今月のナイスコメント(2024年4月)速報

2024年5月17日現在

4月に投稿されたコメント334枚から選考しました。

大学生協の全国学生委員3人、書籍担当職員14人、
顧問をお願いしている先生1人で選考にあたりました。

ナイスコメント11点、次点32点でした。おめでとうございます!

ナイスコメントの方には図書カード1000円分をプレゼントします。

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【ナイスコメント:11件】図書カード1000円プレゼント!

ペンネーム:
Kobayashi
大学・学年:
名古屋大学 1年
書名:
ガザとは何か パレスチナを知るための緊急講義
著者:
岡 真理
出版社:
大和書房
コメント:
パレスチナ問題について考える時にまず手にすべき一冊。今見ている世界がガラッと変わる感覚を覚えた。この本は、我々の視点はどれだけ一面的なのか、偏っているのかを知らせてくれる。
パレスチナについて私たちが知っていること、メディアで取り上げられていることは果たして真実なのだろうか?我々は自分にとって心地いい情報だけを見ていないだろうか?この本を読み進める中で、そのような問いが常に私を襲ってきた。ぜひ、世界を疑う一歩としてこの本を読んで欲しい。

ペンネーム:
大学・学年:
お茶の水女子大学 1年
書名:
正欲
著者:
朝井リョウ
出版社:
新潮文庫
コメント:
自分の視野はなんて狭いんだろうと思わされた。今まで街中で見る挙動がおかしい人を「頭のおかしい人だ」と断定してしまっていた自分がみっともなく感じた。いかにも「正しい人」である啓喜の振る舞いに苛立ちを覚えたけれど、自分もずっとそんな態度を取ってしまっていたんだろうなと自責の念に駆られた。
「”恋愛感情によって結ばれた男女二人組”を最小単位として世界が構築されていることへの巨大な不安が、そっと足のつま先に触れるのだ。」

ペンネーム:
あげぱん
大学・学年:
名古屋大学 4年
書名:
批評の教室 チョウのように読み、ハチのように書く
著者:
北村紗衣
出版社:
筑摩書房
コメント:
読書マラソンを始めたものの感想コメントをたくさん書けなくて困っているそこのキミ!小説作品に関してはこの本が助けになるぞ!
小説を単体で読む際に留意すべきこと、コメントするに当たって的外れにならない方法から他のテキストとの対応、批評の注意点に至るまで、およそ物語なら対応可能なノウハウが盛りだくさん!
著者の語り口も軽妙だからするする読めるぞ!
作品分析をしてみたい人、文学の勉強をする人にもお勧めだ!

ペンネーム:
アサ
大学・学年:
名古屋大学 3年
書名:
汝、星のごとく
著者:
凪良ゆう
出版社:
講談社
コメント:
子というのは親の生き方に影響されるものである、こう聞いてたくましい親の背中を想像できた人は幸せである。結婚子連れでも浮気を認めるパートナー、男を求めて息子を忘れるまでどこまでも尽くす女、そしてその親達の世話をする子供。価値観は人それぞれだが、子供達はあまりにも早く「おとな」になることを求められた。お金の問題、やりたいことをやるという夢と現実との葛藤、切っても切れない人との縁。誰かが悪いわけじゃない、だけど、うまくいかない。そんなすれ違いや生き方の信念の交錯が、私達の在り方を見つめ直させてくれる。

ペンネーム:
おかず
大学・学年:
同志社大学 1年
書名:
ようこそ、ヒュナム洞書店へ
著者:
ファン・ボルム
出版社:
集英社
コメント:
かつてこれほど、読んでいる途中でフレーズをメモした本はない気がする。
本をたくさん読むのもいいけど、読み終わった本についてじっくり考えるのもいいなと思った。
ヒュナム洞書店の店主のヨンジュはこう言う
「本で読んだいい話を、本の中だけにとどまらせたくはありません」
私はこの本を、本の中だけにとどまらせたくない。
たくさんの人に読んで欲しい。きっと、誰もが自分の心に染み渡ることばを見つけるはず。
本、そして本屋、という空間の素晴らしさを改めて感じた1冊だった。

