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想いを形にする力

顔写真

名古屋大学 工学研究科 土木と環境工学 森川・山本・三輪研究室 修士2年生

小林・テンピア・ジュリエット
Juliette TEMPIA KOBAYASHI
出身国:フランス パリ

2012年 秋 来日 名古屋の日本語学校に入学
2014年10月 名古屋大学入学
2015年12月〜名古屋大学生協留学生委員
2019年4月〜2020年3月 名古屋大学生協留学生委員長
2019年4月〜2020年3月 全国留学生委員

夢が出来る前までの道のり

私は大学と大学院を合わせて、6年間名古屋大学に通い、今年の秋に卒業する。名古屋大学で過ごした6年の中で、最後の2年間、大学院に進学してからの時間が最も充実していた。

もちろん、最初から充実していた訳ではない。2014年10月名古屋大学工学部に入学したが、将来の夢のような目標がなく、ただ与えられた目の前の課題を熟していただけだ。その姿勢で大学に通っていたら早い段階から勉強に追われてしまい、自分の将来はもちろん、次の週のイメージすら出来ないくらい自分の時間に対してのコントロールを失っていた。ただ私は一度も諦めず、一生懸命勉強に取り組んだ。

しかし、4年生になった私にはまだ目標がなく、大学院に進学するか、就職するか、どの業界に進めるかも全く分からず、悩んでいた。その時、少しでも目標を見つけるために、就職活動を行なった。ジョブフェアに参加し、興味がある業界・興味がない業界・知らない業界それぞれ三つから五つの会社の話を聞きに行った。企業の話を聞いているうちにわくわくする業種に出合い、自分が働いている姿が見えてきた。昔から関心を持っていた「まちづくり」を通じて社会貢献するキャリアを歩んでいく大きな目標が出来た。そこから次に取るべきステップが明確になり、目標に向かってまずは専攻を変え、名古屋大学工学研究科土木と環境工学を専攻し、交通計画の研究に挑むと決めた。2018年10月希望通りの研究室に配属され、私の人生の新しいチャプターが始まった。


2018年秋 名古屋大学卒業式のジュリエットさん(左)

目標に向かって能動的に動く力


名大生協共同交流会2019年

大学院に進学したあと、自分の目標に向かって能動的に動いた。ビジネス書を参考に自己管理や時間管理を行い始め、「勉強に追われている人」から「時間を効率的に使える人」に成長した。目標に向かって能動的に動き始めてから、たくさんのやりたいことを行動に移し実現させようと考えた。

まずは、私が所属していた名古屋大学生協留学生委員として留学生のキャンパスライフのサポートに真面目に取り組みたいと考えた。私はよく他の留学生から、就活に対する大学のサポート内容や日本文化について相談されるため、多くの人が困っていると感じていた。そこで、留学生委員として留学生向けの就職活動支援に取り組もうと決めた。

しかし、当時の委員会はまとまりがなく、日本語を話せる委員が少ない事もあり、交流イベント以外の留学生の支援となる活動への取り組みが欠けていた。私は委員会の委員長になり、委員会をまとめ、委員の参加率とモチベーションの向上に取り組んだ。

まず、プロジェクトの進め方やノウハウを学ぶため、コンサルティングやチームビルディングのビジネス書を参考にした。そして、メンバーにこの取り組みを行うメリットが伝わっていないことが原因だと考えた。そこで個人面談を行う事で、各メンバーの想い・将来の目標・委員会でやりたいことを知り、各メンバーに合った仕事を割り振った。その結果、メンバーがより積極的に活動に取り組み、より良い支援内容についてアイデア提案を自ら行うようになった。


2019国際ワークショップ(中央)

活動内容としては、名古屋大学発ベンチャーHarmony For(株)の塚本社長に力を貸して頂き、大手企業であるトヨタ自動車とデンソーと留学生のための就活支援イベントを三回開催し、支援した学生から高い満足度を得た。また、この取り組みが全国大学生活協同組合連合会に注目され、国際ワークショップを主催し、全国展開に向けて事例紹介を行う予定だ。ここまで成果を出し、有意義な活動が出来たのはもちろん委員をはじめ、塚本社長、企業様、名古屋大学生協、名古屋大学の教授からのサポートがあったからだ。

*名古屋大学留学生とトヨタ自動車との交流会の記事は、以下のリンクでご覧になれます。

名古屋大学留学生とトヨタ自動車との交流会

仲間と共に想いを形にする


Harmony Forと打ち合わせ後懇親会

私は留学生のための就活支援以外にも、自分がぶつかった課題に対して、解決策作りに挑んだ。
私は大学時代、就活イベントの情報収集に苦労したことから、同じ思いをしている他の留学生のためにも、多言語でイベントをまとめたウェブサイトを作ろうと思った。

しかし、私にはサービスの企画や普及ノウハウがなく、1人ではウェブサイト作成を実現するスキルが不足していたため、協力者が必要だと感じた。そこで、周りの仲間に自分の想いを伝え、プロジェクトのアイデアを共有した。そしてある日、名大発のベンチャー企業の塚本社長が「一緒にやりたい!」と言って下さり、プログラミングサークルの仲間を紹介して頂き、私の仲間を含め、五人でウェブサイトの作成に挑んだ。

もちろん、仲間集めは簡単ではない。人間関係は「信頼」と「想い」をコアに築かれていくため、時間と労力は必須だが、生まれてくる繋がりは強い。ウェブサイトを作成する際、様々な苦労をした。仲間同士でビジョンのズレが生じたり、ウェブ利用者のニーズとメンバーの作りたいサービスイメージが合わないこともあり、プロジェクトが思うように進まなかった。

そこで、打ち合わせをする際、仲間と意見を共有出来る時間を作り、皆の想いを考慮する事で、苦労していた時でもより良い仲間関係を築くことが出来た。また、利用者である留学生にメンバー全員でニーズをヒアリングし、結果を共有するようにした。その結果、新入留学生の8割が利用するウェブサイトが出来た。また京都大学、北海道大学、東北大学にも展開し、利用されるほどの成果を出すことが出来た。活動は一人だけでは難しい。私は多くの方々からのサポートがあったからこそ、想いを形にすることが出来たと考えている。

終わりに

ここ2年でたくさんの活動に取り組めたのは、夢という大きい目標が出来たからだ。その目標に向かって、「やりたいこと」を行動に移すことで、目標に近づくことが出来、仲間もたくさん得られた。私のことを支えて下さった仲間に心から感謝している。仲間がいたからこそ充実した学生生活を送る事が出来た。いい思い出と共に卒業する事が出来そうだ。


名大留学生委員会2019年度合宿


留学生のための就活支援(トヨタ)