全国大学生協連の研究会報告

LGBT、性的マイノリティと大学の対応、学生の実状

昨年12月20日、全国大学生協連が後援し報道関係者が参加する「第44回学生の意識と行動に関する研究会」が「LGBT、性的マイノリティと大学の対応、学生の実状」をテーマに、大学生協杉並会館で開催されました。

社会の大きな変化の中で、LGBT、性的マイノリティに関する認知も広がってきつつあります。多様性という言葉を掲げてガイドラインを策定し、対応を進めてきた大学も少なくありません。しかし、その認知や理解は大学によって様々で、性的マイノリティの学生に配慮する大学は全体の4分の1という調査結果も出ています。
今回の研究会ではこの問題に対する大学の理念・方向性と対応をご報告いただき、リアルな学生の実状を探りました。

全国の大学の学生支援の状況と課題―2014年調査とその後の進展―

北九州市立大学/名誉教授 河嶋 静代氏

北九州市立大学/名誉教授 河嶋 静代氏
北九州市立大学
河嶋 静代氏

 2014年に北九州市の男女共同参画センター〝ムーブ〟の助成を得て、大学の性的マイノリティの支援に関する全国調査を行いました。調査の目的は、支援状況を明確化し課題を明らかにすることで就学環境の整備を促し、社会への啓発に繋げることです。全国の大学にアンケートを送り241校から回答を得ました。

性的マイノリティの学生支援

 調査結果より、98%の大学が性同一性障害を含む性的マイノリティの学生支援のための手引きを作成しておらず、96%が学生生活の手引きや学生相談室のリーフレットにLGBTに関しての記載がありませんでした。大学のセクシャルハラスメントのパンフレット等への性的マイノリティへのハラスメントの言動の例示も約9割の大学が記載していません。

 しかし、大学の学生相談室等では、約半数が学生からの相談を受けています。特に国立大学は学生数が多いので、約8割が「相談がある」と回答しました。一方、学生数が少ない短期大学では比較的相談が少なく、地域的には都会にある大学は「相談あり」、地方の大学は「相談なし」と回答する傾向がみられました。

 相談内容で最も多かったのは、学生生活に関してです。しかし、学生への対処は、一部で性的マイノリティの専門相談員が対応する大学もあるものの、専門でない相談員が対応したケースが一番多いということでした。

 また、7割以上の大学が学生への特別配慮(更衣室、トイレ等施設の改善のほか、証明書や卒業証書への通称名使用、性別でのクラス分けやグループ分けへの配慮等)をしていませんでした。

 教職員に対して性同一性障害を含む性的マイノリティの人権をテーマにした研修を行っていない大学は9割以上でしたが、大学において支援の必要性を感じているという回答者は46%でした。自由記載欄には、ニーズが表面化していないので必要性を感じていないとか、相談や要望があれば対応するという記載が多く、ニーズが潜在化しているとみて対応しようとする回答は少なかったということです。

 また、LGBT(等)学生サークルや先進的な取り組みを行っている大学に学生支援に関するヒアリングを行ったところ、先駆的な支援を行っている大学では、性的マイノリティに理解のある教職員の役割が大きいということがわかりました。

 重要なのは大学全体としての教職員の理解で、学生のニーズに対応するためには、関連する多様な部署が組織的な対応をして情報が共有されることが課題として感じられました。

大学への提言

  • 性的マイノリティ等の学生支援について共通認識を持ち、連携し組織的な対応をするためのガイドライン作成
  • 障害者差別解消法の施行により、性同一性障害等の学生を念頭にした配慮
  • 当事者の学生の意向を反映した通称名使用に関する望ましい仕組み
  • セクシュアル・ハラスメント防止のガイドラインの見直し、性的マイノリティの例示を規定
  • 相談窓口の周知
  • 教職員への研修、カウンセリングにおける二次被害の防止

障害者差別解消法との兼ね合い

 14年の調査当時から、一部の大学ではインクルージョン推進室や障害学生支援センター等の設置の準備やガイドラインの検討などがなされていました。極めて少ない事例ですが、日本学生支援機構もトイレ、通称名使用、服装、学外合宿等など大学での対応している配慮事例を発表していました。

