今月のナイスコメント(2026年3月)速報

2026年5月16日現在
 
3月に投稿されたコメント488枚から選考しました。
選考は、大学生協の全国学生委員出版甲子園学生メンバー(特別協力)、書籍担当職員、顧問をお願いしている先生で行いました。

ナイスコメント一覧はこちら
 

ナイスコメント:5件
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表紙
ペンネーム: おもち
大学: 東北大学
書名: ちいさな王子
著者: サン=テグジュペリ<野崎歓=訳>
出版社: 光文社古典新訳文庫
コメント: 
「星の王子さま」として有名な小説だが、今まで読んだことがなかった。子供向けの話だろうし今更読むのは遅いかなと思いつつ読み始めたが、全くそんなことはなかった。あまりに純粋な王子に時折苛立ちを覚えてしまうのは、私が数字や見かけに囚われたつまらない「大人」になってしまったからかもしれない。それでも読み進めるうちに彼が愛おしくなった。まだ読んでいない人も、昔読んだことがある人も、子供向けの作品と思わずに一度読んでみてほしい。本の冒頭に書かれているように、どんなおとなだって、最初はこどもだったのだから。
表紙
ペンネーム: よもぎ
大学: 同志社大学
書名: すこやかなひとりぼっちの守り方
著者: うすいはるか<カシワイ=絵>
出版社: 角川書店
コメント: 
この本のあなたは、すごく強い人なのだなと思いました。ただ、生まれつき強いのではなくて、いろんな経験を経て自分に正直になるために強くなったのかなという気がします。あなたは「八方美人でいる時の自分がいちばん楽」と書いておられました。八方美人が悪口として機能しているのはもちろんご存知でしょうし、そういう意図で使われた経験もあるかもしれない。でもあなたは、それを自分のあるべき姿として捉えている。酸いも甘いも自分のものにしていて、それがとても素敵だなと思いました。
表紙
ペンネーム: えび天天
大学: 京都大学
書名: カウンセリングとは何か
著者: 東畑開人
出版社: 講談社現代新書
コメント: 
カウンセリングとは何か。哲学的なところから始め、実際にどのような手順で初め、カウンセリングを行い、終わらせていくのか。例も交えながら細かく解説されており、カウンセラーという職業へのある種の不信感のようなものが解消される人も多いのではないかと感じるような内容だった。難しいこともわかりやすく説明されておりとても読みやすく理解しやすかった。カウンセリングに自分は関係ないと思う人も、自分の心や他者の心と向き合うにあたって、心とはどういうものなのか、どう扱うべきか深く考える良い機会になると思う。
表紙
ペンネーム: 田住
大学: 千葉大学
書名: かんがえる子ども
著者: 安野光雅
出版社: 福音館書店
コメント: 
本を読むことは、心の体操であり、自分の考えかたを育てることであるという。
最近の私ときたら、スマホをいじってばかりで、本を読むことがめっきり減っていた。自ら考えることも減っていたのだろう。久しぶりに文章を書くと、何と難しいことか!
安野先生は、子どもも、おとなも、自分で考えるくせをつけてほしい、と言った。そして、それには日頃の訓練が必要だとも述べた。
はっとした。これではいけない。今日から、読書を再開しよう。「かんがえるおとな」になろうじゃないか。
表紙
ペンネーム: がうっちぃ
大学: 静岡大学
書名: 水を縫う
著者: 寺地はるな
出版社: 集英社文庫
コメント: 
好きであることは苦しい。好きであり続けるのは難しい。手芸が好きな男子高校生に、かわいいものが苦手な姉。本当はやってみたいこと、興味のあること、人目を性別をお金を年齢を理由に見て見ぬふりをするのはつらい。好きを追ってきたからこそ、ときに好きを言葉にするのを躊躇ったことがあるからこそ、よくわかる。けど、好きなものを理由に他のものを諦めるのも、世間体を理由に好きを諦めるのも違う気がする。好きだからこそ、真摯でいたい。好きを言葉に、そして、相手の好きを受け止められるようになりたい。
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次点:12件


