今月のナイスコメント(2026年9月)速報

2026年10月31日現在
 
9月に投稿されたコメント648枚から選考しました。
選考は、大学生協の全国学生委員、出版甲子園学生メンバー(特別協力)、書籍担当職員、顧問をお願いしている先生で行いました。

ナイスコメント一覧はこちら
 

ナイスコメント:2件
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表紙
ペンネーム: tukica
大学: 名古屋大学 2年
書名: 踊りつかれて
著者: 塩田武士
出版社: 文藝春秋
コメント: 
社会風刺すぎる一冊でした。
SNSで繰り返される誹謗中傷、週刊誌による事実無根な報道、それに過剰反応して叩きまくるごく普通の人々。それに対して「ネットで個人情報を公開する」ことで名誉毀損の罪に問われた男性の人生と、その弁護人の物語です。かつての栄光と、彼が守ろうとした芸能人の仕事ぶり、悩み、素晴らしさ。仕事が華々しければ華々しいほどに、現在の姿が痛くて厳しくて。この作品を読んだあとに、ネットを開くのが怖くなってしまいました。ネット上で誰かを傷つけていないか。誹謗中傷の片棒を担いではいないか、と。
表紙
ペンネーム: 葉脈の向こう
大学: 名古屋大学 1年
書名: 告白
著者: 湊かなえ
出版社: 双葉社
コメント: 
価値観だとか正しいこととかそういうのを自分は大事にしていたつもりだ。思春期には「アイデンティティの拡散が~」なんて一丁前に言って、自分で自分の価値観を作り上げたと思っていたし、マナーだとか目的とかを大切に正しいことを行うことを重視した。今、読了後に気付かされたのは、見る立場を変えたら正しいは変わるし、自分を持っているなんて思っても、私はこんなにも周りの影響を受けるのだという何ともありきたりな事である。しかし、これほど私を刺すような、何故か笑っちゃうようなこんな本を読めたことを嬉しく思う。
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次点:10件


