今月のナイスコメント(2025年5月)速報

2025年7月8日現在

5月に投稿されたコメント729枚から選考しました。

選考は、大学生協の全国学生委員出版甲子園学生メンバー(特別協力)、
書籍担当職員、顧問をお願いしている先生で行いました。

【ナイスコメント:9件】図書カード1000円プレゼント!

書名クリックで、情報・オンライン注文へ

ペンネーム:
らるる
大学・学年:
東京大学 1年
書名:
沈黙の世界 新装版
著者:
マックス・ピカート 佐野利勝
出版社:
みすず書房
コメント:
喋りすぎているのではないか、と思うことがある。よほど親しい人でない限り、会話の沈黙を避ける人が多い。SNSでは常に誰かが何かを呟いている。この本を読むと、沈黙をもっと大切にしようと思わせてくれる。語り口自体、語っているにも関わらず、沈黙を感じさせる。言葉が静かに心に染み入ってくる。言葉が消費され、都市が自然に侵食している現代において、沈黙を落ち着いて取り戻すことは難しいだろう。まずは、沈黙の力を借りた言葉を取り戻すために、言葉を吟味することから始めたい。

ペンネーム:
浅葱 光
大学・学年:
宇都宮大学 1年
書名:
高い城の男
著者:
フィリップ・キンドレッド・ディック 浅倉久志
出版社:
ハヤカワ文庫
コメント:
第二次世界大戦でもしも“ドイツ”と“日本”が勝利していたら。よくあるはずのタラレバ話に、気がついたらのめり込んでいった。世界大戦勝利国の作者が描く、敗戦したアメリカ。敗戦国の読者である私が読む、勝利国日本。最初は奇妙に思えたが、徐々に作者の筆致に踊らされ自分の黒い部分が見えてきた。
「ああ、日本が勝っていたら…。」
それに気がついた時の薄寒さは、この本でしか体験できないだろう。
どこか近いSFということで、あっという間に読み終わってしまった。作者のディックワールド全開の作品。一度読んだら病みつきの一冊。

ペンネーム:
もろっこ
大学・学年:
大阪大学 2年
書名:
先入観はウソをつく
常識や定説を疑い柔軟な発想を生む方法
著者:
武田邦彦
出版社:
SB新書
コメント:
ページをめくるごとに、自分の中の無意識が暴かれていくようで、息苦しさを覚えた。知らず知らずのうちに先入観を握りしめ、それを「事実」と信じていた自分は、冷水を浴びせられた気分になった。偉い人の言葉やインターネットでの検索結果が、なぜか正しさを帯びて見えてしまう現代。だが、すぐに肯定も否定もせず、一度脳の受け入れ箱に入れること、思考を止めずに自分の頭で立ち止まって考えることが重要だ。信じたい情報だけを信じてしまう今だからこそ、思考の柔らかさを大切にしたい。

ペンネーム:
くじら
大学・学年:
跡見学園女子大学 1年
書名:
思いわずらうことなく愉しく生きよ
著者:
江國香織
出版社:
光文社文庫
コメント:
生活するのに、難しいことが多すぎる。人と関わるのに、自分と違う考えの人が多すぎる。歳を重ねていくと、その解像度が高くなっていくように思う。それにしては犬山家の三姉妹は強い。3人は自分の深刻な問題を、深刻だと思っていないように思う。それは大事な感覚を失ってしまった人にもみえた。でも3人は魅力的でかっこいい。私にはまだ掴みきれないところがあった。思い煩うことなく愉しく生きることはどういうことか考えたい。
 江國さんの言葉は楽しい。綺麗なものを見た時、「やばい」ではなく「すてき」と言いたいと思わされる。