 しかし、2016年の障害者差別解消法施行以降、障害学生の「合理的配慮」の一環としての性同一性障害のある学生の支援が急激に進展し、LGBT学生への支援に取り組む大学も徐々に増えてきました。しかし、性別違和の学生の「合理的配慮」においては、学生本人の支援の申し出においては根拠資料(障害学生であれば障害者手帳等/性別違和、性同一性障害の学生であれば医師の診断書、心理検査結果等)の提出を求める大学が多いのです。

 性別違和を感じる人々は多様です。医師の診断書を得て性別適合手術を受ける人、ホルモン療法等の治療をする人、病院に行かない人、病院に行っても「性同一性障害」との診断書がもらえない人、性別異和を感じていても診断名がつかないXジェンダー1の人もいたりしますので、大学のシステムの整備や配慮を求める時に診断書や根拠を必要とされるのは、大変ハードルが高いと感じる学生も多いのではないかと思っています。

 合理的配慮には「障害者の権利に関する条約」の「障害は個人の問題のみではなく社会側の問題」という観点が反映されていますが、ヘテロセクシャル2、シスジェンダー3を前提とする社会の変革につながり得るように、私は、今のマジョリティの社会のシステムや慣行や観念を変えていくことこそ重要なのだと思っています。障害者差別解消法を背景に性別違和の学生の就学環境の整備等がなされていますが、病理化をすることで社会に包含することに課題があると感じます。

1 Xジェンダー
出生時に割り当てられた男女の性別のいずれでもないという立場をとる人々を指す。
2 へテロセクシュアル異性愛(者)。
セクシュアリティにおいて、ホモセクシュアル・バイセクシュアルに対して言う言葉。
3 シスジェンダー
生まれた時に診断された身体的性別と自分の性同一性が一致し、それに従って生きる人のことを指す。トランスジェンダーに対する言葉。

〝先進的大学〟※の取り組み

先進的な大学の取り組みの一例

 16年の障害者差別解消法以降、早稲田大学、筑波大学、立命館大学、大阪大学など性の多様性に関する基本方針、ガイドラインを策定している大学が増えています。また、これまでの男女共同参画推進センターや障害者学生支援センター等からダイバーシティ推進センターに組織改編を行った大学もあります。

 女子大学におけるトランスジェンダーの学生の受け入れは、20年よりお茶の水女子大学で始まり、さらに奈良女子大学、東京女子大学、日本女子大学、津田塾大学で検討されています。

 大学のセクシャルマイノリティの現状とニーズに関するアンケート調査を実施しているのは、龍谷大学、早稲田大学、関西学院大学等です。

 北九州市立大学では、15年に通称名使用、性同一性障害学生への配慮として、誰でもトイレ、定期健康診断の個別対応等が実現しました。しかし、入学の手引に「性同一性障害を理由とする証明書を希望する学生はお問い合わせください」と掲載されるにとどまるなど、情報が可視化されていないため利用者がほとんどおらず、システムの形骸化が懸念されます。また、大学内での交流会、地域でレインボーパレードを企画、開催した「北九大LGBTの会」のメンバーも卒業し会も消滅しています。通称名使用等の実現にかかわった教職員も異動になり、システムの引継ぎの課題を痛感しました。大学としての人権に関する理念があって、性の多様性に関する基本方針が策定され、推進組織が設置されていれば、ガイドラインの制定もなされ、もっとLGBT学生支援の取り組みも進むのではないかと思っています。

「男女の性別欄の残存、男女二元論、異性愛中心主義の基準の原則を維持したままマイノリティを特別扱いにして対応する体制は「先進的」という評価の甘受はできない(ICU 加藤悠二)との言葉から“”付きに。


