2024年7月19日現在
6月に投稿されたコメント515枚から選考しました。
選考は、大学生協の全国学生委員2名、出版甲子園学生メンバー3名(特別協力)、
書籍担当職員7名、顧問をお願いしている先生1人、合計13名で行いました。
ナイスコメント9点、次点40点でした。おめでとうございます!
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- ペンネーム:
- Arare
- 大学・学年:
- 中京大学 1年
- 書名:
- 手紙
- 著者:
- 東野圭吾
- 出版社:
- 文藝春秋
- コメント:
- 人生ってこんなにもつらいことがあるのかと、読み終わった後、一番に思いました。両親を亡くし、弟の自分のために兄は強盗殺人を犯してしまった。その兄との獄中からの手紙のやりとりに胸がもやもやざわざわしました。たった1人の兄は犯罪者。それを一生背負っていく主人公の武島直貴が苦労も幸せも何度も何度も乗り越えていく姿に苦しくなり、そして感動しました。世界中にいる犯罪者の家族に、あなたならどう接しますか?フィクションだけどきっとフィクションじゃない。1人でも多くの人にこの本を読んでいただきたいと思いました。
- ペンネーム:
- Blanch
- 大学・学年:
- 東京大学 大学院
- 書名:
- 月世界小説
- 著者:
- 牧野修
- 出版社:
- 早川書房
- コメント:
- 友人から勧められ本書を開くと、そこに広がっていたのは、人が言葉を武器に神と戦う世界だった。
本書で使われる特殊な言語は、言葉によって世界を塗り替え、新しい物語を現実世界に作り出すことができる。言葉が現実となり、それが神に争う唯一の手段となっている。まさに言語SFである。
面白いことに、この小説自体を作り出しているのも他ならない言葉である。本書を読んでいると、この小説も特殊言語によって生み出された世界なのではないかと感じてしまう。あなたもこの新感覚の没入感を味わってみてはどうだろうか?
- ペンネーム:
- い都
- 大学・学年:
- 関西学院大学 3年
- 書名:
- 旅するモヤモヤ相談室
- 著者:
- 木谷百花
- 出版社:
- 世界思想社
- コメント:
- 別にモヤモヤしてないよー、という人でも、この本を読めば「おっ!このセンセイの話、面白いかも!」と自分のアンテナに引っかかる先生に出会えるはず。相談相手のバリエーション、めっちゃ豊かです(某ゴリラ元総長もいらっしゃいます)。個人的には、松嶋先生の毎食トマトソースパスタから、「生きるうえで大事なのは、『選択肢が多いこと』よりも『限られたものの中に無限の差異を知覚できること』ではないか」と悟られたエピソードが一番響きました。「えっ、そこかいなー」とこのコメントに突っ込んでくれる人がいるといいなあ…。
- ペンネーム:
- げっこー
- 大学・学年:
- 宇都宮大学 3年
- 書名:
- ウイスキーの科学
- 著者:
- 古賀邦正
- 出版社:
- 講談社
- コメント:
- ウイスキーに関する3つのキーワード、「待つ」「循環」「状態」は、日々せわしなく生きている現代人がもう一度考え直すべきものであるとも言えるのではないだろうか。ウイスキーの製造過程では貯蔵が非常に大きな部分を占め、そこで人間は「能動的に待つ」。そしてウイスキーは水と空気の「循環」系の中で変化していき、熟成した「状態」こそがウイスキーそのものである。ウイスキーの世界に引き込まれるとともに、自分自身が生きる世界を見つめ直したくなる一冊である。
- コメント:
- 昔ほど本を読めなくなったと感じて何年経っただろう。私はこの苦い事実に向き合うためにこの本を手に取った。読んで分かったことだが、この本はとても『優しい』。行間が広く読みやすいし、語り口も優しく、本を読めなくなったことを責めずに本との向き合い方をそっと教えてくれる。読書は自分との対話であり、読んだ量や作品を人と比べる必要はない。自分に必要なことばをゆっくりと探せば良い。そんな優しいこの本のことばたちは私の心にすんなりと染み込んだ。私が求めていたことばたちはこの本の中にあったのかもしれない。
- ペンネーム:
- はぴ
- 大学・学年:
- 横浜市立大学 2年
- 書名:
- メメンとモリ
- 著者:
- ヨシタケシンスケ
- 出版社:
- KADOKAWA
- コメント:
- まず表紙の質感がとても素敵です! ページをめくることなくヨシタケシンスケさんの世界観に浸れます。目次まで可愛くて、ページをめくるワクワクが尽きません。
大きな白いページに、それと比較すると小さめのイラストにほっこりできます。キャラクターの表情や色合いが目に楽しいです。
内容としましては、忙しい毎日をなんとか生きる私に、立ち止まる勇気をくれるようなものでした。
特にお気に入りは、きたないゆきだるまの話です。ぜひ紙の質感を感じながら読んでみて下さい!
