2025年のマイベスト
『読書のいずみ』委員&読者スタッフが選んだ本

 

新学期恒例企画「マイベスト」。2025年、心に残った作品をメンバーがそれぞれの言葉で紹介します。あなたのお気に入りの一冊は入っているでしょうか。

調査項目

  • A…2025年に読んだ上位作品
  • B…2025年に読んだ本の冊数
  • C…お気に入りの読書スペース
  • D…今年の抱負
 
  • 熊本大学 伊瀬知美央/いずみ委員

    A
    ①小手鞠るい
    『ガラスの森/はだしで海へ』
    (ハヤカワ文庫JA) 購入はこちら >こんな恋愛小説が書けるって、どんな素敵な感性の作者さんなんだろう。直接感想を伝えたい! と思ったくらいに心に刺さった作品です。すれ違う想いや報われない恋心がずっと描写されているのに、苦しくなく透明感のある表現に心を掴まれました。

    ②イ・ドウ<清水博之=訳>
    『天気が良ければ訪ねて行きます』
    (アチーブメント出版) 購入はこちら >書店が登場する作品だと知って読んだ本。人と人が一緒に生活すること、悲しみや怒りを分かち合うことの難しさと愛おしさが両在する本です。作中に登場するグッドナイト書店、店主のウンソプが魅力的です。

    ③笹井宏之
    『えーえんとくちから』
    (ちくま文庫)購入はこちら >読んでいて、こんなにも優しくかみしめるように世界を見ていた方がいたことが愛おしかったです。透明感のある言葉がほんとうに素敵な歌人さんで、お守りみたいにずっと持っていたくなる歌がいっぱいの歌集です。

    ④文月悠光
    『大人をお休みする日』
    (角川春樹事務所)購入はこちら >少しだけ早く起きた休みの日に、パンの焼ける匂いに包まれながら感じる幸福感が言葉になったような詩集です。優しく芯のある言葉遣いに癒されました。抱きしめたくなるような愛らしい表紙も好きなポイントです。

    ⑤志賀直哉
    『暗夜行路』
    (新潮文庫)購入はこちら >正直に言うと、高校時代に『暗夜行路』を読むのに挫折してから、志賀直哉作品を読まず嫌いしていました。今年じっくりと時間を取って読む中で、簡潔でありながらも立体的な志賀の言葉の良さを体感させられました。

    B 150冊/ C 家のベッド、お風呂、共栄堂(熊本にあるブックカフェ)/ D どんな状況も楽しむ。

  • 京都大学大学院 齊藤ゆずか/いずみ委員

    A
    ①ハン・ガン<斎藤真理子=訳>
    『別れを告げない』
    (白水社)購入はこちら > 済州四・三事件を主題に、痛みをもって記憶したり、記憶に触れたりすることの尊さを描ききった作品。歴史に対して、文学だからこそできることをしていると感じた。夏に舞台である済州島を訪れるほど影響を受けました。

    ②モアメド・ムブガル・サール<野崎歓=訳>
    『人類の深奥に秘められた記憶』
    (集英社)購入はこちら >1位に挙げた作品が「静」ならこちらは「動」的な記憶との向き合い方を描いている。アフリカで生まれ、フランスで小説を書く主人公が、ある1冊の本をめぐって様々な人と出会い、言葉を交わす。物語のもつ魔力が強く、没入してしまう。

    ③平野啓一郎
    『ある男』
    (文藝春秋)購入はこちら > 亡くなった夫が、実は戸籍を他人と交換していて、名前を偽っていたとわかった女性から相談を受けた弁護士が主人公。人間がその人であるということがどういうことなのかを問いつつ、謎が解明されてゆく面白さもある作品。 

    ④鈴木結生
    『携帯遺産』
    (朝日新聞出版)購入はこちら >文学に希望を託したり、救われたりしたことのあるすべてのひとにおすすめしたい。自伝小説を書くことになったファンタジー作家を主人公に、過去や書くことに誠実であろうとする彼女がたどる、執筆の過程を追体験できる。

    ⑤安田菜津紀
    『遺骨と祈り』
    (産業編集センター)購入はこちら >沖縄戦の遺骨を収集する男性と、福島で娘の遺骨を探す男性。ジャーナリストである著者が両者を結びつけ、日本社会に死者をないがしろにしてはいないかと問いかける。いまの社会に疑問を抱くたくさんの人に読んでほしい本。

