今月のナイスコメント(2025年11月)速報
2026年1月13日現在
11月に投稿されたコメント598枚から選考しました。選考は、大学生協の全国学生委員、出版甲子園学生メンバー(特別協力)、書籍担当職員、顧問をお願いしている先生で行いました。
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ナイスコメント:7件
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| ペンネーム: | kei |
|---|---|
| 大学・学年: | 中京大学 1年 |
| 書名: | 何者 |
| 著者: | 朝井リョウ |
| 出版社: | 新潮文庫 |
就職活動とSNSという、大学生にとって避けて通れない二つの現実を描いた作品。登場人物たちはそれぞれ自分を偽り、他人の目を気にして生きる。その姿は、就活をしていない自分や、SNSで繋がりつつ孤独を感じる自分とも重なり、何度も胸が痛んだ。
作者は「就活小説」や「若者の群像劇」の枠を越え、社会と個人の関係を鋭く切り取る。軽快な文体で進む一方、言葉の一つひとつに焦燥と違和感が滲み、読後、社会の息苦しさが静かに残る。自分も登場人物になったような感覚が残る、痛烈でリアルな物語。

| ペンネーム: | ちくりん |
|---|---|
| 大学・学年: | 東京農業大学 4年 |
| 書名: | こころと頭を同時に伸ばすAI時代の子育て |
| 著者: | 井岡由実・高濱正伸 |
| 出版社: | 実務教育出版 |
「上手だね!」「これは何を描いたの?」これは私が子どもと関わる時に無意識に言っていた言葉。そして、この声かけの何がいけないのかこの本を読むまで考えた事もありませんでした。これの何がいけない事なのか分からない人には是非読んでほしい一冊。
教育の現場にこれから身を置く私にとって、声かけの力、伝わる影響を学べた事に感謝すると同時に、この本を読んでいなかったらと思うとゾッとします。
子育てに悩みを感じている親御さん、教育業界に身を置く人に読んで欲しいです。

| ペンネーム: | もろっこ |
|---|---|
| 大学・学年: | 大阪大学 2年 |
| 書名: | ありか |
| 著者: | 瀬尾まいこ |
| 出版社: | 水鈴社 |
ささやかな日常のひび割れに光が差し込む瞬間を、驚くほど静かにすくい上げる物語だった。悩みを抱えた人々が、自分の痛みにそっと触れ、そのうえで他者へ手を伸ばす。その行為は大げさではないのに、どこか世界の温度を変えてしまう力を帯びている。読後に残るのは、誰かの幸福を自然と願ってしまう柔らかな余韻であり、人は弱さを抱えたままでも寄り添い合えるのだという、確かな実感だった。

| ペンネーム: | ぴよぴよ大魔王 |
|---|---|
| 大学・学年: | 東京外国語大学 1年 |
| 書名: | つまらない夜に取り残されそうで |
| 著者: | 嘉島唯 |
| 出版社: | 小学館クリエイティブ |
私は社会人になりたくない。何を目標にすればいいかわからないからだ。何か新しいことを始めるにしても「めんどくさい、今じゃなくていい」などと言い訳をして逃げるような自分が、使命感を持って仕事に取り組むとは到底思えない。大人の仕事・恋愛・プライベート・・・まだよくわからないことだらけだが、別に社会が規定する幸せにはまる必要はないんだなと感じた。

| ペンネーム: | 氷刄 |
|---|---|
| 大学・学年: | 龍谷大学 1年 |
| 書名: | コンビニ人間 |
| 著者: | 村田沙耶香 |
| 出版社: | 文藝春秋 |
自分という人間を改めて一から見つめ直してみる。大学生という響きだけで普通の人のように聞こえる。でも、そもそも「普通」って何だろうか。自分たちは知らず知らずの内に「普通」という名の型を探し求めているのかもしれない。人は誰かに支えられて生きている。一人一人の人間がこの世界の社会を形作っている。頭の中では皆分かっている。人には人生がある。人生に正解も間違いも存在しない。人生は無限だ。余計に「普通」とは何かを考えさせられる。自問自答を繰り返し心がぐるぐる回っていく。あなたの考える「普通」って何ですか?

| ペンネーム: | かろてん |
|---|---|
| 大学・学年: | 早稲田大学 3年 |
| 書名: | 限りなく透明に近いブルー |
| 著者: | 村上龍 |
| 出版社: | 講談社文庫 |
たった150ページの小説を、一か月もかけてゆっくり読むことになってしまった。それほどにページをめくるのに躊躇する小説だった。決していい気持ちで読める小説ではないし、登場人物の心情や行動について理解できる部分はほとんどないけれど、この恐ろしく静かな小説を「意味がわからない」と言って片付けてしまうのは非常にもったいない。70年代はどんな社会だっただろう、福生とはどんな場所だっただろう。そんなことを思いながら私は今、主人公リュウが見た「黒い鳥」について考えている。