- ペンネーム:
- パン屋
- 大学・学年:
- 龍谷大学 4年
- 書名:
- 雪国
- 著者:
- 川端康成
- 出版社:
- 新潮社
- コメント:
- 読書感想文が批評じゃなくて本当によかったとおもう。私は文学の勉強なんてしらない。海外の文学ばかり読んできた身だし、日本文学なんてさらなり。『雪国』を批評なんてするのは、おっかない(ひえ~!)。再読した『雪国』はおもしろいとかでなく、そんな慌ただしいきもちで私をいっぱいにした。
また、これもすごく個人的な感想だけど、”駒子”が友人そっくりだった。
びっくりした。川端康成は酔ったひと、とくに女のひとを文にうつすのがすごく上手いのかと思った。
それにしても、似すぎている。酔った友人はこんなだ。
すごいや……
- ペンネーム:
- 丸犬
- 大学・学年:
- 名古屋大学 3年
- 書名:
- 箱男
- 著者:
- 安部 公房
- 出版社:
- 新潮社
- コメント:
- 迷路のような小説であった。場面が次々に切り替わり、様々な箱男の現実か妄想かも分からない頭の中を覗き見る感覚。また話の流れも現実離れしており、正直、登場人物全員が異常な思考をしているように思えてしまった。ダンボール箱を頭から被った箱男は人に見られることなく人を覗き見ることができる。この「観測者」という事実に体を預けた結果、徐々に箱男の認識は歪んでいくのかもしれない。
しかしふと考えると、この本の読者は物語内の登場人物に見られる事なく生活を覗き見ることができる。ある意味では自分も箱男なのだろうか。
- ペンネーム:
- 本を読む看護学生
- 大学・学年:
- 新潟大学 1年
- 書名:
- アリス殺し
- 著者:
- 小林泰三
- 出版社:
- 東京創元社
- コメント:
- この小説、童話モチーフと侮るなかれ。
表紙を開くと、あの懐かしいアリスの不思議な世界が広がっている……と思っていた。
不思議の国の住人たちの、ちょっと可笑しな会話を微笑ましく読み進めると、だんだん様子がおかしくなっていく。これは夢?それとも現実?
推理小説の顔をしたファンタジィであり、その胸ポケットからスプラッタが見え隠れしている。
健全な幼児のための児童文学とシリアルキラーの最凶の出会いの果てに、残虐な殺害に爽快感を覚える自分が待っていた。
一つ確認したいのだが、私が生きている今は現実?それとも夢?
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- ペンネーム:
- 1ch
- 大学・学年:
- 富山大学
- 書名:
- 新・大学でなにを学ぶか
- 著者:
- 上田紀行
- 出版社:
- 岩波ジュニア新書
- コメント:
- 大学に合格してから、早や一ヶ月が経過した。合格したときのワクワクや大学生活が始まることへの喜びは最早薄れ、日々に忙殺されている。さて、大学は何のために行き、何を学ぶかという本書の問いは、答えが一つに定まることはないと思う。私は、大学で色々な挑戦をして、これまで見えなかった新しい世界を見てみたいと思う。
- ペンネーム:
- Blanch
- 大学・学年:
- 東京大学 大学院
- 書名:
- 死んだ動物の体の中で起こっていたこと
- 著者:
- 中村進一
- 出版社:
- ブックマン社
- コメント:
- ペットや動物園、さらにはメディアなど、私たちの身の回りにありふれた存在となった動物。そんな動物の死に向き合い、そこにどのような物語が眠るのかを探るのが、本書の筆者を含んだ獣医病理医の仕事である。
獣医病理医が紡いだストーリーは私たちに教訓をもたらす。例えば、ペットはどのような原因で亡くなったのか、飼い方は正しかったのか。時には、動物の死から新たな知見が得られ、それが獣医学、ひいては医学の発展に貢献する。本書ではそのような例が多数挙げられている。
動物が身近にいる人は、ぜひ手に取ってみてはどうだろう?
