全国教職員委員会

大学生協連設立60周年記念 北海道シンポジウム開催報告

2019.11.9
全国大学生協連北海道ブロック 菊池

1.参加対象

会員理事長、学生委員長、専務理事、共済担当学生、院生・教職員理事・監事、2020採用内定者 インターンシップ参加者 その他 興味ある生協関係者

2.開催テーマ

「キャンパスに必要とされる生協らしい生協をめざして」

3.開催日時

2019年10月26日(土)14:00〜18:00 札幌 対象:14会員 
参加14会員67名
理事長・監事・教職員13名(19%)専務理事12名(18%)生協職員19名(28%)
学生・院生23名(34%) 合計67名

4.企画内容

第1部 基調報告 「世界と日本の協同組合運動と大学生協への期待」

①世界と日本の協同組合の到達点 協同組合の広がりと実力 ②大学生協に学ぶ、大学生協が北海道と日本の生協運動に果たした役割 ③北海道における協同組合連
携の「経過・到達点・今後の展望」(北海道生協連 川原敬伸事務局長)60分 

第2部 事例報告

各15分程度

  • (1)「新学期活動に関わる取り組み、課題、展望」」(教育大生協函館支部 花山さん)
      学内サークルと連携したCome'on(新入生歓迎行事)の取り組みと学内認知の向上 
  • (2)「大学との連携に係わる取り組み、課題、展望」(連合北海道地区 須田常務) 
      全国の大学からのアウトソーシングの取り組み紹介 
  • (3)「学生総合共済(生命共済)に関わる取り組み、課題、展望」(小樽商大生協 鈴木さん)
      大学保健管理センターとコラボした組合員の健康・安心・安全の取り組み紹介
  • (4)「大学との関係づくり」(帯畜大生協 伊藤専務)
      ホームとアウエー! 情報の共有、想いの共有、そして積み重ねる信頼関係
  • (5)「上級生と大学生協」(北大生協 中山全国院生委員)
      新学期、新入生に目が行きがちですが、上級生、院生は通常期の生協のパワーユーザーです。普段のキャンパス生活に本当に役に立つ生協であるためには上級生の経験がもっと活かされた組織活動や生協事業づくりが求められています。
  • (6)分散会 グループ交流 6〜8人(本日学んだこと) 50分
  • (7)全体共有 まとめ 20分

*シンポジウムに先立って、同施設で全道理事長懇談会を開催、シンポジウム終了後に懇親会
出張のためシンポジウムでの事例報告ができなかった北星学園生協理事長の大原先生が懇親会に駆けつけてくれて、理事長自ら生協ホームページ上で毎日更新のブログという形で続けている生協広報についてお話いただきました。

5.全体のまとめ

大学生協連設立60周年記念にふさわしく大学生協の活動の歴史を振り返り、未来を考えるきっかけを得る場になった。地域生協や他の協同組合連携を含めた広がりと影響力も共有した。各会員で実際に成功させた取組事例も学び合い、大学との関係づくりや、上級生を視野にいれた事業展望の提起も受けた。

色々な階層、立場から豊かに報告された全てを理解できた人は多くはないと思うが、それぞれの参加者が心に深く残る、見る目を得て本当の課題に気づく、歴史に学ぶ、再度認識する、解決にむけて思考する、行動するきっかけや知識を得たシンポジウムとなった。

理事長、教員監事、専務理事、大学生協職員、学生、院生、次年度入協予定の内定者など幅広い大学生協の構成員が集まったこと、その全ての人たちが各7名程度の分散会にわかれ自分の言葉で語り会う機会が持てたこと、体験したこと自体も大きな財産になった。

自身や組織としての弱点や危機感を正しく共有し、脱皮、成長、変化し続けることの大切さを知った今回の参加者が、各地で組合員や大学に貢献できる協同組合づくりの重要なメンバーとして活動していくことを期待し、ブロックとして支援していく。