    B 76冊/ C 布団の上/ D 毎年言っているかもしれませんが、読書日記をつけます。引っ越すので新居をきれいに保つことと、中国語学習を続けることも目標です。

  • 東京科学大学 中川倫太郎/いずみ委員

    A
    ①浅野智彦
    『自己への物語論的接近』
    (ちくま学芸文庫)購入はこちら > 出会った瞬間を忘れられない本がある。それはいつも偶然による。背のタイトルが目に飛びこみ、自分はこの本を読まなければならない。心地良い義務感だ。物語が私をつくりそして隠蔽する。服を脱いでも皮膚が我々を包み隠しつづけるように。

    ②村上春樹
    『スプートニクの恋人』
    (講談社文庫)購入はこちら >人工衛星スプートニク1号のイラストとともに“Understanding is but the sum of our misunderstandings.”と背にプリントされた、読んでもいない小説のコラボTシャツをむかしよく着ており、思い返せば状況を端的に表す言葉を背負っていたわけだ。

    ③トム・ストッパード〈小田島恒志=訳〉
    『トム・ストッパード4 アルカディア』
    (ハヤカワ演劇文庫)購入はこちら >天才劇作家が死んだ。彼と同じ時代を共有できただけでも光栄だった。弔いに彼の戯曲を読んだ。かつて途中で挫折した作品だった。衝撃を受けた。後悔した。読んでよかった。一寸先の予測不可能を世界の我々は千鳥足で歩む。 

    B 30冊/電車の座席/ D 卒業! 

  • 同志社大学 山原和葉/いずみ委員

    A
    ①水沢秋生
    『君が眠りにつくまえに』
    (新潮社) 購入はこちら > コンビニですれ違った程度の他人であっても、人生のどこかで実は交わっていて、自分の何気ない行動で誰かが幸せになっているかもしれない。奇跡は意外と起こっているかもしれないと思わせてくれる素敵な本です。

    ②金子玲介
    『流星と吐き気』
    (講談社)購入はこちら >各章の登場人物たちがなかなかひどい結末を迎えるのですが、読んでいるうちに彼らがいかにひどい目にあうのかを楽しみにしてしまっている自分がいて、私ってこんなに性格悪かったっけ!? と思いました。

    ③今村翔吾
    『幸村を討て』
    (中公文庫)購入はこちら > 圧倒的面白さ、そして、それ以外の要因でも私の人生に大きな影響を与えてくれた本です。2025年を象徴する、そして、人生のターニングポイントにもなった本かなと思います。

    ④王谷晶
    『ババヤガの夜』
    (河出文庫)購入はこちら >表紙もあらすじもあまり好みではないかなと思い、最初は読むつもりがなかったのですが、偶然機会があって読み、読んでよかったと思いました。やはり、読まず嫌いは良くないなと思いました。

    ⑤ファン・ボルム<牧野美加=訳>
    『毎日読みます』
    (集英社)購入はこちら >日頃、本が好きだ、好きだと言っているけども、ファン・ボルムさんの本を読むと、また、あらためて本が好きだと思えます。私の知らなかった、でも、言われてみれば納得の本の新しい魅力を知ることができます。

    B 95冊/ C 電車の中/ D 腰を痛めずに重いものを持ち上げる技術を習得する。

  • 京都大学 中村珠世/読者スタッフ

    A
    ①朝井リョウ
    『イン・ザ・メガチャーチ』
    (日本経済新聞出版)購入はこちら > これを選ぶのはあまりにもベタだと言われてるかもしれない。それでもこれを1位にしないわけにはいかない。推し活を外側と内側から描いたこの作品。しかしこれは、選挙や資本主義の裏側までも描いてしまうのだ……。 

    ②金原ひとみ(編)
    『私小説 作家は真実の言葉で嘘をつく陽』
    (河出文庫)購入はこちら > 私小説というジャンルを読んだことのないあなた! 現実と虚構の境目がわからなくなる体験をしてみませんか? どこかに嘘のスパイスが混じっていることはわかっているのに、気づけない。まるで自分の生きている世界が、本の中と繋がった感覚になります。 

    ③朝比奈秋
    『あなたの燃える左手で』
    (河出書房新社)購入はこちら >日本人のアサトはウクライナ人を妻に持ち、ハンガリーで医療系技師として暮らしていたが、左手を失い、他人の手を移植した。自分に他者が常に接している状況と、国境がひしめく欧州の情勢が重なり合うストーリーは必読。 