ペンネーム:
ちょこ
大学・学年:
名古屋大学 大学院
書名:
憲法がわかる46のおはなし 檻の中のライオン
著者:
楾 大樹
出版社:
かもがわ出版
コメント:
一貫して「権力=ライオン」、「憲法=檻」と捉えていて、その視点が面白いと思いました。ライオンが檻の中にいなかったら私たちは安心して生活できなくて、動物園などの檻の中にいて安全が確保されているからこそ安心してみることができるというのはとても分かりやすく、それを権力だとすれば憲法という「檻」で制御する必要があるということから、抽象論ではなく憲法の大切さが伝わりました。

ペンネーム:
ノア
大学・学年:
愛知県立大学 1年
書名:
日本語は「空気」が決める 社会言語学入門
著者:
石黒圭
出版社:
光文社新書
コメント:
日本において「空気」は、人と関わる上で極めて大切にされている概念だ。しかし私は「空気」というのは感覚的なものであると思い込み、これまで「空気」を科学的に体系立てようなど考えたことがなかった。この本では、「空気」と日本語の関係性を身近な例をもとに社会言語学の立場から分かりやすく解き明かしてくれる。地域、話し手、聞き手、状況、私たちはこれらを感じ取ってその時々に相応しい日本語を使っているのだ。これは私になかった視点で、目から鱗だった。社会言語学に初めて触れ、すでにその虜になりつつある私である。

ペンネーム:
ぷにタン
大学・学年:
釧路公立大学 2年
書名:
博士の愛した数式
著者:
小川洋子
出版社:
新潮社
コメント:
文体がとても整然かつ美しく、読み終わった後は浜辺の引き波を眺めているような気分でした。友愛数によって結ばれた博士と家政婦、そこに加わる息子のルートとの絆の、言葉にできない尊さと温もりに読んでいて惚れ惚れとします。主人公が母親なので、この本をまた歳を重ねてから読んだら今とは違う新しい発見ができそうだなと感じました。

ペンネーム:
大学・学年:
神戸大学 3年
書名:
どうしても生きてる
著者:
朝井リョウ
出版社:
幻冬舎
コメント:
何度もなぞり返すように噛み締めた言葉たち。
心の中に充満してる正体不明の気持ちやモヤモヤに言葉が当てはめられることはこんなにも気持ちいいものなのか。
誰にでもある、あったであろう日常での出来事や気持ちが、リアルという言葉では足りないくらいに生々しくはっきりとした解像度で描かれる。登場人物皆が救われるわけではない、解決するわけではないかもしれない、それでもそんな人たちを読むことが、自分の深い部分、はらはらと心底へ沈澱をつくるようなそんな感覚。

ペンネーム:
空飛ぶまめだいふく
大学・学年:
東北大学 大学院
書名:
100万回死んだねこ 覚え違いタイトル集
著者:
福井県立図書館
出版社:
講談社
コメント:
「『あだしはあだしでいぐから』だったかな?」「伊坂幸太郎の『あと全部ホリデイ』はどこにありますか?」など、おもしろい覚え間違いがたくさん。私も司書になった気分で、この本はなんだろうと推理しながら楽しんで読みました。レファレンスサービスは、みなさんつかったことありますか?気軽に司書さんに話しかけてみると、よろこんで本を探してくれるかもしれません。利用者のほしい本を探して渡すお仕事は、素敵だと思いました。私もそんなふうになりたいな。

ペンネーム:
大学・学年:
東京学芸大学 4年
書名:
愛されなくても別に
著者:
武田綾乃
出版社:
講談社
コメント:
「時間も金も、家族も友人も贅沢品だ」この言葉に少しでも共感する人には是非一度読んでもらいたい。
ひどい浪費家の母を抱える宮田陽彩は、学費のため、家に月8万を入れるため、日夜バイトに明け暮れる大学生。彼女の人生を変えたのは、心を開くことのできた一人の少女だった。
大学には、勉学に全力を費やす人もいれば、人によってそれが交友関係だったり、アルバイトだったりする。時には悩まされることもあると思う。本作品の登場人物の人生を読み、溢れる選択肢の中で自分らしい人生を歩んでいってほしい。

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【次点:32件】プレゼントなし(ゴメンなさい…。おしい!)

