読書で世界一周⑫

読書の秋。迷ったら、世界で愛される物語から。

話題の海外ミステリー、海外文学としての日本文学の魅力がわかる1冊を紹介します。
 

『ハウスメイド』

フリーダ・マクファデン〈高橋知子=訳〉
『ハウスメイド』
ハヤカワ・ミステリ文庫 定価1,408円(税込) 購入はこちら >

 『このミステリーがすごい!』2026年版 海外編3位、ドンデン返しミステリーとしても話題の本作。ドンデン返しといわれても、期待を裏切られることもなきにあらずなので、当初は読もうとは思っていなかったのですが……。
 その人気と注目ぶりに、ミーハー根性が負けてしまい読み始めると、ページが止まらない、止まらない。海外文学とは思えない読みやすさで、何よりも主人公のミリーから目が離せなくなりました。
 ネタバレはしないよう、あまり書かないようにしますが、家もなく何やら訳アリのミリーが、住み込みの仕事を得るための臨場感にまずは引き込まれます。
 そんなギリギリの生活を送るミリー。何とかメイドの職を得て、セレブ暮らしをするある夫婦の豪邸で働き始めますが、雇用主の妻・ ニーナの気性に、とにかく振り回されてしまいます。
 ニーナのふるまいには、それはそれで事情があるのですが、それらの謎を考察しながら読むのも、とにかくミリー目線で、「どういうこと⁉」 と思いながら読み進めても、はたまた、ミリー、一言多いのでは、なんでそんな行動をとってしまったんだ! と突っ込みながら読むのも、一気に読了すること間違いありません。
 2025年12月には『ハウスメイド2: 死を招く秘密』が、2026年7月には『ハウスメイド3: 最後の秘密』も刊行されていますので、合わせて読んでみてください。
 

 

『なぜ日本文学は英米で人気があるのか』

鴻巣友季子
『なぜ日本文学は英米で人気があるのか』
ハヤカワ新書 定価1,254円(税込) 購入はこちら >

  日本人初ダガー賞受賞の王谷晶『ババヤガの夜』、イギリスの「The Bestseller Awards2026」など、英国で4冠達成した柚木麻子『BUTTER』他、日本文学の世界での人気が高まっている昨今。
 本書を読むと、その経緯がよくわかります。海外に輸出される文学といえば、三島由紀夫、大江健三郎といった文豪の他は、日本文学といえば村上春樹という壁もあったそうですが、一方では吉本ばななの『キッチン』がイタリア語で刊行されベストセラーになった他、小川洋子、川上未映子作品が国際ブッカー賞にノミネートされるなど、日本人の女性作家作品も海外で受容されていたそうです。読書の秋、本作で紹介されている海外で人気のある日本文学から読みたい本を探すのもお勧めです。
 
執筆者PROFILE
重松 理恵(しげまつ・りえ)
 大学生協職員。広島大学、東京大学、名古屋大学生協など各大学生協での書籍担当者を経て、現在、大学生協事業連合書籍・DECKS課に在籍。著書に『東大生の本の使い方』(三笠書房)、『読んで、旅する海外文学』(大月書店)。


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