ペンネーム:
オメライス
大学・学年:
福井大学 2年
書名:
天才を殺す凡人
職場の人間関係に悩む、すべての人へ
著者:
北野唯我
出版社:
日経BPマーケティング
コメント:
みなさんは自分のことをどのような人間だと考えますか?
この本はこのような疑問の答えを明確に出してくれるものだと私は思いました。
この本では人は主に「凡人」、「秀才」、「天才」の3タイプに分かれているという話をハチ公のケンが主人公の青野トオルに話して語りかけていき自分は何者なのか、を探っていく物語です。青野トオルは自分のことをただの「凡人」と考えていたが、実は…。というようなお話です。
この本を読んでいて特に心に刺さった言葉は、「凡人は天才を殺す」という言葉です。ぜひこの本を読んで考えてみて下さい。

ペンネーム:
レモンソーダ
大学・学年:
神奈川大学 1年
書名:
夜が明けたら、いちばんに君に会いにいく
著者:
汐見夏衛
出版社:
スターツ出版文庫
コメント:
コロナ禍を経験した私達も共感しやすいマスク依存症の女の子の恋愛物語。「夜明けに会いたくなる人は、心で愛している永遠の恋人よ。」作中に出てくる一節であり、本の題名にも近しい言葉である。読後、自分もそんな素敵な人に出会いたい。そして、早起きをして朝日をゆっくりと眺めたい気持ちになった。物語を通して自分の人生は自分に正直に行きていきたいと思える。前向きになれる話だと感じた。
自分の気持ちに正直になれていない人、コロナ禍を経験した諸君に是非読んでみてほしい一冊だった。

ペンネーム:
ちょび
大学・学年:
愛知教育大学 2年
書名:
銀の夜
著者:
角田光代
出版社:
光文社
コメント:
周りの人は皆何かを成し遂げていて、自分だけが何もしていない感覚。今の自分を、過去の一番良かった頃の自分と比較して考えてしまう感覚。人生の後悔を誰かのせいにしてしまいたくなる感覚。
今まで私が何となく感じていたものが、物語の中で3人の登場人物が気持ちに気付いていくのに合わせて顕わになってくる。3人それぞれが葛藤の末に切り拓いた新たな未来に、今までの、今の、これからの私を肯定する勇気をもらえた。

ペンネーム:
DB好き
大学・学年:
名古屋大学 4年
書名:
何者
著者:
朝井リョウ
出版社:
新潮文庫
コメント:
SNSの普及により誰かの「観測者」になりがちである私たちに刺さる作品。どうして他者のことを批判するか。それは、自らの人生に飛び込むことができず、観測者という安定の立場を求めるためである。私達は、急に何か偉大なる何者かになれたりはしない。醜くあがくことでしか変わっていけない。久しぶりに読み返したが、以前抱いた観測者であることの恐怖を再認識でき、そうならないように変われた自分に安堵した。だが、就活においては自分が何者であるか説明しないといけない点はなんとも皮肉である。

ペンネーム:
伊織栞里
大学・学年:
北海道大学 大学院
書名:
それは誠
著者:
乗代雄介
出版社:
文藝春秋
コメント:
こんなにややこしくて面倒な主人公が、その面倒さのまま、みんなと協力して一歩を踏み出した、という意味ですごく大好きな作品。何度読み返しても、そのあたたかさにほっとする。自分の中の、未だ存在するややこしくて面倒な部分を、肯定してくれるような気分。たくさんの人に読んでほしい。全員が同じ気分になってくれるとは限らないけれど、同じ気分になった人と話してみたい。

いい!と思ったコメントがあったら、SNS拡散などお願いします。

シェアする


【次点:11件】

書名クリックで、情報・オンライン注文へ

ペンネーム:
しかせんべい
大学・学年:
東京外国語大学 1年
書名:
フラニーとズーイ
著者:
ジェローム・デーヴィド・サリンジャー 村上春樹
出版社:
新潮社
コメント:
私も、この本のフラニーと同じで、とても意地悪になるときがある。周囲の人間がみんな憎き宿敵であるかのように思えてならなくなるのだ。そうしたときは早く帰って寝るほかないと思っていたが、この本には、より普遍的に、人が人に対してどうあるべきかが描かれている。自分がどうしても憎い相手にどう応対するか、その根底には強固な思想が必要かもしれない。

