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仕事が全てじゃない ひらりさ(劇団雌猫)

仕事が全てじゃない

ひらりさ(劇団雌猫)
 
ひらりさ(劇団雌猫)Profile
劇団雌猫
『本業はオタクです。
—シュミも楽しむあの人の仕事術』

本体1,300円+税
中央公論新社
 社会人8年目を迎える。フレックスタイム制なのをいいことに、毎朝チームの定例会議に10分くらい遅刻しているが、クビにならずうつにもならずに、毎日会社に通っている。大学のころ、進路に悩みすぎて1ヶ月ひきこもり状態になっていた時期があったことを考えると、自分でもよくやっているなあと思う。
 大学院に進もうか、民間就職しようか、あるいは公務員になろうか。「とりあえず広い選択肢の中から進路を選べそう」という理由で国立大法学部を選んだ私・ひらりさは、4年になってもその選択肢を絞れず、大学院に合格したにもかかわらず、会社員や公務員をしている先輩に何度も話を聞きに行き、自分が本当にやりたいことがわからなくなって、うつで1ヶ月寝込んだ。結局、大学院には行かずにベンチャー企業の社員1号として会社員人生をスタート、今は200人規模のIT企業で働いている。
 就活を1度、転職を2度しても、「これが自分の天職!」とまでは言いがたい。でも、歳をとるにつれて「自分にとって大事なもの」が明確にわかってきたから、それにあわせた働き方を選択し、ストレスなく働けている。「大事なもの」には、給料とか業界への関心とか人間関係とか、いろいろあるけれど、大きいのは“趣味との両立しやすさ”だ。
 社会人として働きながら、ジャニーズ・2.5次元・K-POP・ボーイズラブなどそれぞれの趣味に打ち込むオタク女4人のユニット「劇団雌猫」。その一員として、オタク女性の生き様に関する数々の同人誌・書籍を出すなかで、「他のオタクたちはどんな職業に就いて、どんな働き方をしているんだろう?」という疑問を抱いたのは当然の流れだった。「オタ女子おしごと百科」という連載をもとに、大幅な新規書き下ろしとあわせて書籍化したのが『本業はオタクです。——シュミも楽しむあの人の仕事術』(中央公論新社)。就職情報サイトや周囲の体験談では絶対に聞けないようなホンネが盛りだくさんの、オタク・非オタク問わず読んでほしい「お仕事本」になったと自負している。
 人生は、仕事が全てじゃないほうが絶対にいいと、私は思う。1つのことに打ち込みすぎると、それが失われてしまったときに回復不能になってしまうからだ。長い人生を楽しく生き延びていくために、私たちは今日もめいっぱい趣味に打ち込み、そのために働く。これから社会に出ようとしているみなさんにも、きっとヒントになる一冊だ。

 
P r o f i l e

ひらりさ/劇団雌猫(げきだんめすねこ)

 平成元年生まれの女性4人によるサークル「劇団雌猫」メンバー。個人名義でもライター活動をおこない、「FRaU」「マイナビウーマン」で連載中。
「劇団雌猫」編著に『浪費図鑑 悪友たちのないしょ話』(小学館)、『だから私はメイクする 悪友たちの美意識調査』(柏書房)など。最新刊は『誰になんと言われようと、これが私の恋愛です』(双葉社)。

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