今月のナイスコメント(2026年8月)速報

2026年10月6日現在
 
8月に投稿されたコメント743枚から選考しました。
選考は、大学生協の全国学生委員、出版甲子園学生メンバー(特別協力)、書籍担当職員、顧問をお願いしている先生で行いました。

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ナイスコメント:5件
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表紙
ペンネーム: とりに
大学: 北海道大学 3年
書名: ぬるい毒
著者: 本谷有希子
出版社: 新潮社
コメント: 
現代の言葉でいう冷笑、この本では侮辱というものがこの本にはあった。登場人物の向伊のような人を弄ぶことで悦に浸る人間には心の底から嫌いだが、私は向伊側の人間だったんだ気づいた。高校生の頃私は自分は頭がいいことを鼻にかけて友人を馬鹿にするような態度を、自覚はなくとも客観的に見て取っていたと思う。この物語に描かれる侮辱は、自分が向き合うべき現実だった。冷笑することは他者を傷つけ、自分自身の浅さや弱さをも露呈させる行為だ。その痛みを理解した今、私はようやく向伊とは違う場所に立てているのかもしれない。
表紙
ペンネーム: 英雄ボロネーゼ
大学: 東京外国語大学 1年
書名: ルビンの壺が割れた
著者: 宿野かほる
出版社: 新潮文庫
コメント: 
はじめは恋愛ものと思って読み進めていた。一度は生涯をともにすることを誓った男女が、フェイスブックを通して久々に連絡を取り合い回想する姿はまさにロマンチックそのものである。しかし、展開される事実から次第にロマンチックの様相はぼやけ薄気味悪さが際立っていく変遷は、間違いなく「ルビンの壺」である。そしてなにより、物語最後の一行を見たとき、ガシャン!と音を立てて壺は崩れた。自分のなかで確実になにかが壊れる音がしたのが、まだ忘れられない。
表紙
ペンネーム: 魔女のアクアリウム
大学: 福岡女子大学 2年
書名: 家族解散まで千キロメートル
著者: 浅倉秋成
出版社: KADOKAWA
コメント: 
読後、ざわざわした気持ちがなかなか収まらなかった。私はずっと、「純愛」というものを愛してきた。たった一人を一途に愛する。それには、他の相手と肉体関係を持たないということも含まれる。私はきっと、今後も「純愛」を求めてしまうのだろう。それなのに、「浮気は家族を裏切ったということなのか」という問いに、どうして揺さぶられてしまうのか。考えても簡単に答えは出せない。ただ、「家族とはこうあるべき」という考えに自分を押し殺すのではなく、自分が幸せになれる道を探すべきだ、ということは、胸を張って言いたい。
表紙
ペンネーム: tori_py
大学: 京都大学 1年
書名: 正欲
著者: 朝井リョウ
出版社: 新潮文庫
コメント: 
「普通」や「多様性」の境界を突きつける作品。作中には、多様性からも溢れ落ちた人々が登場するが、彼らの姿勢にはモヤモヤが残った。彼らは自身を異常者と位置づけ、周囲を「マジョリティ」と一括りにしてシニカルに切り捨てる。私はそこに図々しさとダブルスタンダードを感じた。誰しも、社会の定める「正しさ」と折り合いがつかない部分を抱えて苦しんでいる。むしろ、本当に「普通」の人などこの世に存在しないと自分は思う。周囲の不理解に絶望する彼ら自身もまた、他者への理解を放棄しているではないか、と感じずにはいられない。
表紙
ペンネーム: 牛肉の手羽先
大学: 大阪大学 大学院
書名: あふれでたのはやさしさだった
著者: 寮美千子
出版社: 西日本出版社
コメント: 
場の力はすごい。絵本を読み、詩を書き、互いの言葉を受け止める。その中で、彼らの奥底にしまわれていたやさしさが零れ落ちていく。でも私は素直に感動できなかった。罪を犯した事実は消えないし、やさしいからといって罪が軽くなるわけでもない。なぜこんなにモヤモヤするのだろう。嫉妬?彼らにさえ「受け止めてくれる誰か」がいることを、私は羨んでいるのかもしれない。私にも、そういう人がいてほしい。けれど読み終える頃には、そんな私までこの本に受け止めてもらったような気がした。そのやさしさに、私の心も救われた。
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次点:7件