SOGI/LGBT+に関する筑波大学の取組

筑波大学ダイバーシティ・アクセシビリティ・キャリアセンター 河野 禎之氏

筑波大学ダイバーシティ・アクセシビリティ・キャリアセンター 河野 禎之氏
筑波大学
河野 禎之氏

 本学がいわゆるLGBTの支援に取り組むのはなぜか。一つは、今の段階ではセクシャルマイノリティの当事者は何らかのリスクを抱える可能性が高く、そのようなリスクから学生(構成員)を守るという目的からです。もう一つ、本学は「開かれた大学」を建学の理念に教育・研究に多様性と柔軟性を追求しています。そして、社会的課題の解決に向けたイノベーション創出の源泉である多様な人材確保の一環として、LGBTに関してもダイバーシティ・マネジメント的な側面から捉えているのです。

基本理念とガイドラインの策定

 私が所属するダイバーシティ・アクセシビリティ・キャリア(DAC)センターは、もともとは男女共同参画推進室がダイバーシティ推進室と名前が変わり、障害学生支援室、キャリア支援室と三つが統合された組織です。このDACセンターのダイバーシティ担当の中にLGBTに関する相談窓口があります。

*策定までの経緯

 2015年4月に私が着任した当時、特に全学的な方針を持った対応はなされていませんでした。学内の公認LGBTQAサークルの学生との出会いや関係の教職員と大学として何ができるか議論した結果、支援体制を検討し大学全体に周知することを決めました。

 まず1年間かけて啓発と研修(FDやシンポジウム)を開始しました。また、ヒアリングを重ね、学内で埋もれていた事例と対応のノウハウを洗い出していきました。特にLGBTの改氏名や名簿の扱いなど交渉や調整が必要な手続き的な部分に関しては、DACセンターに相談窓口を設置して窓口を一本化しました。我々のセンターには、就活支援、障害学生支援など多くの窓口があるので、当事者が紛れられるという側面もありました。

 16年4月に窓口開始後、拠り所となるべき全学的な指針を持つ必要を感じ、基本理念とガイドライン策定の検討を始めました。策定にあたっては当事者の先生にも参画していただき、できる限り当事者の学生、サークルの学生達の意見も取り入れていきました。それが17年3月に全国で初めて大学として公認されるに至り、それから1年間かけて改訂をしていきました。

*基本理念

 正式名称は「性自認および性的指向を理由とした差別の禁止および解消に関する基本理念」です。障害者差別解消法の合理的配慮に少し寄せていますが、我々はLGBT等のセクシャルマイノリティを障害とも疾患とも定義していません。ただ、合理的配慮の考え方だけは援用ができると考えています。

1.少数者を差別しません

 性自認や性的指向は本学が重視する本人の能力とは全く無関係であり、少数者ということで差別や嫌がらせがあってはなりません。これらは本学のダイバーシティ基本理念に反するものです。

 LGBTだけを特別な存在だから差別しないというのではなく、マジョリティに対するマイノリティという構造による差別や嫌がらせが基本理念に反するものだと明示しています。

2.自己決定を尊重します

 性自認や性的指向に関わる情報やその開示・非開示、またそれらの表現は、当事者の意思でコントロールされるものであり、他者から不当に侵害されることがあってはなりません。

 重要なのは、自分のセクシャリティを開示しないという判断も十分尊重されるとした部分です。開示すれば支援を受けられる、開示しないことが消極的だという価値観は間違いで、開示・非開示は同様に尊重されることだと明示しています。

3.修学・服務の妨げを取り除きます

 LGBT等の少数者にとって就学・服務の妨げになる事項は、適切な課程による合意形成を経て、合理的な範囲で取り除かれなければなりません。

 これはまさに合理的配慮の考え方を援用した表現です。適用範囲は学生・教職員を問わず、全構成員としました。

*対応ガイドライン

 ガイドラインは、現状ではトランスジェンダーの学生に対するものが大半を占めています。大きな項目は次の六つで、改訂版では特にカミングアウトを追加しました。

1.相談について

 窓口はDACセンター内の閉鎖空間で、学生・教職員のほか、家族からも受け付けています。特に強調しているのは、カミングアウトを受けた側も一人で抱えてしまわず、「守秘義務を持つ専門機関にきちんと相談に来てください」と伝えている点です。

