特集:第63回全国大学保健管理研究集会「学生シンポジウム」を開催!!

第63回全国大学保健管理研究集会「学生シンポジウム」 開催報告

2025年9月10日 10:20~11:50 @けんしん郡山文化センター

第63回全国大学保健管理研究集会「学生シンポジウム」 開催報告
“学生参加で目指すヘルシーキャンパス”をテーマに、第63回全国大学保健管理研究集会で「学生シンポジウム」が開催されました。
同シンポジウムに登壇された現役学生の皆さんは、初日の開会式のあとの時間帯に約600名もの参加者の前で、堂々と自身の大学でのヘルシーキャンパス活動の取り組みを発表報告されました。そして、その後の討論でもフロアなどからの質問にも的確に答えておられました。多くのの皆さまに感動をお届けできたのはないでしょうか。同シンポジウムも企画された全国大学保健管理協会ヘルシーキャンパス運営委員会の石見拓委員長からは、「来年以降も今回、前日開催した『JUHAヘルシーキャンパスフォーラム2025』とも連携して現役学生の皆さんがアカデミックな領域で自分事で行うヘルシーキャンパス活動を発表していただける機会をつくっていきたい。」とのメッセージの発信がありました。
今回、登壇された5団体の現役学生の皆さんに、発表後のご感想や今後へ向けてのご寄稿や公開できる資料を提供いただきました。ぜひとも一読いただき、学生が大舞台で活躍する姿を垣間見ていただければ幸いです。

第63回全国大学保健管理研究集会

 
第63回全国大学保健管理研究集会
学生シンポジウム
学生参加で目指すヘルシーキャンパス

座長:
高橋 和眞・石見 拓
演者:
立崎 優太・渡邉 真菜・中村 早希・
長谷川 雄紀・佐藤 愛子・廣瀬 直美・
門井 里奈・髙久 春花・柳澤 愛華・米沢 奏夢

HEALTHY CAMPUS
   

はじめに ~「学生シンポジウム」の開催趣旨~

JUHAヘルシーキャンパス運営委員会 石見 拓 委員長
JUHAヘルシーキャンパス
運営委員会

石見 拓 委員長

HEALTHY CAMPUS

近年、「ヘルシーキャンパス」という概念が大学保健管理の分野で浸透してきており、大学内での健康づくりの文化を醸成し、発信する活動が重要視されています。ヘルシーキャンパス活動は、学生が大学の一番の強みであると考えています。前回(第62回)の神戸での研究集会では、学生が主体的に取り組みを発信するセッションが設けられました。今後は、全国各地での活動を広げることを目指し、学生から学ぶ機会を提供することを趣旨としています。
今回のシンポジウムは、その一環として位置づけられています。

前回のようす

スライド

 

学生シンポジウム

  • 9月10日(水) 10:20〜11:50
  • 第1会場(2階中ホール)
  • 座長:石見 拓(京都大学大学院医学研究科 社会健康医学系専攻 予防医療学分野/医学研究科附属ヘルスセキュリティセンター)
              高橋 和眞(岩手県立大学 健康サポートセンター センター長)

学生参加で目指すヘルシーキャンパス


SS1-1 福島大学生協の取り組み~学生主体で広げる健康増進活動の輪~
福島大学 人文社会学群行政政策学類
立崎 優太・渡邉 真菜

SS1-2 若者の性と健康を守る取り組み~one step to OBGYN プロジェクト~
弘前大学 医学部医学科
中村 早希

SS1-3 ウエルネスサポーターとしてのヘルスプロモーション活動の取り組み
盛岡大学 文学部・栄養科学部
長谷川 雄紀・佐藤 愛子・廣瀬 直美

SS1-4 学生主体で行う地域住民の健康のためのウォーキング促進活動
岩手県立大学 看護学部看護学科
門井 里奈・髙久 春花

SS1-5 岩手県立大学看護学部生による健康ダンス「県大イ・ン・ダ」の普及活動
岩手県立大学 看護学部看護学科
柳澤 愛華・米沢 奏夢

 
当日、会場にて発表報告(登壇)されたみなさん
当日、会場にて発表報告(登壇)されたみなさん

 