ペンネーム:
モモノスケ
大学・学年:
新潟大学 2年
書名:
カラマーゾフの兄弟(一)
著者:
ドストエーフスキイ 米川正夫訳
出版社:
岩波文庫
コメント:
この小説には山場がないのではあるまいか。少なくともこの一冊を通して緊張感が途切れることはなかった。
小さな文庫本の上では、一切の甘えを排した、手加減なしの強烈な物語が超高速で進んで行く。目に飛び込んだ活字の毒で一頁目から狂わせられた読者は、どぎつい激動の渦に巻き込まれ、必死になって頁をめくる。紙面には大量の活字が犇めき合っているのに、一頁に要する時間は他の小説と全く変わらない。グニャグニャ曲がりくねって進む話の、どの箇所を取ってみても独特の毒々しさがグロテスクな顔で嗤っている。
二巻が楽しみです!

ペンネーム:
がうっちぃ
大学・学年:
静岡大学 3年
書名:
1杯目のビールが美味しい理由を数学的に証明してみました。
著者:
堀口智之
出版社:
幻冬舎
コメント:
「数学って何の役に立つの?」と疑問に思っている方、必見!!
よく数学的思考力とか言われるけど、数学的に考えるってこういうことか~と納得する。
感覚的なものを数値化してみると、「なんとなく」が確信に変わったり、見えなかったものが見えてきたりしておもしろい!
最近、時間の過ぎるのが早く感じてきたけれどその理由を数学的に説明できますか?
数学的に考えると、80年の人生の半分は16歳になるそうです!なんと、もう過ぎてしまっている!!
気になった方は自分で考えてみるか、本を読んでみてください!

ペンネーム:
ポリフォニー進
大学・学年:
新潟大学 2年
書名:
悪童日記
著者:
アゴタ・クリストフ 堀茂樹
出版社:
ハヤカワepi文庫
コメント:
衝撃的に面白い一作。舞台は戦時中、双子の「ぼくら」の生き抜き方が記された日記形式の小説である。読みやすい独特の文体と、軽快でシニカルなユーモアに一気に引き込まれる。一方で生死・飢え・男色・識字率・上下関係・万引きなどの多様なメッセージが盛り込まれている。淡々とした事実描写がこれほどまでにつらく、読んでいてきつかったことはない。精神的に強いことと、傷つかないことは必ずしも同義ではないと再認識させられた。過激な描写も多いが、必要な描写しかない。彼らの生き方を受け止める覚悟がある人に是非読んでほしい。

ペンネーム:
エリー
大学・学年:
お茶の水女子大学 2年
書名:
愛着障害なのに発達障害と診断される人たち
著者:
岡田尊司
出版社:
幻冬舎新書
コメント:
自分が愛着障害なのではないかという疑念から選んだ本だが愛着障害になる親との関係が自分の生育環境に当てはまっていたり、気まぐれで子供の感情に対して一貫性のある対応をしない親という特色が養育者の特徴として当てはまっていて驚いた。発達障害の数が現代において 多くなっているのは発達障害に対する理解が進んだことだとよく言われているが、社会的体験の機会が電子機器の普及により映像情報メディアと接する時間に取って代わられ、社会への関心や 人と関わることの楽しさ の体験も要因ではないかと考えた。

ペンネーム:
本読むひよこ
大学・学年:
東北工業大学 1年
書名:
「役に立たない」研究の未来
著者:
初田哲男 大隅良典 隠岐さや香 柴藤亮介
出版社:
柏書房
コメント:
私はこの本を読み終えて、高校生時代の出来事を思い出した。それは、学びたい科目を大学受験で使わないがために選択できなかった出来事だ。大学受験において、理科や社会などの科目内の組み合わせが固定されていることに残念に思った覚えがある。それこそ、その科目は私にとって「役に立たない」と言われたのだ。本書では研究者の研究費格差の問題や「役に立たない」研究について座談会が行われた様子をまとめたものである。いずれ研究に携わる身として、やりたいことをやるを実現できるよう日々の学習に真剣に取り組みたい。