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表紙
ペンネーム: 水銀灯
大学: 宇都宮大学
書名: でっちあげ
著者: 福田ますみ
出版社: 新潮文庫
コメント: 
あまりよく知らずに手に取ったが、ページを繰るたびに衝撃に襲われた。人間の主張なんて何を言ったかより誰が言ったかであり、その「誰か」というのを見誤ると、人生がどうにも立ち行かなくなる。現実的にありえないことが、その現場を知らない人によって誇張され全く別の化け物になるということ、ここまで凄いものはなかなか自分の身の回りには起きないが、人の発言を信じるということはどういう事なのかを改めて考え直した。
表紙
ペンネーム: しろみ
大学: 茨城大学
書名: さまよう刃
著者: 東野圭吾
出版社: 角川文庫
コメント: 
花火大会に長峰は一人娘である絵摩を送り出したが、後日娘は遺体となって発見された。絶望する長峰だが、そこに密告電話がかかってきてその犯人を知る。そしてそのうちの一人を殺す。長峰は娘の仇をとるため、もう一人の犯人を警察に追われながら探す。ここで、争点に上がってくるのが日本の法制度である。法は裁くだけでなく、加害者の社会復帰のためにもある。しかし、そこには被害者の無念や残された家族の思いをほとんど含めていない。正義とは何なのか、法とは何のためにあるのかを問う、かなしい物語だった。
表紙
ペンネーム: min
大学: 名古屋大学
書名: マウス
著者: 村田沙耶香
出版社: 講談社文庫
コメント: 
他では息できないのに、自分の前でだけ呼吸ができるようになる。友人から言われたら最高にうれしい言葉だと思った。感情が読めないと思っていた子が、ちゃんと感情があって自分だけにそれを見せてくれる。言葉で伝えてくれる。喧嘩もしてくれる。友人の言葉に苛つきながらも、それに救われる。とても優しくて救われるような物語だった。
表紙
ペンネーム: くろのすけ
大学: 横浜市立大学
書名: イェール大学集中講義 思考の穴
著者: アン・ウーキョン<花塚恵=訳>
出版社: ダイヤモンド社
コメント: 
結局のところ、本書を読んだからといってパラダイムシフトが起こって私の行動が大きく様変わりする……なんてことは全くない。ただ、人間が抱えるバイアスや不合理な判断について知り、それを都度思い出しながら生活出来るようになるだけだ。しかし自信満々にバイアスがかかった方へ進んでいく自分に気づく機会が得られるだけでも万々歳ではないか。
多くの情報にアクセスし多くの決断を迫られる現代にこそバイアスを理解する事でよりフェアな姿勢を目指す筆者の理念が必要だ。
表紙
ペンネーム: 互いに素
大学: 名古屋大学
書名: 思考の整理学
著者: 外山滋比古
出版社: ちくま文庫
コメント: 
朝に勉強してみると、今までわからなかったところがすんなり理解できた。ずっと悩んでわからなかった問題が、風呂の中や布団に入ったときに突然閃いて解けるときがある。このような、なんとなく知っていて、でもはっきりとは意識できていない「考える方法」をきれいに言語化してくれている本。考えをしばらく「寝させ」て「発酵」させること、知識を「捨てる」ことなど、まさに思考を整理する方法を教えてもらいました。
表紙
ペンネーム: チーズ
大学: 千葉大学
書名: 嘘つきジェンガ
著者: 辻村深月
出版社: 文春文庫
コメント: 
人間がジェンガのように積み重ねた嘘が呆気なく崩壊するまでを描いた短編集。この作品では様々な事情から、人を騙す選択をした人々の葛藤や不安を描いている。嘘をつくことで称賛、金、名誉といった輝かしいものを手に入れ、それをさらに欲するために嘘をつくという悪循環を言語化できていることが興味深かった。誰もが嘘をつくからこそ、登場人物が嘘をつく瞬間は手に汗握るものがあった。嘘をつくことの背徳感と恐ろしさを実感した作品だった。
表紙
ペンネーム: 魔女のアクアリウム
大学: 福岡女子大学
書名: おしごとそうだんセンター
著者: ヨシタケシンスケ
出版社: 集英社
コメント: 