学生参加で目指すヘルシーキャンパス

SS1-1 福島大学生協の取り組み~学生主体で広げる健康増進活動の輪~

福島大学 人文社会学群行政政策学類
立崎 優太・渡邉 真菜
 
SS1-1
 

(当日の感想など)
今回、このような機会をいただいたことで、自大学における健康増進活動を改めて振り返ることができました。これまでの自分たちの活動は「誰のために」「どんな目的で」行ってきたのかを整理し、客観的に見直すことができたことで、これから活動を続けていくうえでの大切な基盤となりました。同時に、まだ工夫の余地が残されている部分も見えてきて、改善につなげていけるポイントを把握することができました。そして何より、自分たちの取り組みが組合員のためになっていたのだと改めて実感することができ、今後の活動への大きな励みになりました。

また、他大学の発表を聞くことができたのも非常に有意義でした。各大学で実施されている健康増進活動にはそれぞれの地域性や学生の特色が反映されており、同じ「健康」というテーマであっても多様なアプローチがあることを実感しました。例えば、地域住民と連携して進める活動や、学生同士のネットワークを活かした取り組みなど、これまで自分たちとは異なる活動に触れることで、新しい視点やアイデアを得ることができました。こうした他大学の事例に触れたことで、自分たちの活動にもまだまだ広げられる可能性があると気づかされました。今後は今回の学びを活かし、活動の幅をさらに広げるとともに、より多くの組合員に健康づくりの大切さを伝えていきたいと思います。

福島大学生活協同組合

当日資料(PDF):ダウンロードはこちら

SS1-2 若者の性と健康を守る取り組み~one step to OBGYN プロジェクト~

弘前大学 医学部医学科
中村 早希
 
SS1-2
 

(所属団体の紹介)
one step to OBGYNは「自分たちの周囲には産婦人科を受診すべき問題を抱えながらも、その必要性に気づいていない若者や、心理的なハードルから必要な支援や治療にたどり着いていない若者が多い」という気づきから生まれたプロジェクト(サークル)です。学生メンバーと卒業生メンバーを合わせて10名程度の小さな団体です。
若者にとって身近な性の知識や、市内の産婦人科医療機関の情報をまとめた冊子「産婦人科への一歩@弘前」を作成し、弘前大学生に配布しています。
2024年度には「HPVワクチン学内接種プロジェクト」を発足し、約80名の弘前大学生のキャッチアップ接種が実現しました。
 


(当日の感想など)
この活動を通して、自分自身の歩みを振り返ることができ、今まで考えなかった視点にも多く触れることができました。その中で、子宮頸がんワクチン学内接種プロジェクトなど自分の関わった活動を後輩に伝えられていないことに気づき、活動を一度で終わらせず、次の世代へ継承し流れをつなげていくことの大切さを強く実感しました。

(保健学科4年 中山桃花)


講演内容を準備する過程で、改めてこの団体が大切にしている理念を再認識することができました。発足当時を知るメンバーが大学を卒業した後も、新たなメンバーへ理念を継承することで、活動の目的や課題を忘れずに取り組んでいきたいと考えました。さらに、講演内容には「大学にどのように働きかけたのか」や「プロジェクトの経過を示す時間軸」を明確に盛り込みました。講演をご覧になった方々が、これらを参考にしてご自身の活動に活かしていただけたら嬉しいです。

(医学科3年 中村早希)


先輩方が冊子を作る際に大切にされた思いや工夫を知ることができ、特に「冊子がお守りになってほしい」という言葉が印象的でした。先輩方の冊子に込めた思いも大切に受け継ぎ、学んだことを生かしながら、one stepの活動をより盛り上げていきたいです。

(医学科1年 高見一葉)


産婦人科受診ビギナーズブック制作の学生らが学長報告 -弘前大学 
産婦人科受診のためのビギナーズブック – 弘前大学

当日資料(PDF):ダウンロードはこちら

SS1-3 ウエルネスサポーターとしてのヘルスプロモーション活動の取り組み

盛岡大学 文学部・栄養科学部
長谷川 雄紀・佐藤 愛子・廣瀬 直美
 
SS1-3
 

(所属団体の紹介)
私達ウエルネスサポーターは、盛岡大学ウエルネスセンターが行うヘルスプロモーション活動を手伝い、応援する有志団体です。2024(令和6)年度から活動を始め、年に2回開催されるウエルビーイング・フェアでは職員と協働して事前準備や会場設営など運営を手伝っています。ウエルビーイング・フェアとは、学生と教職員に向けた心身の健康の保持増進を広めるためのイベントです。これまで、サポーター企画として「大学生の幸せ」や「生きる術としての逃げ活」を紹介し、参加型のワークショップを行いました。本団体の活動やウエルネスサロン(学生の居場所)の様子は公式インスタグラムで発信しています。今後も情報発信してまいりますので、ぜひフォローいただけますと幸いです。


