大学生協の保障制度

学生の生活リスクの実態が“見える化"されました!
『【年次報告2016】大学生協の保障制度からみた大学生の病気・ケガ・事故』を発行!

はじめに

『大学生の病気・ケガ・事故2016』

大学生協では学生の病気やケガの保障を中心に、1981年以来「学生どうしがお互いにたすけあう」学生総合共済の制度運営(事業)を行っており、現在、全国で約64・5万人の学生が生命共済に加入しています。この数字は、全国の大学等(高等教育機関)に在籍している学生約289万人(平成29年度の学校基本調査より)の22・3%に相当しますので、「全国の学生の約5人に1人強が大学生協の生命共済に加入している」ことになります。

また、多発する学生の自転車による賠償事故等のリスクも総合的に保障するために学生専用の保険(学生賠償責任保険等)もおすすめしています。

今回ご紹介する『【年次報告】大学生協の保障制度からみた大学生の病気・ケガ・事故』は、「大学生協の保障制度」の共済金および保険金支払い実績データを分析してまとめた報告書です。このデータは、大学関係の皆様にも、学生の安全・保健管理の推進等にお役に立てていただけると確信しております。ぜひともご活用ください。

*同報告書は、大学生協共済連のホームページでご覧になれます。

【大学生協大学の学生支援ご担当の方へ】 のキーワードで検索

http://kyosai.univcoop.or.jp/charge/index.html

今回は、主に学生の「心の病気による入院」と「自転車に起因する賠償事故」の傾向や実態をみていきます。

【表1】 学生の病気入院の傾向(2016年度の生命共済の支払件数) 学生の病気入院の傾向
【出典】  大学生協共済連(2017) 『大学生の病気・ケガ・事故2016』 4ページをもとに筆者作成

【表2】 学生生活無料相談テレホン(こころの健康相談)の傾向
(新規利用:188件、再利用:763件、不明2件) 学生生活無料相談テレホン(こころの健康相談)の傾向
【出典】 大学生協共済連(2017) 『大学生の病気・ケガ・事故2016』 14 〜 15 ページをもとに筆者作成(年齢は事故発生時)

学生の病気入院の傾向をみる

皆様は、学生の入院(件数)は病気とケガでどちらが多いと思われますか。私どもの直近1年間の共済金支払データ(2016年4月〜2017年3月)では、病気(8764件)に対して、ケガ(3192件)と圧倒的に病気が多くなっています。「学生は若く、若い人は病気をしない」という先入観はないでしょうか。

学生の病気入院(精神障害を除く)のデータからは、歯の発育および萌出異常、胃腸炎、急性虫垂炎などに起因する「消化器系」と自然気胸等の「呼吸器系」の割合が大きいことが読み取れます。前者が約30%、後者が約24%で合わせると過半数を占めます。私たちは、こうした実態の分析・研究をもとに「食生活の改善」提案等の予防活動を推進しています。

また、私たちは「心の病(精神障害)」を他の病気と区別しています。明らかに傾向が異なる、と考えるからです。

学生のメンタルヘルス(こころの健康)を考える

学生の心の病(精神障害)による入院のデータ(傾向)と「学生生活無料健康相談テレホン」(共済加入学生と家族が24時間365日利用できる体と心の健康相談)の利用状況をもとに、学生の「メンタルヘルス(こころの健康)」をみます。学生の精神障害による平均入院日数は『約50日(52・6日)』で他の病気(同9・2日)の5倍以上も長くなっています。また、学年が高くなるにつれて割合が高まる傾向にあります。(【表1】参照)。

【表2】の傾向と重ね合わせてみると、①精神障害による入院の4年生と5年生以上(留年生等)の割合が高い、②4年生の精神症状や学業の問題(進路等含む)の割合が高い、を根拠として、「学生の心の問題と就職活動に密接な関係がある」との仮説を立てることができます。【表2】では、再利用は多い点への考慮が必要ですが、多くの学生の「就職活動の焦燥感や自己否定」や「人間関係に悩む2年生」の心の様相について考えさせられます。

私たちは、悩める学生に対して、何ができるのか、何をすべきなのかを常に思考しながら予防活動につなげる議論を続けています。その背景には、誰一人として心の問題で仲間を失いたくない、という強い願いがあります。それは大学生協(協同組合)の共済の使命でもあります。

学生の自転車による賠償事故を考える

学生賠償責任保険の年間保険金支払件数(2016年4月〜2017年3月)3033件のうち、自転車による賠償事故は1785件(構成比58・9%)と過半数です。1〜2年生に集中していると類推できます(【表3】参照)。入学直後の新生活に慣れない時期、少し環境に慣れてきた油断が出る時期、勉強や部活動、アルバイト等の疲労からくる集中力の低下等も影響していると想像できます。私たちは、実際に起こってしまった事例の分析・研究を、将来の事故を未然に防ぐ活動につなげています。

自転車の賠償事故の平均支払保険金は、対人のみ63・4万円、対人・対物19・2万円、対物のみ10・4万円、平均28・3万円で、学生にとって経済的負担の大きな金額といえます。また、自転車事故を起こした学生の81・8%が「示談交渉サービス」を利用しています。同サービスは、事故を起こしてしまった学生の精神的な負担を少しでも軽減させて、勉学・研究への影響を極力少なくするという大きな役割を果たしています。

自転車事故による賠償問題は、今や社会問題化しています。大学生協の「学生の自転車による賠償事故の実態」や「学生賠償責任保険の有効性」、「自転車事故防止提案活動」等について、ご注目いただけましたら幸いです。

まとめに代えて〜大学生協の共済は、保障を提供するだけの制度ではありません!〜

大学生協の学生総合共済は、全国70・5万人の加入者のおかげで、2016年度は4万2670件、約35億1594万円の共済金を仲間におくることができました。私たちは、「実際の共済金のお支払い実績」は、「その制度が学生のためにどれだけ役立っているか」の一つの指標になると考えております。今後とも、大学生協をよろしくお願いいたします。

(大学生協共済連 藤本 昌)

【表3】 学生の自転車による賠償事故の傾向(2016 年度の学生賠償責任保険の支払件数) 学生の自転車による賠償事故の傾向
【出典】  大学生協共済連(2017) 『大学生の病気・ケガ・事故2016』 9 ページをもとに作成

『Campus Life vol.53』より転載