米山高生の若い研究者にお薦めしたい本たち ~進路を迷うアナタにも~

『くだらないものがわたしたちを救ってくれる』
キム・ジュン(米津篤八=訳)

表紙

柏書房
定価1,870円(税込)

 
新しい問いを生み出すのが科学の特徴。「わたしがプログラミングを使って生物学の研究をしているように、物理学や化学の観点から、あるいは美術や音楽といった畑違いの分野の観点から生物学を見つめるとき、わたしたちは現代でこそ答えることのできる新しい問いを探すことができる」(60頁)。
著者はC.エレガンスという線虫を扱う若き生物学者。研究費獲得の苦心談の他、若手研究者にとってたくさんの「あるある」話が語られている。「科学とは、わたしたちが生きる世界をよりよく理解するため、世界に問いかける方法を学び、それから得た答えをもとに、また新たな問いを探す、たゆみない過程だ」(165頁)という言葉には説得力がある。