今月のナイスコメント(2026年6月)速報

2026年8月3日現在
 
6月に投稿されたコメント886枚から選考しました。
選考は、大学生協の全国学生委員出版甲子園学生メンバー(特別協力)、書籍担当職員、顧問をお願いしている先生で行いました。

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ナイスコメント:6件
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表紙
ペンネーム:
大学: 名古屋大学 2年
書名: 手話の学校と難聴のディレクター
著者: 長嶋愛
出版社: ちくま新書
コメント: 
私は暇なとき、よくドキュメンタリー番組の配信を見返す。これは恐らく考え「させられる」という体験が好きだからなのだと思う。そして、正直にいうと娯楽にばかり時間を使う人よりも少し大人びているとも思ったことがある。しかし、この考えは的外れだと本書は諭してくれた。観衆に求められているのは受け身ではなく、相手の課題に対して自分や社会は何ができるかを考える姿勢である。可哀想、気の毒などの偏見から離れて、自分の目で見て考えるのだ。自分の課題で手一杯になりがちな今こそ、これらの姿勢を保つ価値があるのではないか。
表紙
ペンネーム: げっこー
大学: 宇都宮大学 大学院
書名: タスキメシ 箱根
著者: 額賀澪
出版社: 小学館文庫
コメント: 
「努力は人を裏切るよ。ここぞというときに、裏切るよ」この一文を読んで、涙が出そうになった。部活、受験、研究。自分自身、やってもやっても結果が出ないという状態には色々な場面でぶつかってきた。しかし真正面に「努力は裏切る」と言われると、逆に、その努力そのものを愛おしく感じられるようになった。裏切られるかもしれないけど、努力しないと得られるものも得られない。努力できるということ自体が非常に価値あることなのだと勇気づけられた。
表紙
ペンネーム: ワイ
大学: 岐阜大学 2年
書名: イン・ザ・メガチャーチ
著者: 朝井リョウ
出版社: 日経BP
コメント: 
ねえ。内容がこんなにグロいとか聞いてないって。まるで、虫を持って嫌がる女子を追いかける男子のように、「私たちが見ないようにしている日本」を見せようと「私たち」を追いかける「作者」。私の内側を、日本社会の暗黒を、えぐり取って目の前に差し出してくる。『どう?あなたはこれを知ってしまった。だから、もう無視なんかできないでしょ?』という問いかけとともに。
表紙
ペンネーム: のら
大学: 立命館大学 4年
書名: 世界でいちばん透きとおった物語
著者: 杉井光
出版社: 新潮文庫nex
コメント: 
物語終盤に差し掛かっても事件らしい事件は起こらない。それどころか、主人公の取り組む問題についても疑問点だけが積み重なっていく。それでも最終章に差し掛かると、今まで読んできた中で覚えたちょっとした違和感――言葉遣いが少し変、やけに改行や改章が多い、主人公が追っている謎に関係ないような主人公の過去に対する言及が多い――が全て解消される。「透きとおった物語」は比喩ではなかったのだ。どうか何も事前情報を得ずにこの物語を体験してほしい。
表紙
ペンネーム: いちごおはぎ
大学: 熊本大学 4年
書名: 海をあげる
著者: 上間陽子
出版社: 筑摩書房
コメント: 
読み終えて、台風の日の奄美大島で見た海を思い出した。黒々とした雨を吸い込んで澱み切った色。いつもの碧なんて知らないみたいだった。この本で語られる沖縄は、暗くて仄かに明るい。知っているつもりになって、知らないでいた等身大の沖縄の姿。美しい街として知られているあの場所には、聞かれる間もなく、誰かの悪意に埋葬されてしまった声がある。黒々とした海を微かに照らした日の光の色を思い出した。読むだけで行動しなければ何も変えられないと分かっている、それでも今はこの行き場のない声をもう少し聴いていたいと思った。
表紙
ペンネーム: tukica
大学: 名古屋大学 2年
書名: 午後のチャイムが鳴るまでは
著者: 阿津川辰海
出版社: 実業之日本社
コメント: 
最高!こんな青春を送りたかった!
コロナウイルスの影響が残るなかで全力で楽しむ高校生たちのちょっとした事件を描くミステリ風味青春小説です。実際に中高生時代にコロナウイルスの影響があった私たちとしては全力共感とともに羨望を抱いてしまう作品だと思います。
なんて馬鹿らしい、なんて楽しそうなんだろう!もっともっと、無駄なことをしておくべきでした。
現役の高校生よりも、高校を終えた大学生以降の人に読んで思う存分悔しがって欲しい作品です、ぜひどうぞ!
