今月のナイスコメント(2025年9月)速報
2025年11月10日現在
9月に投稿されたコメント670枚から選考しました。選考は、大学生協の全国学生委員、出版甲子園学生メンバー(特別協力)、書籍担当職員、顧問をお願いしている先生で行いました。
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ナイスコメント:5件
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| ペンネーム: | はなりんご |
|---|---|
| 大学・学年: | 西南学院大学 1年 |
| 書名: | 夜明けのはざま |
| 著者: | 町田そのこ |
| 出版社: | ポプラ社 |
私は、差別と偏見が嫌いだ。だから、そんな人に出会ったら真っ向から正論を振りかざそうとしていた。自分が正しいことは間違いないと意気込んでいた。でも、自分も偏見を持つ人間だということを改めて認識させられた。と同時に、偏見や差別の裏に、人を想う”温かい気持ち”や差別をせざるを得なかった理由があることもあることも学んだ。
これからは、拒絶したくなるような言葉に出会ってもその背景に何があるのかを考え、相手と対話して結論を出したい。

| ペンネーム: | 氷刄 |
|---|---|
| 大学・学年: | 龍谷大学 1年 |
| 書名: | 汽水域 |
| 著者: | 岩井圭也 |
| 出版社: | 双葉社 |
「おれは自分が嫌いなんだ。」この台詞が耳から離れなかった。自分が少し重なって見えた。人から真面目だと言われることがある。けれど、いつも心の中では「そんなことないのに…」と思ってしまう。そう思ってしまうのは自分が嫌いだからかもしれない。まずは人並みに出来るように頑張らなくちゃいけない。でも、不器用だから一生懸命やるしかない。そんな考えから始まったのに。未来に対して言葉に出来ない漠然とした不安を抱える中で自分にとっての命綱を考えてみる。これからも考えて考えて悩み続けるしかないのだと思う、きっと…。

| ペンネーム: | よもぎ |
|---|---|
| 大学・学年: | 同志社大学 4年 |
| 書名: | 痛いところから見えるもの |
| 著者: | 頭木弘樹 |
| 出版社: | 文藝春秋 |
いたぁい!!!始終ずっと痛い話。著者の潰瘍性大腸炎の話から始まって、腹痛、頭痛、出産、拷問の話まで。痛いです。あのね、心が痛い話なのかなって思って買ったんです。違いました!全然ふつうに、身体的苦痛の話!!痛い話のオンパレード中も、著者が寄り添ってくれるから読み進められるんです。時たま、「お前の痛みなんか大したことない、とか言っちゃいけません!!!」とお????りをいただくこともできます。でも難しいんですって。同じ病気を患っている人たちでさえ、完全に分かり合うのは無理なんです。いわんや別の病気をや。

| ペンネーム: | 本を読む看護学生 |
|---|---|
| 大学・学年: | 新潟大学 2年 |
| 書名: | 私はチクワに殺されます |
| 著者: | 五条紀夫 |
| 出版社: | 双葉社 |
私はチクワの穴を覗いてしまった。
物語は、奇妙な手記から始まる。曰く、「私はチクワに殺されます」。このチクワとは何かの隠語ではなく、小松菜や豆苗と炒めると美味いし一袋80円くらいで家計にも優しい、あのチクワらしい。おっ、コメディだ!と読み味も軽く、読み進めるのも束の間。この本がミステリであったことを、強く、とても強く認識させられる。感情と虚実のジェットコースター、ラストにたどり着く頃には息も絶え絶え、とにかく冷蔵庫に取り付いてチクワの袋を破り、右目にあてがい、こう叫ぶ。「チー!クー!ワー!」

| ペンネーム: | マズルカ |
|---|---|
| 大学・学年: | 東京大学 大学院 |
| 書名: | コンビニたそがれ堂 花時計 |
| 著者: | 村山早紀 |
| 出版社: | ポプラ社 |
気づいたら人目を憚らずにボロボロ泣いていた。
物語の中では、特別な願いがないとたどり着けないたそがれ堂だが、この世界の人間にとって、そこは、本を手に取ればたどり着けてしまう場所。だからこそ、このシリーズは、とっておきのもの。何度でも読み返すけれど、新刊は、ここぞというときしか読まない。それなのに。手に取ったのは、きっと、少し疲れて、不安で、泣きたかったから。眼前の世界は、あまりに優しかった。いい人も悪い人もいて、なのに綺麗なものだけを煮詰めて形作ったような、美しくて温かい世界だった。
次点:12件
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| ペンネーム: | でんはち |
|---|---|
| 大学・学年: | 京都教育大学 大学院 |
| 書名: | 大学1年生からの研究の始めかた |
| 著者: | 西山敏樹 |
| 出版社: | 慶應義塾大学出版会 |
これから研究を始める学生に向けて書かれた本です。研究とはそもそも何か、研究計画の大切さと具体的な立て方、研究テーマ設定の仕方等が、著者の研究例を交えて非常に丁寧に述べられており、入門書として最適です。巻末には、紹介されているワークシートも付録されています。
大学図書館で偶然目に留まり、自分の研究を改めて見直すために読みました。研究するとはどういうことなのかを、きちんと知る機会は少なかったのでたいへん勉強になりました。文系理系問わず、研究に携わる全ての学生・院生にお勧めできる一冊です。