    ④カズオ・イシグロ<土屋政雄=訳>
    『日の名残り』
    (ハヤカワepi文庫)購入はこちら >長くイギリスの貴族のものだった屋敷は、アメリカの大富豪に買い取られた。先代からずっと屋敷に仕える執事は、休暇を利用して郊外へ旅に出る。先代の衰退の理由、執事としての矜持と品格。簡単に言葉に表せないことを伝えられるのが物語だと実感した一冊。

    ⑤伊藤計劃
    『虐殺器官』
    (ハヤカワ文庫)購入はこちら >本好きの人は、言葉も好きなはず。そんな人に読んでほしいベストセラー SF。殺伐とした近未来で大量殺戮を起こす兵器とは。こんな展開思いつかない! 言葉を大切に使おうと思える一冊。

    B 88冊/ C 家、河川敷/ D スマホを見る時間を減らして本を読む! もちろん勉強も頑張ります。

  • 兵庫県立大学 河井千佳/読者スタッフ

    A
    ①くどうれいん
    『コーヒーにミルクを入れるような愛』
    (講談社)購入はこちら > 今年はくどうれいんさんの本をたくさん読んだが特にこの作品が好きだ。日々のさりげない感情を表現していた。前向きに生活にいろどりを与えてくれた本だから。

    ②凪良ゆう
    『わたしの美しい庭』
    (ポプラ社)購入はこちら > みんなそれぞれ事情を抱えて生きている。そんなことも知らずに人は好き勝手言うけど、自分は自分、そんなの気にしなくていいと思えるようになる本だから。

    ③鈴木結生
    『ゲーテはすべてを言った』
    (朝日新聞出版)購入はこちら > アカデミックで伏線的なストーリーも非常に面白かったが、物語全体を通して変化する家族の絆が好きだから。 

    ④野崎まど
    『小説』
    (講談社)購入はこちら >作者のミステリアスな文体や、科学的情報を混ぜながら物語が進んでいくところが興味深く、なぜ小説を読むのかという深い問いを主題としているところが好きだから。

    ⑤古賀史健<ならの=絵>
    『さみしい夜にはペンを持て』
    (ポプラ社)購入はこちら >日記を書くことのすばらしさやその意義をわかりやすく説明し、日記を書くのがより楽しくなった本だから。

    B 15冊/ C 自宅のリビング/ D 今年は30冊読破したいです。専門書にもチャレンジしたいです!
     

  • 甲南大学 岡本悠伽/読者スタッフ

    A
    ①髙田郁
    『志記(一)遠い夜明け』
    (ハルキ文庫 時代小説文庫庫)購入はこちら > 言葉ではなく行動で示していく主人公たちに勇気をもらえた。女性には困難とされる道を志した二人の生き方を見届けたいし、その道がどのように交わっていくのかがとても楽しみなシリーズ。

    ②柴田錬三郎
    『眠狂四郎無頼控(一)』
    (新潮文庫) 購入はこちら > ニヒルな孤高の剣士、眠狂四郎がとにかく格好いい。時代小説ながらライトノベルのような読みやすさもある。主人公をとりまく人間関係や、彼の過去などがまだまだ気になるところ。 

    ③吉川トリコ
    『余命一年、男をかう』
    (講談社文庫)購入はこちら > 恋愛小説としてももちろん面白いが、それ以上に主人公が生きることに対して前向きになっていく過程が感動的で、今この瞬間を楽しんで生きようと改めて思わせてくれた。 

    ④渡辺優
    『女王様の電話番号』
    (集英社)購入はこちら >無意識に常識を押しつけられることが多い世の中で、どうすれば自分自身を認め、自分らしく幸せに生きていけるのかを考えた読書時間だった。 

    ⑤三島由紀夫
    『春の雪 豊饒の海(一)』
    (新潮文庫)購入はこちら >主人公はその若さ故に、少々こじらせて突っ走っている感じがしたのだが、それが眩しくも感じられた。何といっても文章や物語全体に漂う雰囲気が美しく、次の作品にもトライしたいなと思った。

    B 28冊/ C 自室/ D デジタルデトックス
     

  • 大阪大学 梅田夏希/読者スタッフ

    A
    ①ハン・ガン<斎藤真理子=訳>
    『別れを告げない』
    (白水社) 購入はこちら > すごく一文一文がじっとりと心に残っていく本だったので一位に選びました。

    ②宮本輝
    『錦繍』
    (新潮文庫)購入はこちら > NHKラジオ朗読で聴いていて、情景が目に浮かびとても美しい文章だったのでベストに選びました。

    ③澤田瞳子
    『京都の歩き方─歴史小説家50の視点─』
    (新潮選書)購入はこちら > この本を読んで実際に京都に今年の秋は三回行きました。隣の県に住んでいますが、知らないことがたくさんあってとても面白かったです。