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次点:12件


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表紙
ペンネーム: ぴらるく
大学: 名古屋大学 1年
書名: 君のクイズ
著者: 小川哲
出版社: 朝日文庫
コメント: 
「クイズ番組の優勝者は、なぜ問題を1文字も聞かずに正解できたのか?」もし誰かがクイズの問題を1文字も聞かずに正解したら誰もがその人が不正をしたと思うだろう。ではもしそれが不正やヤラセではなかったとしたら?なぜそのような所業ができたのか?この本ではその謎に迫る中で主人公である三島の人生とクイズとの関わりが語られていく。私たちの人生の経験は何もかもがクイズになりうる、そんな感覚すら覚えた。さて、「この本を読んで後悔することがあるだろうか?」正解は「No」であろう。
表紙
ペンネーム: 紫陽
大学: 大東文化大学 4年
書名: 虹色エイリアン
著者: 入間人間
出版社: 電撃文庫
コメント: 
日本の夏。この環境下においては、宇宙人にとっても過酷らしい。
そんな彼らが避暑地として選んだのは、アパートに住む住人だった。
人間と宇宙人。文化も価値観も、何より生き方が異なる二つの生物が、それでも生きるために対話を試みる。奇妙ながらも清々しい友情を描いた物語。
宇宙人とまではいかずとも、価値観の違う人々と対話する機会は増えていく。その結果が共存であれ、拒絶であれ、相手を理解しようとするには、思っている以上の体力が必要なのかもしれない。
その日に備えて、まずはランニングから始めてみるのはいかがだろうか。
表紙
ペンネーム: 田住
大学: 千葉大学 4年
書名: 日記で読む日本文化史
著者: 鈴木貞美
出版社: 平凡社新書
コメント: 
他人の日記を読むのは面白い、この一文に惹かれて手に取った。本書には、古代から戦後まで日本人が紡いできた日記文化の変遷が描かれ、形を変えながら脈々と受け継がれる日本の日記文化の奥深さを味わった。時代が変わっても、ある瞬間の風景や個人の心の揺らぎを書き留めたいという欲求は、私たちのDNAに深く刻まれているのだろう。かつて紙に綴られた生活文化と精神は、今や短文や写真としてネット海を漂う。知らない土地、知らない時代の人々の心を覗かせてくれる日記。あぁ、本当に他人の日記を読むのは面白い。
表紙
ペンネーム: みかんマン
大学: 松山大学 4年
書名: ジェノサイド 下
著者: 高野和明
出版社: 角川文庫
コメント: 
この作品を読み終わった時、私は絶望した。こんな素晴らしい作品を伝える自分の語彙力、説明能力のなさに。
本作では虐殺というテーマを通して、人間という生物の愚かな生態を描いている。しかし一方で人間という生き物の誇り高き精神も、目をそらすことなく重厚に書ききっているのだ。
読み終わった時、きっと人間という生き物が好きになるかもしれない、そんな一作だった。
表紙
ペンネーム: パプ
大学: 同志社大学 4年
書名: わたしの日々が、言葉になるまで
小説家に学ぶ言語化のコツ
著者: 町田そのこ
出版社: 祥伝社
コメント: 
なるほど,とすごくためになる項目もあれば,そんなことを気にする人もいるのか,という気づく項目もあった。前者の最たるものは,「話したあとに『違うことを言えばよかった』と後悔してしまう」。私もこれは母と話したあとよく思う。それも,もしかしたらこの質問者の方より質の悪いことに,言わないほうがいいかもしれないと思いながら言うのだ。これには私なりの理由もあるのだけど,こうやって後悔するくらいなら,小さなアラートが聞こえたら,「一度そこで話を止め」てみようと思う。
表紙
ペンネーム: ルラーリ
大学: 東京農工大学 1年
書名: 学生による学生のためのダメレポート脱出法
著者: 慶應義塾大学日吉キャンパス学習相談員、慶應義塾大学教養研究センター
出版社: 慶應義塾大学出版会
コメント: 
レポートを書くたびに課題テーマからずれ迷走し、引用文献とは何かとネットで検索し、誤字脱字がなくならずAIに助けてと懇願し、黒歴史と化す、そんな経験をしたことがないだろうか。そんな、レポート赤ちゃんである我々大学1年生が読むべき本である。これを読めばレポート小学生にはなれるだろう…。私はこの本を片手に来週提出のレポート3枚に挑もうと思う。
表紙
