「高校生×大学生座談会」(2025年開催)
勉強と部活と、高校生活で大切にしたいこと

「部活が忙しくて勉強時間が足りない」「課題はいつもギリギリ…」「自分に合う参考書ってどう選べばいいの?」
高校生活では、勉強や進路に関する悩みや不安が尽きないものです。そこで今回は、高校生3名と、現役大学生3名による座談会を開催。難関大学に合格した先輩たちに、高校生たちの質問に答えていただきました。勉強の進め方から大学選びの決め手まで、受験~大学生活の役立つヒントが満載です。
〈高校生〉
- 鎌田穂花さん(東京都立国分寺高等学校1年)
- 髙野万葉さん(東京都立国分寺高等学校2年)
- 榎本百花さん(東京都立国分寺高等学校2年)
〈大学生〉
- 吉野佑海さん(東京大学農学部3年)
- 小栗実紗さん(慶應義塾大学法学部4年)
- 橋本真旺さん(早稲田大学商学部2年)
Contents
先輩たちの高校時代と勉強スタイル
本日はお集まりいただきありがとうございます。まず、大学生の皆さんから自己紹介をお願いします。

東京大学農学部3年
吉野佑海さん(以下、吉野さん):
東京大学3年の吉野佑海です。高校時代は合唱部に所属していました。それほど厳しい部活ではなかったので、楽しみながら勉強もほどよく両立させていたかなと思います。よろしくお願いします。

慶應義塾大学法学部4年
小栗実紗さん(以下、小栗さん):
慶應義塾大学4年の小栗実紗です。高校では演劇部、奇術部を兼部していました。私は内部進学だったので、主に学校の授業の復習と、定期的に行われる実力テストに向けた勉強が中心でした。よろしくお願いします。

早稲田大学商学部2年
橋本真旺さん(以下、橋本さん):
早稲田大学2年の橋本真旺です。高校時代は駅伝部に所属していて、部活がかなり忙しかったので、日常的な勉強はあまりできていませんでした。定期試験の前に集中的に勉強するスタイルでしたね。よろしくお願いします。
高校生の皆さんも自己紹介をお願いします。

東京都立国分寺高等学校1年
鎌田穂花さん(以下、鎌田さん):
国分寺高校1年の鎌田穂花です。水泳部に所属していて、最近は音楽を聴くことにはまっています。よろしくお願いします。

東京都立国分寺高等学校2年
髙野万葉さん(以下、髙野さん):
国分寺高校2年の髙野万葉です。バドミントン部に所属しています。私も趣味は音楽を聴くことと、歌うことです。よろしくお願いします。

東京都立国分寺高等学校2年
榎本百花さん(以下、榎本さん):
国分寺高校2年の榎本百花です。ダンス部に所属していて、週5日くらい活動しています。趣味は劇団四季の舞台を観に行くことです。よろしくお願いします。
大学生の皆さんに高校時代の勉強法について伺います。予習・復習や定期テスト対策など、どのように取り組んでいましたか。
吉野さん:
私は学年ごとにやり方が異なりましたが、一貫して「量より質」を重視して、いかに効率的に勉強するかを考えていました。高校1年のときはコロナ禍で時間があったので、毎日2時間ほどの勉強を習慣化して、復習や試験対策をメインに行っていました。高校2年で一度中だるみしてしまったので、高校3年では大変な状況になりましたが、それでも長時間の勉強は得意ではなかったので、常に「これが合格に繋がるか」を意識していました。例えば、問題を解くときも、解法の方針が立った時点で答えを見て確認するなど、短縮できる部分は効率化していましたね。
小栗さん:
私は高校1年で失敗した経験から、高校2年で勉強法を変えました。高校1年の頃はテスト前に詰め込むスタイルだったのですが、数学などで基礎が身についていないことに気づいたんです。そこから「反復」を重視するようになりました。たくさんの参考書に手を出すのではなく、学校で配られたものや自分で決めた一冊を丁寧に繰り返すことを意識しました。それと、同じ場所で勉強するのが苦手だったので、塾の自習室や学校の教室、図書室と、曜日ごとに行く場所を決め、環境を変えながら勉強を習慣化していました。
橋本さん:
僕の場合はあまり参考にならないかもしれませんが、高校1・2年の頃は部活中心で、テスト前日にしか勉強しないことも多かったです。それでも点数が取れてしまっていたので…。ただ、高校3年になって英語の成績が大学の推薦基準に満たないという問題が出てきて、そのとき自主的に参考書を使って、単語や文法を定着させる勉強をしました。
おすすめの参考書と「自分に合う一冊」の選び方
鎌田さん:
皆さんは、参考書をどのように選んでいましたか。
吉野さん:
学校の先生に聞いたり、自分で調べたいくつかの候補の中から、実際に本屋さんで見て「これをやったら成長できそう」と思えるものを選んでいました。
【東京大学・吉野さんのおすすめ参考書】
日本史