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表紙
ペンネーム: 寒月
大学: 近畿大学 2年
書名: 自由に、気軽に!本と仲良くなれる本を楽しむ教科書
著者: 大島梢絵
出版社: ナツメ社
コメント: 
本をどう読むのかではなく、どう楽しむのかを教えてくれる教科書。読書が趣味の人よりも、本をほとんど読んだことがない、活字を読むのが苦手という人向けの本。本は最初から読まねばならないという決まりはない。ミステリとなると、最後から読めば犯人や結末がわかってしまい、面白さが半減してしまう場合もある。けれど、だからといって無理して読む必要はない。自分の好きなように、楽しめるように読めば良い。そんな当たり前だけど忘れがちなことを教えてくれる本だった。
表紙
ペンネーム: ダニエル
大学: 佐賀大学 1年
書名: 正欲
著者: 朝井リョウ
出版社: 新潮文庫
コメント: 
読了後には以前の自分はいない。そう感じさせる一冊です。”多様性”近年何かと口にする言葉。皆さんのなかの多様性とはなんなのか考えてください。きっと自分が考えていた多様性とは無限と広がる世の中の極々一部で、想像もしていなかった、想像し得なかったものであると気付かされるでしょう。私はこの本を読み、他人を理解することなんて到底不可能であると感じました。ただ人と何かを共有できる事はとても尊く、生きる糧になるのだとわかりました。
表紙
ペンネーム: 氷刄
大学: 龍谷大学 2年
書名: 永遠の記憶
著者: 東野圭吾
出版社: 文藝春秋
コメント: 
東野さんの遺作。”ガリレオ、最後の謎”が明かされる。東野さんの最後のメッセージ。しばらく鳥肌が止まらなかった。誰かを愛おしく思うこと。すべてを明らかにすることへの迷い。この作品は、これまでのガリレオシリーズに対するアンサーであると感じた。高校生のときから、私は70作品以上の東野作品を読んできた。東野さんは「愛」、「献身」、「贖罪」というテーマを通して、いつも「人の心」を描いていた。そんな東野作品に没頭して、辛いときも苦しいときも時間を忘れた。その記憶は永遠に消えることはない。ありがとう、東野さん‥。
表紙
ペンネーム: enjoy!
大学: 奈良女子大学 2年
書名: 往復書簡 限界から始まる
著者: 上野千鶴子
出版社: 幻冬舎文庫
コメント: 
なんておもしろい本なのだろう。ジェンダーやフェミニズムを学ぶ者として、それ以前にこれから人生を歩んでいこうとする若者として、読み進める手が止まらない。「あなたに何ができるかは、やってみたあとでなければわかりません」(p235)、「あなたが今、何者であるかのほうが、かつて何者であったかよりも、もっと大事です」(p360)というメッセージが忘れられない。社会学のおもしろさに気付けた一冊。社会にうんざりしても、それは学びを深める妨げにはならない。
表紙
ペンネーム: モモノスケ
大学: 新潟大学 3年
書名: 白痴 2
著者: フョードル・ミハイロヴィチ・ドストエフス
出版社: 光文社古典新訳文庫
コメント: 
巨星ドストエフスキーの名に浮き立ち、読書人の人いきれのなか、書評の屋台を覗きつつ、さてページを開けば、晴れ渡った夜空に強烈な個性の四尺玉が次々と打ち上がる。夏祭りに行かない人は代わりに読んでみてください、溢れ出るお祭り気分が楽しくて仕方ない。華やかな喧騒に包まれ、火花を散らす大論戦に圧倒されたり着飾った美人に見とれたり。皆がみんな激情を胸に口角泡を飛ばして喋りまくるポリフォニーの文学は、特大花火のスターマインを思わせる。なんと言っても世界文学の花形、最高に贅沢な夜のひとときを保証します。
表紙
ペンネーム: りぼん
大学: 新潟大学 3年
書名: おいしいごはんが食べられますように
著者: 高瀬隼子
出版社: 講談社文庫
コメント: 
本の薄さからして一息で読み終えられるだろうと鷹を括っていたが、この小説が何を語ろうとしているのか察せられる序盤あたりで大ダメージを喰らってしまい、一度ぐるぐる考える時間が生じてしまった。周囲に「配慮」を強いることのできる立場にも、そんな人間に対し不快を感じる心境にも、心当たりがあった。でも、芦川さんの内側だけは描かれず、それが巧妙だと思う。読後は、思いやりに溢れて見えるタイトルが空虚に響いた。
表紙
ペンネーム: tukica
大学: 名古屋大学 2年
書名: 私たちはたしかに光ってたんだ
著者: 金子玲介
出版社: 文藝春秋
コメント: 
自分が辞めたバンドが、紅白にでる・・・・・・。
高校生のときに熱意を持ってバンド活動をしていた主人公の瑞葉の話です。バンドのために必死になっていた高校生時代と、会計士として就職し仕事に追われる現在の話が交互に出てきて、そのギャップと苦悩が胸に迫って来ました。夢を追いかけて叶う人は一握り。その夢を、大好きなバンドのために諦めて辞める、という大きな決断をした彼女をたたえたいし、勇気に涙が出てきてしまいました。私、こんな風に感動物語で泣くタイプの人間じゃなかったはずなのに。
あと、歌唱シーンの表現が大好き。
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