ペンネーム: kei
大学: 中京大学 2年
書名: はてしない物語
著者: ミヒャエル・エンデ<上田真而子、佐藤真理子=訳>
出版社: 岩波書店
コメント: 
『はてしない物語』は、ただの冒険ファンタジーではなく、「本を読むこと」の意味そのものを描いた作品だと思う。主人公のバスチアンは物語を読む側だったはずが、やがて自らその世界へ入り込み、自分自身と向き合っていく。
本を読めば、自分とは違う人生や価値観に触れられる。その楽しさや自由さを、この作品は物語そのもので表現しているように感じた。子どもの頃に読めば冒険として、大人になって読めば自己探求の物語として読める。読書が好きな人ほど強く心に残る一冊だった。
表紙
ペンネーム: 牛肉の手羽先
大学: 大阪大学 大学院
書名: ケアと編集
著者: 白石正明
出版社: 岩波新書
コメント: 
筆者のああでもないこうでもないと引いては押し返す筆遣いの波にのせられ、現代社会や科学の視点だけではたどり着きにくいような場所へと流れ着く一冊。なかでも、科学が扱えるのは再現性のある事柄に限られる、という指摘が印象に残っている。人そのものを変えるのではなく、その人が生きる物語や文脈を編み直したっていいんだという発想にも強く惹かれた。受動性と偶発性を湛えながら生きることを肯定する本書を、能動的に語ろうとするとどうしてもいろいろ零れ落ちてもどかしいので是非読んで欲しい。
表紙
ペンネーム: ゆーかりそ
大学: 早稲田大学 1年
書名: 生きることはすごいこと
著者: 安野光雅、河合隼雄
出版社: 講談社
コメント: 
画家の安野さんと心理学者の河合さんの対談。話題を追いながら考えるのが面白かった。印象に残った話で、人間は本当のことを言葉や絵なんかで表現するとどうしても自分の中で何かしらの変化をかけてしまう。それはウソとも取れるが、その時のその人にとっては本当なのだともいう。
ここでコメントを書くときもいつも、本当にそんな感覚だったのかは疑わしいし、そのまま言語化して自分の中でそれが感想として固定されるのは怖い。一方でこうやって言葉で切り取ったものも今この瞬間に本当だと思えば受容できる気がする。
表紙
ペンネーム: わみらく みか
大学: 北海道大学 4年
書名: 夜に猫が身をひそめるところ
著者: 吉田音、吉田篤弘
出版社: 中公文庫
コメント: 
夜中にふと歩きたくなる季節。街灯近くのベンチで、ひとりこの本を読みました。こんな夜にも、猫はどこかに向かい、何かを持ち帰ってくる。人が目を離している間、猫がどこに行っているのか、私達は想像するしかない。もしかすると、過去にも、本の中にも、現実にも、未来にも行っているのかもしれない。本の中の猫「シンク」も、もしかすると、私の近くにいるかも。車の過ぎ去る音とライトを感じながら、猫の気配も感じる、そんな一夜でした。
表紙
ペンネーム: ゆず
大学: 徳島大学 1年
書名: 人間みたいに生きている
著者: 佐原ひかり
出版社: 朝日新聞出版
コメント: 
「普通に生きる」とは何だろう。読みながら何度も考えた。登場人物たちは人との距離感や感情の扱い方に悩み「人間らしく生きること」の難しさを抱えている。その姿はどこか他人事ではなく、自分自身にも重なって見えた。大学生になって、周囲と比べて焦ったり、自分だけがうまく生きられていないように感じたりすることがある。しかし本書は、そんな「人間らしく生きられない」と感じる瞬間さえ、人間らしさの一部なのだと教えてくれる。読み終えたあと、自分に少し優しくなれた。正解を示すのではなく、問いとともに生きる勇気をくれる。
表紙
ペンネーム: tori_py
大学: 京都大学 1年
書名: 流浪の月
著者: 凪良ゆう
出版社: 創元文芸文庫
コメント: 
この人は「恋人」、あの人は「親友」。自分を含む人々には、何でもかんでもラベリングしてしまうきらいがある様に感じる。でも、有り体な言葉で形容してしまっては損なわれれしまうものがあると思う。事実としては、文と更紗は「女児誘拐犯とその被害者」に映る。でも真実は全く違う。決して恋人関係にあるわけではないが、二人は互いに心を深く通わせ、唯一の理解者であり続けた。この表しようのない関係性がとても素敵だと感じた。言語化しない、ラベル化しないことが大切になることもあるのだと教えてくれた一冊。
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