米山高生の若い研究者にお薦めしたい本たち ~進路を迷うアナタにも~

『異彩を、放て。ーー
「ヘラルボニー」が福祉×アートで世界を変える』松田文登、松田崇弥

表紙

新潮社
定価1,650円(税込)

 
社会における問題を解決するために立ち上がる若い人たちを見ると応援したくなる。双子の松田兄弟は、障害をかかえた兄を持ち、兄をとおして社会の不条理に直面しながら、成長した。その道は、けっして平坦ではなかった。二人は、障害をもつ兄とむかいあうことで、新しい価値観を生み出した。障害者の異彩を放つ創造力を「商品」に仕立てることによって、障害者が自立するための仕組みを作るのが、ヘラルボニーだ。私がこの本を読んだ時はまだコロナ禍が冷めやらぬ時期だった。彼らが障害者からむしろ助けてもらっているという逆転した思想に驚いた。だが、2025年においては、すでに世界的にヘラルボニーの存在が認められるようになっている。仕事について悩んでいる方は、本書を読んで、仕事というものが多様で広い意味を持っていることを知ってほしい。