今月のコメント(2024年12月)速報

2025年1月28日現在

12月に投稿されたコメント454枚から選考しました。

選考は、大学生協の全国学生委員出版甲子園学生メンバー(特別協力)、
書籍担当職員、顧問をお願いしている先生で行いました。

ナイスコメント12点、次点6点でした。おめでとうございます!

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ペンネーム:
緑茶
大学・学年:
東京外国語大学 4年
書名:
あやうく一生懸命生きるところだった
著者:
ハ・ワン
出版社:
ダイヤモンド社
コメント:
イラストのなんとも言えない脱力感と、名前のセンスに魅かれ、あっという間に読み終えました。
今自分は学部を卒業した後に何をするか考えに考え、知恵熱が出るんじゃないかと思う日々がつづいています。作者のように働かないで生活することは、貯金もない私には現実的に無理です。ただ、「”自分だけの人生”は失敗の上に成り立つ」という言葉は今の自分にも響きました。「普通」であることにこだわり、人と違う進路を取るのが怖いです。しかし失敗も私らしさの一部と思えるように、自分に納得できるように選択していきたいです。

ペンネーム:
たま
大学・学年:
京都大学 3年
書名:
神田川デイズ
著者:
豊島ミホ
出版社:
角川文庫
コメント:
どんなに反対されようと、私はこの小説を「青春小説」と名付けたい。
留年スレスレの三年生、素敵な先輩に憧れて入ったサークルの評判が非常に悪いと知った一年生、学生作家としてデビューしたものの小説が売れない三年生などが主人公の連作短編集。このあらすじからもわかるように、登場人物は皆キラキラキャンパスライフとは程遠い。
しかし、すべての登場人物が懸命に生きている。上手くではなく、強く生きている。そのことに希望を感じられ、すべての大学生を応援したくなった。

ペンネーム:
大学・学年:
お茶の水女子大学 4年
書名:
エディに別れを告げて
著者:
エドゥアール・ルイ
出版社:
東京創元社
コメント:
 フランス、と聞いてあなたはどのようなイメージを思い浮かべるだろうか。エッフェル塔の見える街、スタイリッシュな服装で街を歩く人々、おしゃれなカフェやブティック?
 ではこれはどうか。工場がひしめきあう村、そこで働く低賃金の労働者たち。雨風で窓が壊れても買い換えることができない貧困家庭。「ワル」な男がもてはやされ、少しでも「女」みたいな仕草をしたら「ホモ」と言われいじめられる社会。
 驚いた人はぜひ読んでみてほしい。あなたの知らないフランスがここにはある。

ペンネーム:
モモノスケ
大学・学年:
新潟大学 1年
書名:
ドイツ流、日本流
著者:
川口マーン惠美
出版社:
草思社文庫
コメント:
終始、感情的に振り回されっぱなしだった。断固として日本を擁護したい欲望に身を任せ、時には同じ日本人でありながら母国に痛烈な批評をぶつける著者に反感を抱いた私である。祖国愛とドイツ愛の狭間から公平な視線を投げる彼女一流の愛の鞭だということにようやく気づいたのは最終盤になってからだった。同時に異文化理解は本当に難しい問題だとも強く感じた。斜陽の国で僻み根性たっぷりの偏屈な人間には特にである。彼女の叱咤激励を素直に受け止め、もっといい国にできたらなと思う。
そしてやっぱり世界に飛び出す女性はかっこいい。

ペンネーム:
本を読む看護学生
大学・学年:
新潟大学 1年
書名:
タナトスの蒐集匣 耽美幻想作品集
著者:
芥川龍之介・泉鏡花・江戸川乱歩・小栗虫太郎・折口信夫・坂口安吾・太宰治・谷崎潤一郎・夏目漱石・夢野久作
出版社:
新潮文庫nex
コメント:
これ以上なく良い意味で、「日本にはこんなに狂った作品が溢れていたのか」と感嘆した。
常識、想像、一般的な感覚なんてものはこの作品たちには存在しない。気持ち悪いなんて思わせてくれる隙もない。
そしてこの作品集は、ゲートウェイである。名だたる文豪たちの作った「耽美」という料理を、贅沢にも一口ずつ味わわせてもらえるのである。その中に自分の舌を痺れるほどに満足させるものがあれば、その作家の違う作品も手に入れれば良い。文豪の作品を読んだのは国語の教科書が最後だなという人にはうってつけの蒐集匣である。

