読書マラソン二十選!185号
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2025年 WEB読書マラソン 厳選コメント20
昨年度(2025年4月~2026年3月)投稿されたコメントの中から、編集部が秋・冬の読書におすすめの作品を20作品ピックアップしました。
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『ままならないから私とあなた』
朝井リョウ/文春文庫購入はこちら > 登場人物全員を肯定してあげたくなりました。ひとはそれぞれの世界の中で生きている、を一貫してメッセージとしている二編でした。世界は自分の中心に回っているわけではありません。けれど、自分が見ている世界はどうしても自分が中心にいるということ、おなじように隣の人の世界は隣の人が中心にいるということ。それに気づいて他人と接すると、違った付き合い方ができそうですね。それがわかっていても、どうにもならない、越えられない“世界”はあるんだと思います。ままならないことが私たちを人間たらしめるのではないでしょうか。
(神奈川大学/すず)
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『サバイブ!』
岩井圭也/祥伝社 購入はこちら > ガンを乗り越え、堅実な生き方から脱し、起業することで、生き抜いていく人たちの物語。この物語に登場するような、毎日徹夜覚悟で働く働き方は、このご時世には合っていないのかもしれない。でも、「本気」で、「人生をかけた」生き方をこの本で味わって、心の奥の方がボッと熱くなるのを感じた。もう何年も本気を出していないなあ、落ち着いてどこか冷めた生き方をしてしまっているなあと反省し、何かにチャレンジしたい!と強く思わされる作品だった。
(京都大学/えび天天)
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『親愛なるあなたへ』
カンザキイオリ/河出書房新社 購入はこちら > 学生にして小説家である男子と、とある小説に感銘を受けて、ミュージシャンを志した少女の、青春を描いた小説です。心の動きとか、醜く汚い感情とか、そんなものが書いてあるにも関わらず文章がきれいで美しかったです。どんどん明らかになっていく現実が悲しすぎて怖くて、これをリアルに真に迫るように描ききるカンザキイオリの筆力に驚きながら、眠らないといけないのに辞められませんでした、おかげで寝不足です、どうしてくれるんだ。
(名古屋大学/tukica)
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『月とコーヒー』
吉田篤弘/徳間書店購入はこちら > 私はコーヒーが飲めない。それなのに、この「月とコーヒー」というタイトルに、どうしてこうも心が惹かれてしまうのだろう。この本に描かれているのは、このタイトルのように、少し不思議で、ほろ苦くて、でもどこか温かくて、目を閉じてじっくりと味わいたくなるような時間だった。飲めないのに、コーヒーを手元に置いて、この本とともに夜を過ごしてみたくなった。
(福岡女子大学/魔女のアクアリウム)
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『凍土二人行黒スープ付き』
雪舟えま/創元文芸文庫購入はこちら > 「黒スープというのは、それ用の豆を焦げ色がつくまでから煎りして、細かく挽いた粉に、熱湯を注いだり軽く煮こんだりして抽出した褐色の液体だ(p208)」これを読んで何をイメージするだろうか。私は黒豆で作るコーンスープのようなものだと思っていたが、のちの文脈でコーヒーみたいなものかと理解できた。この小説にはこうした現実世界にあるものを巧妙に言い換えているものが多く登場し、それによって異世界にいるような気分を味わうことができる上に状況をすっと理解することができる。異星へ旅したい人におすすめしたい一冊だ。
(東京農業大学/はる)
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『N/A』
年森瑛/文藝春秋購入はこちら > 自分を規定したくないし、世間からも規定されたくない。学生時代、誰しもがそんな感情を持った時期があったのではないだろうか。しかし、現実の世界では何者かではないと、エラー(=N/A)として扱われてしまう。高校生である主人公が帰属感を失っているのはまさしく、インターネットが発展した今だからだろう。ますます個人が見えにくくなり派閥化が進む中で私たちはどう生きていけばよいだろうか。良いもやもや感を残してくれる現代小説だった。
(九州大学/チャーリーブラウン)
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『移動祝祭日』
E・ヘミングウェイ<高見浩=訳> /新潮文庫購入はこちら > ヘミングウェイ自身による、パリ文学修行時代の回想録です。無名の若者が何者かになろうと奮闘する様子が(現実の風景以上に)鮮明に描かれており、本作を開けば私の意識は何時でもサン・ミシェル広場のカフェに居ました。私は当時の彼と同じく、何者かになろうとしている身であり、本作はそんな人を(比喩的に、あるいは文字通り)どこかに向かわせる力を持っていると思います。それは言葉ではなく、生き様にしか宿らないものなのです。私にとっての移動祝祭日は何なのだろう。少なくとも「村上春樹と彼の作品群」は入ると思うけれど。
