『2012・協同組合』 ~国際協同組合年によせて~
大学生協共済連/編 発行元: 日本生活協同組合連合会 発売元 :コープ出版(株)
全国大学生協共済生活協同組合連合会(以下、大学生協共済連)は、国連が定めた国際協同組合年(2012年)の記念事業として、『2012・協同組合』を編集・発行しました。国際協同組合年は終了しましたが、世界の協同組合をさらに発展させるために、国際協同組合同盟(ICA)は「協同組合の10年に向けた計画」(以下、協同組合10年計画)を作成して、さらにとりくみを発展させています。
『2012・協同組合』は、大学生協共済連の〝原点〟といえる本です。2013年は、「協同組合10年計画」の1年目にあたります。あらためて、大学における生協の役割や使命を再認識する視点で、私たちの組織をご理解いただくために発信させていただきます。
<近未来の図>(資本主樹の森)
『2012・協同組合』の表紙に濱田康行会長のメッセージを形(イラスト)にした「近未来の図」が示されています。資本主義の世界を「資本主樹の森」に例えたものです。以下は同書を引用したイラストの解説です。
「中央に資本主義の樹(いわば大企業)があって、これは相当くたびれているのだけれど、これをスパンと切って取り替えることはできない。だからヨタヨタしているけれど、この木を持たせていく。(略)ただ、この木だけではやがて持たなくなるから若木を植えておかないといけない。これが中小企業、中堅企業、ベンチャー企業と書いてある木です。そうしないと経済の森が再生できなくなるというわけです。さらに資本主義だけではうまくいかないから、いわゆる協同の木を植えておく。(略)まさに「共生の大地」です。それを国とか地方政府という公共セクターが回りを囲んで規制ではなくゆるく応援していく」 私たちは、「近未来の図」を、学生支援という観点で大学環境における大学生協共済連の位置や使命を考える基礎として位置づけています。
毎夏、全国から学生を中心に約500名もの仲間が集う共済セミナーが開催されています。大学生協共済連が設立された年の濱田会長からの「学生たちへのメッセージ」の一節をご紹介します。
「共済は、一人は万人のため万人は一人のため、という協同組合の理念を忠実に表現した事業です。私たちの共済の特徴は、運動の中心を学生諸君が担っていることです。(略)(学生の)皆さんが共済をよりよく理解し、それを後輩に伝えていく、この一連の活動を推進するために研修があります。自分でよく理解できないものを、人にすすめることはできませんから、学習は当然でしょう。(略)共済はシンプルなビジネスモデルですが、その推進・運営にあたっては、多くのノウハウを必要とします、それを経験することは、(学生の)皆さんが将来どんな職業につくかにかかわらず有益なものだろうと思います。」
第30回共済セミナー (2012年8月20~22日) テーマは「30年分の想いを つなぎみんなで一歩を」
『2012・協同組合』の中で、「共済と保険」をテーマとした記述がありますので、ご紹介いたします。
「共済と保険は違うのか、同じなのか。違うというならどう違うのか。(略)答えとして短くてわかりやすいのは次のようなものです。『保険は自分のために加入し、共済は自分を含めた仲間のために加入する』。この短い一文には、二つの示唆があります。両者の違いは加入者の動機、気持ち、敢えていえば思想にある、というのがひとつ。もうひとつは、事業としては保険も共済も変わるところはない」
私たちの共済は金融商品であり、私たちは金融商品取扱事業者です。役職員が金融商品として共済を適切に取り扱うことは当然です。これは保険とまったく同じです。一方で、私たちの共済は〝学生組合員の成長をサポートするツール〟という側面も持ち合わせています。それは、所定の研修を修了した全国で約4千人もの学生組合員(共済推進委員)が、「自分たちのたすけあい制度」として仲間に共済の良さを伝え続けていることに象徴されます。ぜひとも、ご注目いただきたい保険との大きな違いです。
『2012・協同組合』(大学生協共済連編、日本生活協同組合連合会発行)、定価(本体1500円+税)は、大学生協書籍部など全国の書店でご注文、お求めいただけます。
(大学生協共済連・藤本 昌)
「CampusLife36」より転載
大学生協共済連/編 コープ出版( 株) /発売 定価 1,575 円( 税込) / ISBN978-4-87332-309-1 四六判・上製
現代の協同組合の意義を再認識し、将来を展望する時宜を得た好著です! リーマンショックを経験し、長いデフレを体験している今日、資本主義の状況も大きく変わってきています。
本書では、そうした現代資本主義の歴史的位置を見渡し、金融業における協同組合の存在意義や、消費生活協同組合で働く人々、経営者へのメッセージ、そして協同組合の共済事業についての現代的課題を論じています。 協同組合と関わりをもっている人はもちろんのこと、かねて協同組合に関心を持っている人、さらには、協同組合のことはあまり知らないけれど、現代社会の諸問題を打開する、新たな処方箋を求めてやまないすべての分野の人々に、ぜひともお読みいただきたい一冊です。
〈資本主義は限界だ!〉〈 未来は吾等のものなり〉
〈 協同組合の今日的意義〉〈資本主義の第四楽章を聴く〉
〈協同組織金融機関の意義〉 〈リレバン行政小史〉
〈逆流する資本主義-コンビニ問題によせて-〉 〈協同組合で働く〉
〈「新たな公」と協同組合〉〈大学生協の現状と未来〉 〈協同組合人の人間像〉
〈共済事業の守り方〉など
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