基調報告、事例報告の動画と配付資料を、「生協らしい生協をめざす」という大事な問いかけとして大学生協職員教育のプログラムのひとつに組みこみ活用する。

6.参加者の声

(1)基調報告「世界と日本の協同組合運動と大学生協への期待」では

協同組合の日本と世界における広がりと実力、大学生協が北海道と日本の地域生協づくりに果たした役割、大学生協の価値、今後の協同組合連携について熱く語っていただいた。

  • 日本の協同組合組合員数は約6500万人、世界の協同組合員数約10億人。事業高292兆円。
  • 北海道の生協組合員組織率63.6%(全国平均37%)
  • 2010年からコープさっぽろの専務がひとつひとつ訪問し、全道の自治体、全179市町村のうち174市町村と高齢者見守り協定を締結、地域に貢献。大学生協も全研究室訪問を。
  • 「早稲田学生消費組合解散宣言」の歴史から、何故、生協が平和の取り組みをすすめるのか?
  • 福武会長所感「大学の中に広く深く根ざす努力を重ねなければならない」の紹介。その課題として特に教職員の加入。
  • 過度の競争と格差社会 VS 持続可能・支え合い・助け合い社会 協同組合ネット北海道の結成へ 行動方針は「ゆるやか・あいのり・やってみる」

参加者からの感想

  • 初めて知る話が多く大変勉強になりました。生協の理事長として必要なことを改めて考える貴重な機会になりました。(大学教職員)
  • 協同組合がどれだけ日本や世界で影響しているのか。そしてどこまで目指しているのを知れた。
    自分が思っている以上に大きい影響力があって驚いた(学生)
  • 福武会長所感。私たちはどれだけその努力をしてきたのだろうか?(生協職員)
  • 大学生協と地域生協の歴史、さらに協同組合連携について非常に熱い想いとともにお話いただき頭と心にしみ入りました(大学教職員)
  • 昭和初期の早大学消の消滅、無念の思いを見て胸が熱くなった。敵は「無関心」は肝に命じたい(大学教職員)
  • 住民が願うのは「社会的弱者の協同組合」加速する自由主義経済の中で、大学生協は今までのように組合員を第一に考えかつ社会的活動にも力を入れていく必要性があると深く思った。(学生)

(2)事例報告(5本)では

①キャンパス内の人のつながりづくりでハブの役割を果たす生協学生委員会の取組報告、
②全国で起きている大学からの業務委託やアウトソーシング、キャンパス内競合についての俯瞰報告、
③生協が起点となって大学の保健管理センターや自治体とのつながりづくりでおのおのが持てる力を最大限生かした形をつくり学生の健康を守る取組報告、
④大学と生協の信頼関係強化や組合員に生協をより身近に感じてもらうことの取組報告、
⑤新入生・新学期に偏りがちな生協の取組を、上級生や院生などの通年利用や卒業までの利用にも目を向けることの重要性の提起を行っていただいた。

参加者からの感想

①新学期活動に関わる取り組み、課題、展望〜新入生歓迎企画Come On 2019

  • 新入生のニーズ、学生委員(自分たち)のニーズは考えていたが、在校生のニーズについては考えたことがなかった。大規模な企画を行う時の成功させる秘訣だと思った(学生)
  • 組織部だけでなく協同で取組をつくったことが重要だと思った(大学教職員)
  • 「場」をつくり、それを支える「輪」を結ぶのは、すでに大学の中には、生協だったり、学生委員会しかなくなっていると感じます。そこに関わる学生さんが、様々な「気づき」を得られることが、職員としてもうれしいこと。(生協職員)
  • 上級生に依頼する形ではなく一緒に企画を作っていくことがすごく良いことだと思った(学生)
  • 歓迎会への参加率の高さに驚き、丁寧な情報発信や対応に感心しました。「想いを共有している」これがあるからこそ目的に向かって全員が頑張れるのだと思った。(学生)

②全国との連携に係わる取り組み、課題、展望〜全国の大学からのアウトソーシングの取り組み紹介〜

  • 全国の状況は初めて知れた。定期的に発信してほしい。入試制度や大学間連携など大学の全国的な動きなどもわかりたい(生協職員)
  • 業務委託は大事な事項だと思う。もっと大学に入り込んで、様々な内容を発掘するべき(大学教職員)
  • 大学生協が提供しているサービスについて、思っていたよりも多くのものが大学からの業務委託によるものだと知ることができました(学生)
  • 大学との係わりの一面を数字とともに知ることができ、今後の大学との係わりを考える(予測する)上で有益でした(大学教職員)
  • 受託の傾向の多くは、運営交付金削減による大学収入の減少により、生協への依頼が増加する傾向。中には押しつけ的な状況もあり、組合員視点での方向が弱まっている、考え方の整理が必要(生協職員)