(名古屋大学/ドーナツの穴だけ残す人)
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『ドレの絵で読む ドン・キホーテ』
ヴィルジリ・妙子、ヴィルジリ・クリス ティーナ・幸子=編訳/新人物往来社購入はこちら > この作品が刊行された時代は家の階級による差別が当たり前だったが、人への思いやりの大切さを問いかけるような物語であった。主人公ドン・キホーテが騎士道小説の読みすぎで小説と現実の区別がつかなくなり、世の中の不正を正すという目的で、傍から見れば奇行を繰り返すだけの旅をする。ドン・キホーテの行動や発想がとても滑稽で、思わず笑ってしまった。しかし、ドン・キホーテの考え方や立場の弱い人への思いやりには、差別や誹謗中傷が絶えない現代を生きる人間が学ぶべきところがあり、私も自分の行動を見つめなおそうと思った。
(東北大学/やきとり)
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『アウシュヴィッツの図書係』
アントニオ・G.イトゥルベ <小原京子=訳>/集英社購入はこちら > アウシュヴィッツ強制収容所に密かにつくられた「学校」で少女ディダは持つだけで命を脅かすものとなった「本」を管理する図書係の仕事を務める。この話は実話をもとにしたフィクションだが、収容所、そしてユダヤ人たちがされてきたことの描写は文字を追うだけで目を覆いたくなるようなものばかりだ。死があまりにも日常にある場所の中で本は彼らの希望であり続けた。本書では戦後も描かれるが、世界は平和になったとはいえず、今この瞬間も同じような状況が繰り返されている現実がある。そのことに向き合わされるような一冊だった。
(関西学院大学/雨の下のてるてる坊主)
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『八本脚の蝶』
二階堂奥歯/河出文庫購入はこちら > 私はこの本を読んでなお、生き続けねばならない。時々、私の前に奥歯がいて、どうすれば生を強要できただろうと思う。それがエゴであり暴力であることを自覚しながら、どうすれば生を強要できただろうと思う。それは叶わぬことである。彼が敬愛したヴェイユ『重力と恩寵』よろしく、日記の体裁を保ちながら綴られる文章たちは、執拗に生の可能性を潰していく。その詳細を目の当たりにしても、私は生き続けねばならない。全てを疑い、答えがないと分かっていても問い続ける人生において、それが生きる上で必要な唯一の暴力だと思う。
(北海道大学/伊織栞里)
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『たそがれビール』
小川糸/幻冬舎文庫購入はこちら > 諸外国を飛び回りながら執筆する著者の日常が綴られたエッセイ。著者はその国や街の文化に触れ、新たな友人たちと言葉を交わす中で、彼らから生きた教養を得る。日常から学び楽しむことに一生懸命で、軽やかに生きる著者からは明日への活力を貰うことができる。また本文全体から著者の素朴で柔軟で、しかし強い芯を持った感性が感じ取れる。著者がシンプルな現代アートを好むように、わからない自分も、わかる自分も素直に肯定して良いのだと教えてくれる。日常から足を伸ばして新たな場所に旅をしたくなる、そんな一冊だった。
(東京外国語大学/朝焼け旅館)
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『生まれた時からアルデンテ』
平野紗季子/文春文庫購入はこちら > 読み終えて本を閉じてまず、私はこんなに真剣に食事に対峙してきただろうか? と考えてしまった。食事って、美味しいものでお腹を満たすだけじゃないんだ。レストランの空間づくりやホスピタリティまでも愛する著者の視点に立つと、今までの自分の態度って、食への敬意が足りなかったかも……と反省である。おもしろかったのは、自分の舌で味わった感想を大切にするという著者のポリシー。確かにSNSでグルメ情報を得られる時代は便利だけど、実際に食するときの緊張感は薄くなる。体を作るだけじゃなく、心も豊かにできる食事がしたいと思う。
(東京外国語大学/おひさまランチ)
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『文庫解説ワンダーランド』
斎藤美奈子/岩波新書購入はこちら > 文庫のオマケは意外なお宝だった⁉ 文庫についている解説にそんな読み方があったのかと思わされた1冊。読後に自分は全然文庫小説を楽しみ切れていなかったなと思わされた。一種の紹介文である解説には書き手それぞれの読みが提示されていて、解説の多様性を強く感じた。こんな読み方もできるのかと新たな視点を発見し、自分の考えを広げて深めていけるのが、文学の魅力なのではないかと改めて感じることのできた1冊だった。
(千葉大学/さち)
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『ヤンキーと地元』