ペンネーム:
Crme
大学・学年:
鹿児島大学 1年
書名:
自分を変えたい
著者:
宮武久佳
出版社:
岩波書店
コメント:
これからを生きていくのに大切なことを教えてもらった。「まだ人生は始まってすらいない」という言葉を見て、まだまだ人生これからなのでたくさんの経験を、「カラ」を破っていきたいと思った。個人的には20代前半は脳の成長期であるということが驚いた。脳の成長期と言われるいまから、自分で考えることをしていきたい。興味を持ったことは何でも学びたいと思った。また、自分や他人を理解するには「無意識」を知ることが大切であるという部分が印象に残った。
ペンネーム:
hbk
大学・学年:
横浜国立大学 2年
書名:
慟哭
著者:
貫井徳郎
出版社:
東京創元社
コメント:
本書はリアルすぎるほどの現実を描いている。現実は良いこともあれば、思い通りにならないこともある。そんな思い通りにならないことが重なった先に待ち構えているのが慟哭なのだ。普段生きていて人が想像できる範囲には限界があるのだと痛感した。心の裡をえぐられるような経験をしたとき、人は想像を超える行動に出る。そのような意味では、フィクションを通して現実の残酷さを感じた。
ペンネーム:
Kobayashi
大学・学年:
名古屋大学 1年
書名:
ノウイットオール あなただけが知っている
著者:
森バジル
出版社:
文藝春秋
コメント:
「読書」それは自分の知らないことを知るという行為。その本を読んでいない人は知らない、新しい世界を知るということ。もしかしたら物語の登場人物も知らない世界の裏側を知ることができるかもしれない。この本はまさにそんな体験を我々にもたらしてくれる。
この本は異なる五つの物語、推理小説、青春小説、科学小説、幻想小説、恋愛小説から構成される。それぞれの物語は登場人物の知らないところで絡みあっている。最後まで読み終わったときに、あなたは読者しか知らない世界の構造を見ることになる。そんな体験をぜひ体感してほしい。
ペンネーム:
M
大学・学年:
お茶の水女子大学 4年
書名:
パッキパキ北京
著者:
綿矢りさ
出版社:
集英社
コメント:
享楽的に生きる菖蒲(アヤメ)は海外赴任中の夫のためにコロナ禍真っ最中の北京に飛ぶ。同じジムの友人たちとマウント舌戦を繰り広げ、ホステス仲間と飲み歩き、客からのプレゼントを換金してブランド品を買いまくっていた菖蒲だが、規制の厳しい北京でも超超超超自由に遊びまわる!
北京の春節などの文化、美味しい食べ物、流行っているファッションなどが鮮やかに記されていて面白い。享楽的な自己を自己を肯定し愛する菖蒲に惚れ惚れする。人生を爆走する彼女が向かうのは無敵の境地だろうか、それとも帳尻合わせの地獄だろうか。
ペンネーム:
M
大学・学年:
お茶の水女子大学 4年
書名:
目の見えない白鳥さんとアートを見にいく
著者:
川内有緒
出版社:
集英社
コメント:
ライターの川内さんは友人の学芸員マイティに誘われて、目の見えない白鳥さんとアートを見にいくことに。目の前の絵画について白鳥さんに口頭で説明するのだ。白鳥さんに「見た」ものを伝えることによって、「見る」だけでは気付かない絵の細部まで鑑賞することができる。複数人で話し合って伝えようとすることで、多様な絵の解釈を知ることができる。川内さんや白鳥さん、マイティたちは、見えないこと、伝えようとすること、話し合うことによってより自由にアートを見る。美術論としても障碍者福祉の観点からも、とても勉強になる一冊。
ペンネーム:
mint
大学・学年:
東京農業大学 1年
書名:
夢を叶えるゾウ
著者:
水野敬也
出版社:
文響社
コメント:
今日も何もできなかった、変われなかったと劣等感を感じることは無いだろうか。そんな時に読んでほしい1冊だ。関西弁のユーモアあふれるゾウの神様”ガネーシャ”に導かれ、ダメダメな僕が成功者になっていく話である。私が心に残っているのは「人間は意識を変えることはできない。」という言葉だ。私はやることリストを作って結局できなかったことがよくあった。そのことをするためには意識ではなく環境を変えなければならない。例えば、スマホの電源を切ったり、テレビのコンセントを抜いたり。そんなあたりまえのことに気づかされた。
