大学生協の学生総合共済(以下、「大学生協共済」)は、2019年から大きく制度が変わりました。新制度スタート後に見えてきたものを踏まえ、あらためて、“学生ファースト"の保障・サービスについて、考えてみたいと思います。
大学生協共済は1981年に創立されました。その原点は創設時の故福武直会長理事(全国大学生協連)の「すべての学生が共済を通じて連帯の意義を体得し、卒業後も社会に貢献する役割を果たすこと」という言葉に集約されます。
また、濱田康行会長理事(大学生協共済連)は、大学の学生支援ご担当の皆さまに対して「学生支援の装置として大学生協共済の ご活用を!」 「わが組織では学生が最大の財産だと思っている。彼らが共済活動で培った経験や能力は、必ず将来の財産となるはず」というメッセージを発信しています。
これらから「大学生協共済はただ単に保障を提供するだけではなく、共済を通じて困った仲間を思いやる気持ちを育み、学生の成長を応援できる制度でもある」と感じていただけると思います。大学生協共済は“学生どうしのたすけあい"制度です。これが私たちの「制度創設当時より今日まで変わらない根底にある想い」なのです。
では、「誰のため、何のため」の共済なのでしょうか。私たちは「学生(組合員)のため、彼らが安心して学べる生活環境を守るため」と考えています。元受団体である大学生協共済連は協同組合組織です。学生たちは、それぞれの大学という、いわば“村"にも似た環境で生活しています。“大学村"での24時間365日の生活中に、学生自身や彼らの大切な仲間が「もしも」に遭わないため、「もしも」に遭ってしまったとき、の両方の「もしも」に備えるために大学生協共済があります。大学内で、学生たちが主体的に取り組んでいる「全国共済月間」などの健康・安全の企画(予防活動)は「もしも」に遭わないための取り組みの象徴ともいえます。彼らは「もしも」のときに機能しない共済は存在価値が低いことをよく知っているのです。
次に、大学生協共済が「どんな想い」でつくられているのか、について考えてみます。「偶然の事故による入通院や医療費・薬代の実費のみを補償の対象とする保険とどう違うのか?」という問いへの答えにも換言できると思います。
病気やケガなどの原因ではなく、入通院や手術等の「事実」に対して共済金を「大切な仲間へのお見舞金」という気持ちで給付することが原則です。一般にお見舞金は実費ではしないですから、「定額」保障が基本となります。保障金額は、健康保険等で自己負担した医療費のカバーは真っ先に考えますが、その他、差額ベッド代、交通費、アルバイト収入の減少分などを、主に現役の学生の声による実態調査に基づいて「医療費に上乗せした金額」を念頭に置いて決めています。
特に重視しているのが「こころの病」への対応です。背景には「からだとこころは切り離せない」という考え方があります。2018年まで精神障害による保障対象は入院からでした。しかし、「入院=重篤なので、復学すら困難。それでは遅い! もっと早くから保障対象にできないのか」と全国大学メンタルヘルス学会等の先生方のご助言をいただき、『こころの早期対応保障』(精神疾患の診療を受けたときの保障)を新設しました。同保障は、すでに2019年4月〜8月までに241件(うち大学院生30件)の給付がありました。
次に掛金について考えます。大学生協共済には「“少ない掛金"で、大多数の学生に共通する“いざというとき"に備える必要な保障・サービスを提供する制度」という設計理念があります。“少ない掛金"とは、ひと月あたり1200円(1日あたり40円)までを意味します。また、“いざというとき"とは、「学業継続のための生活に支障をきたすとき」と読み替えることができます。
いろんな方から「大学生協共済は、どうしてあんなに安い掛金で、心の病を含む病気やケガの入院の日額保障1万円などの充実した保障を実現できるのか?」というご質問を受けることがあります。その理由は三つあります。
一つ目は、営利を目的としない協同組合(大学生協共済連)が元受するからです。これは、営利目的の民間の保険会社とは決定的に異なる点です。
二つ目は、「元気な若年層の割合が圧倒的に多い全国の学生のみを保障対象としているからです。学生の生活リスクは“ほぼ同質"なので、加入者が多ければ多いほど少ない掛金で充実した保障・サービスの制度をつくることができるのです。
三つ目は、先輩学生の経験や知恵、大学関係者のご助言等により、徹底的に学生に必要な保障・サービスを厳選しているからです。
私たち大学生協共済の「2020度版のパンフレット(表紙)」をご紹介します(写真参照)。ぜひとも、ご記憶に留めておいてください。
2019年度からの大学生協共済の“最大の特長"は「こころの早期対応保障」を備えていることです(左下図参照)。すべての学生のこころにも寄り添っていたいという願いが背景にあります。大学生協共済は「すべての学生がトコトン、学業を継続できる環境を守るために」存在しています。学生のからだもこころも、しっかりと支える大学生協共済に、ぜひともご注目ください。
最後にお願いがございます。大学生協共済を指定・推薦制度として位置付けていただくことをご検討ください。詳しい説明等を希望される場合は、ご遠慮なく各大学生協までお申し付けくださいませ。いつでも対応させていただきます。
(大学生協共済連 藤本 昌)
『大学生協の学生総合共済』2020年度版
『Campus Life vol.60』より転載