ペンネーム:
柿食下戸
大学・学年:
宮城大学 3年
書名:
落日
著者:
湊かなえ
出版社:
角川春樹事務所
コメント:
大好きだった祖母がこの世を去ってから約6年が経つ。未だに、夢の中であの頃の元気な祖母と会話をし、辛いことが起きると私の中の祖母と会話をする。「人は誰からも忘れ去られた時に本当に死ぬ」なんて言うけれど、私たちの中にいるのは私たちから見た彼・彼女らであって、それは彼らの一面から推測される虚像に過ぎない。誰かを心の中で生き続けさせるのは、私たちのエゴなのかもしれない。私たちが本当の意味で大切な人の死を認められたとき、彼らは私たちの中で新たに誕生するのだと思う。日が沈み、そしてまた昇るように。

ペンネーム:
アサ
大学・学年:
名古屋大学 3年
書名:
正体
著者:
染井為人
出版社:
光文社文庫
コメント:
真実とはなにか。誰かが悪いと決めた噂や声明はその通りであると加害者に非難が集まる。しかしその実態はどのようなものであろうか。本当にその人がやったのか、誇張がないか、周りの状況からその人が悪いとでっちあげられてしまったのか。悪い印象をもたれるとその人の声は先入観に囚われた多くの人に届かない。人権がないも同然だ。この本は人を裁くこと、人を評価すること、実際にその人のあり方を見ることの考え方を改めて考えさせてくれる。正しいことを正しい、違うことは違うという声をどうか耳を澄ませて聞きたいものである。

ペンネーム:
もろっこ
大学・学年:
大阪大学 1年
書名:
イニシエーション・ラブ
著者:
乾くるみ
出版社:
文春文庫
コメント:
SNSで「騙された!」という投稿を見て、「まさか自分が騙されるわけない」と思いながら読み始めた結果、完全に物語に引き込まれて、見事に騙されてしまった。最初は冷静に進めていたつもりが、気づけばページをめくる手が止まらず、ラストの展開に思わず唸ってしまった。正直、あんな風に驚かされるとは思わなかった。もう一度読み返したくなるくらい、予想を裏切る展開が満載で、まさに「2度読み必須」の不思議で魅力的なラブストーリーだ。

ペンネーム:
DB好き
大学・学年:
名古屋大学 3年
書名:
文化はいかに情動をつくるのか
著者:
バチャ・メスキータ
出版社:
紀伊國屋書店
コメント:
情動の発生が文化によってここまで変わるのかと驚かされた。私は外国の文化を体験したことが無いため、自分が小さな情動パターンしか持っていないことに気づいた。他者の心を汲み取る際、無意識に相手の状況、情動を自分が所属する文化による観点から推測することは誰しもよくあることではないか。真に相手の情動を理解するには、相手の文化による観点を通さなければならない。「信頼なる人間関係には相互理解が必要だ」と言われるが、そのためには正解を仮定しない、文化的な謙虚さが大切であることを心に留めておく必要がある。

ペンネーム:
もも
大学・学年:
富山大学 1年
書名:
花の鎖
著者:
湊かなえ
出版社:
文春文庫
コメント:
私は、大切な人が私の為に傷つくことがないように、その人に秘密にしていることがある。
それは多分私の大切な人にも言えるだろう。
だからこそ、私は大切な人の出来事全てを知ることはない。
タイトルの「“花の”鎖」は実に言い得て妙だと思う。取り除きたいしがらみも繋がりを作る一つである。今ある私と大切な人とを繋ぐものの一つなのだ。
しかし花の鎖は、はじめの花がずっと続くわけではない。新しい花を繋いでいくことで、繋がりの中にあるどうしようもないしがらみや悲しみも必ずどこかで終わることを表しているようにも思えた。

ペンネーム:
たまご焼き
大学・学年:
滋賀県立大学 2年
書名:
動物農場
著者:
ジョージ・オーウェル
出版社:
ハヤカワepi文庫
コメント:
ロシアソヴィエトとその独裁者2人の歩みを農場の動物の話とすり替えた物語。力あるものが力なきものを虐げるのが見ていられなかった。自分が今持つ権利は本当に正しいものなのか、すり替えられてはいないか、誰かに都合のいい者ではないか、そんな危機感を覚える話だった。暴力、財力、知力を持つ者が上に立つことの恐ろしさ、そしてそれに対する下の者たちの無力さが動物で例えられているのにも関わらず、希望がなく常に重苦しさで満ちていた。政治に無関心な人が増えた今こそ読んでほしい一冊です。

ペンネーム:
いちごおはぎ
大学・学年:
熊本大学 2年
書名:
ゆきうさぎこお品書き 8月花火と氷いちご
著者:
小湊悠貴
出版社:
集英社オレンジ文庫
コメント:
 本はたまご粥。心の弱いところにそっと寄り添い、優しい温かさを与えてくれる。おいしいものが出てくる本は特にそう。誰かが作った料理を頬張り、前を向こうとする主人公たちの姿に、私は何度、心を救われただろうか。
 小料理屋が舞台のこのお話。ページを捲る度に聞こえてくる「おいしい」という声に、思わず頬が緩む。
 生きていれば晴れの日もあるし、雨の日もある。そんな慌ただしい毎日を生きる私たちも、何かを「おいしい!」と感じることのできる時間があればきっと大丈夫、そう感じさせてくれる一冊。

