今月のナイスコメント(2026年2月)速報

2026年4月11日現在
 
2月に投稿されたコメント431枚から選考しました。
選考は、大学生協の全国学生委員出版甲子園学生メンバー(特別協力)、書籍担当職員、顧問をお願いしている先生で行いました。

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ナイスコメント:8件
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表紙
ペンネーム: いちごおはぎ
大学: 熊本大学
書名: イン・ザ・メガチャーチ
著者: 朝井リョウ
出版社: 日本経済新聞出版
コメント: 
読み終えた瞬間、見てきたものが全部崩れていきそうで、何度も読むのを辞めようとした。ホラー映画よりも怖い、私たちのすぐ近くにある、人間の危うさを目の当たりにした気がする。彼らが薄ら氷に覆われたような快楽を「幸福」だと信じてのめり込んだ背景には、「言語化」の便利さがあった気がする。自分のものでない誰かの言葉で出来た「物語」を、あたかも自分を魂から「言語化」してくれたと信じることが、呪いじみた幸福みたいに思えた。それを、小説で見せつけられたからこそ、こんなにも私の心は揺さぶられたのかもしれない。
表紙
ペンネーム: 魔女のアクアリウム
大学: 福岡女子大学
書名: すきまのおともだちたち
著者: 江國香織
出版社: 集英社文庫
コメント: 
最近、小さかった頃感じていたことや好きだったものを忘れてしまい、本当はしたくないことにだらだらと時間を使うことが多くなってしまう。そんな時、この物語に出会って、子どもの頃に好きだったものを思い出した。針仕事をしたり、お菓子を焼いたりして過ごす日常。人ではないものがしゃべる不思議な世界。「すきま」で過ごす日々にうっとりとした。私は「おんなのこ」のように、ずっと少女でいることはできない。でも、少女だった頃の思いは忘れないでいたいと思った。
表紙
ペンネーム: あいうえお
大学: 宮城学院女子大学
書名: 正欲
著者: 朝井リョウ
出版社: 新潮社
コメント: 
近年、「多様性」が重視される社会の中で多様性を理解すること、受け入れることが正義とされているように思う。この本のテーマは「多様性」である。しかしながら、テーマとされている「多様性」とは多くの人の「多様性」の範囲に含まない価値観の多様性だ。
社会の多くの人が多様性と定義する範囲から溢れ出してしまった人の生きにくさについて痛々しく書かれている物語。マジョリティーの人もマイノリティーの人も考えさせられる物語だ。
表紙
ペンネーム: ポッカレモン
大学: 北海道大学
書名: 「世間」とは何か
著者: 阿部謹也
出版社: 講談社現代新書
コメント: 
そもそも社会と個人は外来語で、最初から日本にあった言葉である世間とは、日本特有の目に見えない係累なのだった。借金をかかえたひとが社会的信用を失うように、世間という言葉には資本主義的な金の側面がある。他にも、不倫というのもまた世間の徳義に背くものである。阿部謹也は文学作品から世間の姿を捉えようとした。
私事だが、以前相手方の浮気で破局した恋がある。私は慰めのために多くの友に失恋を打ち明けたが、つまるところ私は世間による復讐代行を心のどこかで望んでいたわけだ。それを良い悪いの話にしないのがこの本だ。
表紙
ペンネーム: モモノスケ
大学: 新潟大学
書名: 和辻哲郎随筆集
著者: 和辻哲郎<坂部恵=編>
出版社: 岩波文庫
コメント: 
受験のために何の敬意も感動もなく機械的に記憶していった名前との出会い直しの体験ができる。高校の日本史、あれは嘘だった。現国の文学史、これも偽りだった。少なくともあるべき生気と心の動きが欠けていた。林羅山や塑像の仏像、岡倉天心に夏目漱石、一条兼良の『樵談治要』など、和辻哲郎の手によって収まるべき文脈に収まった単語たちは輝いていた。ゴミ箱同然の雑然とした記憶の抽き出しの中にひとりぼっちで押し込まれていたときとはまるで違う。新鮮な感動とともに足手まといだった名前たちへの見方が変わる。
表紙
ペンネーム: よもぎ
大学: 同志社大学
書名: やさしいがつづかない
著者: 稲垣諭
出版社: サンマーク出版
コメント: 
本書は、フリーライダーに対する感情を2つ挙げて、私たちの複雑な心持ちを提示する。曰く、私たちはフリーライダーへの嫌悪感と、その行為を許す「やさしさ」をともに有すると。私はフリーライダーに対して「許せない!」と憤慨するタイプではない。彼ら彼女らは、私が道すがら落としたパンくずを拾って食べているだけの存在であって、仮になんの貢献もなしにグループワーク授業で優秀な成績を修めていたとしても私には関係ない。パンくずを施しとしてではなく、おこぼれとして考えれば、きっと楽になれるだろう。
表紙
ペンネーム: 碧烏
大学: 東京学芸大学
書名: クロエとオオエ
著者: 有川ひろ
出版社: 講談社
コメント: 
私たちは、つい数字にとらわれてしまう。値段とか、希少性とか、そういうもので価値を決めたがる。けれど、彫金職人の一人娘クロエは、そんな考えを軽やかに打ち壊してくる。
「宝石の価値ってそんなに重要?」
それは他人に見せつけるためでも、恋人を喜ばせるためでもない。自分が心から「アガる」ものを、自分のために身につけるということ。強くて芯の通ったクロエの姿にどうしようもなく憧れてしまう。周りの評価を気にせず、自分を信じて、「好き」を貫く。そんな風に生きる勇気をくれる作品だ。
表紙
ペンネーム: けまちゃん
大学: 岡山大学
書名: きまぐれな夜食カフェ
著者: 古内一絵
出版社: 中央公論新社
コメント: 
自分の弱さから目をそらすために、他の人の弱さを見つけようとしたり、強さを偽物世張りしたりすることはすごくみじめで無意味なことだと私たちは分かっている。それでも、私たちはなぜかしてしまう。自分の弱さとの向き合い方を知らないからだろう。じゃあ、正しい自分の弱さとの向き合い方とはどんなものなのか。おそらくだが、人の数だけあるに違いない。私にとって読書が自分の弱さとの向き合い方を教えてくれる鍵となっているように思う。この本のように。
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次点:6件


