各政党・国会議員に聞いてみた!
奨学金制度に関する考えと行動

自由民主党 衆議院 党を代表して 亀岡 偉民 先生

①政府案も含め奨学金制度の関する問題についてご意見をお聞かせください
貧困の連鎖を断ち切り、「一億総活躍社会」や「地方創生」を実現するためには、教育における格差を克服し一人一人の能力を向上させることが喫緊の課題となっています。しかし、教育費の負担軽減策を実現するためには財源の確保が今まで最大の壁となってきました。

それでも自民党は給付型奨学金制度を創設し、平成30年度か支給を開始(29年度から先行実施する法案の成立を今国会で目指しています)します。33年度には大学1年生から4年生までの学生に支給されることになりますが、そのための予算220億円を確保しました。

また、自民党は無利子奨学金において平成29年度から成績基準を撤廃するなど適用範囲を広げ、かつ残存適格者(基準を満たしているのに予算不足で貸与されない者)の解消を図ります。そのために超低金利活用型財政投融資制度(昨年参院選に公約で掲げ創設した制度)を財源として、残存適格者約2万4千人(平成28年時点)と無利子奨学金を受けている2万人を合わせた4万4千人の内、3万6千人の利子分を政府が負担して無利子となるようにしました。

しかし、さらなる負担軽減策を実現するにはより安定的で大きな規模の財源を確保する必要があります。そこで自民党は今年2月16日、総裁直結機関である教育再生実行本部の下に「恒久的な教育財源確保に関する特命チーム」を設置し、以後毎週、会議を開いて具体策について協議を重ねています。

なお、高等教育機関の自己収入の拡大や私学助成の拡充等の施策を引き続き推進していくことによって教育費の負担軽減にもつながると考えています。

②項目①でお答えいただいたことに関する貴党・会派、また貴殿の今後の行動予定等をお聞かせください。
「恒久的な教育財源確保に関する特命チーム」は今国会中に提言をまとめ、安倍総理に申し入れを行い、同提言を政府が夏に策定する経済財政運営の基本方針「骨太の方針」に反映させ、政府が同提言を実現することを求めていく考えです。
③私たちのアピール文やアンケート感想、全国の大学生へのメッセージがおありでしたらお聞かせください。
安倍晋三総理は今年1月20日の衆議院本会議における施政方針演説において、現行憲法が義務教育の無償化を定めていることに触れた上で「誰もが希望すれば、高校にも、専修学校、大学にも進学できる環境を整えなければならない」と述べている通り、次代を担う全ての子供たちが家庭の経済状況に関わらず、共通のスタートラインに立ち、誰にでもチャンスがある社会を築いていきたいと願っていますので、そのことをご理解頂ければと思います。

最後に同施政方針演説ならびに1月23日の衆議院本会議における二階俊博幹事長の代表質問(奨学金部分抜粋)と安倍晋三総理の答弁を紹介しますので、ご一読ください。

安倍内閣総理大臣 施政方針演説(抜粋)

子どもたちが夢に向かって頑張れる国創り(誰にでもチャンスのある教育)

「邑(むら)に不学の戸なく、家に不学の人なからしめん」 明治日本が、学制を定め、国民教育の理想を掲げたのは、今から百四十年余り前のことでした。それから七十年余り。日本国憲法が普通教育の無償化を定め、小・中学校九年間の義務教育制度がスタートしました。本年は、その憲法施行から七十年の節目であります。この七十年間、経済も、社会も、大きく変化しました。子どもたちがそれぞれの夢を追いかけるためには、高等教育もまた、全ての国民に真に開かれたものでなければなりません。学制の序文には、こう記されています。「学問は身を立(たつ)るの財本(もとで)ともいふべきもの」どんなに貧しい家庭で育っても、夢を叶(かな)えることができる。そのためには、誰もが希望すれば、高校にも、専修学校、大学にも進学できる環境を整えなければなりません。高校生への奨学給付金を更に拡充します。本年春から、その成績にかかわらず、必要とする全ての学生が、無利子の奨学金を受けられるようにします。返還についても卒業後の所得に応じて変える制度を導入することで、負担を軽減します。更に、返還不要、給付型の奨学金制度を、新しく創設いたします。本年から、児童養護施設や里親の下で育った子どもたちなど、経済的に特に厳しい学生を対象に、先行的にスタートします。来年以降、一学年二万人規模で、月二万円から四万円の奨学金を給付します。幼児教育についても、所得の低い世帯では、第三子以降に加え、第二子も無償とするなど、無償化の範囲を更に拡大します。全ての子どもたちが、家庭の経済事情にかかわらず、未来に希望を持ち、それぞれの夢に向かって頑張ることができる。そうした日本の未来を、皆さん、共に、切り拓いていこうではありませんか。

二階俊博幹事長の代表質問(奨学金部分抜粋)と安倍晋三総理の答弁

○二階俊博君

経済的に困難な状況にあっても、それが理由で意欲のある学生の進学や修学の機会が奪われてはなりません。学生のやる気を後押しし、能力を最大限引き出し、社会に生かすためには、本人の努力を支援する仕組みが必要です。党内でも議論を重ね、本年四月から、給付型奨学金制度の一部、これは私立大学の自宅以外から通う学生と社会的擁護を必要とする学生が対象でありますが、先行して始まることになりました。来年度からは、一定の成績を基準として、国公私立の自宅生も含めて支給され、無利子奨学金の貸与人員も増員することになります。児童養育制度の施設長や福島で被災した子供たちが通う高校の教師からも、これまで大学進学を諦めたりちゅうちょしていた生徒たちにとっても進学の後押しになり大変ありがたいという声が聞こえております。資源のない我が国において、教育への投資は何よりも重要であり、国の将来を見据えた長期戦略と言えるのであります。給付型奨学金制度の意義と国家戦略としての教育投資のあり方について、安倍総理にお伺いしたいと思います。

○内閣総理大臣(安倍晋三君)

給付型奨学金制度の意義と教育投資のあり方についてお尋ねがありました。我が国の未来、それは子供たちであり、一人一人の個性を大切にする教育再生を着実に進めることが重要です。どんなに貧しい家庭で育っても夢をかなえることができるよう、誰もが希望すれば進学できる環境を整えなければなりません。このため、高校生への奨学給付金を拡充するとともに、成績にかかわらず、必要とする全ての学生が無利子の奨学金を受けられるようにします。さらに、新年度から、返還不要の給付型奨学金制度を新たに創設することとしました。教育投資は未来への先行投資です。一人一人の豊かな人生と、成長し続け、安心して暮らせる社会の実現に必要な国家戦略として、必要な財源を確保しつつ、教育投資の充実にしっかりと取り組んでまいります。