- ペンネーム:
- Crme
- 大学・学年:
- 鹿児島大学 1年
- 書名:
- アイドルについて葛藤しながら考えてみた
- 著者:
- 香月孝史、上岡磨奈、中村香住編著
- 出版社:
- 青弓社
- コメント:
- 特にアイドルが好きな人は一度は読んでみるべき本だと思った。私がアイドルを見ているときや、ときめいている時に抱く違和感などを様々な視点から捉えていると感じた。本書でテーマとして取り扱っているものは、すぐに答えを導くことができないものばかりだが、「自分で」考えるきっかけになったと思う。自分の考えを深めたり、視野を広げたりするために定期的に読み返したいと思った。また、複数の人が様々な分野からアイドルについて表現しているため、興味を持った部分だけ読んでみることも可能だと思う。
- ペンネーム:
- kk
- 大学・学年:
- 大阪大学 1年
- 書名:
- 世界は「e」でできている
- 著者:
- 金重明
- 出版社:
- 講談社
- コメント:
- ネイピア数eは、eのx乗は微分しても変化しないという性質はよく知られていると思います。しかし、eがいつどのようにして発見されたかといった背景などは知らない人が多いのではないでしょうか。この本ではeの魅力をとにかく様々な方向から知り、eのもつ可能性の大きさを再発見することができます。数学の学習が楽しくなること間違いなしの一冊です。
- ペンネーム:
- Kobayashi
- 大学・学年:
- 名古屋大学 1年
- 書名:
- かか
- 著者:
- 宇佐美りん
- 出版社:
- 河出書房新社
- コメント:
- 心を抉られるために本を読む。その感覚を実感させてくれる作品。
間違いなく万人受けはしない。文体も読みにくいし、内容も苦しくなる。最後まで読みきれない人も多いかもしれない。
でも、私は好きだった。純粋に美しかった。日常生きていて、これほど心が抉られることはない。でもその抉られた傷は、苦しいだけの傷ではない。心を成長させてくれる傷。優しさをしれる傷。
心に余裕のある人はぜひ読んでみて欲しい。心地いい傷を体感しよう。
- ペンネーム:
- Mal
- 大学・学年:
- 愛知教育大学 1年
- 書名:
- 境界のメロディ
- 著者:
- 宮田俊哉
- 出版社:
- KADOKAWA
- コメント:
- もし一緒に音楽をしている仲間が突然いなくなって、もう会えなくなったら自分は大好きな音楽を続けられるのだろうか。友人の死をきっかけに音楽から離れてしまったり、もういない影を追い続けたり…登場人物それぞれの葛藤や音楽そして仲間に対する愛情が伝わってくる。「生きていても何もやらずに止まっていたら死んでいるのと同じ。」それぞれがもう一度“生きよう”と動き出す姿に勇気を与えられる一冊。
「ー未練を残すな、名を残せ」
- ペンネーム:
- Mal
- 大学・学年:
- 愛知教育大学 1年
- 書名:
- 夜明けのすべて
- 著者:
- 瀬尾まいこ
- 出版社:
- 文藝春秋
- コメント:
- PMSとパニック障害という全く違うわけでも、似ているわけでもない障がいを抱えた二人が歩み寄っていく過程は恋愛ではない本当の友情が見て取れる。困ったことがあったら誰かを頼ればいい。できないことがあるならできる人がすればいい。逆に困っている人がいればおせっかいでもいいから手を差し伸べてみよう。そんなふうに思える一冊。二人が互いの障がいを乗り越えて友情を深めていく姿がとても美しい。
- ペンネーム:
- あき
- 大学・学年:
- 名古屋大学 2年
- 書名:
- 完全犯罪に猫は何匹必要か?
- 著者:
- 東川篤哉
- 出版社:
- 光文社
- コメント:
- 読書マラソン記念すべき一冊目は図書館でタイトルが印象的だったため借りて読んだこの本。ユーモラスなタイトルにふさわしい登場人物同士のコミカルなやりとりや、猫が何匹も出てくる事件設定が面白い一方で、内容自体は本格的なミステリで読者も謎解きに思わず参加させられてしまいます。物語の核心部分に叙述トリックのような要素が含まれていて、ミステリ好きから猫好きまで幅広い層に刺さりうる、読んでいて楽しいミステリでした。
- ペンネーム:
- い都
- 大学・学年:
- 関西学院大学 3年
