今月のナイスコメント(2025年7月)速報

2025年9月10日現在
 
7月に投稿されたコメント578枚から選考しました。
選考は、大学生協の全国学生委員出版甲子園学生メンバー(特別協力)、書籍担当職員、顧問をお願いしている先生で行いました。

ナイスコメント一覧はこちら
 

ナイスコメント:4件
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表紙
ペンネーム: よもぎ
大学・学年: 同志社大学 4年
書名: 本が読めない33歳が国語の教科書を読む
著者: かまど みくのしん
出版社: 大和書房
コメント: 
こんな風に読書を楽しんでいいんだ!という気持ちにさせてくれるシリーズ。自分のことを感受性豊かな人間だと思っていたけれど、みくのしん氏には負ける。彼のような本を1文ずつ楽しめる人が、国語の授業を苦しく思っていたことが悲しいとさえ感じる。わからないことをわからないと言えるみくのしん氏と、隣で向き合い続けるかまど氏の温かい読書体験に参加させてもらえて嬉しい。読書とはなんだろう?私たちは、母語である日本語から、何を得るのだろうか?
…というOPが聞こえた気がしました。
表紙
ペンネーム: エゾヒト
大学・学年: 東京外国語大学 1年
書名: 華氏451度 新訳版
著者: レイ・ブラッドベリ 伊藤典夫
出版社: ハヤカワ文庫
コメント: 
書物の所有が禁じられ、焚書が一般化した世界。人々は単純化し圧縮された娯楽を浴びるばかりで、思考を手放していた。この舞台はある意味で現代とよく似通っている。ショート動画に溺れ、ファスト教養で全てを知った気になるような現代人が鋭く風刺されているのだ。原書の刊行は1953年。私たちは今まさに、ブラッドベリが70年前に予測したディストピアを生きている。華氏451度。紙が自然発火する温度。現代社会の温度はどれほどであろうか?
表紙
ペンネーム: 本を読む看護学生
大学・学年: 新潟大学 2年
書名: いけない
著者: 道尾秀介
出版社: 文春文庫
コメント: 
読書の面白さを実感したことのない人は、きっとこの本で沼に堕ちる。
読者とは究極の傍観者だ。めくるめく物語を、妨害も手助けもできずただ見る。活字表現を脳の中で五感に変換する手間もある。特有の疎外感と手間。しかし、それは我々を「神の視点」に導いてくれる。出来事はすべて開示され、秘密を我々だけが握っている。解釈も、我々に委ねられる。究極の傍観者にしか見つけられない真実。発見したときの罪悪感と興奮。「◯◯してはいけない」のタブーに隠れた秘密と罪を暴いた頃には、「究極の傍観者」の甘美さにすっかり中毒だ。
表紙
ペンネーム: ぜう
大学・学年: 西南学院大学 3年
書名: すべての、白いものたちの
著者: ハン・ガン 斎藤真理子
出版社: 河出文庫
コメント: 
「白いものについて書こうと決めた。」という書き出しで本書は始まる。いきなりどうしたんだ、というのが読み始めたときの正直な感想であったし、パラパラとページをめくると本当にひたすら「白いもの」が綴られていて面食らった。一体何のために、という気持ちを脇に置いて読み進めるほどに、それまで脈絡のないように思えた各節が繋がり、一本の道となってまっすぐ伸びてゆく感覚を覚えた。産まれて間もなくして亡くなったという姉について、彼女が知ることのなかったその未来が淡々と綴られてゆく。なるほど、これがノーベル文学賞か。
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次点:12件