2.氏名・性別の情報とその管理について

 教育組織内、あるいは研究室内等の限られた範囲の中だけで通称名を使用できればいいという人には、所属する学部・学科・研究室等と調整しながら対応します。学籍簿そのものを変えたい人には、私との面談を踏まえ、申立書を提出することで自認する性に基づく氏名として学籍簿の氏名を変更します。診断書は必要ありません。
 一方で我々はアウティング防止のため、性別情報の取り扱いを慎重にすることを推進しており、学生に配布・掲示する場合、原則としていかなる文書についても性別欄を除外するように通知しています。

3.授業について
4.学生生活について
5.就職活動・キャリア支援について
6.周囲の対応、特にカミングアウトについて

 故意や悪意によるアウティングはハラスメントであると明示しています。

当事者にとっての就職活動

 LGBTの当事者にとって就職活動は非常に大きな転機となりますが、多くはクローゼットの状態です。彼らが自身のセクシャリティや就活について考えられるように、我々は当事者の先生やサークルの学生の協力のもと、ワークシートを作って配布しています。シートの中にはカミングアウトやキャリアの内容も含まれています。

 LGBTに関するダイバーシティ・マネジメントの促進と定着を支援する任意団体work with PrideによるPRIDE指標という評価が確立しており、本学も2年連続でGOLD評価を受賞しています。この団体に登録している企業はLGBTに理解があり、それぞれ具体的にどういう取り組みをしているのかも登録されているので、そういう情報を学生に伝えることもできます。DACセンターは就活支援もするので、そのあたりの連動は非常にスムーズにできています。

クローゼット(セクシュアリティにおいて) 自身の性自認・性的指向等のセクシュアリティを公にしない人または状態。

今後の課題

 学生と接して感じるのは、一つは未だトランスジェンダーへの誤解があることです。トランスジェンダーの学生が全て性別違和ではなく、全てが性別適合手術を希望するわけでもありません。

 もう一つは、Xジェンダーの顕在化。ただでさえ青年期にアイデンティティを確立していく中で、自分が何者なのか分からない、自分の性別って何? という感覚を持つ学生の相談は増えています。

 三つ目が今年は相談の9割を占める留学生の問題です。複雑な国際問題も絡まり非常にセンシティブな状態で、コミュニケーションをとるのは大変難しいと感じる時があります。そういう場合、前述のワークシートは意思疎通や相談内容を確認するために非常に有益です。

 様々なセクシャリティがあり、多様であることを前提に制度や支援を設計すべきだと思いながら未だ模索している状態ですが、大学に求められるイノベーションの源泉として多様な人材が各々の能力を発揮できるためにも、セクシュアリティや障害の有無に関わらず、自分らしくいられる環境を大学につくるという目的で、我々は支援に取り組んでいきます。


学生の方たちからの意見
当事者が生きやすい社会をつくるため学び合い理解する姿勢が必要

当時者の立場から

NPOと連携、学生の協力も得て写真展OUT IN JAPANを開催

 研究会には当事者の立場から、都内の大学の学生2人が参加しました。

 自身はバイセクシャルで報道関係にすでに就職が決まっている峰岸翔太さん(大学4年)は、大学で交流型のサークルに参加し、自分と身近な存在に出会えたことが大きく、大学生活で困ることは特になかったと述べました。また、『男女性別二元性に対して、各々が自認する性の在り様は、明確に区別できずグラデーションの状態だ』との報告内容に対し、「このように感じることが難しい非当事者の意識を変えるためにどういうことを意識されているのか」と質問しました。

 同じくLGBT当事者である佐藤昭雄さん(大学院2年)は、学内のLGBT関係専門の部署で2年間働き、「自大学で通称名使用などジェンダーのスペシャリティに関する施策が進んだのも、専門機関により問題が可視化されたことが特に大きいと感じた」と言う一方、「確かにLGBTという用語を眼にする機会は増えたが、それが本当に理解されているかは疑問」との意見を投げ掛けました。

