東北大学文学部
人間科学研究科院生 2年
趙琳さん
本作は岩波書店出版社出版の『宗教』というシリーズの第8卷である。「宗教」の視点から世界を見て、神から王へ、神権から人権へ、宗教の力で世界の秩序を作ってくれたことを明示された。さらに、個人的から団体へ、また政治的な場面も普及されて、権力から暴力を生み出したということを明示された。つまり、宗教は暴力の源泉となることを明らかにした。
しかし、もともと多くの宗教は愛から出発し、戦争を憎み平和を祈っている。宗教は平和と暴力のはざまにあり、平和を求めながら戦争を起こす。この平和と戦争ともにかかわる宗教の両義性を歴史的な展開から検討し、現代の事例(例:アメリカ―イラク)まで分析する。様々な問題の解決の途を考えられる本と思う。
「平和は奇跡である。闘争本能をもつ人間が他者と争うのは、むしろ自然すぎるほど自然なことであり…不安は、個人的なレベルでも、集団的なレベルでも、つねに平和にとって最大の手機である。」(P251)平和を求めるために、その反対面の暴力を認識する必要もあると思う…
※所属・学年は企画当時(2015年)のものです。