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表紙
ペンネーム: もも
大学・学年: 富山大学 2年
書名: キッチン
著者: よしもとばなな
出版社: 角川文庫
コメント: 
この作品は飯テロも素晴らしい。とりわけ輝く飯テロはカツ丼だった。「固めに炊き上げられた米とカツが…」てかてかと瞬くカツの衣が脳裏に鮮明に浮かんで、その日の私の夜ご飯はカツ丼になった。これはただの「うわーカツ丼食べたい!!」というカツ丼への衝動ではなかった。私は主人公の「これをあの人にも食べさせなくては」という愛が生み出す使命感や疾走感の味を思い出したくなったのだ。
大切な人とキッチンに立つ。ご飯を食べる。それだけで100倍温かくて美味しい。そういう瞬きを見せてくれるのがこの作品の魅力であると感じた。
表紙
ペンネーム: かわなぎ
大学・学年: 岩手大学 2年
書名: 桐島、部活やめるってよ
著者: 朝井リョウ
出版社: 集英社文庫
コメント: 
もっと早く読めば良かった気がするし、今になってから読んで良かった気もする。高校にいた時に感じた閉塞感やいつも誰かに感じていたコンプレックスは僕だけのものではないということをこの本を通じて過去の自分に伝えたいと思った。しかし、今になってこの本を読むと、あの時の息苦しさも含めて青春であり、あの小さな世界で起きていたことが自分にとって良い思い出になっていることを、しっかり記憶の中から掘り出してくれたように感じた。
表紙
ペンネーム: 幸せ系研究室
大学・学年: 富山県立大学 大学院
書名: 鬼強ギャルマインド 心にギャルを飼う方法
著者: 赤荻瞳
出版社: SDP
コメント: 
表紙が可愛すぎたのと、よく「発想がギャル」と言われるので読んでみました。ほんっとーーーに読んでて楽しかった!!もう、共感の嵐。今まで何となく感覚的に持っていたものがすごく言語化されたって感じです。面白かった。周りに、いつも明るい人いるなー、なんでだろー?と思う人がいる方はこれを読んでみたらいいと思います。きっとその人の頭の中はこうなっています。
表紙
ペンネーム: なとり
大学・学年: 北海道大学 4年
書名: 魔女裁判の弁護人
著者: 君野新汰
出版社: 宝島社
コメント: 
このミス大賞の隠し玉。魔女裁判が横行していた時代に論理の力で立ち向かうリーガル本格ミステリなのだが、作中でも繰り返し述べられている通り、この時代の裁判はどちらかと言うと民衆や裁判官の心情に依るところがほとんどであり、その中でいかに論理を成り立たせるのかというのがミソ。また、設定を活かしたロジックから容疑者を絞っていくフーダニットとしても(一部ロジックには疑問が残るが)よく出来ている。同様な趣向の榊林銘「毒入り火刑法廷」と比較してみるのもなかなか面白い。
表紙
ペンネーム: たま
大学・学年: 京都大学 4年
書名: ポトスライムの舟
著者: 津村記久子
出版社: 宝島社文庫
コメント: 
主人公・ナガセは、薄給の工場に勤務したあと友人が経営するカフェでバイトし、帰宅後は内職をしている。そんななか、世界一周の船旅の費用が工場の年収と等しいことに気づき、一年かけて貯金をしようと決心する。ほんとうの豊かさとはなんなのか?日々を愉しむにはどうすればよいのか?家庭や子どもを持った友人との関係はどのように変わっていくのか? 社会人の主人公は自分とは遠い存在だと思っているあなた!バイトに明け暮れ、節約を試みる大学生なら共感できるはず!
表紙
ペンネーム: めんだこ
大学・学年: 龍谷大学 2年
書名: カフカはなぜ自殺しなかったのか?
弱いからこそわかること
著者: 頭木弘樹
出版社: 春秋社
コメント: 
カフカはずっと絶望していたのに、自殺しなかった。たくさんの有名作家たちが自殺をしている中、彼は自殺をせずに生涯を終えている。それはなぜなのかを、カフカの人生、文章から探る一冊である。大変読みやすく、面白い本だった。読了後には、良い映画を一本見終えた以上の満足感があった。カフカという人、彼の人生は、誰よりも、どんな小説よりも魅力的だった。ずっとネガティブだけれど、そのネガティブの中に人間的な揺らぎがある。雨のようなカフカの言葉に触れて、なぜか少し元気になった。
表紙
ペンネーム: モモノスケ
大学・学年: 新潟大学 2年