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表紙
ペンネーム: はなりんご
大学: 西南学院大学
書名: 上機嫌の作法
著者: 齋藤孝
出版社: 角川新書
コメント: 
この本を読んだら悩んでいる人の99%の人の悩みはなくなるのではと感じるくらいの衝撃を受けた。小学生のうちから生きていく中での基本として教えてほしかったと思った。理由は、ネガティブな流れからポジティブな流れへ気持ちを切り替えていく方法が具体的に説明してあるからだ。これを身に付ければ、スポーツで失点したときにも活かせるし、受験で失敗したときにも活かせる。もちろん、日常の些細な不満の解消にも活用できる。運に頼らずに自分からポジティブエネルギーを作り出せることに感動した。
表紙
ペンネーム: メナシ岡山
大学: 東北大学
書名: 具体と抽象 世界が変わって見える知性のしくみ
著者: 細谷功
出版社: dZERO
コメント: 
タイトルの通り、具体と抽象の関係を深く掘り下げる内容だった。具体の世界のみで生きている人間には、抽象の世界を理解できない。このことは、さまざまな場面で見かける。例えば、映画評論家が絶賛する映画が一般人には刺さらない、施策を変更することに対し一貫性がないと頭ごなしに批判する、一般論に対し個別的反例を提示する。このようなことが起こるのはなぜかを本著では説明されている。末尾にほんの少し言及された義務教育で数学・国語を学ぶ意義は、核心を突いたものであろう。
表紙
ペンネーム: ひろと
大学: 名古屋大学
書名: 観光
著者: ラッタウット・ラープチャルーンサップ<古屋美登里=訳>
出版社: ハヤカワepi文庫
コメント: 
今の時代,正しいリテラシーさえ備えていれば(それが難しくもあるのだけれど),遠い土地の実際の生活をリアルに想像することができる。しかし,データを読み解くことでそこに息づく葛藤や尊厳にまで思いを馳せるのは至難の業であり,それを試みたとて独りよがりになりやすい。そうした普遍的な感情を理解することがその土地を理解することとも限らないが,どのような文化的,産業的,政治的背景のもとに生きる人々も私と同じような人間である。小説とはデータという背景の色彩に覆われた人々の暮らしを掬い上げるものだと思った。
表紙
ペンネーム: かろてん
大学: 早稲田大学
書名: 本が生まれるいちばん側で
著者: 藤原印刷
出版社: ライツ社
コメント: 
長野県にある印刷会社、藤原印刷の藤原兄弟が個人の本づくりに全力で向き合った仕事を紹介する。本って出版社じゃないと作れないと私も勝手に思い込んでいたけれど、この本を読んでその考えは間違っていたと気づいた。本は自分が作りたいと思った瞬間から作ることができるんだ、そしてそれを全力でサポートしてくれる会社があるんだということを知れた一冊だった。読者は紙の種類や本の細かいサイズなんて気にしていないかも知れない。でも作り手はこだわる。作者にとって自分の本とは、大切な大切な自分の子どものような存在なのだろう。
表紙
ペンネーム: 詩暢
大学: 京都大学
書名: 限りなく透明に近いブルー
著者: 村上龍
出版社: 講談社文庫
コメント: 
官能と退廃に満ちた描写に、頭がくらくらした。ドラッグ、ヴァイオレンス。文庫本にしてたった150頁の小説は、目も眩む程の衝撃で私を襲った。解説で綿矢りささんが書かれているように、大人になった私たちは「見たくないものをわざわざ見る必要はない」。それでも、物語の終盤でリュウの見ている世界の美しさは、世界の暗部を見た者だけが分かる美しさだと思う。ぼろぼろになった彼の身心は「限りなく透明に近いブルー」の世界を捉えていた。
表紙
ペンネーム: おもち
大学: 東北大学
書名: セミコロン かくも控えめであまりにもやっかいな句読点
著者: セシリア・ワトソン<萩澤大輝/倉林秀男=訳>
出版社: 左右社
コメント: 
英文で時々見かけるセミコロン(;)。,や:との違いがわからず、その使用方法を知りたくて本書を読んだ。結果として、正しい;の使い方はよくわからなかった。本書では、多くの文法学者が句読点の規則化に失敗してきたり、条例中の;の存在による解釈の違いが裁判で争われたりと、ネイティブも;に振り回されてきた様子が書かれている。;の一般的用法から外れているのに素晴らしい文章も紹介されており、言語において規則は必要でも十分でもないということを実感し、文法や規則といった「正解」にとらわれすぎないようにしたいと思った。
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