『時代と流れで覚える!日本史用語』
(文英堂)
世界史

『時代と流れで覚える!世界史用語』
(文英堂)
世界史

『各国別世界史ノート』
(山川出版社)
国 語

『読んで見て聞いて覚える 重要古文単語315』
(桐原書店)
国 語

『基礎から解釈へ 漢文必携』
(桐原書店)
英 語

『鉄緑会東大英単語熟語 鉄壁』
(KADOKAWA)
数 学

『フォーカスゴールド』(啓林館)
小栗さん:
私も先生におすすめされたものの中から、最終的には本屋さんで選びました。私はカラフルなものやイラストが多いほうがやる気が出るタイプだったので、雰囲気も重視していましたね。無理に高いレベルのものは選ばず、少しレベルを下げてでも「ちゃんと理解できた」という自信を持って進められるものを選ぶようにしていました。
【慶應義塾大学・小栗さんのおすすめ参考書】
日本史

『山川一問一答 日本史』
(山川出版社)
世界史

『山川一問一答 世界史』
(山川出版社)
漢 文

『漢文ヤマのヤマ』
(学研プラス)
古 文

『マドンナ古文単語230』
(学研プラス)
数 学

『サクシード』
(数研出版)
英 語

『基礎からの新々総合英語』
(数研出版)
英 語

『大学受験のための 英文熟考』
(旺文社)
英 語

『やっておきたい英語長文700』
(河合出版)
橋本さん:
僕はYouTubeの「参考書ルート」のような動画を参考にしました。多くの人が「良い」と言っている参考書は、やはり良いものが多いので、ミーハー的な発想で選ぶのも一つの手だと思います。
【早稲田大学・橋本さんのおすすめ参考書】
英 語

