケーションさえ取れれば…

大学2年 永田 慶一郎さん

 私は入学後1年間、ノートテイカーとして活動しました。聞こえない友達も何人かいます。1年前、初めて聴覚障害の人と会ったときに、私は正直「怖い」と思いました。それは、通じないから。自分は手話もできないし、筆談でしか通じない人とどうやってコミュニケーションを取ればいいのか分かりませんでした。手話を勉強すれば意思疎通ができるのに、ただ使う言語が違うだけで私は「怖い」という感情を勝手に抱いていたのです。

 今の私の大学は、1年前の自分と似たような状況もあり、バリアフリー支援室は、ハード面は整っていてもよく知らないので、ソフト面での支援が不十分な現実があるのだと思います。

 何がバリアなのか分かるには、学生と大学側とのコミュニケーションがすごく大事です。そういう意味では私も、手話を覚える機会を得て聾の友達とも話せるようになってきたので、1年前の自分と比べ随分成長して、何がバリアなのかが少しずつ見え始めてきました。今年はサークルとして、手話や筆談でどんどん学生主導で動いています。

 宮永聡太さん(全国大学生協連・全国学生委員長/東洋大学卒)は学生時代、車椅子を使う先生のゼミに所属し、ユニバーサルデザインを意識したまちづくりを学びました。「坂の勾配や誘導ブロックの意味など、18年間意識していなかったことが見えるようになった」と、街を見る目が変わった驚きを述べました。

 田中利佳さん(同・全国学生委員/三重大学卒)も車椅子を使う後輩がおり、大学がハード面で整えられていくのを見て新しい気付きがあったという経験を話し、「人が学ぶことは尊重されるべきで否定されるいわれはない。環境づくりや意識づくりは、共に学ぶ大学の中でみんなが考えていく課題だ」との感想を持ったと言いました。

 最後に山根課長からノートテイクや手話等の養成や支援を先進的に行っている大学の紹介があり、橋本先生からは「支援室では身体障害はオープン開示なので、障害を知られたくないと思う人のところにはなかなかサービスが行き届かない。今大学側は要請がなければ支援が難しいので、高校までに自分の障害をしっかりと受け止めて申請できる力を身につけることが必要だ」との見解が延べられ、手話の拍手で終了しました。

(編集部)

※学生の方は仮名です。

※「障害」「障がい」は、報告された方の表記に基づきます。

『Campus Life vol.56』より転載