私が研究者を目指していた頃、研究者としての世界観に影響を与えてくれた本がいくつかありました。それらは、必ずしも自分の専門に関する本ではなく、時代の大きな変化を感じとることができる本でした。しかしそれらの本たちを研究職に興味をもっている若い世代の皆さんにここで薦めるつもりはありません。
このコラムでは、古典や偉い先生の書いた「過去の本」ではなく、皆さんと同じ世代、あるいはちょっと先輩にあたる人の書いた本を中心に紹介したいと思います。研究職に進むと決めている人ばかりでなく、進路を迷っている人にも是非読んでいただきたいと思います。研究職の魅力が高まり、研究に向き合う若者がひとりでも増えることが、この国の将来にとって、ひいては未来の世界にとって大事だと考えるからです。
米山 高生(よねやま・たかう)
「保険とリスクマネジメント」および保険ビジネスの歴史が主な研究分野。
業界紙で戦前の保険史料にもとづくエッセイを連載中。
最近、大学を定年退職して、専門外の分野の読書量が増えたことを喜んでいる。またオペラやオーケストラの鑑賞にも時間がさけることになったのは、歳をとったことへのご褒美だと勝手に思っている。
全国大学生活協同組合連合会副会長。