- 書名:
- キケン
- 著者:
- 有川浩
- 出版社:
- 新潮文庫
- コメント:
- 先日、キャンパス内のベンチで空きコマを潰していると、こんな話が聞こえてきた。「…だから今年の一回生にも頑張ってほしくてうんぬん」どうやら学祭にサークルで出す模擬店の話らしい。「で、去年の売り上げがこんくらいで、コロナで出店限られてたからこれはラッキーだったかも」先輩の話にそっすか、と耳を傾け、一応まずは誰それメンバー集めからやり始めてみます、と去って行ったそこの一回生。資料一枚落としとるがな。ついでにこの本もお薦めしたかった。翼をさずける飲料10缶分くらいのやる気が出ます、模擬店。
- ペンネーム:
- い都
- 大学・学年:
- 関西学院大学 3年
- 書名:
- 孤高の人 上巻・下巻
- 著者:
- 新田次郎
- 出版社:
- 新潮文庫
- コメント:
- 毎朝、阪急の西宮北口で乗り換える時に聞こえてくるアナウンス、「六甲方面へお越しの方は…」、たま~にこのまま朝イチの授業なんて放っぽって六甲山へ登りたくなるのは、加藤文太郎が愛し、日常的に登った山だと知ったからだ。だからといって、若さ持て余す大学生の思いつきで登り始めてはいけない、山は怖い。それでも人は山に登る。なぜ?やはりというか、加藤も登りながら自問自答している。なんだって俺はこんな山の中に独り?持久食の小魚ボリボリやりながら考えている。時に死と隣り合わせになりながら。初登山小説としてもお薦め
- ペンネーム:
- えとぴりか
- 大学・学年:
- 早稲田大学 4年
- 書名:
- カルメン
- 著者:
- メリメ
- 出版社:
- 新潮社
- コメント:
- 呪われた血筋とされるジプシーであり、当時美しいとされた基準からは少し逸脱しているからこその美貌を持ち、男を虜にしていたカルメン。1人の真面目な男がそのカルメンと会ったことにより運命を狂わされていき最期は悲惨な末路を辿るという表題作からなる短編集。
元々カルメンと言えばオペラのイメージこそあったものの内容は全く知らなかったのだが、恋愛の不合理的様とその情熱は今も昔も同じなのだと親近感が湧くと同時に、幾ら惚れたとはいえ、馬鹿では無い男が自ら道を踏み外していく様が真に迫っていて非常に面白かった。
- ペンネーム:
- えび天天
- 大学・学年:
- 京都大学 4年
- 書名:
- すべてを「投げ出したくなった」ら読む本
- 著者:
- 斎藤茂太
- 出版社:
- 新潮社
- コメント:
- 僕は何ヶ月かに一回こういう本を読んで、自分の思考を落ち着けたくなる。どうしても一生懸命生活していると、自分にも相手にも優しくできなくなり、小さな人間になっていく感覚がある。この本には、投げ出したくなる状況で、少しがんばり、少し投げ出せる考え方がたくさん載っている。物事の捉え方1つで世界の見え方が変えられる。その一歩になるような本。
- ペンネーム:
- おかず
- 大学・学年:
- 同志社大学 1年
- 書名:
- 城崎にて 四篇
- 著者:
- 森見登美彦 円居挽 あをにまる 草香去来
- 出版社:
- 書肆imasu
- コメント:
-
奈良県にゆかりのある4人の作家が城崎に行き、温泉に入り、カニを食べ、そして小説を書いた……。
え?なに?と思いましたが、これがまた面白かったです!
同じ場所に行って、同じ体験をしたはずの作家さんたちが書く物語がそれぞれ全く違う!
城崎に行きたくなった!…ような、なってないような……
カニが食べたくなった!…ような、なってないような
唯一絶対の世界観×4、味わい尽くしました!
- ペンネーム:
- おかず
- 大学・学年:
- 同志社大学 1年
- 書名:
- 続シャーロック・ホームズ対伊藤博文
- 著者:
- 松岡圭祐
- 出版社:
- KADOKAWA
- コメント:
- 歴史にここまで挑んでくるとは!!!
衝撃展開に沢山驚きました!
そして、シャーロック・ホームズが年齢を重ねたことによる心境の変化が丁寧に描かれているのが印象的でした。どんな人でも変化せずにはいられない。それでも、この本を最後まで読むと歳をとるのもそんなに悪いことじゃないかもって思えるのが良かったです。
ミステリとしても歴史小説としても最高でした!
