今月のナイスコメント(2025年10月)速報
2025年12月10日現在
10月に投稿されたコメント515枚から選考しました。選考は、大学生協の全国学生委員、出版甲子園学生メンバー(特別協力)、書籍担当職員、顧問をお願いしている先生で行いました。
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ナイスコメント:6件
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| ペンネーム: | あおりんご |
|---|---|
| 大学・学年: | 名古屋大学 3年 |
| 書名: | 頭がわるくて悪くて悪い |
| 著者: | 献鹿狸太朗 |
| 出版社: | 講談社 |
宇宙人を殺すのは犯罪にあたるのか……。宇宙人殺しの仕事を任された2人の少年の「頭の悪さ」が描かれた本作は、著者・献鹿狸太朗さん独特の、彼女にしかできないユニークな表現が満載。言葉巧みすぎて、読んでいるこっちの「頭の良さ」が試され、「頭の悪さ」が露呈する。「過去は全部こいぬ座同然だった」という表現を、私はとても気に入った。これがどういう意味なのか、どうおもしろいのかは、ぜひ読んで確かめてみてほしい。そして、日本語ドーピングと称される著者の表現力で、あなたの頭の良さ・悪さを試してみてほしい。

| ペンネーム: | けまちゃん |
|---|---|
| 大学・学年: | 岡山大学 1年 |
| 書名: | トンとふびん |
| 著者: | 吉本ばなな |
| 出版社: | 新潮社 |
吉本ばななさんの作品に触れるたびに、人生というものの視る目が変わる。
人生とは何かに熱中したり、苦しんだり、何かを乗り越えたり、そういうものであるべきだと思い込んでしまう。これは、そのような人生を歩んできた方々の情報が表に出てくるからだろう。そうではない人生は沢山の情報の奥底へと隠れていってしまう。しかし、それでいいのではないか。この作品がそう思わせてくれた。私の周りで何が起きていようが、私の人生は私のもの。人に見せるためのものではない。自分さえ満足できればそれでいい。

| ペンネーム: | プカオ |
|---|---|
| 大学・学年: | 弘前大学 4年 |
| 書名: | 破局 |
| 著者: | 遠野遥 |
| 出版社: | 河出文庫 |
ルールに適応し過ぎた人間の行き着く場所はどこなのか。
主人公の、自分に向けられる問題や助けに鬱陶しさを感じながら、それが視界に入らなくなればもう考えなくて良いと安心し、ニュースで報道される事件や、自分とは関係のない事柄に対してはその人達の幸せを願っていたりと、形だけで都合が良すぎる部分が現代社会と似ているような気がした。まるでAIのように自分が則るルールに従ってしか行動せず、そこに感情がない主人公の異質さに不安を感じながらページを捲っていた。

| ペンネーム: | 西海道の等閑 |
|---|---|
| 大学・学年: | 九州大学 2年 |
| 書名: | 教養としての世界史の学び方 |
| 著者: | 山下範久 |
| 出版社: | 東洋経済新報社 |
受験で日本史を詰め込み、今を生きている私だが、バランスをとらねばならない。この念に突き動かされて世界史を概観しようと読んだのが本書だ。”教養”とか書いていたので読んでみたが、なんてことだ、この本世界史の外観なんぞ教えてはくれない。”学び方”というより、”世界史の見方”をそれぞれのトピックについて概説してくれる形式なのだ。第1章から”近代”って自明じゃないよねという話から始まるとは思ってもみなかった。だが、面白い。結果、世界史の概観はよくわからないが、世界史の見方がわかった気のする人間が爆誕した。

| ペンネーム: | agemochi |
|---|---|
| 大学・学年: | 新潟大学 1年 |
| 書名: | 華氏451度 新訳版 |
| 著者: | レイ・ブラッドベリ 伊藤典夫 |
| 出版社: | ハヤカワ文庫 |
気に食わない本を燃やす行為は大昔から存在する。焚書は言論弾圧、思想の統一化の手段である。そんな一方的に思想を押し付ける行為は愚かで旧時代的だと思った。しかし、物語では刹那的快楽主義と少数尊重が結びついて「不快嫌悪主義」に昇華している。ふと今のSNSのことが頭をよぎった。フィルターバブルに沈んで視野が狭くなった現代人という言葉を最近よく耳にする。他者の考えを認めない、不快なものは遠ざけるという風潮は昔も今も変わらないのではないか。そうだとすればSNSの炎上・他者排斥の傾向は、現代の焚書なのかもしれない。

