リレーエッセイ
髙橋李佳(法政大学経営学部2年)

P r o f i l e

髙橋李佳(たかはし・ももか)
法政大学経営学部2年。
先日、成人式へ向けて2年間伸ばし続けていた髪を20cmほど切りました。授業中にはやたらと顔にかかってきて、お風呂上がりにはうんざりするほど重たくなっていた髪の毛たちも、いざ無くなってしまうと寂しいものですね。

 今回のリレーエッセイの担当となりました髙橋です。私の近況や最近の気になることについてお話しするということで、何を題材にしようかと悩んだのですが、先日の帰宅途中に出会ったある建物についてお話ししたいと思います。
 ここで、建物との出会いについてお話する前に、私の好きなものについて少しご紹介させていただきます。私は、古いポスターや切手、ホーロー看板など、レトロなものを見ることが好きです。昔のものなので、自分で購入して手元に置いておくということはできませんが、町で見かけたときには写真を撮ったり、時間のあるときには博物館へ見に行ったりしています。私のレトロなもの好きは、ここから先の話にも関係しているので、念頭において読んでいただけると嬉しいです。
 ある平日の午後のことでした。その日、私は各駅停車の電車に乗って、ゆっくりと家へ向かっていました。睡眠不足だったこともあり、うたた寝をしていると、駅に停車した時の揺れでふと目が覚めました。何気なく顔をあげると窓ガラスの向こう側に、1軒の古い建物が見えました。1分弱の停車時間内で観察した様子では、その建物はおそらく3階建てで、1階には小さなお店がいくつか並んでいました。外壁はコンクリートでできていて、1階と2階の間には横長の布製の看板が掲げられていました。黄昏時だったこともあり、夕日に照らされた建物はなんだか魅力的に見えました。その建物を目の前で見てみたいと思った私は、場所を確認するためにスマートフォンの地図機能を開いてみました。すると、なんとその建物は五角形の形をしていたのです。古い建物なのに五角形をしているなんて珍しいと思った私は、実際にその建物を訪ねてみることにしました。
 週末の昼下がり、間近で見たその建物は、私が思っていた以上に昔ながらの雰囲気を醸し出していながらも、1階の店舗は賑やかな様子でした。その様子は、まるで自分がタイムスリップしたのではないかという気分にさせました。私は、偶然に素敵なものを見つけられてラッキーだったなと思ったのですが、それと同時に、私が単に気が付いていないだけで、身の回りにはもっとたくさんのレトロなものたちが潜んでいるのかもしれないという気持ちにもなりました。これを教訓に、これからも身近な場所にあるレトロなもの探しを継続したいと思います。
 

次回執筆のご指名:河本捷太さん

森博嗣さんの作品をこよなく愛する『読書のいずみ』委員の最若手メンバーで、会議の日には愛媛からはるばるやって来てくれる河本さん。自己紹介をお願いします♪(編集部)

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