ペンネーム:
けまちゃん
大学・学年:
岡山大学 1年
書名:
恋とか愛とかやさしさなら
著者:
一穂ミチ
出版社:
小学館
コメント:
相手を分かるってどういうことだろう。この本を読んで私は疑問に感じた。本当に相手を分かることって出来ないのではないかと思う。そもそも、自分のことを本当に分かっている人はいない。そんな気がした。しかし、相手のことを分かっていると感じてしまうことがある。それは、自分の中の相手の虚像であって現実ではないと思う。私は相手のことを分かり切ろうとする必要はないと思う。まあいっかも大切なんじゃないかな。

ペンネーム:
樋口景子
大学・学年:
早稲田大学 2年
書名:
ドグラ・マグラ
著者:
夢野久作
出版社:
早川書房
コメント:
新学期から2ヶ月、大学生活にも慣れてきた。そんな此の頃、刺激の足りていない大学生諸君。荒療治ではあるが手っ取り早く刺激を手に入れるには、この本が最適だ。劇薬につき副作用も激しく、摂取量・服用時期には注意されたし。万が一(いや、万に九千九百九十九)精神的ショックを受けて、人格、思想、髪質諸々が以前と変わってしまったとしても、私は責任を取ることができない。それでも私の道連れに、貴君に本書を薦めたい。
さぁ貴方もご唱和ください。スチャラカ、チャカポコ。チャチャラカ、チャカポコ。

ペンネーム:
氷刄
大学・学年:
龍谷大学 1年
書名:
傲慢と善良
著者:
辻村深月
出版社:
朝日新聞出版
コメント:
この本の中には「自分」がいた。他人と比較してしまって感じている劣等感‥相手に幻滅されてしまうのではないかという怖さ‥場所や人によって顔を使い分けている中で”本当の自分”はどこにあるのか‥あと数年で社会人として大いなる責任と向き合わなければならないという焦り‥大学生になっていつまでも高校生の気分が抜けなくて周りにいる人が眩しく見えたり‥もう自分は”大人”なんだという現実‥。繊細な言葉で心が洗われるような掻き乱されるような複雑な気持ちになった。この本は間違いなく”自分の人生の中で大切にしたい本”だ。

ペンネーム:
さぼてん姫
大学・学年:
名古屋大学 4年
書名:
午後のチャイムが鳴るまでは
著者:
阿津川辰海
出版社:
実業之日本社
コメント:
利益になるものだけやるなんて、浪漫がなくてつまらないと思っていた。何の役にも立たないからこそ素敵なのだと。
それなのに就活で、面接官に「なんで文学部なの」「なんで部活をやめたの」などと聞かれるたび、心がチクチクする。求められているのは将来の糧になる『正統派キラキラ青春時代』なんだと感じて、自信をなくしていた。
そんなとき、この本に出会い、馬鹿馬鹿しいものに情熱を傾ける、愛すべき高校生たちの姿に勇気づけられた。すべてが何かに繋がらなくてもいいんだと、どんな青春も肯定してくれる一冊だ。

ペンネーム:
みつばち
大学・学年:
新潟大学 2年
書名:
大人のための国語ゼミ 増補版
著者:
野矢茂樹
出版社:
筑摩書房
コメント:
私たちは毎日、当たり前のように日本語を使っている。しかし、毎日毎日使っているにも関わらず、自分の言いたいことが相手に伝わらなかったり、相手の言わんとしていることが呑み込めなかったりする。この本はそんなもどかしさから解放されるための糸口を教えてくれる。それが国語力だ。自分の言いたいことが相手に伝われば嬉しいし、相手の言いたいことが伝われば自分の考えが深まる。言葉をもって人に物事を伝えるのがこんなにも難しく、またこんなにも奥深く、こんなにも楽しいものなのかということを教えてくれる素晴らしい本だった。

いい!と思ったコメントがあったら、SNS拡散などお願いします。

シェアする


「読書マラソン エントリー・コメント投稿のご案内」へ戻る