私はそろそろアルバイトを始めたいと思っている。そこで、求人情報を見ていったのだが、決めるのがまあ難しい。大学に通うから長時間はできない。家や大学からなるべく通いやすいところがいい。接客業よりはなるべく裏方の仕事がいい……などと考えていると行き詰まってしまい、「こんな私にできる仕事なんてあるのだろうか」と途方に暮れてしまった。そんな時にこの本を読んで、肩の力が抜けた。ヨシタケさんの考える「めずらしいしごと」にわくわくしながら、「仕事」に対してやわらかく考えられた。アルバイト、何とかなるかもしれない。
表紙
ペンネーム: おひさまランチ
大学: 東京外国語大学
書名: 結婚式のメンバー
著者: カーソン・マカラーズ<村上春樹=訳>
出版社: 新潮文庫
コメント: 
12歳の主人公を通じて、同じ歳だった頃の自分と再会したような気分だ。田舎町で生まれ育ち、外の世界への憧れに取り憑かれている。ここから出ていくと宣言し、できっこないと大人にたしなめられる。それに反抗して衝動的な行動を取る…どれも身に覚えがありすぎてウワーッとなる。訳者解説を読んで、これが作家の自伝的な小説であることを知り、彼女と友達になりたかったとさえ願ってしまう。
主人公は鬱屈とした夏が永遠に続くように感じているが、大人になった私はそうではないことを知っている。どうか今を大事にして、と声を掛けたい。
表紙
ペンネーム: kinako
大学: 京都大学
書名: 異国の客
著者: 池澤夏樹
出版社: 集英社文庫
コメント: 
インターネット上で、世界中の人々が瞬時につながりをもつことができる時代が、人間の視野を狭め、価値観を硬くし、ときに攻撃性を高めるのではないかと思った。その土地に立って空気を吸うことで、世界を連続的なものとしてとらえることができるかもしれない。境界線のない違いによる混沌を知覚し、自分の言葉として手に入れる経験をしてみたい、日本の外で人と出会い、学んでみたいと思った。
表紙
ペンネーム: みけ
大学: 東北大学
書名: 悪人
著者: 吉田修一
出版社: 朝日文庫
コメント: 
小説を読んで、こんなにもやるせなさ、無力感、怒りを感じたのは初めてだった。登場人物たちは作者の手のひらで踊らされているに過ぎないとわかってはいるのだが、感情を排して読むことができない。それほどリアリティを持って物語が展開されていた。しかも不思議なことに、自分が何に怒っているのか明瞭に言えない。この世の不平等か、道に反した行動か、人を嘲笑うことしかできないどうしようもない人間か。何度も読み返せば分かるのかもしれないが、それには鋼の心が必要だろう。今言えるのは、人を馬鹿にするのは簡単だということだ。
表紙
ペンネーム: まなりん
大学: 神奈川大学
書名: ぎりぎり合格への論文マニュアル
著者: 山内志朗
出版社: 平凡社新書
コメント: 
新潟大学のモモノスケ氏による2025年5月の読書マラソン評に目を奪われた。書名からして興味を惹かれたが、その紹介文が放つ独特の熱量に背中を押され、本書を手に取ることにした。期待通り、内容は爆笑の連続だ。特に卒論タイトルの善し悪しを実例付きでぶった斬る場面が凄まじい。具体的なタイトルを並べて「恥ずかしい」や「ユルフン」と一蹴する容赦のなさは、読んでいて爽快ですらある。もし自分のタイトルがこんな風に書かれたら、ショックで泣いてしまいそうだ。著者のユーモアと鋭すぎる視点に、終始圧倒される一冊だった。
表紙
ペンネーム: 恋文の技術向上委員会
大学: 早稲田大学
書名: 忙しい人のための美術館の歩き方
著者: ちいさな美術館の学芸員
出版社: ちくま新書
コメント: 
「忙しいから美術館に行かない」のではなく、「忙しいからこそ行く」。この本を読んでそう確信した。コスパやタイパを異常に気にしてしまう私たちにとって、美術館はそんな現代病を治す処方箋である。アートに触れることで心に余白が生まれ、平常心を取り戻すことができる。自分がこれまで美術館で感じていた心地よさが、この本で見事に言語化されたと感じた。本書には鑑賞を楽しむ+H18:H20秘訣も満載なので、行く前に読めばより楽しめるだろう。
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