- ペンネーム:
- がうっちぃ
- 大学・学年:
- 静岡大学 2年
- 書名:
- 理性の探求
- 著者:
- 西谷修
- 出版社:
- 岩波書店
- コメント:
- この鋭い考察は、20年経った今現在鈍るどころか、むしろ時代の流れによってさらに鋭利に研ぎ澄まされているのかもしれない。テロリズムの横行やグローバル化、科学技術の発展など、私たちは様々な場面で「理性」が求められる。私たちが正しいと思っていることは、もしかしたら「狂っている」のかもしれないと、作者は警鐘を鳴らす。
- ペンネーム:
- くろのすけ
- 大学・学年:
- 横浜市立大学 1年
- 書名:
- トランスジェンダーになりたい少女たち
- 著者:
- アビゲイル・シュライアー
- 出版社:
- 産経新聞出版
- コメント:
- 女に生まれたくなかった、自分は女では無いような気がする、生きづらい……。
これらの感覚を抱えたことがある人、現代社会のジェンダーイデオロギーに疑問を抱える人を導き、自分を客観的に見つめる指針になる本だ。近年の米国社会での「無責任な」ジェンダーイデオロギーや肯定医療、ジェンダー医療における未熟な子供への責任放棄に警鐘を鳴らし、最早「流行」と化しつつある一部のトランスジェンダーコミュニティの歪みを明らかにしている。大人が少女たちに用意できる未来について、この本を読んで今一度考えてみないか。
- ペンネーム:
- くろのすけ
- 大学・学年:
- 横浜市立大学 1年
- 書名:
- 母という呪縛 娘という牢獄
- 著者:
- 斎藤彩
- 出版社:
- 講談社
- コメント:
- 女子、医学部受験、浪人。この3つは、私と滋賀医科大生母親殺人事件の被告との共通点だ。被告と私が無関係だと思えず、一気に読み切った。この本を読んでいる間、被告に同情し涙が出そうになるほど切ない想いが胸を突くとともに、歯車が1つでも狂っていれば、私も同じ状況に立っていたかもしれないという恐怖に襲われた。度重なる人格否定、加害や自由の制限等を長年受け続けたら誰も正気ではいられない。それでも犯した罪に向き合い生きる彼女は強い人だ。出所後に自由を手に入れ、幸福な生活を送ってほしい。
- ペンネーム:
- しょう
- 大学・学年:
- 甲南大学 3年
- 書名:
- アンフェアな月
- 著者:
- 秦建日子
- 出版社:
- 河出文庫
- コメント:
- 閉店間際のスーパーで、半額弁当を巡って、パンチとかキックとかつかみとかわき腹に膝蹴りとか肩に飛び乗りその頭を蹴り飛ばしたりする作品。世界観はぶっ飛んでいるけれど、ストーリーじゃ王道で、また個性的なキャラクターたちのやりとりも面白く、笑いながら最後まで楽しめた。
- ペンネーム:
- ぜう
- 大学・学年:
- 西南学院大学 2年
- 書名:
- 太陽の坐る場所
- 著者:
- 辻村深月
- 出版社:
- 文春文庫
- コメント:
- 高校を卒業して一年と少ししか経っていない私は、まだ同窓会というものに出席したことがありません。しかし高校の教室の雰囲気やあの頃の出来事などを明瞭に覚えているだけに、この本で描かれているスクールカーストの世界にはどことなく既視感を覚えました。高校卒業から数十年を経て、定期的に開催される同窓会の中で複雑な人間関係と思惑に飲み込まれた登場人物が一人また一人と連絡を絶っていきます。複数人の視点から葛藤や挫折と共にストーリーが展開しますが、自身の遠くない将来を描かれているな気がして背中が冷たくなりました。
- ペンネーム:
- 橘ありす
- 大学・学年:
- 名古屋工業大学
- 書名:
- ベン・トー サバの味噌煮290円
- 著者:
- アサウラ
- 出版社:
- 集英社
- コメント:
- 「推理小説」に続く雪平夏見刑事シリーズ第2弾もやはり面白かった!! 最後まで犯人の招待と事件を起こした動機、発見された死体とのつながりなど、分からないことだらけの展開が読者の興味をそそります。真っすぐだけど犯人を捕まえるためには手段を選ばない雪平の格好良さにいつも惚れぼれしてしまいます♡ まさに“ミステリー小説”と断言できる最高のミステリーです!
