今月のナイスコメント(2025年3月)速報

2025年5月6日現在

3月に投稿されたコメント662枚から選考しました。

選考は、大学生協の全国学生委員出版甲子園学生メンバー(特別協力)、
書籍担当職員、顧問をお願いしている先生で行いました。

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ペンネーム:
もろっこ
大学・学年:
東京外国語大学 3年
書名:
幸せになっちゃ、おしまい
著者:
平 安寿子
出版社:
マガジンハウス
コメント:
タイトルに、ここ数ヶ月の私の心情が見事に映し出されていた気がした。毎日があまりにも輝き、頂点に達した瞬間の不安が、いつしか私を身構えさせる。だが、この本はただその矛盾を曝け出すだけでなく、そこから先へと歩むべき道を示してくれる。幸福を享受するだけではなく、その裏に潜む恐怖をも原動力に変え、不断の挑戦を続ける―これこそが、私が目指すべき境地なのだと気付かされた。読むたびに、ただ静かに甘んじるのではなく、常に自己を更新し続ける生き方の美学が、心にしっかりと刻まれていく。

ペンネーム:
うえまん
大学・学年:
富山大学 1年
書名:
二人一組になってください
著者:
木爾チレン
出版社:
双葉社
コメント:
「二人一組になってください」この言葉を今までで一度は聞いたことがあるだろう。友達や仲のいい子がいる人はなんてことなく流してしまう言葉。しかし、そういう相手がいない人はこの言葉をそれが織りなす景色に何を感じていたのだろう。これはその言葉がテーマとなった最終授業の光景。今まで一度だって手をつなごうとしなかったあの子も、あの子も、必死になって醜く手を出してくる。自分は価値があるのだから、早く手をつないでよ。あの子がいるからまだ、私は大丈夫。果たしてあなたはどの立場なのか。ぜひ確かめてほしい。

ペンネーム:
いちごおはぎ
大学・学年:
熊本大学 2年
書名:
本を守ろうとする猫の話
著者:
夏川草介
出版社:
小学館
コメント:
効率よく生きることが求められる現代に、人の在り方を問い直す一冊。合理的で効率的な選択をする度、人間らしさを奪われているような気持ちになる、自分が型にはまった思考に捕らわれて、抜け出すことが出来ないような気持ちに襲われるから。この本は、そんな私の心を揺さぶると同時に、文学の強さを再認識させてくれるものであった。本は人として善く生きる選択肢を与えてくれる。他者の言葉で、他者の生き方や思想を味わう経験を通して人は、誰にも変えられない自分を創り出していくのではないだろうかとまで感じた。

ペンネーム:
モモノスケ
大学・学年:
新潟大学 1年
書名:
もの食う人びと
著者:
辺見庸
出版社:
角川文庫
コメント:
ふと、眉間に力が入っていることに気づく。体をこわばらせずに読むことのできない本なのだ。
死と隣り合わせの僻地へ食べ物を食べに行く。残飯、放射線汚染食品、人肉…。人は生きるためには何でも食べる。飽食の国に生きる私たちには想像もつかない必死の生命活動を支える食事がある。地上一切の罪を背負って飢餓と病気とともに死にゆく子どもたち。無名の贖罪。酷いものだ。資本主義と戦争は私たちの知らない所で人の命を貪り食っている。
本来、幸福な人々は「食いものの恨み」に怯えながら生きていくのが道理なのだ、と思い知らされる。

ペンネーム:
マズルカ
大学・学年:
東京大学 4年
書名:
おまけのこ
著者:
畠中恵
出版社:
新潮社
コメント:
面白い、その一言に尽きる。
たいそう面白かったものだから、駅に降り立ってからも、私はこの本を小脇に抱えて、意気揚々と歩いていた。すると幾分もしないうちに、年輩の方に声をかけられた。本の内容を聞かれたので、多くの妖が登場し、愉快である旨伝えると、満足そうに去っていった。
当時は気にもとめなかったが、今思い返すと、知らぬ人に本について話しかけられたのなど初めてのこと、服装もどこか古風で街に似つかわしくなかったような。
妖は危ないものばかりでないという。あの人はひょっとして人ならざるもの……いやまさか。

