『大学生協保障制度からみた大学生の病気・ケガ・事故2017』
今回は、大学内で日頃より学生たちと寄り添い、彼らのからだとこころの健康・安全と向き合っておられる皆さまに、ぜひともご一読いただきたい『年次報告2017』をご紹介します。それは『大学生協の保障制度からみた大学生の病気・ケガ・事故に関する報告書』です。具体的には、2017年4月1日〜2018年3月31日の1年間の私どもの共済・保険の支払状況や学生生活無料健康相談テレホンの利用状況を分析したものです。【大学生の病気・ケガ・事故2017】をキーワードにウェブ検索していただくと詳細に内容をご覧いただけます。ぜひともアクセスしてみてください。
私どもは、学生生活を支える4つの取組みを「共済活動の4本柱」として考え方を整理し、①加入→②給付→③報告→④予防の流れを大切にしています。ぜひとも【大学生協共済 4本柱】をキーワードにウェブ検索していただき、私どもの学生が主体的にかかわる「学生生活を支える4つの取組み」をご覧ください。①加入・②給付(支払い)・③報告・④予防のそれぞれが密接に関係しあうイメージを大切にしています。
4本柱の相関図
一般の保険契約では、①加入→②支払いのみの契約関係で完結するのではないでしょうか。大学生協共済には、その〝つづき〟があります。それは、実際に支払われた共済金・保険金、あるいは共済に付帯する学生生活無料健康相談テレホンを利用された声の実態を分析、〝見える化〟して、ステークホルダーの皆さまに幅広くお知らせする(③報告)、さらには自分を含めた仲間が病気やケガ・事故に遭わないための予防活動につなげていく(④予防)ことです。今回ご紹介する『年次報告2017』は前述の③に位置づくものです。
「共済活動の4本柱」は大学生協の〝共通言語〟です。各大学のキャンパスにおいても、学生たちが主体的に作成する「給付ボード」等を通じて様々な取り組みが行われています。その根底には「誰一人として仲間が欠けることなく大学で学業継続を全うして社会へ巣立ってほしい」という願いがあります。
文部科学省の学校基本調査によれば、2018年5月1日現在の日本の高等教育機関に在籍する学生は約290・9万人です。一方で、大学生協共済(生命共済)の加入者は約64・8万人です。すなわち日本の学生の5人に1人強が大学生協共済(生命共済)に加入していることになります。これらより『年次報告2017』の数値は、概ね日本の学生の平均値と評価できると考えています。まずは、その視点でデータをとらえていただけましたら幸いです。
ぜひともご覧いただきたいデータならびに傾向を下記にお示しします。
大学生協共済は2019年度より大幅な制度改定を行います。その制度設計コンセプトは「少ない掛金で学業継続に支障をきたす保障を優先して実現させる」でした。最大の特長は「こころの早期対応保障」を新設したことです。「心の病」への対応はこれまで精神障害による入院の場合にのみ保障対象としてきましたが、2019年度からは「精神疾患の治療を目的として共済期間中に病院または診療所に通院し、公的医療保険制度における療養の給付または療養費の対象となる精神科専門療法の診療を始めて受けた場合」でも保障対象とします。この背景には、全国の大学保健管理施設、学生相談室等の先生方からのご助言がありました。そして、未然の相談サービス(予防)との連携も強化しました。これらの背景には、「早期に治療しなかったために重篤化(入院)に至らないように、大学関係者のみなさまとも連携させていただきたい」という強い願いがあります。そして、それは『年次報告2017』から見えてきた課題への対応ともいえます。
今後とも過去のデータ等の徹底した分析にもとづき“学生ファースト"で将来設計した保障制度を健全に運営してまいります。ぜひとも大学生協共済にご注目ください。
(大学生協共済連 藤本 昌)
『Campus Life vol.57』より転載