法政大弓削ゼミ 座談会SDGsと大学教育~誰一人取り残さない~

学びを実践へ

学生側から企業を見るアプローチが増えたということにSDGsがあると思う。企業側もそういう人が来るという立場になったと気づいていると思う。これからもっと先のことを考えると小中高でも教育的にも組み込まれていったり、入試でも入っているという話も聞く。学生の二人は、ここで学んで、ゼミの中でいろいろやっていこうと思われていると思うが、これよりもっとやりたいことがあるか。みなさんがゼミないしは社会に出たとき、実践し広げて未来の人を育てていく立場になるだろうが、どう発揮していきたいか。抱負みたいなことを聞きたい

大学卒業した後は民間企業に就職しようと思うけど、SDGs戦略みたいなものをちゃんと立てていて、競争力の一つにしているところがいいなと思う。そういうところに入ってCSV事業とかを通じて、途上国支援をしつつ自分が利益を得られるような企画をしたい。そのためにはまず途上国の現状を知らないといけない。まだ1度しか途上国に行ったことがないので、大学のうちにアジアを一周しようと思っている。途上国のいろんな面を見てから企業に入って、その後はプロジェクトの企画に携わりたいと考えている。

かぶってしまうが、昔から貧困とかには興味あった。そういうことに関われる仕事をしたいと大学に入る前から思っていたけど、それって国連とか国際機関に入らないとできないと思っていた。そこに入らなくても、普通の企業とかでもできることって沢山あるんだということをゼミで学んだ。どこに行っても自分が貢献できるなら、就職してから企業の強みを生かして国際開発に貢献できるようなCSVの企画をしていきたいと思う。

企業というアクターを選んだ理由は、企業はもともと利益を求める組織だけど、利益を求めながら課題を解決するのはwin-winだし、それって持続可能だと思った。だから企業がいいと思った。

いろんなアクターについて学ぶのは大事。国際機関ならSDGsにどう取り組むか、その組織だからこそできることは何か、それぞれがどういう立場で何ができて他のアクターにはできないことを勉強する。どういう形でパートナーシップを組めるかということをゼミのワークショップを通じて理解する。就活でも役立つ。私は若い人たちのヤングパワーは素晴らしいと思っている。世の中を変えていくのはヤングパワー。今までの延長戦ではなくて変革をもたらすためのアクター、その中でもヤングパワーは重要。若い人が行動することは重要。大学という場所、大学にいる人、そして同窓生でもいろいろな形で活動を広げていけるポテンシャルは素晴らしい。SDGs達成のために行動しようと、地方のレベルでもできると思う。ヤングパワーを信じて。私は後押しして、主体はゼミ生、私はアドバイスやファシリテートなどをする。一年に1回海外研修があって、そこでもいろんなアクターに必ず会いなさいと言っている。首都だけではなくて村にも行くように言う。首都と地方で状況が違う。村レベルでどういう生活をしているのかは現地の人と話さないとわからない。関心が高い若い人も、その目で触れて感じ取って視野を広げるというのは大学生にも重要と思っている。1年に一回のゼミ旅行があるが、それも学生主体でやっている。海外研修の目標を話し合って、質問を英語で準備して、質疑応答も行う。そこでも学べることは多いし、現場をたくさん見て世界を見る。考えて行動するようになってSDGsを自分事と捉えて国際社会で活躍することを期待している。

これからの若い世代へのメッセージ

若者、周りの大学生にまだまだ広がっていない部分もある。具体的に、学生のお二人には学んでいる立場として、同じ大学生として後押しいただけるようなコメントを貰えたらと思う。

SDGsって大きな目標。飢餓をなくす、とか。難しいように見える。SDGsは国連が決めた目標と言うと、発展途上国のことだけだと思ってしまう。でもそういうことじゃなくて、もっと身近にあるものだと私は思っていて、もちろん日本も達成する国の一つであって、日本は環境問題や男女平等の問題などもある。もっと身近に感じてみれば、リサイクルだったり企業選びだったり自分たちができることはもっと簡単なことがたくさんある。難しく考えすぎず身近に考えるとできることは沢山あって、そう考えると面白い。身近に感じてみてほしいと思う。

私が思ったのは、結構私の友達でも考え方が違っていて、海外に行くと言うとなぜ海外に行くのかとか言われる。国際協力を学んでいると言っても、批判的なことを言ってくる人もいる。私が思うのは、企業も投資家とかもSDGs目線で投資していると思う。そうした時代に私達が追い付かないといけない。国際協力に関心があるとか、献身的だからとかそういう理由じゃなくてそれ自体を知ることにメリットがあるし、まずは企業とかいろんなアクターがそれに追いつこうと活動しているから、それをまず知って学生も大学を卒業したら社会人になって活動すると思う。それを知っておいたほうが自分にとってもメリットになると思う。

教育者として、大人としてメッセージをください。

SDGsと言うと、こうしないといけないと思いがちだが、固く考えずに自分らしく自分がやりたいこと、自分が関心がある部分でやればいい。やらないといけないからやるより、自分の関心がどこにあるのか、その気持ちをフォローしたらいい。それは言い換えると「自分らしさ」であり、それを大切にして、自分がやりたいこと、関心があるから、今以上にできることを考えるということだと思う。無理をしないで好きなことを続けていたら仲間も増えるし楽しい。そこを大事にして自分が好きなことを貫いて考えることが大切。そこで新たなアイディアも出てくる。もう一つの大事な点は多様性。人との考え方の違いを十分にリスペクト、尊重してさまざまな意見を考えるのが多様性。違う意見だから排除するのではなく、違う意見だからこそしっかり聞いて自分が知らないことを学んで、どうしてそう言うのだろう、考えるのだろうということを、視野を広げることに繋げてほしい。多様性を大事にして、そこから自分も学ぶ、そこから自分の視野を広げるということも、人生の進み方として大事だと思う。ゼミでいつも話すことだが、国際開発にはひとつだけの正しい答えはない。ある国でこういうことをしたらうまくできたとしても、違う国ではうまくいかない、一つの正しい答えがないのが国際開発。みんなでディスカッションして、5つ答えがあれば、それがすべて正しいかもしれない。そういう世の中で、自分で判断して意見を発信できるように勉強してほしい。途上国の話や民間企業の話を聞き、そこから分析して自分はこう考えるという力をつけてほしい。それはSDGsについて何をやるかということにも反映されているし、いろいろなアクターの話を聞いて民間企業の一員としてやりたいなどにも繋がる。もう一つは10年くらい民間企業にいてからNGOに行ってもいいし、いろいろな視点から自分の立場を変えてみるとことで違うところが見えてくる。色々な人々や組織の話を聞いて、視野を広げて、自分で考えて自分で行動できる人間になって世界に羽ばたいて国際社会で活躍する人が増えるといいなと思う。

2019年6月25日 飯田橋 キャナル・カフェにて