- ペンネーム:
- ちょこちっぷ
- 大学・学年:
- 大阪大学 1年
- 書名:
- 幸せジャンクション
- 著者:
- 香住泰
- 出版社:
- Discover
- コメント:
- 思わぬ事態により、急遽キャンピングカーで日本各国を走り回ると言うお話です。つい1ヶ月前まではごく普通の会社員だったおじさんが、キャンピングカーを運転することで出会う様々な人々。もちろん当たり屋なども。この本を読んで、人生何が起こるかは本当にわからないなと思いました。もしかしたら明日海外に行っているかもしれないし、自分や大切な人の命が無くなってしまうかもしれない。だからこそ、今この瞬間を疎かにせず大切に生きようと思うきっかけとなった本でした。
- ペンネーム:
- つぐみ
- 大学・学年:
- 関西学院大学 4年
- 書名:
- TSUGUMI
- 著者:
- よしもとばなな
- 出版社:
- 中央文庫
- コメント:
- 地球にききんが来たとして、食べるものがなくなったとき、飼い犬のポチを平気で食えるようになりたい、そして平然と「ポチはうまかった」と笑えるようなやつになりたい、と言うつぐみのセンスが好きでたまらない。
吉本ばななの描く人物の魅力の神髄は、明るく軽やかな人柄に垣間見えるもの哀しくも強い葛藤との対比にある。そして作品には、相手と同じ目線で悲しむことも同一化もできないけれど、自分と他者との差異を知りながら混在しようとすることはできるよね、という愛がある。わたしもいやな奴なりの哲学を持ちたいところだ。
- ペンネーム:
- とっと
- 大学・学年:
- 名古屋工業大学 3年
- 書名:
- ライオンのおやつ
- 著者:
- 小川糸
- 出版社:
- ポプラ文庫
- コメント:
- なんか切なくなった。今何のためにどう生きているのか一瞬分からなくなった。ただ、歳を重ねても物事に楽しみを見い出せる生き方をしたいと思った。今から何十年経ったり、病気になったりしてできないことや失うものが増えてもそんな風に生きていけるのだろうかと将来を考え、自分の中に揺るがない何かを持っていたいと思った。
- ペンネーム:
- パプ
- 大学・学年:
- 同志社大学 2年
- 書名:
- 教誨
- 著者:
- 柚月裕子
- 出版社:
- 小学館
- コメント:
- 「褒めて」。この言葉を聞いて,誰が発した言葉だと思うだろうか。小さい子供が,親や祖父母,先生など,親しい大人に向けて,自信たっぷりに,誇らしげに言う言葉。私はこの言葉を,そんな風に捉えていたーーこの小説を読むまでは。
この言葉を発したのは,園児でも小学生でも,反抗期がなかったタイプの中高生でもなく,一児の母だった。さらに言えば,自身の娘と近所の女の子を手にかけ,その罪を問うて執行された死刑の直前の言葉だったのだ。「約束は守ったよ」。だから褒めて。この言葉の真意とその「結末」が,切なかった。
- ペンネーム:
- ぷにタン
- 大学・学年:
- 釧路公立大学 2年
- 書名:
- アルジャーノンに花束を
- 著者:
- ダニエル・キイス
- 出版社:
- 早川書房
- コメント:
- 手術によって知能を大幅に発達させた知的障害を持つチャーリィが、今まで見えていた社会、友人だと思っていた人たちの真実の姿が見えていくというお話。どこまでも純粋で優しい手術前のチャーリィを知っているからこそ、知能が発達した彼が傷つく姿は読んでいて胸が締め付けられる思いでした。しかし、知能が伸びたことによって得られた喜びももちろんあり、彼が愛を知ったり、今まで彼を潜在意識の中で縛り付けていた母親との対話を試み、苦悩の末解放される姿はとても感動的で、この本に出会えてよかったと強く思いました。
- ペンネーム:
- ふる
- 大学・学年:
- 明治薬科大学 1年
- 書名:
- 青い春を数えて
- 著者:
- 武田綾乃
- 出版社:
- 講談社
- コメント:
- 青春ってこんなもんだ、とこの本を読んですぐさま思った。今までずっと読んできたラブコメやファンタジーで描かれる青春はあまりにも現実離れしていたり、キャラたちの性格や背景のストーリーが濃いことが多かった。それに対してこの短編の中でなかなかこんな人はいないだろう、というのは一人くらいしかいなかった。みんな私たちの経験したような、他人からみたらどうでもいいようなことで悩んで、小さなきっかけで傷ついて、華々しさの欠片もない時間をなぁなぁにして過ごす、誰も憧れない、青春が描かれていた。
- ペンネーム:
- モモノスケ
- 大学・学年:
- 新潟大学 1年
- 書名:
- 椿姫
- 著者:
- デュマ・フィス
- 出版社:
- 新潮社
- コメント:
- 恋愛小説に典型的な女王様タイプの美女(もちろん玄人)が感じやすくて情熱的なおバカな男子に恋しちゃう。よくありそうなストーリーだけどその実、一筋縄ではいきません。私生児だった作者デュマ・フィスが描く娼婦の一世一代の大恋愛。彼は純潔な生娘には芽生え得ない真実の愛の芽を恋の手練マルグリット・ゴーティエの心に認めます。かつてない恋の炎に彼女の魂は純化されますが、商売柄、昔の罪に縛られてやっと掴んだはずの幸せから絶望のどん底に突き落とされる----。誠の愛をテーマに真の清らかさを問う不朽の名作。
- ペンネーム:
- モモノスケ
- 大学・学年:
- 新潟大学 1年
- 書名:
- インストール
- 著者:
- 綿矢りさ
- 出版社:
- 河出書房新社
- コメント:
- 「自称変わり者」、良心に反して「むらむらと捨てちまいたい欲望がくすぶっていた」。彼女は私の一番デリケートな部位、誰もが見逃すことを暗黙裡に了解している精神的恥部にズケズケと踏み込んできた。恥ずかしい。謂れのない背徳感が押し寄せてきて、訳もなく何者かに謝りたい、私を嫌いにならないでと懇願したくなった。彼女の前ではいい子ちゃんぶりっ子は通用しない。この作品を作者の年齢から推してみずみずしい感性、などと評すのは安直だ。これは自分の弱さを直視できる強さと揺るぎない自己に支えられた大人の自己分析だ。
- ペンネーム:
- ゆき
- 大学・学年:
- 東京大学 大学院
- 書名:
- 方舟
- 著者:
- 夕木春央
- 出版社:
- 講談社
- コメント:
- ある地下施設に閉じ込められた。一人犠牲にすればその人以外は全員助かる。犠牲にするのは殺人犯だ。良心は痛まない。たとえその犠牲となる人が、過去に愛した人であっても。
選択を迫られたときに、その人と共に残る、その人の代わりに犠牲になるという決断ができる人はある意味で狂っていると思う。
わたしはこの『方舟』の中で死んだ。
- ペンネーム:
- 丸犬
- 大学・学年:
- 名古屋大学 3年
- 書名:
- 人間失格
- 著者:
- 太宰 治
- 出版社:
- 新潮社
- コメント:
- 主人公は人間に恐怖していた。しかし人間に対する最後の愛情として、心に仮面を被って人と接する事を選んだ。愛ゆえに人間の存在を切り捨てることができなかった、という事実には私自身少し救われた気分になった。だが彼は人間への愛と同時に、暗闇の味も捨てきることができなかったのではないだろうか。その両方に手を伸ばした結果があのようなラストなのだと思うと少し悲しい。
- ペンネーム:
- 空飛ぶまめだいふく
- 大学・学年:
- 東北大学 大学院
- 書名:
- 恋できみが死なない理由
- 著者:
- 最果タヒ
- 出版社:
- 河出書房新社
- コメント:
- 「誰でも自分以外にわかるはずのないところを心に抱えていて、それこそが、唯一の人の共通点であるように私には思える」。私も自分の感じたことを言葉にするとき、相手に伝わる言葉に四捨五入することで、殺されてしまった感情があったようなきがした。自分の柔らかい部分を安易に伝えたことで首を傾げられ傷つくこともあった。そんなとき、こぼれ落ちた枝葉を掬い取ったものが詩だった。だからわたしは、今日も黙ったり、詩を書いたり、読んだりする。
- ペンネーム:
- 詩暢
- 大学・学年:
- 京都大学 1年
- 書名:
- この世の喜びよ
- 著者:
- 井戸川射子
- 出版社:
- 講談社
- コメント:
- 柔らかで淡々とした筆致のなかで、人間の生活の生々しさが静かに迫ってくる。喪服売り場で働く「あなた」、フードコートで過ごす少女、ゲームセンターで働く多田、いつもゲームセンターにいるおじいさん。この4人でクリスマスを過ごすシーンが一番好きだ。「誰かにしてもらうことが目標になるとつらいよ」。小学校の先生として働き始めて1年目の娘に「あなた」が掛けた言葉が胸に刺さった。地の文が、会話が瑞々しく、心の琴線に触れる。
- ペンネーム:
- 詩暢
- 大学・学年:
- 京都大学 1年
- 書名:
- 私とは何か
- 著者:
- 平野啓一郎
- 出版社:
- 講談社
- コメント:
- 「わたし」を確立しなければならない、と頑なに張り詰めていた心が楽になった。しなやかに、多重的な自分を認めて、生きていけばいいのだと、肯定された気持ちになる。
「誰かといる時の分人が好き、という考え方は、必ず一度、他者を経由している。自分を愛するためには、他者の存在が不可欠だという、その逆説こそが、分人主義の自己肯定の最も重要な点である。」
- ペンネーム:
- 発酵ダイヤモンド
- 大学・学年:
- 北海道大学 2年
- 書名:
- 表参道のセレブ犬とカバーニャ要塞の野良犬
- 著者:
- 若林正恭
- 出版社:
- 文藝春秋
- コメント:
- ここではないどこかに行きたいと思うことがある。比べられたくなくて、競い合うのが嫌で、でも心のどこかで認められたいと思っている。お金やフォロワー数のように数値で測れる安心感が欲しいと思ってしまう。誰にも気を遣わずに、思い切り好きなことをしたくて、でもその好きなことでたくさんの人から肯定されたいと思ってしまう。常に矛盾を抱えたまま、自分の内側にばかり目を向けて、どこにも行けずに立ち止まったままの私をこの本が救ってくれた。私は私の欠落で、誰かを救えるときが来るのかもしれないと信じて生きていきたい。
- ペンネーム:
- 本の虫
- 大学・学年:
- 東京経済大学 4年
- 書名:
- 剥製の街 近森晃平と殺人鬼
- 著者:
- 樹島千草
- 出版社:
- 集英社文庫
- コメント:
- 人間って怖い。一見するとなんてことない人でもその内には猟奇を秘めているかもしれない。そんな人間の恐ろしさを目の当たりにした。「剥製魔」を巡るサスペンスは物語として面白いが、それ以上にこれほど人の心情に差し迫ったことはあるか・言語化して自分に取り入れたことはあるかと自問自答した。被害者と加害者。これは必ずしも直接的なものではなく、オーディエンス、つまり世間といった間接的な存在も加害者になる。自分事化すると日々のニュースとSNSの連動性にここまで嫌悪感を抱いたのは初めてで衝撃的な小説だった。
- ペンネーム:
- 本を読む看護学生
- 大学・学年:
- 新潟大学 1年
- 書名:
- 虚構推理
- 著者:
- 城平京
- 出版社:
- 講談社
- コメント:
- 化け物が街で暴れていたのだとしたらそれはどこまで真実だろうか?