| ペンネーム: | ショウ |
|---|---|
| 大学・学年: | 神奈川大学 3年 |
| 書名: | 読書感想文が書ける ドラえもんの国語おもしろ攻略 |
| 著者: | 藤子・F・不二雄 宮川俊彦 |
| 出版社: | 小学館 |
コメントを投稿してみたが、うまく書くことができないと考えている人におすすめの一冊である。
最初に、本書は小学生向きの内容である。このコメントを見かけた大学生は「大学生が小学生用の本を読むなんて恥ずかしい」と考えたのではないだろうか。ところが、これが結構勉強になる。うまい感想文の書き方の例を複数、それも抽象的に紹介しているため非常にわかりやすい。是非とも一読してほしい。
本書を通して一番の感想は、わからないもの・初めて知ることに関して小学生向きの本を読むことは意外とバカにならないということだ。
次点:10件
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| ペンネーム: | いちごおはぎ |
|---|---|
| 大学・学年: | 熊本大学 2年 |
| 書名: | トーマの心臓 |
| 著者: | 森博嗣 |
| 出版社: | ダ・ヴィンチブックス |
長い睫毛の下にある瞳に吸い込まれて、自分のことは何もかも見透かされてしまうような物語だった。言葉一つひとつが、生命力に満ちて青く繊細で、惹き込まれる。美術館で吸い寄せられるようにして見た絵画の余韻に浸るような高揚感が読み終えた後、ずっと残っていた。彼らが学生でいられる時間には限りがあるはずなのに、永遠に彼らはこのままなのではないだろうか、不思議な錯覚が生まれる本だった。

| ペンネーム: | 緑茶 |
|---|---|
| 大学・学年: | 東京外国語大学 4年 |
| 書名: | カクテル、ラブ、ゾンビ |
| 著者: | チョ・イェウン カン・バンファ |
| 出版社: | かんき出版 |
この本が何のジャンルに当てはまるのか、正直よくわからないまま読み始めたのだが、それで良かったと思う。ホラーであり、フェミニズムの香りもあり、少しギャグっぽいところも。主人公の喉に骨がさされば、何だかこちらも喉の辺りがずっと落ち着かず、人を刺し殺せば、やったこともないのに刃伝いに相手の臓器を感じるような、ずっとどこか落ち着かなくて窮屈な気持ちになる読書体験だった。

| ペンネーム: | 三重で生きる京都府民 |
|---|---|
| 大学・学年: | 三重大学 3年 |
| 書名: | 愛人(ラマン) |
| 著者: | マルグリット・デュラス 清水徹 |
| 出版社: | 河出文庫 |
共鳴する渇望
楽器を調律する時、口に音叉を加え楽器を鳴らし共鳴すると調律が完了する。本書を読み終えた時、本書の中にある圧倒的な孤独感が、私の孤独感と共鳴していた。
肉体的には作中の「わたし」は満たされている。しかし、その満たされている中でもどことなく孤独感というものがまとわりついて離さない。それは、描写が切れ切れになった映画のフィルムのように紡がれているからでもあるだろう。どこか独立している。それが私の中で這いずり回る孤独感と強く結びついたのだ。

| ペンネーム: | もちむぎ |
|---|---|
| 大学・学年: | 北海道教育大学 4年 |
| 書名: | 万両役者の扇 |
| 著者: | 蝉谷めぐ実 |
| 出版社: | 新潮社 |
1人の役者・今村扇五郎に魅せられた人々が人生を狂わされていく様を描いた連作小説です。「何が現実なのか」を読んでいる間ずっと考えさせられる作品で、読者までも扇五郎の手の上で転がされている感覚になります。「何かに熱中することは良いこと」と言われることが多いですが、この小説を読むとそうした考えが本当に正しいのか考えさせられました。最後にお伝えするならば、白黒はっきりつけたい物語を好む人にはお勧めしません。扇五郎の真意を考えようとすると、しばらく他の本を読めなくなります。

