全国大学生協共済生活協同組合連合会 会長理事 濱田康行
全国大学生協共済生活協同組合連合会 会長理事 濱田康行
大学生協共済連は本年の6月、設立5周年を迎えました。大学関係者各位のご支援の賜物であり、深く感謝の意を表したいと存じます。
2008年に協同組合に関する法律が改正され、共済事業の分離が必要となり、半ば強制的な独立でした。設立当初は全国大学生協連で共済の仕事をしていた職員と資産をそっくり引き継ぎ、極めて小さな組織としてのスタートでした。まさにヨチヨチ歩きでしたが、職員の日々の努力、組合員・加入者の理解、そして冒頭にも述べましたように大学関係者のご理解により、共済業界である程度の認知を得られる組織に成長しました。本年は、ICMIF(国際協同組合保険連合)という由緒ある国際組織への加入も認められました。
私たちの目的は、4年間(2年間あるいは6年間等の入学から卒業まで)の大学生活の安心を提供することです。大学生活は、一見、安全なように見えますが、実は様々な危険に取り囲まれています。病気やケガだけでなくメンタルな問題、そして期せずして加害者になってしまうなど、多様です。
大学生の約3%が数年後の卒業を待たずに退学する、これが統計上の数字ですが、その事由の上位(昨年第2位)に病気・ケガ等々があります。第1位は、保護者になんらかのことがあり経済的に続けられないというものです。もちろん、勉学継続を阻むこれらすべての事由に共済が対応できるものではありませんが、できるだけ低い掛金で広い範囲を保障できるように工夫を重ねております。その結果、世間に一般的に普及している保険に比べれば、保護者にご負担をかけない範囲の掛金で事業を行っております。
35年前に当時の大学生協連の会長であった福武直先生の発案とリーダーシップで大学生協の共済は誕生したのですが、その後、諸先輩たちの継続的かつ献身的な努力によって、現在では約65万人を擁する組織に成長することができました。それでも、大学への新入生の半数が生協の組合員になり、そのまた半数が共済に加入する、つまり約4分の1の組織率です。学生のたすけあいの運動が拡大する余地はまだ充分あります。逆に表現すれば、私達の事業範囲はまだ不充分であり、〝共済というものがある〟という認識も完全に行き渡っているものではありません。より良い共済の提供とともに広報活動が欠かせません。
大学関係者の皆様には、私たちの活動をご理解いただき、広報、つまり〝共済を知ってもらうための活動〟にご協力いただければ幸いです。具体的には、合格者名簿のご提供(もちろん、個人情報の取り扱いについては万全を期します)、大学長(総長)および役職者の方々のご推薦などをいただければ幸いです。
共済は、協同組合が保険の仕組みを使って展開する事業です。どこにも営利目的はありません。事務経費を除いてすべてを組合員に還元することを原則としています。
「一人は万人のため、万人は一人のため」。これは、私たちの事業を支えるスローガンであり、かのロッチデール組合以来、世界で継承され続けた“心”です。私達は微力ながら、世界の協同組合の一翼を、日本の学生・院生・留学生のための事業を通じて担いたいと思います。
私は都合5年間、私立大学の学長職におりました。小規模の大学でしたので合同教授会でしたが、そこで心が痛むのは学生の退学を承認しなければならないときでした。せっかく入学したのに退学せざるを得ない。この状況を少しでも改善したい。大学生協の共済がそのためのひとつの装置であるように、大学の皆様からそのように認識されるよう、様々な改善の努力をお約束してあいさつに代えたいと思います。どうか、よろしくお願い申し上げます。