ペンネーム:
爬虫
大学・学年:
佐賀大学 2年
書名:
アリス殺し
著者:
小林泰三
出版社:
東京創元社
コメント:
【この本を推奨する方】
・奇妙奇天烈な世界に耐性がある方
・自分こそは思い込みや先入観が少ないと自負されておられる方
・地球とは違う世界の夢をよく見られる方
・蜥蜴に愛着がある方
・合言葉を覚えることができる方
・処刑のやり方をご存知ではない方(一緒に学びましょう)
以上の方は、特に耐性がございますことでしょう。
ごゆるりと、お楽しみくだざいませ

ペンネーム:
しゃんしゃん
大学・学年:
早稲田大学 1年
書名:
短歌ください
著者:
穂村弘
出版社:
角川文庫
コメント:
短歌を読むのが好きだが、何となく好きというだけで何が良いとか言語化できなかったし、特にする必要もないかなと思っていたけど、穂村弘の短い解説や感想がある状態で読むと、どう良いのかが少し自分の中でわかって、腹落ちする感じがした。「唐突に生きてる理由が欲しくなり知らない人に募金したよ」という歌が特に好きだった。すごく落ち込んだ時に少額でもと寄付をしたり、署名をしたりする時あるよな。

ペンネーム:
もちむぎ
大学・学年:
北海道教育大学 3年
書名:
竹取物語
著者:
森見登美彦訳
出版社:
河出書房新社
コメント:
「中学、高校時代、あんなに授業中眠かった『竹取物語』が、現代の作家によってこんなにおもしろくなるなんて!」というのが率直な感想です。(原典の竹取物語好きな方、すみません。)
一番面白かったのは、かぐや姫を見るために、結婚するために右往左往する5人の貴公子たちです。現代訳により原典の貴公子のマヌケさをより一層際立たせて、貴公子が一周回って愛おしく感じられます。そんなコミカルな本文の後ろには、原典についての訳者の講義があり、最終的に原典についても学べる。楽しめて、学べる一石二鳥の一冊です。

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【次点:8件】

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ペンネーム:
モモノスケ
大学・学年:
新潟大学 1年
書名:
狼なんかこわくない
著者:
庄司薫
出版社:
中央公論社
コメント:
若さ、傷つきやすさ、誠実性、純粋さ、そして青春(ギャッ)。世に言うオトナたちはどうもこの五つを類義語だと思っているフシがある。しかし実際、若者だって結構薄汚れている。被害妄想たくましく、弱者の振りして嘆いてみたり、感傷に浸って自己否定衝動に身を任せたり。小賢しいったらありゃしない!薫くんに感化されてこんなことを書く私も酷いものだ。青春期とは黒歴史製造期間に他ならない(ギャッ)。若さの波に飲み込まれてきっと誰もが犬死するのだ。
もちろん私もこれを数か月後に読み返す勇気など持ち合わせてはいない。

ペンネーム:
本を読む看護学生
大学・学年:
新潟大学 1年
書名:
右園死児報告
著者:
真島文吉
出版社:
株式会社KADOKAWA
コメント:
大概の「ああいうの読みたい」欲は、この作品で満たすことが出来ると思う。
本作は、ホラーで、ファンタジーで、SFで、論文で、アクションで、ヒューマンドラマだ。前半と後半で読み味が全く異なり、温度差に風邪を引きそうになるが、結構最高なのである。研究に従事していた高校生の頃感じていた、無機質な論文を通して伝わる興奮。真実を一番最初に見つけられるかもしれないという胸の高鳴り。それを、生々しく思い出した。