| ペンネーム: | いちごおはぎ |
|---|---|
| 大学・学年: | 熊本大学 2年 |
| 書名: | ガラスの森/はだしで海へ |
| 著者: | 小手鞠るい |
| 出版社: | ハヤカワ文庫JA |
永遠に報われないからこそ愛おしい恋って存在すると思う。素直になれなくてちょっと意地を張って、格好を付けた。それだけで、結びつくことのなかった二人。結びつくことのないまま手首にぶら下がった糸はそのままにしているせいで、絡まっては上手にほどけないでいる関係のもどかしさに、胸をくすぐられた。鋏で切るには切ないから、何度も結び目に触っているうちにほどけていった二人の関係。永遠に交わることはないかもしれないけれど、胸にずっと残り続けるかけがえのないものになるんだろうなと、そっと想いを馳せた。
次点:6件
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| ペンネーム: | マカデミア |
|---|---|
| 大学・学年: | 名古屋大学 1年 |
| 書名: | 楽園とは探偵の不在なり |
| 著者: | 斜線堂有紀 |
| 出版社: | ハヤカワ文庫JA |
まるで悪魔のような見た目をした「天使」が、人を2人殺した人間を地獄へと堕とす世界。そのなかで起こる連続殺人の真相というミステリとしての面白さはもちろん、正義とはなんなのか、人が何かに縋らずにはいられないものなのか、天国はあるのか、といった哲学的かつ倫理的な面から見ても非常に興味深く、余韻のある作品だった。
歪な存在の「天使」が、今もなお、私の頭を離れない。天国はあるのだろうか。何を信じていきればよいものだろうか。

| ペンネーム: | よもぎ |
|---|---|
| 大学・学年: | 同志社大学 4年 |
| 書名: | カラダは私の何なんだ? |
| 著者: | 王谷晶 |
| 出版社: | 河出文庫 |
この人の文章は子気味よくて、たまーに小説家ならではの難しい語彙が出てきて読む流れが停止させられる。それも心地良い。ミソジニーとか、自業自得論とか、女のカラダにまつわる不穏な雰囲気を王谷さんはサックリ切ってくれる。「あたしゃアンタ等の味方だよ!」と背中をしばいてくれるのだ。本書の前半で、しきりに奨励される言葉がある。それは、「自分のカラダに向き合う」こと。自分のカラダなのに、主体を失って、意味だけが独り歩きする女体。もっと私たちは自分のカラダに向き合い、時に触れ合うべきなのだ。

| ペンネーム: | 鏡餅 |
|---|---|
| 大学・学年: | 三重大学 1年 |
| 書名: | 駒子さんは出世なんてしたくなかった |
| 著者: | 碧野圭 |
| 出版社: | キノブックス |
出版社に務める女性の日常を描いた物語。家庭を持ちながら、会社の正社員として出世をした駒子さんは、変化した会社内の環境を安定させていくのに必死で、家庭に落とされる影に対処できず、苦しみます。思い通りにいかないことも、嫌なことも楽しいことも共感できて、話の先に続くはずの主人公の日常にも思いをはせられる、読後に満足感が沸き上がる一冊です。私とはまるで身の回りの環境が違う人が主人公なので、気持ちや葛藤に共感はできるけれど、小説の主人公の日常を私の非日常であるかのように没頭して楽しめました。

| ペンネーム: | ぷん |
|---|---|
| 大学・学年: | 名古屋大学 3年 |
| 書名: | 異邦人 |
| 著者: | 原田マハ |
| 出版社: | PHP文芸文庫 |
京都で暮らすと「京都病」にかかる、と聞いた事がある。京都を離れても、京都のことが頭から離れなくなるらしい。
人並み外れた審美眼をもつヒロインは、京都ので出会ったある作品に「刺し抜かれた」。そして次第に、京都という街にも魅入られ、人生の規定ルートから外れていく。
はるか昔から「異邦人」を惹き付けてやまない京都。遠くて近きもの。この本から「京都病」をうつされたみたいだ。

| ペンネーム: | だいだら |
|---|---|
| 大学・学年: | 秋田大学 2年 |
| 書名: | なんのために学ぶのか |
| 著者: | 池上彰 |
| 出版社: | SB新書 |
授業中にボーッとしてる人、携帯触ってる人、話を聞かず眠っている人、そんな人達にこの本を読んで欲しいです。特に大学生。自分は正直、周りの流れで大学に進学しました。「みんなが行くから」「大学まで行くのが普通」何の目標もなく流されるままでしたが、この本を読み、学ぶことに対する意識が変わりました。大学は就職予備校ではない。教養を身につけるために積極的に学ぶ場所であることを改めて認識出来ました。学問に限らず、さまざまなことを学び見聞というアンテナを広げることで充実した生活を送ることが出来ると考えられました。

| ペンネーム: | 詩暢 |
|---|---|
| 大学・学年: | 京都大学 2年 |
| 書名: | 数学する身体 |
| 著者: | 森田真生 |
| 出版社: | 新潮社 |
中高生の頃、数学に悩んだあなたへ。
数学が、哲学と同じように自己や他を理解するための営みの一つだと知ったら驚くだろうか?
数学者・岡潔にとって、「わかる」とは、自分がそのものになる「無心」から、ふと「有心」に還り、なりきっていたものに気づく刹那のことであった。「自我」を全面に押し出すことなく、情を通い合わせることで「わかる」。
「数学研究を捨てて自己研究に移るのではない。数学研究が即ち自己研究なのである」。学問が身体化されることで導出される答えがある、岡潔は身をもって、私たちに教えてくれた。



