
Rabih Alameddine
The True, True Story of Raja the Gullible (and His Mother)
Corsair
ISBN: 9781472160522
レバノンの首都ベイルート。小さなアパートに老いた母と暮らす60代の主人公ラジャはゲイの高校教師。静かに暮らしたい彼とは反対に、母はとにかく図太く賑やかで、余計な口出しばかり。喧嘩しつつほぼ母の言いなりのラジャは相当なお人好し(gullibleに込められたニュアンス)である。
長男というだけで両親に可愛がられる兄の陰で、優等生なラジャは常に孤独な子供時代を送ってきた。当時の母はおとなしく、権威をかざす父親と長男に反論できなかった。そんなある日、ギャングに感化された同級生がラジャを誘拐し何か月も行方不明になってしまう。なんとか逃げ出すことに成功したラジャを待っていたのは、町中のチンピラに声をかけまくり恐れられる存在になった、以前は内気な母だった。
レバノン内戦や経済破綻など数々の災難を乗り越え、母と息子は自分らしい生き方をそれぞれ見出していく。2025年全米図書賞を受賞。

Elizabeth Buchanan
So You Want to Own Greenland?
Melville House Publishing
ISBN:9781685892555
米国トランプ大統領がグリーンランドを米国領土にほしい、と表明して数か月。まさかねぇ、という反応が多かったはず。
では、グリーンランドはどんな場所で、誰のもの?――という質問に答えたのが本書である。
世界最大の島として大西洋北部と北極海に位置し、現在はデンマーク王国の自治領。土地のほとんどが氷雪に覆われ、人口は約5万7千人。
980年ごろバイキングが移住した後、1700年代にデンマークから再上陸した人々により植民地となった。第二次世界大戦ではナチスに占領された本国に代わり駐米デンマーク大使が勝手にアメリカへグリーンランドの保護を依頼。米軍事施設の建設が進むきっかけとなったが、60年代にはデンマークに内緒でアメリカが核を持ち込もうとして両国に緊張が走った。
米国以外にも中国やロシアが地政学的なメリットや資源を狙ってグリーンランドに注目する中、デンマークは経済・外交・防衛の権利を握り続け、グリーンランドを手放さない。
そうやって大国の間で常に揺れるグリーンランドだが、本来は先住民族・イヌイットの島だ。

海外店舗網を持つ書店チェーン・紀伊國屋書店の洋書専門店店長。子供のころはインターナショナルスクールで学び、洋書は日常生活の一部。
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