| ペンネーム: | はづき |
|---|---|
| 大学・学年: | 東京外国語大学 1年 |
| 書名: | ユートピア |
| 著者: | トマス・モーア 平井正穂 |
| 出版社: | 岩波文庫 |
「戦争でえられた名誉ほど不名誉なものはない」など有名なフレーズのみ知っていた。ずっと読んでみたかった本。理想社会の在り方を通じて現実社会の矛盾や不正を鋭く批判する点で洋学紳士が重なる。私有財産の廃止や労働の平等化など、当時としては革新的な思想が描かれており、人間の幸福とは何かを考えさせられた。一見理想的に見えるユートピアも、個人の自由や多様性が制限されている点に違和感を覚えた。加速するとディストピアになるのだと思う。理想社会の実現にはバランスが必要だとも感じた

| ペンネーム: | フレミッシュ |
|---|---|
| 大学・学年: | 京都大学 大学院 |
| 書名: | 一心同体だった |
| 著者: | 山内マリコ |
| 出版社: | 集英社 |
どの話を読んでも、「昔こういうことを思っていた時期があったな」「こういう人いたな」と共感してしまった。小学生から40歳まで、それぞれの年代の女性特有の葛藤や友情をリレー形式で描ききった傑作。卒業や就職、結婚そして出産といったライフスタイルの変化によって疎遠になってしまった彼女たちの様子に、友情とは何なのか考えさせられた。

| ペンネーム: | しゃんしゃん |
|---|---|
| 大学・学年: | 早稲田大学 2年 |
| 書名: | 激しく煌めく短い命 |
| 著者: | 綿矢りさ |
| 出版社: | 文藝春秋 |
以前著者が描いた女性同士の恋愛作品も非常に素敵だったが、今作も好きだった。
心が柔らかい時期を差別にさらされて過ごすことで負い、負わせた傷、そして同時に社会がどうであれ初恋に踊る久乃と綸の青さ、まぶしさ。それらの描写が非常に丁寧で心をつかまれる。また、再会後の久乃の必死さとその無茶苦茶は綿矢りさ作品の女性主人公らしくてよかった。
彼女らがあそこまで苦しまなければ、踏みにじられなければ、手に入れたいものを手に入れたいということさえできないほど社会が差別的だった、そして今でも差別があることに心が痛む。

| ペンネーム: | ひまわり |
|---|---|
| 大学・学年: | 三重大学 1年 |
| 書名: | 独断と偏見 |
| 著者: | 二宮和也 |
| 出版社: | 集英社新書 |
「自分自身を商品として客観視している」という考え方に感銘を受けました。これは、以前読んだ「スマホ時代の哲学」に書かれていた「自分を複数の目で見る」ことが、まさに現実で実践されている例だと感じました。彼はエゴサーチを、自分の修正点を見つけるためと捉え、指摘されても傷つかず、客観的に自分を切り離して見ています。その姿勢がとても素敵だと感じました。このことは、芸能界だけにとどまる話ではないと思います。日々の生活の中で、自分という人間を客観視できてこそ、成長できるのではないかなと考えさせられました。

| ペンネーム: | hana |
|---|---|
| 大学・学年: | 松山東雲女子大学・松山東雲短期大学 1年 |
| 書名: | うたうおばけ |
| 著者: | くどうれいん |
| 出版社: | 講談社文庫 |
久々の旅行で久々に文庫本を買った。旅のお供にした本は、その時の旅を思い出すから。1度目の大学時代に旅した先で読んだ本を見返すと、その時の記憶が甦る。本屋さんで目に止まったのが、ずっと気になっていたくどうれいんさん。どれも素敵な本だったが、うたうおばけの表紙に惹かれた。「生活は死ぬまで続く長い実話」最近の自分は生活の一つ一つを掬い取らず当たり前に流れていた。れいんさんの物語が素敵、いいなぁと思う前に、私の人生の素敵なことを忘れてはいけないもったいないと感じた。

