読んで一言

アンケートから、読者の感動したり影響を受けた本をご紹介
 

『紙の魔術師』
チャーリー・N・ホームバーグ〈原島文世= 訳〉
ハヤカワ文庫 本体800円+ 税

舞台は19世紀イギリス、物質と結合することで魔法を操る魔術師がいる世界。赤毛の見習い魔術師と彼女の師が織り( 折り) 成す新感覚冒険ファンタジー。これは誰の物語なのか。読み終わったあと、もう一度タイトルを見てほしい。全3部作で2作目が今年1月に発行されたばかり、3作目は3月に発売予定。今読めば、発売を心待ちにする気分も味わえる。
(法政大学/みー)

『螺旋の手術室』
知念実希人
新潮文庫 本体710円+ 税

父親の不可解な死に疑問を抱き、色々調べ始めた主人公。敬遠し続けてきた父親のルーツをたどって行くと、多くの秘密と悲しい出来事が。読み始めると止まらない一冊です。
(早稲田大学/みずき)
 

『総理の夫』
原田マハ
実業之日本社文庫 本体639円+ 税

主人公の男性が、日本初の女性総理大臣となった妻の奮闘を、日記形式で綴るお話です。この夫婦の穏やかに信頼し合う関係が素敵なのはもちろん、総理の強くまっすぐな美しさ、そして女性だからこそ直面する苦悩のリアルさも胸を打つ作品でした。
(東北大学/ゆず)

『増量 日本国憲法を口語訳してみたら』
塚田薫・長峯信彦
幻冬舎文庫 本体460円+ 税

文語体で書かれている日本国憲法。現在の私たちからすると、内容を理解するにはむずかしい言葉や言い回しに到底意味が分からないと諦めていたところ、この本に出会った。本書ではむずかしい言い回しもなんのその、非常にわかりやすく、ときにはコラムを交えつつ解説してくれる。日本国民であるにもかかわらず、何も知らないなんて恥ずかしい! 是非本書を通して色んな人に憲法の面白さを実感してもらいたい。
(金沢大学/ざっきー)
 

『シャーロック・ホームズ対伊藤博文』
松岡圭祐
講談社文庫 本体830円+ 税

「最期の事件」、ライヘンバッハの滝での死闘から「空き家の冒険」の復活までの間、シャーロック・ホームズは日本に来ていた!という斬新な設定。しかも、聖典のあらゆる矛盾が解消され論証される考え尽されたホームズ・パスティーシュなのです! さらに実際にあった大津事件を取り上げているので、フィクションと現実の混ぜ方が絶妙で「本当にこんな風にホームズが解決したのかもしれない」と思わせてくれます。ホームズファン必見です。
(三重大学/比右子)

『かのこちゃんとマドレーヌ夫人』
万城目学
角川文庫 本体476円+ 税

猫の言葉がわかったらいいのに、とうちの猫を見ていると思う。「メシ」「ドア開けろ」しか言わなさそうだなと想像して、ちょっと楽しくなる。小学一年生のかのこちゃんの柔らかな感性と、かのこちゃんの家の老犬を旦那さんに持つマドレーヌ夫人がこの本に出てくるのだけれど、たくさん視点のある本だった。本を読み終えてしまうのが名残惜しい気持ちになった。優しいこの世界にもう少し留まっていたかった。この本に出てくる猫曰く、「3ヶ月もすれば人間の言葉の意味がわかってくる」らしい。うちの猫に「大好きだ」と言葉をかけようと思う。
(三重大学/尾崎)
 
 
※斜体の投稿者名は、ペンネームです。

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