2025年最後のビブリオバトル。1年の締めくくりのビブリオバトルなので、今年一番良かった本を紹介しようと思い、『君が眠りにつくまえに』(水沢秋生/新潮社)を再読。全くの他人である 3人の主人公が本人たちの気づかぬところで少しずつ関わり合い、そして、感動の結末に向けて進んでいく様子は何度読んでも圧巻。私達が奇蹟と意識しないようなところでも実は奇蹟は起こっていて、世界は少し良くなっているのかもしれないと思わせてくれるところが大好きだ。良い本というのは読めば読むほど味が出るものだと改めて思う。もっと多くの人に読んでもらいたいな。(結局、チャンプ本は取れず……、悔しいぜ!) 購入はこちら >
年の終わりに部屋でゆっくりと『エピクロスの処方箋』(夏川草介/水鈴社)を読んだ。周りから熱心に薦められていたので、最初から期待が高かったが、それを上回る深い感動を味わうことができた。寒い日に暖かい部屋であたたかい本を読む。これを幸せと言わずして、なにを幸せというのか!? 前作の『スピノザの診察室』を読んだのが高校3年生の終わりだったことを思い出し、時の流れの速さにおののく。京都の大学に通うようになり、景色が目に浮かびやすくなっているのもうれしい。大切な人に借りて読んだ本なので返すときにどんな風にこの感動を伝えようかなと考えている。 購入はこちら >
夏休みに大学図書館で予約し、やっと手元に届いた『汝、星のごとく』(凪良ゆう/講談社文庫)。瀬戸内の美しい世界観に魅せられて読み耽る。恋愛は当事者二人のことであるはずなのに、二人の背景にはそれぞれ他の人間関係があり、二人の気持ちだけでは決められないという恋愛のリアル。一人の人の人生には多くの人との交流があり、その全てを充実させることは難しいことを、自分の経験にも当てはめて痛感した。読了後購入し、 12 月中旬の深夜にも読み返した。今後もきっと何度でも読みたくなるだろう。購入はこちら >
凪良ゆうさんの他の作品を読みたくなり『流浪の月』(創元文芸文庫)を手に取った。名前が付けられない、型にはめられない関係があってもいい。ただ、私とあなたが納得できればそれでいい、それがいい、と感じた。多様性を理解して尊重し合うことを目指している社会には逆行する、少し悲しい考え方かもしれないが、無理に周囲に理解してもらわなくても、当事者がその関係を大切にできるのであれば十分満たされていると感じた。人間関係に悩んだとき、少し楽になれる気がする。作家読みしがちな私の中の、好きな作家さんリストに凪良ゆうさんが殿堂入りした。
インフルエンザによる出席停止のため、若干の頭痛を患いつつも、大好きな町田そのこさんの、『月とアマリリス』(小学館)を読む。事件のニュースを見て加害者を糾弾するのは簡単であるが、その背景について考えたことはあっただろうか。加害者を裁くのは法に任せて、私たちは、加害者が加害者になってしまった理由をほんの少しでも考えてみるのはどうだろう。殺人事件を追っているうちに、生きていくうえで大切なことに気付かされていく。町田そのこさんの現実味のある世界観がたまらなく好きだ。読了後も考えさせられる。基本的に本は寝る前に一気読みすることが多い。その世界観に浸ったまま眠りにつくことは幸せだ。また、後に予定がないため時間を気にせずに読める。生活リズムが崩れない程度で、深夜の読書をおすすめしたい。今年の目標は未読の作家さんの作品を読み、推しの作家さんを増やすことと、新書にも手を出すこと。この場を借りて宣言させていただきたい。
夜、突然小説が読みたくなる。そういえば最近、ゆっくりと読書できていなかった気がする。すぐにでも書店に行きたいが、すでに閉店している。仕方無く電子書籍で読みたい本を探すことにした。選んだのは中山七里さんの『さよならドビュッシー』(宝島社)。主人公が苦難を乗り越え、音楽の道を切り拓いていく音楽小説でありながら、最後にはあっと驚く結末が用意されたミステリでもある。この絶妙なバランスが面白い。作中に登場するクラシックの名曲を実際に聴くことで、より物語の中に没入できた。
暖房の効いた暖かい自室で勉強していたはずが、気がつくと集中力が途切れ、ぼんやりしていた。そこで、本棚にあった『茨木のり子詩集』(谷川俊太郎=選/岩波文庫)を久しぶりに読む。詩集は前から順に読むのではなく、パラパラとめくり、目についたものを読むのが好きだ。この気軽さが詩集の魅力だとも思う。
なぜか毎年、年末年始には時代小説が読みたくなる。今年は何か闘う時代小説が読みたくて「剣豪 小説」とネットで調べたところ、出会ったのが『眠狂四郎無頼控(一)』(柴田錬三郎/新潮文庫)だ。名前からして異様さを感じさせる主人公、眠狂四郎は、ニヒルで食えない男なのだが、これがまた格好良い。すっかり彼のファンだ。*本サイト記事・写真・イラストの無断転載を禁じます。