| ペンネーム: | 詩暢 |
|---|---|
| 大学・学年: | 京都大学 2年 |
| 書名: | おいしいごはんが食べられますように |
| 著者: | 高瀬隼子 |
| 出版社: | 講談社 |
おいしいごはんをめがけて生きている。
そんな人にとっては、残業後にこっそり恋人の手作りお菓子を捨てる二谷の態度は理解しがたいものかもしれない。
働いているわけではないが、平日は21時以降帰宅が当たり前。自分の食べるものへの優先度が下がっていった。だからこそ私はたまに「ごはん食べたい」という衝動に駆られるのだが、二谷の「おいしいものを食べるために生活を選ぶのが嫌い」は徹底している。食べることを誰かに強要していないだろうか、おいしいごはんを食べた時の満足とは真反対の読後感に、省みずにはいられなかった。

| ペンネーム: | 二千香 |
|---|---|
| 大学・学年: | 名古屋大学 大学院 |
| 書名: | スマホになじんでおりません |
| 著者: | 群ようこ |
| 出版社: | 文春文庫 |
スマホ反対派の作家・群さんが、愛猫のためにスマホを購入!
お店で購入する段階から、たくさんのパスワードの設定を求められるなどの壁が立ちはだかります。
そして使い始めてからも、通話の切り方がわからず電源を落としたり、生存確認のためだけにツムツムをしたり…。私たちの世代とはスマホとの付き合い方が違って、その感覚が新鮮でした。
でも終盤では、スマホに依存した現代人たちへの思いが語られ、つい触りがちな私はすっかり反省しました。下手な自己啓発本より効くかもです…。

| ペンネーム: | おもち |
|---|---|
| 大学・学年: | 東北大学 2年 |
| 書名: | 木 改版 |
| 著者: | 幸田文 |
| 出版社: | 新潮文庫 |
とにかく文章の美しさに圧倒された。木の生き様、その場の空気感や湿度がありありと感じられ、名文家とはまさに著者のような人のことを指すのだと納得した。木について詳しくなかったため初めて知ることが多く、今まで木として一括りにしてきた存在たちが見せる、それぞれの美しさや恐ろしさ、健気さに胸を打たれた。読了後、外を歩くたびに身の回りの木にはどんな物語があるのか、この作者なら目の前の情景をどう描写するかと考えるようになった。著者の他の作品もぜひ読んでみたいと思う。

| ペンネーム: | らいむ |
|---|---|
| 大学・学年: | 長野県立大学 4年 |
| 書名: | 火花 |
| 著者: | 又吉直樹 |
| 出版社: | 文藝春秋 |
初めてこの本を読んだのは中学生の時。
それから10年近く経っているが、今だに見かけると手に取って読みたくなる。
正直に言うと自分は小説よりも漫画が好きなのだが、そういう方にこそ是非読んでみてほしい。
小説がボケてくるからツッコミどころ万歳。いつになっても飽きない。図書館で読むと笑いを堪えるのに必死で余計に面白い。
漫画好き、芸人好き、くだらない話が好き、とにかくなんでもいいから笑いたい、そんな人にはピッタリなのではないだろうか。

| ペンネーム: | こんちゃん |
|---|---|
| 大学・学年: | 早稲田大学 1年 |
| 書名: | 幸福学の先生に、聞きづらいことぜんぶ聞く |
| 著者: | 前野隆司 |
| 出版社: | 大和書房 |
不幸でもないが幸せでもない。
恵まれているはずなのになぜ自分は幸せだと思えないのか。この本は漠然と抱えていたそんな疑問に答えてくれた。概念的な哲学書かと思いきや、バリバリの実践書。問題解決は一人称で話すなど、一見幸福との関係がなさそうな習慣のアドバイスも本を読むと腑に落ちる。本当の幸せはゴールではなく過程である。今までの幸福のイメージを変えてくれた一冊だった。

| ペンネーム: | d |
|---|---|
| 大学・学年: | 東京工芸大学 2年 |
| 書名: | 赤頭巾ちゃんは森を抜けて 社会文化学からみた再話の変遷 |
| 著者: | ジャック・ザイプス 廉岡糸子 |
| 出版社: | 阿吽社 |
みんなが知っているあの『赤ずきん』。しかし、『赤ずきん』は変化している話だと知っている人はあまりいないのではないでしょうか。元々は赤ずきんを被った登場人物は出てきませんし、そもそも狼に食べられません。なぜ女の子は「赤ずきん」を被らされ、狼に食べられなくてはいけなくなったのか、時代と照らし合わせて考察する一冊。さまざまな赤ずきんの話も載っていて、お気に入りの赤ずきんを見つけられます。