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表紙
ペンネーム: 春待月 真
大学: 新潟大学 1年
書名: おおぎりぼっち
著者: 赤嶺総理
出版社: 双葉社
コメント: 
大喜利ってゼロイチでポンと発想するものなのだろうか。お笑いって才能なのかなという疑問はずっとあった。お題を自分なりに解釈して、補助線を引く方法は新鮮で面白かった。才能よりも工夫が占める割合が多いように感じる。読者が自分なりに回答を作ってから、ページをめくると赤嶺総理の大喜利の威力がはっきり感じられて面白いと思う。お笑いは受動的なものだとずっと思ってたけど、大喜利は自分なりの回答を作ってみると、相手との違いが際立って面白くなることに気づいた。積極性を持つことは何事も大事なのだなと改めて思った。
表紙
ペンネーム: マズルカ
大学: 東京大学 大学院
書名: 楽園の烏
著者: 阿部智里
出版社: 文藝春秋
コメント: 
嘘か真か。さっきまで切に胸に迫った言葉も、ページをめくれば空々しい演技に見える。最終章などそれが特に顕著だ。「泣いてどうなる。嘆いて何とする。」雪斎の心の悲鳴だと思っていたのに。どうやら、安易な感情移入は許されないらしい。それがまた面白く、シリーズを追い続ける理由でもあるのだが。読み返せば、色々な台詞や出来事の色が違って見えてくる。確かに、初読でも違和感はあったが素通りしたもの、たくさんあったと思い出す。今は、本作で語られなかった八咫烏たちの安否で頭がいっぱいだ。これはきっと、作者の思う壺。
表紙
ペンネーム: モモノスケ
大学: 新潟大学 3年
書名: 道化の宇宙
著者: 山口昌男
出版社: 白水社
コメント: 
山口昌男のエッセイ集。学術書だと思って開いたところ、怒涛の勢いで押し寄せるお喋りの奔流に呑み込まれた。なんとなく予想はつくと思うがだいぶ饒舌。喜劇映画と音楽についての意見、感想ないし蘊蓄が延々と語られる。ためになることはあまり書いていないかもしれないが、道化的な非公式の面白さなら請け合います。とくに「モーツァルト好きを怒らせよう」が面白い。僭越ながら私はモーツァルトと趣味が合うのではないかと思った。今度、彼の書簡集を読んでみよう。いいこと聞いちゃった。ホクホク。
表紙
ペンネーム: ワイ
大学: 岐阜大学 2年
書名: カラマーゾフの兄弟 上(ドストエーフスキイ全集 第12巻)
著者: フョードル・ミハイロヴィチ・ドストエフス
出版社: 河出書房新社
コメント: 
この本は異質である。普通、本を読むと、この作品の中に入ってみたいだとか、この人のことをもっと知りたいだとか、そんな空想を少なからず抱くはずである。しかし、そのような空想を一つも持たなかった。いや、持ちたいと思えなかったのほうが正しい。登場人物にまともな人がいなさすぎるし、やることなすこと全て残らず誰かの地雷を踏んでいるし、喧嘩は多いし、治安は悪い。要するに、この作品に登場すること全てに関わりたいとは思えないのだ。だが不思議と、読むのをやめようとも思えない。改めて言うが、この本は異質である。
表紙
ペンネーム: 二千香
大学: 名古屋大学 大学院
書名: ジジイの片づけ
著者: 沢野ひとし
出版社: 集英社
コメント: 
自らをジジイと呼ぶ沢野さんが、片付けの色々なヒントを教えてくれる本です。でも押し付けではなくて、僕はこうやってるよ。やってみたらいいんじゃない。くらいの温度感。逆にやる気が出ました。
私はとにかく物が捨てられず部屋が汚くて困っていたのですが、この本を読んで、立ち上がりました。土日を使って大掃除。胸を張って人を呼べる部屋に大変身しました。
ジジイ(あえてそう呼ばせていただきます)、ありがとう!!
片付けたいみんなにおすすめしたいです。
表紙
ペンネーム: みかん
大学: 東京農業大学 1年
書名: 正欲
著者: 朝井リョウ
出版社: 新潮社
コメント: 
読む前の自分には戻れないと思えるほど、価値観を大きく揺さぶられた作品だった。これまで私は「多様性」とは、さまざまな価値観を理解し、受け入れることだと思っていた。しかし本作を読んで、理解できないものまで無理に理解しようとするのではなく、互いに干渉しないことも多様性なのではないかと考えさせられた。自分が「普通」だと思っている基準で他人を判断することの危うさや、誰にも言えない孤独を抱えて生きる人の苦しさが強く描かれていた。読んでいて苦しくなる場面もあったが、自分の価値観を見つめ直すきっかけになった。
表紙
ペンネーム: オメライス
大学: 福井大学 3年
書名: 何者
著者: 朝井リョウ
出版社: 新潮社
コメント: 
朝井リョウ最低!と言ってしまいたくなるほどに理不尽な作品であった。なぜ彼はこのように読者が傷つくような作品を作ったのだろうか?読者である私たちが嫌いなのだろうか。それとも何者にもなれない私たちを馬鹿にしているのだろうか。 以上のようなことを言ったが、「人間の未熟さ」を煮詰めたようなこの作品は、どんな人間であろうとたとえダサくても、足掻くしかないという、何やら冷たく真っ直ぐ常熱を感じた。 冷笑という言葉が流行っている今、特に観察者になりがちな貴方に読んでもらいたい。
表紙
ペンネーム: ミカン小僧
大学: 名古屋大学 1年
書名: グラン・ヴァカンス
著者: 飛浩隆
出版社: 早川書房
コメント: 
凄まじい作品だった。客の来なくなった仮想リゾート地で、残されたAIたちは永遠に続く夏を謳歌するが、ある日現れた〈蜘蛛〉の大群によって日常は無残にも破壊される。ここまでやる? というくらい救いのない展開のオンパレードで、残酷なシーンが美しい文章で徹底的に描写される。その文章だけでも読む価値があるが、魅力的なキャラたちと彼らの絶望に満ちた抵抗や、徐々に明らかになる世界の真実、などエンタメとしても素晴らしい内容である。このような芸術作品を世に送り出してくれたことに感謝。
表紙
ペンネーム: kumorizora
大学: 東北大学 1年
書名: 死をポケットに入れて
著者: チャールズ・ブコウスキー
出版社: 河出書房新社
コメント: 
退屈とはなんだろうか、そんなことを考える本だった。この本は、日記のような顔をしているが実際のところ種々のものごとに対するエッセイの集まりである。競馬の話題への極端な偏りがこれをかろうじて日記たらしめているだけである。彼はもう70代でひねくれていて、言ってみればほぼ全てのことが退屈なのである。競馬、酒、パーティなど如何にも面白そうな話題は出てくるのだが、ひねくれた彼には全てつまらなくて、早く帰りたいものなのである。結局退屈というのは、やっていることがつまらないというよりは本人の気質が重要なのだ。
表紙
ペンネーム: 氷刄
大学: 龍谷大学 2年
書名: 殺人の門 上
著者: 東野圭吾
出版社: KADOKAWA
コメント: 
「殺意」に焦点を当てた作品。祖母の死、両親の離婚、初恋相手の自殺、失業など‥。止まらない不幸の連鎖。歯車が狂っていく。ずっと、暗闇の中を歩いている。主人公の田島和幸の視点のみで物語は進む。和幸の幼なじみの倉持修。倉持と関わることで和幸の人生は破滅へ向かっていく。和幸の心に芽生える倉持への殺意。殺したい、でも殺せない。それは、なぜなのか。依存と嫌悪の繰り返し。心が警鐘を鳴らしているにもかかわらず。最終的に、和幸は倉持とどのように決着をつけるのか。そして、暗闇から抜け出せるのか。下巻に続く。
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