    ④キム・チョヨプ<カン・バンファ=訳>
    『惑星語書店』
    (早川書房)購入はこちら >SF作品に今まであまり触れてこなかったのですが、この本を読んでSFに興味を持ちこれから色んなSF本を読んでいきたいと思いました。読んでいて先が予想できない話が多く面白かったです。 

    ⑤東畑 開人
    『カウンセリングとは何か変化するということ』
    (講談社現代新書)購入はこちら >新聞の読書委員で東畑さんのお名前はよく拝見しており、大学の新着図書で著者の本をたまたま見かけて手に取りました。カウンセリングが奥深いことを知り、心理学について勉強してみたくなりました。

    B 8冊/ C 登下校中のバスの中/ D 勉強、部活、就活、趣味をやりきって良い一年だったと言える一年にしたいです!

  • 九州大学 古田奈寛/読者スタッフ

    A
    ①町田そのこ
    『うつくしが丘の不幸の家』
    (創元文芸文庫)購入はこちら > 町田そのこさんの作品の中でも特に好きな一冊。伏線の回収が綺麗で気持ちよくて、ページをめくる手が止まらない。一軒の家の歴史を辿りながら、それぞれの家族に思いを馳せ、考えさせられながら読み進める。

    ②凪良ゆう
    『汝、星のごとく』
    (講談社)購入はこちら > 二人の気持ちだけで上手くいけばいいのに。現実はそうもいかなくて。恋愛のリアルが詰まっていて切なくなる。人は一人では生きていけないと痛感させられる。瀬戸内の美しい情景に惹きこまれて、何度でも読みたくなる一冊。

    ③町田そのこ
    『コンビニ兄弟4-テンダネス門司港こがね村店-』
    (新潮文庫nex) 購入はこちら > コンビニ兄弟の中でも特に好きな第4巻。ツギさんの知られざる過去に驚かされる。それでも大切な人の幸せを心から願っている姿に、本当は誰も悪くないと思えて優しい気持ちになった。こんな素敵な人になりたい。

    ④凪良ゆう
    『流浪の月』
    (創元文芸文庫)購入はこちら >世間から誤解されていても、二人が納得できるならそれで良い。私たちはつい型にはめて見てしまうが、本当の意味で当事者の声を聞かなければならない。人間関係に悩んだとき、この本に答えがあるのかもしれない。 

    ⑤小川洋子
    『博士の愛した数式』
    (新潮文庫)購入はこちら >博士とルートの心温まる物語に、気付けば涙があふれていた。博士によって数字に意味付けがされていき、世界が広がっていく感覚がたまらない。長年読み継がれていることに納得できる、余韻が気持ちいい一冊。 

    B 27冊/ C ベッドに腰掛けて読書することが多いです。/ D 推しの作家さんを増やすこと、新書の開拓。

  • 東京外国語大学 酒井里緒/読者スタッフ

    A
    ①マルコ・バルツァーノ<関口英子=訳>
    『この村にとどまる』
    (新潮社)購入はこちら > 湖に聳える塔の写真に惹かれました。だんだんと大きな決断をすることが増えてきたからか、様々な人の人生に寄り添った作品を読むこと増えましたが、この作品の女性の芯のある生き方は、最も印象に残っています。

    ②灰谷魚
    『レモネードに彗星』
    (KADOKAWA)購入はこちら > SF っぽい本は食わず嫌いをしていましたが、もっと読んでみたいと思いました。どの話の登場人物たちにも感じる青臭さは、どこか身に覚えもあり、痛いけれど懐かしいところもあります。作者の次の作品も楽しみです。

    ③アンゲラ・メルケル<長谷川圭・柴田さとみ=訳>
    『自由 上・下』
    (KADOKAWA)購入はこちら > 長きに渡りドイツの首相を務めたメルケル氏による自伝。特に、東ドイツに生まれ科学者として働いた彼女が、何を感じ、考え、政界に入るまでのいきさつはとても興味深く、「自由」とはなんであるかを考えさせられる。

    ④ホリー・ジャクソン<服部京子=訳>
    『自由研究には向かない殺人』
    (創元推理文庫)購入はこちら >高校生ピップが自由研究に選んだのは、地元で未解決となって残っている事件の真犯人を探すこと。推理小説としての魅力さながら、ピップの素直でまっすぐ人に向き合う姿がだいすきでした。 

    B 40冊/ C 自分の部屋、電車の中/ D もう少し古典作品にも触れてみたいです。
     


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