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【次点:6件】

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ペンネーム:
モモノスケ
大学・学年:
新潟大学 1年
書名:
リア王
著者:
ハ・ワン
出版社:
白水Uブックス
コメント:
二人の卑怯なお姉さんと心根の清らかな美しいお姫様。王様は末娘を誤解して勘当し結末はもう見えました、どうせ白馬の王子様と結婚してハッピーエンドなんでしょ、なんだ、シェイクスピアも意外とありきたり。読んでみてびっくり。違った、違った。完全にバッドエンド。みんな死ぬんかーい。えー、困惑。そうだ、イギリスだったんだ、この舞台は。フランスのラブ・ロマンスなんかじゃ物足りない。人間を唆しては嘲笑って弄ぶあの「小説文学」を産んだ土地。勧善懲悪なんて生ぬるい。素知らぬ顔して徹底した悲劇を突き付けてくるのだ。

ペンネーム:
1ch
大学・学年:
富山大学 1年
書名:
何者
著者:
豊島ミホ
出版社:
新潮文庫
コメント:
昨今では、「意識高い系」という言葉も定着を見せ、嘲笑の的となっている。しかし、、「意識高い系」を俯瞰してせせら笑う私たち(私を含む)を更に高次で俯瞰してせせら笑う人の存在をこの本はありありと描いた。また更に俯瞰、俯瞰…と堂々巡りをし、結局のところ私たちは人をバカにすることで自尊心を保ってしまうという生き物であることを嫌でも突きつけられる。先程、カッコ書きで(私を含む)と記したが、筆者の狙いはバカにする私たちを客観的に描くことで、私たちの愚かさをメタ認知させようとしているのではないかと考えた。

ペンネーム:
たまご焼き
大学・学年:
滋賀県立大学 2年
書名:
三日間の幸福
著者:
エドゥアール・ルイ
出版社:
メディアワークス文庫
コメント:
あなたの人生ははいくらですか?子供の頃、自分は偉い人間になれると信じていた。同世代と比べて自分は並外れて優秀だと信じて疑わなかった。だけど、、、。大学生になりお金に行き詰まった主人公はある日奇妙な噂を耳にした。寿命を買い取ってくる店があるらしい。半信半疑で店を訪れ査定をしてもらう間、自身の寿命の価値を考える。サラリーマンの平均的な生涯資金は2億ほど、だとしたら俺は低く見積もって3億ほどになるだろう、そう思っていたら。自身の寿命の価値が1年1万円しかなかった主人公の痛く切なく目が離せない物語。

ペンネーム:
緑茶
大学・学年:
東京外国語大学 4年
書名:
メインテーマは殺人
著者:
川口マーン惠美
出版社:
創元推理文庫
コメント:
「読者を悔しがらせることができるのが、うまい推理小説作家らしいよ」というミステリー好きの友人からの言葉を思い出した。助手として捜査に同行する主人公=作家の目線を通して、事件解決に必要な情報を見ているのに、犯人も動機も全然わからなかった。最初は作者に共感し、ホーソーンには嫌悪感が募ったのに、読み終わってからシリーズ化していることを知ると嬉しかったから不思議である。ロンドンの雰囲気と、作家が考えていることも垣間見える面白い本だった。

ペンネーム:
もっちゃん
大学・学年:
弘前大学 3年
書名:
男はスカートをはいてはいけないのか? キャリコン視点のジェンダー論
著者:
神田くみ・橘亜季
出版社:
日本橋出版
コメント:
まず、この疑問をジェンダーの話のとっかかりとして考えてみたい。女性ならパンツもスカートも履くのが一般的だけど、男性のスカート姿はめったに見かけない…。スコットランドでバグパイプを吹く人ははいているんだけど… なんか不思議。
解決ゾロリくらいのページ数(130ページ)、ジェンダーのことをさらっと知れちゃうよ。

ペンネーム:
うえまん
大学・学年:
富山大学 1年
書名:
菜食主義者
著者:
ハン・ガン(きむ ふな=訳)
出版社:
クオン
コメント:
ノーベル文学賞を受賞した韓国小説。何もかもが普通で平凡だった女がある日突然、肉も魚も卵もその他動物系製品を全て食さず、捨ててしまう菜食主義者となり、それを周りの人の目から描いた作品。ベジタリアンや動物愛護的観点での物語かと思っていたが、全く違う展開に驚きました。純文学というだけあって命のことをそれぞれの心情の中で人の気持ち悪さや汚さもそのままでてて本当に凄い作品だった。

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