書名: ことばが劈かれるとき
著者: 竹内敏晴
出版社: ちくま文庫
コメント: 
大抵の人は舌先三寸で話す。その声に力はなく、相手に届く前に地面に落ちる。だから自分をひらき、心の底からの声で話すべきだ、という。確かにそうだろう、できたら自他ともに気持ちがいい。でも…。本当の声で話すのは怖い、と言うより、できない。だって本当の声は他人の目を意識した見せる自分ではなく、偽りのない裸の自分だから。聞かせる相手と場所を選ぶものではないか。全存在を賭けて自分をぶつけるわけだから、かわされたり受け流されたりしたら心が折れる。最悪の感想だが、本当の声は本当の時に出すものだと私は思う。
表紙
ペンネーム: あさぎ
大学・学年: 富山大学 3年
書名: さみしい夜のページをめくれ
著者: 古賀史健 ならの
出版社: ポプラ社
コメント: 
自分の進路に悩んでいたときに、大学生協の書店で出会った本です。タイトルと装丁に一目惚れして、読むことを決めました。読書や学び、価値観や考え方の違い、生きることなど、大切なことを思い出させてくれるような本でした。海をイメージした世界観がとても心地良く、挿絵も可愛らしかったです。読んだ後、心が軽く、爽やかな気持ちになりました。易しい言葉で、物語調で書かれているため、子どもから大人まで、ワクワクしながら読めそうな本だとも感じました。
表紙
ペンネーム: しゃんしゃん
大学・学年: 早稲田大学 2年
書名: 差別はたいてい悪意のない人がする
見えない排除に気づくための10
著者: キム・ジヘ 尹怡景
出版社: 大月書店
コメント: 
「逆差別」や「公正な」差別(正規雇用と非正規雇用の賃金格差等)といわれるものはほんとに存在するのか、肯定されうるものなのかなどが非常に論理的かつ、わかりやすく説明されている本。差別とはあくまで社会構造によるものであり、感情の問題ではない。決して人を差別しないようにするために、自身の中の差別意識や社会の構造をとらえ、誰かを踏んでいないかを常に内省するにあったて助けとなる一冊。
表紙
ペンネーム: あおりんご
大学・学年: 名古屋大学 3年
書名: スノードームの捨てかた
著者: くどうれいん
出版社: 講談社
コメント: 
私はつながりのない短編小説集の良さがわからないでいた。短い物語はあっという間で、没入しきる前に終わってしまうから。しかし、この作品を読んで気がついた良さがひとつある。それは、小説の中の”日常のかけら”が自分の生活に現れたときの感動だ。この作品には、他人が道で落として散らばったマッチを拾うのを主人公が手伝うシーンがある。あるとき友人がマッチを落としてしまい一緒に拾ったとき、「あのシーンだ」と思って妙に感動した。それ以来、作品に登場した「生きている限り物語から逃げられない」という言葉が染みる。
表紙
ペンネーム: ゆっくり読む派
大学・学年: 早稲田大学 1年
書名: イラスト版「繊細さん」の本
人間関係も仕事もラクになる方法、集めました
著者: 武田友紀
出版社: 飛鳥新社
コメント: 
全く読むつもりはなかったものの、母から勧められ手を伸ばした一冊。光が眩しく感じたり、電車の中の匂いが苦手だったり、一度頭が興奮状態になると考えが止まらなくなったり、人のことを嫌わないように相手のいいところを無理に探そうとしたり……思いがけず自分に当てはまる項目が多いので驚きました。紹介されている対処法にはもちろん自分に合うものと合わないものがありましたが、自分の気持ちを大切にする姿勢を持って過ごそうと思えました。
表紙
ペンネーム: ささき
大学・学年: 名古屋大学 3年
書名: 勉強の哲学 増補版
来たるべきバカのために
著者: 千葉雅也
出版社: 文春文庫
コメント: 
バカになろう、そう誘ってくれている一冊であった。
勉強するということは基本的に、周りのノリから浮き、そしてバカになることである。
周囲のみんなと違うノリになってしまうのは、なかなか辛いことだ。みんなが共有している前提に同意できなくなり、周りは勉強した人間の前提が理解できないからだ。しかし、それでもいいのかもしれないな、と思わせてくれるような一冊だった。とにかく一回手に取ってみてほしい。
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