『水中の哲学者たち』
永井玲衣
定価1,760円(税込)
哲学書というと難しい本を思い浮かびます。たしかに読みこなすためには、事前の知識を必要とする哲学書が多いようです。とはいえ、デカルトの『方法序説』など予備知識がなくてもある程度理解できる「哲学書」もあります。哲学には、「真理を探究する」という目的と「よりよく生きることを探求する」という目的があるのではないでしょうか。デカルトの『方法序説』は、真理を追究するために自分がその出発点にたつに至ったプロセスを明らかにし、そこからどのように真理を追い求めたかということを書いた本です。なので、前者に属するかもしれません。他方でラッセルの『幸福論』などは、後者の目的のためといえるでしょう。
もっとも、デカルトにとっては、真理を極めることと人間がよりよく生きることは同じことだったのですが、難解な哲学書は、よりよく生きることに直接役に立たないように思えるのも確かです。永井玲衣『水中の哲学者たち』からは、現代における「生(なま)の哲学」の息吹が感じられます。生きづらい世の中であるからこそ、哲学の力が必要なのだということを知らせてくれます。哲学は文系学問ではありません。理系・文系を問わず、人間らしく生きていくために必要な栄養剤です。というようなことをこの本は教えてくれます。
もっとも、デカルトにとっては、真理を極めることと人間がよりよく生きることは同じことだったのですが、難解な哲学書は、よりよく生きることに直接役に立たないように思えるのも確かです。永井玲衣『水中の哲学者たち』からは、現代における「生(なま)の哲学」の息吹が感じられます。生きづらい世の中であるからこそ、哲学の力が必要なのだということを知らせてくれます。哲学は文系学問ではありません。理系・文系を問わず、人間らしく生きていくために必要な栄養剤です。というようなことをこの本は教えてくれます。