(当日の感想など)

長谷川 雄紀
まずは、今回の学生シンポジウム参加への機会をいただいたこと、深く感謝いたします。
まさか自分がこのような貴重な機会をいただけるとは夢にも思っていなかったので、やはり運命というものはすぐ側にあるのだなと実感しています。
我々ウエルネスサポーターは、大学生のウェルビーイングを実現するために日々活動しています。また、ウエルネスセンターは発足して間もないですが、サポーターとスタッフが一丸となって、今まさに歴史を作っている最中です。今回のシンポジウムで、多くの皆様にウエルネスサポーターの活動や、その軌跡を周知できたこと、非常に嬉しく思っています。
他大学様の活動内容も非常に参考になるものばかりでした。ゆえに、これで終わりという訳ではなく、今回聞かせていただいた他大学様の活動も参考にしながら、より一層、大学生のウェルビーイングの実現に向けて、精進していきたいと思います。また、今後もInstagram等を通じて、我々の活動の成果を皆様に伝えていきたいと考えています。
最後に、ウエルネスサポーターとの出会い、スタッフとの出会い、そして今回のシンポジウムでの出会いを通じて、やはり、人と人を結ぶのは、絆などではなく、縁なのだとつくづく感じることができました。

廣瀬 直美
この度は、学生シンポジウムに登壇させていただく貴重な機会をいただき、誠にありがとうございました。今回の発表を作成するにあたり、ウエルネスサポーターやカウンセラーの方々をはじめ、多くの方々にご協力をいただきました。無事に発表を終えることができたのは、皆さまのご支援のおかげです。心より感謝申し上げます。
他大学の発表を聞く中で、今後の活動に取り入れたいアイデアがたくさんあり、大変良い刺激を受けました。特に、岩手県立大学の発表にあった「県大イ・ン・ダ」については、今後の活動にぜひ取り入れたいと思いました。また、岩手県立大学とは近隣の大学であることを活かし、今後交流や連携の機会を持てればと思いました。
今回の発表を通じて、自分自身の健康についてはもちろんのこと、周囲の人々にも健康でいてもらうためにはどうすればよいかを考えるきっかけとなり、その実現に向けたアイデアもいただきました。この経験は、今後のサポーター活動はもちろん、自身の生活においても非常に貴重なものとなりました。
最後になりましたが、このような有意義な発表の場を企画・運営してくださった大会関係者の皆様に深く感謝申し上げます。

佐藤 愛子
この度は、学生シンボジウムの登壇の機会をいただき、誠にありがとうございます。今回の経験は、パワーポイント作成やサポーター活動を通じての学びだけではなく、多くの方に私たちの活動を知ってもらう貴重な経験となりました。発表に至るまで様々な準備をしてきました。私たちが行ってきた活動を振りかえり、大学生の居場所、ウェルビーイングについてみんなで話し合うことができ、いい機会となりました。発表を通して、私たちが行ってきた活動は、身体的、精神的および社会的にもウェルビーイング向上に繋がっていたことに改めて実感いたしました。サロンという居場所が大学生にとっていかに重要であるか再認識することもできました。
他大学の発表では、色んな活動が行われていてとても参考になりました。特に岩手県立大学の発表では、ウォーキングに参加してみたいと思いました。「県大イ・ン・ダ」は、私たちの活動にも積極的に取り入れて実践したいと思いました。近隣の大学であるため、岩手県立大学との交流も深めたいと思いました。色んな発表を見ることで自分自身の健康に対する意識もより一層高まりました。今後の活動も多くの学生が心身ともに健やかに学生生活が送れるよう私たちの活動も充実させていきたいと思いました。
最後になりますが、登壇の機会を下さった福島大学 片山先生、座長をして下さった京都大学 石見先生、岩手県立大学 高橋先生、本研究集会関係者の皆様、スライドの確認や発表の準備を手伝いしてくださった長瀬先生、石亀先生に深く感謝申し上げます。