ペンネーム:
モモノスケ
大学・学年:
新潟大学 1年
書名:
論文の書き方
著者:
清水幾太郎
出版社:
岩波新書
コメント:
知的散文の書き方入門。良薬は口に苦しとはよく言ったもので、悪文生産機には少し辛口だった。接続関係は明確に、文章を数式として扱え、美文の型に頼らず本心を、裸一貫で向かえ、等々、作文は結構甘くない。
説得力皆無の文章で恐縮だが、作文の技術はもちろん引用も小話も面白い。
一つの例は、文体には思想や人間性が染み込んでいるという話。これは本当だ。試しにご自分の文章を見てほしい。いま流行りのMBTIよりも当たっているはずだから。
文章の巧拙問わず全ての学生に。
※坂口安吾の「意慾的創作文章の形式と方法」との併読推奨。

ペンネーム:
プカオ
大学・学年:
弘前大学 3年
書名:
小説
著者:
野崎まど
出版社:
講談社
コメント:
なぜ小説を読むのか。読むだけじゃ駄目なのか。自分はその問いに対してざっくりした答えはなんとなくあったが、それを何と言えばいいのか説明はできなかった。
この小説を読んで、自分の持つざっくりした答えやその意味が一体何なのかを解消することができ、著者の小説を読むことに対する考え方は、これから自分が小説を読む時大事にしたいと感じ、影響を受けた。
読み進めると何となく読んでいた部分が重要な伏線であることに気づき、その伏線を確認しにもう一度読みたくなった。

ペンネーム:
詩暢
大学・学年:
京都大学 1年
書名:
謹訳源氏物語二
著者:
林望
出版社:
祥伝社
コメント:
「心も姿も、どこにもなんの取柄もないなんて女もいないかわりに、すべて満足な理想の妻というような女も見当たらない、それが世の中というものか……」という源氏の言に、きっとこれは恋愛に限らないことであろうな、と共感する。

完璧でありたいと思っていても、自分の至らなさに泣きそうになって誰かの優しさに救われたり。
誰かの短所に目をつぶったり、つぶってもらったり。
互いに補い、肩を寄せ合いながら生きているのが人の世なのだろう。

ペンネーム:
のの
大学・学年:
東京農工大学 大学院
書名:
料理なんて愛なんて
著者:
佐々木愛
出版社:
文藝春秋
コメント:
「料理ができる人がいいんだよね」と言われ、真島に振られてしまった優花。じゃあ自分も料理上手になってやる、と奮闘する頑張る女性のハートフルストーリーかと思いきや、今まで全く見向きもしてこなかった料理に対してそんなに簡単には愛着が持てません。料理ができるからって何?絶対腹の中では何を考えてるのかわからないんだから、という恨みつらみが延々と続く、可愛らしい表紙からは想像できないどろどろとした一冊です。

ペンネーム:
モモノスケ
大学・学年:
新潟大学 1年
書名:
仮面の告白
著者:
三島由紀夫
出版社:
新潮文庫
コメント:
トップ10に入るくらい好きな本、と告白したら嫌がられるだろうか。信じてもらえないだろうが、最初から最後までずっと性の話をしているのに、この本は全然いやらしくないのだ(ウソ、やっぱり8割方エッチ)。ともかく主人公で言う性的指向に限らず、読者にも多かれ少なかれ本心を仮面で隠している部分があるのは事実だろう。偽りの自分に感じる「わざとらしい・人工的な・疲れやすいもの」という表現にドキッとしたのは私だけではあるまい。でも本書の教訓ではないが、いくら抗っても結局は自然に落ち着くのだから早く観念すべきなのだ。

ペンネーム:
Nuts
大学・学年:
甲南大学 1年
書名:
メモの魔力
著者:
前田裕二
出版社:
幻冬舎
コメント:
抽象化は日常のすべてをアイデアにする。
物事は経験して感動するだけはなんの意味もないことを知りました。その想いを抽象化し転用する。これこそが経験です。常に自分の心にwhy?how?と問いつづけることで私たちは成長することができます。ただメモをしただけのことが実はすごい魔力を持っていて、自分の人生や人の人生を変えるかもしれないことが、私には信じられなくて、とてもおもしろかったです。

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