③学生総合共済(生命共済)に関わる取り組み、課題、展望〜商大の共済活動から伝えるつながりの重要性〜

  • つながりをつくれる生協の組織活動の意義を感じた(大学教職員)
  • 周囲の人とのつながり次第では活動はまだまだ良いものになると感じました(学生)
  • 大学生協がハブとなり大学内、地域とつながり多くの人のよりよい生活につながっている。自分達で完結させない意思を感じました(生協職員)
  • 共済を理解させることや周囲に知らせることは意外と難しい。それを「つながり」を重視して多くの人に伝えようとする心意気に感動しました(学生)

④大学との関係づくり ホーム感とアウェー感

  • 大学と大学生協との共存的関係を持続するための生協職員の態度としてあるべき姿が実践と結びついて理解できた。(大学教職員)
  • 大学と生協、同じ想いをもってつながり、共同しなければならないと思いました(生協職員)
  • 大学と生協の相互の歩み寄りが高いパフォーマンスを示すことを、2.大学との連携に係わる取組の話と合わせて学ぶことができた(学生)

⑤上級生と大学生協(北大生協 中山拓登院生委員)

  • 新しい可能性を示すものだと思う。参加をどう広げていくのかを議論することが必要と思った(大学教職員)
  • 「生協が生協としてありつづける」ために、上級生が大学生協を使いこなし、下級生に伝えていくことが大切なことではないかと思いました。生協を卒業までとことん使っていくべきであると思いました。「自分の経験をみんなの気づきにしていく」という言葉にとても共感しました(学生)
  • 職員採用という役割で、全道の3年生の人たちに大学生協の紹介をする機会が多くあります。その時、生協の思いを伝えると「そんなことまで学生のことを考えてくれているのですね」といった感想をもらうことが多いです。半分うれしくて半分悲しくなります。日常、上級生に伝える機会を怠っているのです(生協職員)

(3)分散会 グループでの感想交流

  • 様々な立場の人の意見を聞いて、大学生協らしさとは、大学生協の未来のためにどんなことができるかを中心に交流することができた(学生)
  • 組合員のニーズはしっかりつかみたい。上級生の生活も。そしてそのニーズが、本当にその組合員のためになるのかという視点も大事。その視点を持てるのは誰?どうやって?課題かもしれない(生協職員)
  • 生協は生かせるものを生かし切れていないことがまだまだ多いと言う感想を持ちました(大学教職員)
  • 「生活協同組合」について、きちんと伝えていかなければならないと感じた(生協職員)

(4)10年後に大学生協がめざすべき目標

  • まだまだ変化できるところだと思う。より学生が生協運営に参加できる生協になればと思います(学生)
  • 変化に対応する組織、そしてその変化を直接聞ける、感じる場を自らハブとなってつくることができる組織。多くの人が協同する組織(生協職員)
  • 学生の生活と学びを支援し、さらに生協の活動を通じて学生の成長も実現すること
    (大学教職員)
  • 「大学生協」の存在価値をきちんと組合員に伝えられていて、多くの組合員が参加・活動している大学生協(生協職員)
  • 学生の生活に寄り添うことができることが大学生協の価値だと思うので、今後は学生の居場所を提供できるような到達目標をめざしたい(学生)
  • 「未来を描く」それが大学生協が持つべき価値と思います(生協職員)
  • 人格形成の大切な時期である大学生活を支え続けること。自ら考える場をたくさん提供できる組織であり続けたい(大学教職員)

全体会
大学生協も地域生協も経験し、現在協同組合連携の仕事を進める方からの基調報告を60分、会員での実践報告を各15分✕5本をみんなで聞きました。
それぞれの報告者の思いを受け止め「キャンパスに必要とされる生協らしい生協をめざす」とはについて考えました。

分散会
理事長・教職員、専務・生協職員、来春採用の内定者・学生、院生など多様な階層メンバーがグループ内にいる形での率直で刺激的な交流でした。