『システム英単語』
(駿台文庫)
英 語

『速読英熟語』
(Z会)
英 語

『Scramble』
(旺文社)
英 語

『TOEIC L & R TEST 出る単特急
金のフレーズ』(朝日新聞出版)
部活と勉強の両立
鎌田さん:
私は水泳部に所属していて週5日で活動があり、拘束時間が長くて、なかなか勉強時間が確保できません。こういう状況のとき、課題などはどう進めたらいいでしょうか。
吉野さん:
私は勉強時間を極力少なくしたかったので、常に「どうすれば最短で終わらせられるか」というゴールを意識していました。問題を解くときはストップウォッチを置いて時間を計ったり、「何分で解く」と意識するだけで、スピードはかなり上がります。課題に対して完璧を求めすぎないことも大切です。「今の自分にとって、この課題にどこまでこだわる意味があるのか」を考えて、力の入れ具合を調整するのも良いと思います。
小栗さん:
忙しいときに一番問題なのは、勉強時間が取れないことへの「焦り」や、周りと比べて落ち込んでしまうことでした。私はその焦りを防ぐために、「隙間時間」を活用していました。電車の中やエレベーターを待っている数秒でも単語帳を見ることで、「自分は毎日ちゃんと勉強に触れている」という自信を持つようにしていました。
橋本さん:
僕は、部活や学校行事を優先していいと思っています。将来的な思い出として残るのは、そちらのほうだと思うので。ですから、課題は最小限の労力でこなすべきだと考えています。例えば、翻訳ツールやAIを上手く使うのも一つの手です。その上で、まずは志望大学の合格レベルと自分の現状とのギャップを正確に把握し、やるべきことをリストアップして最短ルートで取り組むのが効率的だと思います。
大学生の皆さんは、高校時代の通学時間はどのように活用していましたか。
吉野さん:
その時々で使い分けていました。ドラマを観るなど、学校に行くモチベーションを上げるための時間にしていましたが、テスト前は勉強時間に切り替えることもありました。
小栗さん:
頭がスッキリしている朝の登校中は勉強、疲れている下校中は息抜き、と使い分けていました。勉強するときも「20個の単語を一度に覚える」のではなく、「毎日1回は必ず目を通す」というように、何回も繰り返すことを意識していました。
橋本さん:
テスト前以外はほとんど勉強していませんでした。陸上競技の理論に関する本を読んだり、練習メニューを組み立てたりと、部活に関するインプットの時間にしていました。
課題はいつ終わらせる
髙野さん:
皆さんは、学校の課題を提出日のどのくらい前に終わらせていましたか。私はいつもギリギリになってしまいます…。
吉野さん:
恥ずかしながら、私も大学生になった今でも全部ギリギリです。性格だと諦めて、直前にならないとできない自分を受け入れています(笑)
小栗さん:
私は前日までには終わらせるタイプでした。締め切りに追われるのが怖い、という性格的なものだと思います。余裕をもって提出するために、「いつまでに終わらせるか」だけでなく「いつから手をつけるか」を決めておくと、先延ばしにしにくくなるかもしれません。
橋本さん:
僕は「出された瞬間に終わらせる」と決めていました。理由は単純で、後回しにすると絶対に忘れるからです。最速で一度終わらせておけば、後から修正する時間もできますからね。
大学選びで重要視したこと
皆さんが今の大学を選んだ基準や決め手を教えてください。
吉野さん:
正直に言うと、最初は「偏差値」で選びました。「かっこいいな」という憧れと、自分の成績で手が届かない範囲ではなかったのがきっかけです。最終的な決め手になったのは、東京大学の「進学選択制度」です。入学時点では学部が厳密に決まっていなくて、大学で学びながら自分の本当にやりたいことを見つけられる点に魅力を感じました。
小栗さん:
私はまず付属校を選びました。「受験勉強をしながら大学や学部を調べて、自分のやりたいことと照らし合わせる」という作業が自分の性格上向いていないと思ったからで、じっくり自分の進路を考えられたのは良かったです。その中で法学部を選んだのは、やりたいことが明確でなかった分、社会を広く見る視野を養いたいと考えたからです。
橋本さん:
僕は中学から内部進学です。学部を選ぶ際は、高校時代からビジネス書をよく読んでいたこともあり、将来的に新規事業を立ち上げられる人材になりたいと考え、商学部を選びました。
高校時代にやっておけば良かったこと
今振り返って、「高校時代にこれをやっておけば良かった」と後悔していることはありますか。
吉野さん:
勉強面での後悔はあまりありませんが、一番思うのは「もっと高校生活を楽しめばよかった」ということです。もちろん楽しんではいたのですが、大学生になって電車で高校生を見かけると、本当に輝いて見えて「もっとキラキラした高校生活を送りたかったな」なんて思ったりします(笑)
小栗さん:
コロナ禍で時間がたくさんあったにもかかわらず、「何かに没頭する」ということがなかったのが後悔です。皆さんのように部活に打ち込めるものがあるのは、それ自体がすごく素敵なことで。勉強時間が取れなくて焦ることもあると思いますが、何かに夢中になれたという経験は、ぜひ胸を張ってほしいです。
橋本さん:
後悔は特にないですね。やって良かったと思うのは部活に打ち込んだことです。勉強でも部活でも何でもいいのですが、何か一つでも「やり遂げた」という経験があれば、それが自信となって大学や社会人になってからも「できるはずだ」という自己効力感に繋がると思います。
大学生から高校生へ応援メッセージ
最後に、この記事を読んでいる全国の高校生に向けて、メッセージをお願いします。
吉野さん:
二度と戻れない高校生活を悔いのないように楽しんでほしいです。そして受験勉強では、他人と比べて落ち込むこともあると思いますが、そんなときでも自分を褒めながら、無理のないペースで続けていくことが大切です。世の中には色々な勉強法がありますが、何が正解かは人それぞれ。ぜひ自分なりのやり方を見つけて、自分を大切にしながら頑張ってください。
小栗さん:
大学は、本当に楽しい場所です。高校とはまた違う、多様な価値観を持つ人たちと出会い、自分の興味があることに自由に打ち込める環境があります。受験期は、先生や友達など、周りの人から色々なことを言われると思いますが、そのアドバイスをすべて受け入れる必要はありません。無理に背負いすぎず、最後は自分が決めた道を信じて進んでいってほしいです。
橋本さん:
皆さんには「目標は必ず達成できる」と信じてほしいです。志望校合格という目標に対して、現状の自分とのギャップを正確に把握し、やるべきことをリストアップして淡々とこなしていけば、どんなに高い目標でも到達できます。また、現状の延長線上に未来はないと思って、ぜひ色々なことに挑戦してください。
本日は、これにて終了したいと思います。
ご参加いただきましてありがとうございました。
2025年8月19日リモート取材にて開催
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