SS1-4 学生主体で行う地域住民の健康のためのウォーキング促進活動

岩手県立大学 看護学部看護学科
門井 里奈・髙久 春花
 
SS1-4
 

(所属団体の紹介)
岩手県立大学看護学部では、2021年度から滝沢市と協働し、学生・教員の有志が「健康のためのウォーキング促進活動」を実施しています。春・秋には、学生が作成したマップや運動に関する資料を活用しながら、大学周辺の自然環境を活かしたウォーキングイベントを開催し、ニュースポーツなども取り入れています。その他、気軽に参加可能なミニイベントも開催しています。
イベント参加者からは、健康増進に加え学生との交流を楽しみにする声が寄せられています。今後は多世代が参加しやすく、健康増進活動を継続できる環境づくりを目指しています。



(当日の感想など)
このたび学生シンポジウムに参加し、私たちの活動を発表する機会をいただきました。活動を振り返る中で、成果や課題を整理することができ、自分たちが主体的に取り組んできたからこそ、楽しさやモチベーションを保ちながら継続できたのだと実感しました。
他大学の学生の発表を聞く中で、主体性のあり方について学ぶことができました。本学では地域住民を対象に活動を行ってまいりましたが、他大学では在学生を対象に取り組んでおり、本事業とは異なる視点や取り組みに触れることで、学生が主体となる活動の可能性の広がりを強く感じました。また、大学同士で交流し、「一緒に活動したい」との思いが合致し、横のつながりを得られたことも大きな成果となりました。
一方で、質疑応答では緊急時の責任の所在について質問を受けたことにより、対応の明確化や責任の所在を十分に検討できていなかったことに気付くことができました。
学生が主体的に活動を続けていくためには、安心して取り組める環境が必要です。そのため、具体的な対応マニュアルの整備や責任体制の明確化といった基盤づくりが欠かせないと感じました。
今回の経験は、学生の主体性や意欲の維持や、安全な活動の展開について考える貴重な機会となりました。この経験を活かし、活動の改善点を見つめ直し、今後の発展につなげていきたいです。

当日資料(PDF):ダウンロードはこちら

SS1-5 岩手県立大学看護学部生による健康ダンス「県大イ・ン・ダ」の普及活動

岩手県立大学 看護学部看護学科
柳澤 愛華・米沢 奏夢
 
SS1-5
 

(所属団体の紹介)
岩手県立大学看護学部にて活動しているチームインダは、岩手県滝沢市健康こども課から依頼を受けて作成した「県大イ・ン・ダ」を普及する活動を行っています。滝沢市が作成した「滝沢市公認ダンス『健康ダンスイ・ン・ダ~All The Love~』」を誰でも踊れるように、岩手県立大学看護学部の学生が作成しました。
現在は滝沢市内のいきいきサロンやウォーキングチームとの合同イベントにて参加者とともに踊ったり、リレーフォーライフきたかみや滝沢市のイベントでステージ発表を行ったりして普及活動を行っています。



(当日の感想など)
柳澤愛華
この度は発表という貴重な機会をいただきありがとうございました。発表を通じて会場にいる方々に私たちが行っている活動を伝えることができ、また暖かいお言葉もいただきとてもうれしく思います。発表準備から発表までの一連の活動を通して、これまで自分たちが行ってきた活動や成果を確認することができ、大変貴重な機会となりました。また、他大学の活動内容や質疑応答から様々なことを学び、今後の活動へ良い刺激をいただきました。今回得た学びを下の学年にも継承しながら、県大イ・ン・ダのさらなる普及活動へと励みたいと思います。

米沢奏夢
このたびは学生シンポジウムの演者として発表の機会をいただき、誠にありがとうございました。発表準備をする中で、今まで行ってきた活動を振り返り、活動の成果を改めて実感することができました。また、他大学の学生の方の発表を拝聴させていただき、学生が主体となり、大学や学生生活をより良くしようと取り組まれているご様子から、多くの学びを得ることができ、大変貴重な時間となりました。今回の経験を励みに、県大インダの活動をさらに周知していただけるよう活動を続けていきたいと思いま
す。

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