 河嶋先生は、当事者の学生がLGBTに理解のある企業に就職したいと思っても、キャリアセンターの相談員に自分が当事者であることを開示できず、就活に積極的になれないという事例を引き、「そういうハード面で、相談員のLGBTに対する理解や二次被害を避けるという課題もあるが、当時者の意識ケアは第一に解決すべき最重要の問題」と述べました。

 河野先生は、「マジョリティの学生に対するアプローチは難しいが、私の授業の履修者は確実に増えており、一般の学生も授業やシンポジウムを通じて高い関心を寄せていると思っている」と述べ、筑波大学の『ダイバーシティAwareness Week』というイベントでNPOの団体と連携して写真展を実施したことを話しました。非当事者の人の多くはLGBTの実際を知りませんが、当事者の学生達が選んだ写真とメッセージのインパクトは相当に大きく、足を止めて見入る人は非常に多かったということです。

学びを活動に生かしたい

 当日は全国大学生協連全国学生委員1人、同東京ブロックから4人が参加し、報告に対する感想や意見を述べました。

 小山誠也さん(全国大学生協連東京ブロック学生事務局/横浜国立大2年)は、以前からトランスジェンダーの問題はLGBとは別の角度から考えるべきだと考えており、抱えている問題が根本的に異なることを、報告を聞いて確認しました。

 ゲイの知人が覚悟をもって親にカミングアウトした時に「それは治るのか」「病気なのか」と言われたという話をした佐伯大樹さん(同/明治学院大学卒)は、通称名使用にも保護者の同意が必要な場合があるのを知って「とてもハードルが高く、学内で当事者が相談しやすい環境をつくるのは非常に重要なことだと思った」との感想を述べました。

 皆川淳哉さん(同/長野大学4年)は、「大学で社会福祉を学んでおり、LGBTの人達をもっと包摂的に、強みを生かして共に生きるべきだと思って参加したが、その現状を知らなすぎて恥ずかしく思った」と述べ、知らないことから来る言動で当事者を傷つけることがないように、学んだ内容を大学の仲間に知らしめる必要を痛感したと続けました。

 加藤千恵子さん(同/工学院大学3年)は、アンケートや申込書などで性別を明らかにする場合、その情報が本当に必要なのか検討する必要を感じ、「学生生活をサポートする立場の大学生協は、大多数の人から共感を得られても一部の人から信頼を得られないような組織であってはならない」との意見を述べました。

 宮田好未さん(全国学生委員/東京学芸大学卒)はLGBTに関する全国調査の結果から、「相談自体は存在しているのに、実際の対応はあまりなされていないという実状に、まだまだ課題はあるのだということを率直に感じた」と述べ、今年度全国学生委員として活動する中で、大学生協としてどのように配慮していくべきか考えさせられたと言いました。

自己の確立の中で

 河野先生は、開示・非開示の自由は基本的には自分の情報なので自身が意思決定権を持つのは当たり前であり、「何も言わなくても包括的に対応されるというのが一番理想的なのだが、やはりそれは難しく、申し出に対して何かを対応するというのが現状」と述べました。

 河嶋先生も、まだまだ男女の性別二元システムの中では難しいが、「感じ方やニーズは人それぞれであり、社会が変わっていって、ありのままの自分が認められるような社会になることがベストだと思う」と述べました。

 最後に河野先生は、トランスジェンダーであることも自己を形成する一つのアイデンティティであると述べ、筑波大学で作成した基本理念やガイドラインを見た当事者の学生の「この大学にいてもいいんだと思えました」との声に、一連の取り組みの成果を感じたと言いました。

 研究会終了後の懇親会では、当事者の学生と全国大学生協連の学生達とが和やかに「交際相手は何と呼ぶの?」「彼氏・彼女ではなくパートナー」「へえ~」などと歓談・交流する姿が見られました。

(編集部)

研究会

※参加学生の方は仮名です。学年は2018年12月当時のものです。

『Campus Life vol.58』より転載