化け物の存在そのものが御伽噺?それとも、化け物の存在事由が嘘?
化け物はいなくて、ナントカっていう化学現象が原因っていうその学説が嘘?
何が嘘なのかわからなくなる、驚きの連続な作品だった。
前半のこてんぱんにやられちゃってる感と読者を置き去りにしてすべてが進んでいる感覚から、後半の怒涛の反撃と伏線回収が鮮やかで読後の爽快感が凄まじかった。
出来ることなら、記憶を消してもう一度、何度も記憶を消して何度も読み直したい。
- ペンネーム:
- 本を読む看護学生
- 大学・学年:
- 新潟大学 1年
- 書名:
- 出版禁止
- 著者:
- 長江俊和
- 出版社:
- 新潮社
- コメント:
- 読んで欲しい。一文字も、一行も残さず読んで欲しい。
だんだんと、この作品の魅力が分かってきて、先が読めるようになってきたぞと思っていた。思っていたのに、急に目の前が真っ暗になった。この作品の中では、何も信用できない。
ノーマルなホラーだと思っていたら大間違いで、人が怖いとか幽霊が怖いとかもはやそういう次元ではない。一度読み切ってもう二度と読みたくない怖いと思ったのに、好奇心が抑えられずすぐに読み直した。
ね?あなたも。この作品を読めば分かりますよ。
- ペンネーム:
- 本を読む看護学生
- 大学・学年:
- 新潟大学 1年
- 書名:
- パプリカ
- 著者:
- 筒井康隆
- 出版社:
- 新潮社
- コメント:
- 狂気と狂喜が円舞する、不朽の名作SF。
夢の中に入って精神的な問題を治療するという、一見画期的でSFではあるあるな展開に見えるが、世界観全体にあふれている狂気がこの作品を「ただのSF」で終わらせない。
怖いような、面白いような、逃げ出したいような、心地いいような……とにかく読んでみないと分からない特殊な感覚に襲われる。
この作品が常人には理解し難いってのは、オセアニアじゃ常識なんだよ。
- ペンネーム:
- 緑内障予備軍
- 大学・学年:
- 桜美林大学 1年
- 書名:
- 「友だち」から自由になる
- 著者:
- 石田光規
- 出版社:
- 光文社
- コメント:
- 大学に入学し、新たな人間関係を築いていくにあたって、何かコツを知りたいなと考えていたときにこの本と出会った。この本によると友人は「結果としての友人」と「形から入る友人」の2種類に分かれているという。両者の違いはつながりの築き方である。今まで私は「形から入る友人」とは「真の友情」を築き上げることはできないと思い、表面上での付き合いとして接していた。しかし、この本を読んで「真の友情」に発展するかは自分次第だということに気づいた。「友だち」について悩んでいる方におすすめしたい。
- ペンネーム:
- 齊藤
- 大学・学年:
- 宇都宮大学 2年
- 書名:
- 建築家は住まいの何を設計しているのか
- 著者:
- 藤山和久
- 出版社:
- 筑摩書房
- コメント:
- 「建築家は住まいの何を設計しているのか」というタイトルの通り、建築家のお仕事や建築家が住まいをつくるときに何を考えているのかについて書かれた本です。この本を読んで、私が今まで抱いていた「住まいの快適さ」の概念が大きく変わりました。「完璧な家は幸せな家か」という問いは、印象に強く残っています。これから自分の住まいを建てる人、引っ越しを考えている人など、人生の転換期にいる方にオススメします!
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