打越正行/ちくま文庫購入はこちら > 著者は2007年から2017年にかけて、沖縄の若者たちの生活を実地で交流しながら調査している。ショッキングな話や自分の身の回りでは起こらないような出来事も出てくる。「しかし、このような世界にも、間違いなく人びとは生き、生活が存在する。人が生活し働くうえで土台となる文化を理解すること、その理解をもとに想像をめぐらすこと。いかに地道な営みであっても、そのことを手放すことはできない。」本書に出てくる人たちは皆強かで固有の魅力を持っている。遠い世界のことのように思えるが、決して無関係とも言いがたく感じた。
(名古屋大学/ひろと)
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『ミライの授業』
瀧本哲史/講談社購入はこちら > 中学生向けの本といって侮るなかれ! とてもタメになることを平易な言葉で書くのは容易なことではないのだから。むしろ中学生でも知っておくべき教養が書かれていると受け止めるべきだろう。 この本を読んでいると言葉の隙間があるように思えて、自分で考えてみなさいと言われているよう。次々と「自分だったら……」と思い浮かべていた。どんどんと心が奮い立ってくる、栄養剤みたいな本だと思う。
(静岡大学/がうっちぃ)
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『なぜ超一流選手がPKを外すのか』
ゲイル・ヨルデット <福井久美子=訳>/文藝春秋購入はこちら > ある日の思い出。今はサークルの演奏会。壇上に座る私はとても緊張していた。間違えたらメンバーに迷惑がかかってしまう。前の観客の動きに気が散る。ダメダメ、集中しなくては。そろそろ自分の箇所。大丈夫、ここは練習でも滅多に間違えなかった。楽器を構える。持ち方はこうで良かったか? 普段気にも留めないことが気になってしまう。合図が来る。周りと息を揃える。普段通りに、普段通りに……とそればかり意識する。そして……もしこの本を読んでいたならばあんな失敗はしなかったのかもしれない。
(名古屋大学/寝グセ)
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『凹まない100の習慣』
工藤孝文=著、こいけえみこ=イラスト /WAVE出版購入はこちら > テストの期間に色々疲れたり不安になっていた。そんな時に、大学の図書館で見つけた本だ。表紙の女の子が可愛くて手に取ると、中身も少しの文章と可愛いイラストが交差する内容ですっと頭に入ってきた。著者はうつ専門外来医で、救急で運ばれてくる人を見て、どんな人も日々の体と心の健康が大事だと感じこの本を書いたそうだ。難しいことは書いていなくて、当たり前だなと思うこと、こんなこともいいのかと納得する内容だった。テスト期間中は不安になることが多かったので、この本に倣い、腹式呼吸を意識した。日常的に大切にしたい。
(松山東雲短期大学/hana)
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『ケアする私の「しんどい」は、どこからくるのか』
山根純佳、平山亮/勁草書房購入はこちら > 「ケア」を誰かに押しつけていませんか? 「ケア」という概念自体が複雑なのですが、本書は家事、子育て、介護などの狭義のケアと、それに携わる人がもつ「しんどい」の正体に迫る学術書です。日本の歴史上、誰かを気遣ったり世話をしたりすることはもっぱら「女性の役割」として扱われ、男性は稼得役割によってケア責任から「免除」されてきました。責任を負わないという男性特権を、無意識のうちに享受する僕は、そして多くの男性は、どうしていくべきか。本書の読者を通じて、一緒に考え、行動していきたいところです。
(名古屋大学/ リノイ)
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『落語でわかる「民法」入門』
森章太/日本実業出版社購入はこちら > いろいろと難解な民法。それを、滑稽な話や人情話などを通して学べたら……落語のはなしは、身近な日常生活を題材としたものも多い。それって、民法を学ぶにはうってつけだと思いませんか? 総則から物権、債権、親族、そして相続に至るまで、民法の要所をこの1冊で落語とともに。法律の世界と現実社会がスッキリつながる1冊です。
(岡山大学/Frat.S)
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『あぶない法哲学』
住吉雅美/講談社現代新書購入はこちら > 法は守らなければならないのか? 国家は本当に必要なのか? ほとんどの人が当たり前だと思っている「常識」に、「法哲学」という武器を手に真っ向から対立していく。タブーに斬り込んでいくという意味で「あぶない」とついているのだろうが、読み終えるころには、「常識」を前に安穏として思考停止に陥っている方が、よほど「あぶない」と気づく。様々な哲学者の引用がなされるが、軽妙な語り口で卑近な(そして、とにかくオモシロイ)例を挙げ、予備知識がなくてもすらすらと読むことができる。気軽に手に取ってみても全然あぶなくない。
(京都大学/わだだ)
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