| ペンネーム: | Kuromi |
|---|---|
| 大学・学年: | 岡山大学 大学院 |
| 書名: | 出雲のあやかしホテルに就職します |
| 著者: | 硝子町玻瑠 |
| 出版社: | 双葉文庫 |
「幽霊」が見える女子大生が就活に難航しているところから、物語は始まります。何社も面接を受けるものの……。まずは、そんな姿に応援したくなりました。そして、いよいよ就職が決まった先は、「ホテル櫻葉」。島根県にあるそのホテルは「あやかしホテル」と呼ばれており、そこにやってくるお客様や従業員には、色々な秘密がありそうな感じです。しかし、ホラーではありません!笑いあり、涙あり、怖い話は苦手な方にもおすすめです!

| ペンネーム: | 焼き芋 |
|---|---|
| 大学・学年: | 愛知県公立大学 1年 |
| 書名: | カーネーション |
| 著者: | 徳永圭 |
| 出版社: | KADOKAWA |
あなたにとって、理想のお母さんはどんな人だろうか。無条件に子を愛する人?子の苦しみをすぐ取り除き、家事も完璧にこなす人?私は本書を読んで母という存在についての考えが広がった。これまで私の中にあった母のイメージは氷山の一角だったと気づいた。本書には、母である女性ふたりの物語が交互に描かれている。彼女たちは自分の中の理想の母親像を追い求めてもがく。時には人間の暗い部分も見え隠れする。ふたつの物語が、小さな水滴がくっつくようにつながるラストにあなたも目が離せなくなるはず。

| ペンネーム: | まいん |
|---|---|
| 大学・学年: | 東京大学 1年 |
| 書名: | マンガでカンタン!ファシリテーションは7日間でわかります。 |
| 著者: | 平石直之 春原弥生 |
| 出版社: | Gakken |
初めて出会った人同士でグループワークを行う機会があった。お互いのことを何も知らなかったので、意見を聞いて、自分の意見を言うことに必死だった。終了後、4人でグループワークをしたはずが、ある1人がずっと話していたことに思い至る。私は彼の意見に対する自分の考えを話していたものの、自分の意見を考える時間もなかったなと。また、2人の意見をほとんど聞く時間がなかったことに気づき、どうすべきだったのか考えていたときに出会った本。読めばすぐうまくできるわけではないが、これからも自分なりに試行錯誤をしていきたい。

| ペンネーム: | マカデミア |
|---|---|
| 大学・学年: | 名古屋大学 1年 |
| 書名: | 流浪の月 |
| 著者: | 凪良ゆう |
| 出版社: | 創元文芸文庫 |
みんな普通じゃない何かを抱えて生きていて、時に優しさや善意が人の心を深く傷つける。歪んだ自分に気づいて、世間からはじき出されている苦しみを背負う。名前をつけられない関係性が、ひとことでは表せないつながり方が、確かにある。いつも誰もが被害者であり加害者である。そんな世界をみんな耐えながら、もがきながら、生きている。
苦しむ側としても、誰かを傷つけてしまったことがある側としても、読んでいてつらかったし、その一方で少しだけ救われたような気がした。

| ペンネーム: | りぼん |
|---|---|
| 大学・学年: | 新潟大学 2年 |
| 書名: | 火車 改版 |
| 著者: | 宮部みゆき |
| 出版社: | 新潮文庫 |
火車は、生前に悪事をした者をのせて地獄に運ぶらしいが、悪事を働くことでしか生きる術がなかった人間さえ火の車に運ばれてしまうのだろうかと思うと、やるせない。
大学生になってクレジットカードを持ち始めた今、読むべき本であったと思った。
主人公の周りには血こそ繋がっていないが家族と同等の繋がりを持つ人々がいるのに対して、作中で追われ続けている犯人には血の繋がった家族は一人としておらず究極に孤独であるという哀しい対比に、読後ようやく気づいた。

| ペンネーム: | 藤四郎 |
|---|---|
| 大学・学年: | 東京外国語大学 1年 |
| 書名: | カフネ |
| 著者: | 阿部暁子 |
| 出版社: | 講談社 |
この本を読んでいる最中にオムライスが食べたくなってスーパーに向かって自転車を漕ぎだしたことがある。一人暮らしだから作ったオムライスは自分のためでしかないけれど温かい料理をこしらえてホッとするひと時を過ごすのは大切なことだ。この物語の主人公も「おいしい」という体験を通じて人に救われ人を救い、自身、そして他者の人生に対して以前とは違う向き合い方を見出した。人を愛するとはどういうことなのかーこのことを手作り料理のようなあたたかさをもって問いかけてくる名作だ。