ペンネーム:
mj
大学・学年:
明治薬科大学 2年
書名:
リンゴが教えてくれたこと
著者:
木村秋則
出版社:
日本経済新聞出版社
コメント:
私たち人間はどちらかといえば、楽な方へと流される生物である。しかし、著者の木村さんは、百姓(百の職)として、一度は死地に追い込まれても挫けずに、どんなことでも一生懸命取り組み、自然栽培のパイオニアにまでなった。そんな彼の生き様を目の当たりにして、私も農業は面白いと感じた共に、人生観が一歩前へ前進した気がした。確かに今は楽が出来るかもしれないが、長期的な目線で見た方が最終的には勝つ!だからこそ、無駄だとみんなが思うことでも、率先して取り組もうと思う!
ペンネーム:
mj
大学・学年:
明治薬科大学 2年
書名:
プリズン・トリック
著者:
遠藤武文
出版社:
講談社
コメント:
一言で示すなら、裏切りに裏切りを重ねていトリックだらけの作品。大抵の作品はあらすじを見れば、展開を予想できてしまうが、この作品にそんな常識は通用しない。例えば、犯人と思われる人物は次々と変わっていき、全ての不幸をもたらした黒幕は、本当に最後の1行を読むまでは分からない。さすが、乱歩賞を受賞するだけのことがある。また、そこには、犯罪者はもちろん、警察、法律、政治汚職など人間のブラックで狡賢く狡猾な一面を垣間見る事ができるだろう。是非、貴方も問題作と言わしめたトリックに挑戦してみては?
ペンネーム:
大学・学年:
お茶の水女子大学 1年
書名:
コンビニ人間
著者:
村田沙耶香
出版社:
文春文庫
コメント:
主人公が何故かとても気持ち悪く感じた。それこそが私は”こちら側”だと思ってしまっているに他ならない証拠のように思えた。言葉の端は少しは理解できるけれど、言っていることが理解できなくて、そう思ってしまう自分が悔しい。
「普通の人間っていうのはね、普通じゃない人間を裁判するのが趣味なんですよ。」
ペンネーム:
大学・学年:
お茶の水女子大学 1年
書名:
先生はえらい
著者:
内田樹
出版社:
ちくまプリマー新書
コメント:
自分がお世話になった尊敬できる先生との出来事を思い返しながら読んでいた。先生と長々と話した思い出がこんなに大切に思う理由が書いてあった。「そういう話を聴きたいとずっと前から思っていたから。」先生の言葉を誤読していて、そんなコミュニケーションがとても楽しかったからだと感じることができた。
「違うのは、一方からあなたは『定量的な技術』を学び、一方からは「技術は定量的なものではない」ということを学んだということです。」
ペンネーム:
大学・学年:
お茶の水女子大学 1年
書名:
恋する寄生虫
著者:
三秋縋
出版社:
メディアワークス文庫
コメント:
最後までとても切ない物語。佐薙と高坂の純粋な愛情を言葉の端から感じることができ、最後まで思い遂げる2人がとても愛おしくなった。ラストの佐薙の選択を寂しいものだと考える人もいるかもしれないけれど、その決断があったからこそ、この物語は美しく終わったのだと感じた。
「生きるのが、恐ろしくて堪らないのだ。何かを持っていなければ、自分には一生それが手に入らないのではないかと恐ろしくなった。何かを持っていれば、いずれ自分はそれを失ってしまうのではないかと恐ろしくなった。」
ペンネーム:
あげぱん
大学・学年:
名古屋大学 4年
書名:
差別は大抵悪意のない人がする
著者:
キム・ジヘ
出版社:
大月書店
コメント:
「○○の人ってセンス良いから受け入れるべきだよね」「△向けの就職対策しないと」のようなセリフの背後にある差別の話。
人を傷つけないように暮らしているつもりでも、気づかないうちに差別する側される側への振り分けが発生している。振り分けている階層の存在に気づくための本。
意図がなくても構造的に差別は発生するし、何のせいで誰がどう傷ついたか把握して責任を果たすべきだから階層に気づいておくに超したことはないんだよなぁ。
ペンネーム:
うなこ
大学・学年:
広島修道大学 3年
書名:
傲慢と善良
著者:
辻村深月
出版社:
朝日文庫
コメント:
自分の恋愛と重ねてしまった。
相手に自己評価をつけて判断している。
