キングコング 西野亮廣氏と学生との読書推進座談会

今後は絵本の「作り手」(絵本作家)となる瞬間が来た時に・・・。 本業の絵本作家には出来ない事に、自ら挑んだ!・・・(笑)

千葉:高校時代に読んでいたブログのことですが・・・。多分絵本確か書いていらっしゃるときで、絵本が出たのはブログ終わってからなんですけれど、なんかそういう面白いことやりたんだと書いていらっしゃったとか、あとすごく記憶に残っている記事が、全然人の誕生日覚えられないというエピソードもありましたよね・・・。

西野:本当なんですよ、僕。 恥ずかしいんですが、まず人の誕生日覚えられないのと、あと、自分の家の、郵便受けの番号、右に7とか、左に2とか、2桁なんですよ。それがほんとに覚えられなくて、毎回、メモってるんですよ。LINEの自分用のグループつくって、そこをメモ帳にしてるんです。 あと、電子レンジもよく分からなくて、例えば5分温めようとして、ピッて押したら、1分しかないんですよ。ピッと押して1分やって、開けて閉じてまたピッと押して。多分、なんかの設定をすると1回ピッと押して5分にすることできるんですよ。興味が出たら僕、わっといくんですけれども、それ以外のことに関しては本当にだめなんですよ。自分の誕生日も本当に興味がないから・・・。自分の誕生日は大体、誕生日だねって言われるから、ああ、今日か!っとなるんですけれど、無理ですね。誕生日覚えられないですね。

千葉:先ほど、憧れの人が読んでいる本を進んで読むと言われてましたが、自分がそれを薦めることはあるんですか。

西野:あります、あります! この本、むちゃくちゃ面白いよって。いっぱい読んでてはまった本は薦めますね。あ、どの本かということですか?

千葉:まあ、そういう話も聞いてみたいなあと思うんですけれど。今、UFOの話があったんですけれど・・・。

西野:UFOはね、1冊の本じゃないですよ。UFOを語るときはUFOの本だけを読むんじゃなく、第二次世界大戦のことを一回勉強しなきゃいけないんですけれど・・・(笑)。これは、人に薦めてもあんまり面白い本じゃないんですけれど。資料として読破しましたね。

千葉:結構 読んでる中で、UFOを読んでたんだけど、戦争の話もって感じでどんどんつないでって…。

西野:あ、それはあります。あ、ナチスってそうなってたんやとか。それはありますね、芋づる式にこれ知ったら、これも知りたい、これも知りたいとか。それはありますね。

千葉:今、絵本を実際に作られたということなんですけれども、本がいわゆる読み手であったことから今度は書き手に・・・。 書き手になったときの、本に対する考え方とか感じ方というのは、何か心境の変化とかありましたか。

西野:ああ、ありましたね。タモリさんと二人で飲んでて、タモリさんに「おまえ、絵を描け」って言われまして、絵描くって面倒くさそう「嫌ですよ。興味もないし、嫌ですよ」って言ったんですけど、 そこから二人で絵本の話ですごく盛り上がったんですよ。タモリさんに俺、「絵を描くのはあんまり好きじゃないですけれど、物語書くのは結構好きですね!」って言ったら、「じゃあ、絵本作ってみるか。自分で作ってみよう」ということで話がまとまって、絵本を出すことになったんですよ。 なったんですけれども、子どものときに、マルチタレントというか、絵本を出すタレントさんって、ちょっと「うっ!」っていうのがあって(笑)。「ちゃんと本業やれよ」って。 じゃあ、自分が出す以上、そのしっぺ返しが来るよな。同じように絶対思われるなあと思って、それを黙らせる最低ラインとして、絵本作家さんには絶対勝たなければいけない、プロに勝たないと、そこには乗り込んでいけないと思ったんで、絵本作家さんにまず勝とうと思ったんですよ。

勝とうと思ったときに、そういえば僕、絵の勉強もしたことないし、出版のノウハウも知らないし、勝ってるとこ全然ないなと!(笑)。画力負けてる・・・、ノウハウ負けてる・・・、つながりもない・・・。どこ勝てるかなと思ったときに、あ、時間なら勝ててるな!と。時間って、1冊の制作にかけられる時間ですよ。本業とされている方は、結構な頻度で出していかないと思うのですが、これを副業と位置付けている人は、1冊に10年かけることだってできるじゃないですか。それって絵本作家さんにできないことだから・・・。じゃあ時間のかかるやつ作った方がいいなって。 それで、物語を長めにして、ペンも一番細いペンを買ってきて、1枚の絵を描くのにすごく時間がかかった。つまり、時間がかかるように作ったんです。書いた後は「はい、書いた、終わり」「あとは出版社さん適当に売ってください」って言うのは、自分の作品に対して「育児放棄」だという感じがして、それだけはしたくないと思ったので、半永久的に売れるシステムをちゃんとつくろうと思ったんです。

本屋さんって、出版して最初にうちは、(平積み)積まれているんですけれども、時間が経ったら縦に積まれるようになって、もう少し時間が経ったら枠が縮まっていって、そういうことで回ってるじゃないですか・・・(笑)。じゃあ、やっぱ本を売る賞味期限っていうのは、多少あるんだと思ったんです。

そこで僕はまず絵本をどうやって売ろうかと思ったときに、面白い絵本書くのは当たり前の話で、どうやって届けるかというのを真剣に考えたんですね。その当時みんな本が売れないみたいなことを言ってたんで・・・。 

本を本として売るのはあきらめてというか、本を本として売れたらラッキーぐらいに位置付けといて。 例えばライブ行ったときに、ライブタオルとか買っちゃったりするじゃないですか。観光地行ったときに、三角のペナントみたいなの、いらんかったのに、せっかく来たしと思って買う。 シンガポール行ったときに、マーライオンの置物買ってきたり・・・。 正直 いらないです。でも、あれって思い出を買ってると思うんです。

本を本として売る方法が一つと、本を思い出として売る方法として、原画展を無料で開催して、出口で本を置くと、原画展に来た人は、本を買っていってくれるんです。これは本を思い出として売る方法なんですけれども、1回それをやったときに、すごくばーっと売れて、あ、「これいい」ってなって。そっから、原画のリースを無料にして、全国で誰が原画展をやってもいいですよという状態にして、私やります、僕やりますって手を挙げてくださったら、僕から原画をお送りして、その代わり出口で絵本だけ置かしてもらっています。

現在、各地で僕の原画が、転々としているんですよ。大分でサラリーマンの方が主催者の原画展やったりだとか、長崎で高校生の女の子がやったりだとか。名古屋で中学生の男の子がやったりだとか。そうやってるうちは、本がずーっと売れるだろう、と思ってやりました。