自分より下に点数をつけた人は恋愛対象として外している。相応しくないと思う。これは自分だ、と思った。
更に自己評価が高いことも自分だと思った。
世間知らずに育て上げられた真実のように育たなかったのは、ある程度都会で育ったおかげだろう。
でもやっぱり、この作品の真実は都合いいな、運がいいなと思ってしまった。
最後まで傲慢さが捨てきれてないし、勿論それは架もだけど。
最後に駆け抜ける感じは無理矢理感が少しあって苦手だった。二人が結局結婚する所も。
ペンネーム:
おかず
大学・学年:
同志社大学 1年
書名:
今昔奈良物語集
著者:
あをにまる
出版社:
KADOKAWA
コメント:
奈良いっぱいの1冊です。有名な物語の舞台が現代奈良に置き換わるだけで、どうしてこんなに面白いのでしょう?!
近鉄電車や、イオンモール、地元民に馴染みの深いものがたくさん出てきてニヤニヤがとまりません!
もちろん、県外の人も楽しめる本です。奈良の魅力が詰まってます。でも、この本、あんまり奈良のこと褒めていないのです。ここに奈良の県民性があります。県外の方、覚えておいてください。
奈良県民は奈良の文句ばっかり言っていますがなんだかんだ奈良を愛しているのです!
ペンネーム:
おにぎり
大学・学年:
愛知教育大学 2年
書名:
眠れないほどおもしろい源氏物語
著者:
板野博行
出版社:
三笠書房
コメント:
題名通り、格式高いと思っていた源氏物語の世界に一瞬でのめり込むことができた。1000年以上前にこのような物語を書いた女性がいたということに感動したのはもちろんだが、大昔の平安の世界にも、人に惹かれ、嫉妬し、悩み、感情を動かしながら生きた人たちの姿があったということに感動せずにはいられなかった。古典を学ぶ意義について多くの意見が飛び交っているが、揺らぐ心とともに人間はいつの時代も生きてきたということを実感できることは大きな意義だと思う。現代の逃げ場所として平安の扉を開けてみるのはいかがだろうか。
ペンネーム:
おにぎり
大学・学年:
愛知教育大学 2年
書名:
光待つ場所へ
著者:
辻村深月
出版社:
講談社
コメント:
物語の世界にすぅっと吸い込まれ、どこか緊張とも高揚感とも違う心が熱く揺れている感覚を持ちながらページをめくっていた。それは小説の中で登場人物たちが1人の人として本当に生きているからだ。そして登場人物たちの心の声を聞きながら、なんでこんなにも私の気持ちがわかるのと聞きたくなる。自分だけが持っていると思い込んでいた感覚が、自分だけではないと知ったとき、すごく救われる気持ちになる。そんな出会いができるから読書をやめられないのだと思う。何になりたいのかと自問しもがく時間も愛おしく感じられる。
ペンネーム:
ささみストライク
大学・学年:
宇都宮大学 1年
書名:
おいしいごはんが食べられますように
著者:
高瀬隼子
出版社:
講談社
コメント:
タイトルに反して美味しいご飯の描写はひとつもない。ご飯の描写は沢山ある。けれど、ひとつも食欲をそそらない。むしろどんどん失せていく。
物語としては地方や小規模な会社など仲間意識が強い小さいコミュニティの嫌なところが詰まっている。それでもページをめくる手は止まらない。
読み終えたあとは、悪い意味でお腹いっぱいになる。ダイエットの時期とかに読むといい効果が得られるもしれない。……精神は削れるが。
ペンネーム:
にこにこ
大学・学年:
愛知教育大学 1年
書名:
貧困を考えよう
著者:
生田武志
出版社:
岩波ジュニア新書
コメント:
2000年代の日本の貧困のことなので少し前のことではあるが、今でもその貧困が解決したようには思えない。今も資本主義中心であり、貧困は自己責任、貧困になる奴は努力が足りないなどと思っている人は多いと思う。貧困とは経済の貧困のことだと思っていたが、関係の貧困もあることに納得した。確かに、頼ることができる人がいれば、貧困から脱出できるかもしれない。しかし、頼る人がいなくて行き場を失ったから野宿せざるを得なくなっているのだと、二つの貧困は複雑に絡み合っていることを考えなければならないと思った。
ペンネーム:
ねむねむ
大学・学年:
奈良女子大学 1年
書名:
月曜日の抹茶カフェ
著者:
青山美智子
出版社:
宝島社
コメント:
青山さんの作品は「人とのご縁」を感じられる作品ばかりで、今作も不思議で素敵なご縁を感じました。一杯の抹茶から広がる人の巡り合わせのこの作品は、新生活が始まるこの時期にぴったりの作品だと思います。
ペンネーム:
ねむねむ
大学・学年:
奈良女子大学 1年
書名:
ある男
著者:
平野啓一郎
出版社:
文春文庫
コメント:
経験したことのない物語の展開で、展開が変わるたびにドキドキし、ページをめくる手が止まりませんでした。おそらく多くの人にとって、この作品を読まないと一生触れることがない経験ができます。ミステリ好きの人はもちろん、そうでない人にもぜひ手に取ってもらいたいです。
ペンネーム:
パプ
大学・学年:
同志社大学 2年
書名:
今日のハチミツ、あしたの私
著者:
寺地はるな
出版社:
角川春樹事務所
コメント:
なんだか,就職について色々考えさせられた。何事においても,自分の譲れないものを自分で理解しておくことは大事なんだなと思った。それが当たり前の人もいるだろうけれど,私には難しい。言語化なんてどうするんだ。それでも,投げ出さずにもがいていきたいと,そんな風に思った。
ペンネーム:
ぶちお
大学・学年:
甲南大学 1年
書名:
Gon The Little Fox
著者:
新美南吉
出版社:
講談社
コメント:
皆さんご存知「ごんぎつね」の英語版だ。可愛らしいいたずら子狐の「ごん」とまさかの超絶バッドエンドが心に残っている人も多いのではないだろうか。もちろんこの英語版にもその繊細な情景が生き生きと描かれている。挿絵は「まんが日本昔話」のアニメの切り取りだ。これが非常に可愛らしく、1ページに1枚は挿絵付きと何とも豪華であり、英語初心者にもとても読みやすい。この上ない英語勉強になるため、英語の本を読んでみたいよという方はぜひ手にとって頂きたい。小学生の頃を思い出し、感傷に浸ってみるのもよいのではないだろうか。
ペンネーム:
まよ
大学・学年:
お茶の水女子大学 1年
書名:
地獄変
著者:
芥川龍之介
出版社:
青空文庫
コメント:
傷一つないきれいな文学だと思った。内容は決して奇麗な話ではないが、話の展開のいっさいに無駄がなく、しなやかなアスリートの身体を見ているような完成度だった。
ペンネーム:
わわわ
大学・学年:
早稲田大学 1年
書名:
四畳半神話体系
著者:
森見登美彦
出版社:
角川書店
コメント:
大学生なりたてのタイミングで読めて良かった。
森見登美彦ワールドを味わったことがない人は一度読んでみてほしい。あらすじにある「ほろ苦い」は自分はあまり感じなかったけれど、読み終わったときに何かがズシンときたというか、グッとくる物語だった。読んでいてとても楽しいのに。
あと仕掛けがすごい!詳しくは言えないけど
ペンネーム:
わわわ
大学・学年:
早稲田大学 1年
書名:
帰ってきたヒトラー上
著者:
ティムール・ヴェルメシュ
出版社:
河出書房新社
コメント:
「彼」が当時の価値観、差別感覚をそのままに現代に──
これはよくある転生系小説と共通点があると言えるかもしれない。しかし、この物語が一線を画すのは「俺つえー」な主人公に気づかないまま敗北するのは、現代を生きる我々であるということ。
一度読んでゾクッとしてみて下さい。怖いのは独裁者?戦争?差別?それとも、現代を平和と錯覚してなんとなく生きている私たち?
ペンネーム:
丸犬
大学・学年:
名古屋大学 3年
書名:
熊嵐
著者:
吉村昭
出版社:
新潮社
コメント:
北海道天塩山麓の開拓村。苦労はあれども、ようやく根付いてきた平穏な暮らし。そんな生活が一匹の熊により一瞬にして恐怖に支配される。その恐怖の正体は熊というより、人を喰う闇である。自然と共に生きていた時代、その自然の剥いた牙に人々は震恐し成すすべなく生活が崩壊していく様が緻密に描かれている。
理屈を超えた、あまりにも残酷でグロテスクな惨状からは現代では味わうことのない自然の残酷な一面を見ることができる。また、この小説が実際の事件を元としているのも驚きである。これを読めば雪山が怖くなること間違いなし。
ペンネーム:
桐田
大学・学年:
龍谷大学 3年
書名:
銀河ヒッチハイク・ガイド
著者:
ダグラス・アダムス
出版社:
河出書房新社
コメント:
いい意味でしょうもない。でも登場人物はみんなド真面目に生きている。それが本作品の魅力。私たちが現在住んでいる地球は他の星から見たら一言で済ませられるような、そんなちょっとした星なのかもしれないと感じさせられる本だった。
地球には無いものが作中に出てきても「パニクるな!」。とにかく読み進めてみてほしい。
ペンネーム:
空飛ぶまめだいふく
大学・学年:
東北大学 大学院
書名:
人はなぜ物語を求めるのか
著者:
千野帽子
出版社:
ちくまプリマー新書
コメント:
私たちは、「世界」をストーリーの形で認識している。雨が降った、遠足の前に熱が出た、など思い通りにいかないことだらけの人生。それは、自分には他者や環境を変える力があるという幻想による苦しみかもしれない。コントロール可能なのは、できごとに対する自分の態度ただひとつ。感情にまかせて衝動的に動いてしまうことが多い私だが、この本を読んで感情の赴くままに行動することは実は「自由」とは程遠いものだと知った。その時選択肢はなく感情の奴隷になっているからだ。支配的な物語から脱出し自分のストーリーを描いていきたい。
ペンネーム:
西山
大学・学年:
関西学院大学 1年
書名:
食べることと出すこと
著者:
頭木弘樹
出版社:
医学書院
コメント:
この本は、難病の潰瘍性大腸炎をり患した筆者が病気になって変化した考え方や感じ方、そして新しくとらえられるようになったそれらを記した本だ。文学作品からの引用を用いて話を展開したり、感嘆したり反論しながら様々な声を聞ける楽しさがある。「経験しないとわからない。」そう繰り返す筆者の言葉を追うという経験をすることで今までの自身の言動を見つめ、また一歩他者との距離を狭められるかもしれない。本を通して筆者は、見えていないものへ思いを馳せて歩みよることの価値を教えてくれるだろう。
ペンネーム:
西山
大学・学年:
関西学院大学 1年
書名:
ねじ曲げられた「イタリア料理」
著者:
ファブリツィオ・グラッセリ
出版社:
光文社新書
コメント:
イタリアンでバイトをすることになった。そんな理由で目に留まったこの本は、イタリア人である筆者が「ねじ曲げられたイタリア料理」と現代の食に関する課題について一石を投じる本だ。
グローバル化により、外国で改良されてゆく料理に対して筆者を含め私たちが悲しさを感じられるのは、生き方の一つである食が効率や経済利益の観点からみられている為だと考える。ウェイターとして食事をサーブしている人、家で料理を作っている人、食事をするすべての人へ。知らなかったイタリアンの歴史を学び、食の課題について考えてみませんか。
ペンネーム:
草満
大学・学年:
近畿大学 1年
書名:
禅学入門
著者:
鈴木大拙
出版社:
講談社
コメント:
西洋には「巨人の肩に乗る」という諺があるが、どうやら東洋思想の結晶たる「禅」では、釈迦を始めとする巨人たちと肩を組み、同じ地平を眺めることを目指すようだ。
では彼らの歩み寄る「仏」とは一体何なのか?
ある僧はそれを「庭の柏の樹」だと言い、また別の僧は「乾いた糞」だと言う。
木や糞が何なのか?
それが「無」であるなら人はなぜ禅を志すのか?
本書は禅の初学者が撞着するであろうこのような疑問に、言語的解説を図った意欲的な一冊である。
読了後は、日本人の精神に対する禅の影響の甚大さに、驚くこと間違い無しだ。
ペンネーム:
卒業したい
大学・学年:
同志社大学 5年
書名:
新しい人よ 目ざめよ
著者:
大江健三郎
出版社:
講談社文庫
コメント:
父親曰く、人間死んだらそれでおしまい、ということらしい。そうとは言い切れないと、自分は考えるのだが。
この小説の語り手は、核の存廃などに確実な希望は見出せぬまま、それでも何とか、外国の詩なども媒介にしつつ、障がいを抱える息子に向けて、この世界を定義しようと試みる。
大江健三郎は既に故人だが、絶望や悲しみのうちに何とか希望を模索しようとした氏の手探りは、現代人の疲れた肉体をこれからも慰め続けるはずだ。人間は死後も、きっと、新しい世代の内に宿る新鮮な精神、血肉として、生き続けることが可能なのだ。

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