未来と向き合い平和について考える -大学生協の戦後75年特設サイト-

#02 渋谷 聡 さん

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参加者
渋谷 聡
(島根大学法文学部人文社会科学研究科教授)

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参加者
高倉 雄太
(Peace Now! Hiroshima2020 実行委員/島根大学法文学部)

インタビュー日:2020年12月3日

自己紹介

島根大学の渋谷です。西洋史を担当しています。島根大学に来て25年~30年くらいになります。

島根大学法文学部2回生の高倉です。島根大学生協の学生委員をしていて、今年はPeace Now! Hiroshimaの現地実行委員もしました。今日はよろしくお願いします。

「平和学」の授業で「Peace Now!」の参加者に話してもらうことについて

「平和学」の授業で毎年、「Peace Now!」の参加者に話してもらっているとのことですが、どういった想いでされていますか。

そもそも島根大学の「平和学」の授業は、法文学部や教育学部の10数人の先生で行っているオムニバスの授業です。代表者もぼくではなく、片岡佳美先生(同・教授)が代表です。片岡先生の発案で始めた授業で、ぼくは誘われて喋っている1人にしか過ぎないので、適任かわかりませんが話せる範囲で話したいと思います。
ちなみに、高倉くんは「平和学」の授業は取ったことがありますか?

毎年申請はしているんですが、抽選で落ちています…。

そうですか。
この授業は、今年で6年目くらいの授業です。それ以前にも、すでに退任されたフランス史がご専門の加藤克夫先生が主宰された「平和」という授業がありました。これも4,5人でやるオムニバスの授業でした。その時は参加していないので詳しい中身は知りませんが、学生を巻き込む形の授業だったそうです。その後、そういった授業がない状態が数年続いたんですが、それは残念だということで、片岡先生がはじめられました。
内容は様々です。憲法が専門の副学長をはじめ、社会学・経済学・財政学・文化人類学・歴史(東洋史・西洋史)・宗教社会学といった多岐にわたる先生方が参加しています。多様な視点から、いろいろなことを網羅しようということでやっている。特に中国の歴史などを紐解く授業があるのは特徴的だと思いますね。
大学生協の「Peace Now!」の参加した学生に話してもらうのは3年目くらいです。これはぼくが言い出したのですが、大学生協でそういう活動をされているのを知っていたので報告してもらうのも良いのではないか?と提案しました。毎年、授業の最終回に話してもらうようにしています。今年は残念ながらこういう状況ですのでできなかったですが。
想いという意味では、授業はそういう活動は大事だと思うので続けています。私自身は西洋史の中で30年戦争など現代の話ではなくて歴史的な目で見た原点に近い部分をお話しています。

「Peace Now!」の参加者にとってもアウトプットの機会になるので嬉しいですね。学びが深まります。

ちなみに、今年の「Peace Now!」はどうだったの?

今年の「Peace Now! Hiroshima」はオンラインでやりました。8月実施予定だったものを11月に延期して、さらにそれも中止になって広島から配信する形になりました。

現地に行くのと違いますか?

現地に行って感じるものは少ないですけど、言葉で勝負するっていう感じになり、想いを参加者に伝えていくことが大切でした。

「平和学」の授業を通して伝えたいこと

難しい質問ですね。ぼくの授業で言えば、通常は教養の授業の1つで300人〜400人から入る教室で行っている講義です。受講生は必ずしも文系の学生だけとは限りません。ですから、あまり小難しい事は言わずに図像を見せてイメージからつかんでもらうことは意識していますね。

イメージで意識してもらうというのは、「Peace Now!」の作り込みで伝え方を考える中で大切だと感じました。
例年、「Peace Now!」の参加者が話すのを聞いてどのように感じておられますか?

熱心に取り組んでおられるし、貴重な体験をされていると思います。僕に限らず、この授業をやっている教員が最後の1コマを「Peace Now!」に参加した学生に渡していることの意義は、「Peace Now!」の活動をやっていない人に、そういったことをやっている人が同じ大学にいるんだということを知ってもらいたいというのがあって、そこに力点をおいています。単に座学だけではなく、活動も生かしながら頑張ってほしいし、学びを生かしながら同じ学生でそういう学生がいることも知ることは大切だと思います。
あとは個人的な意見ですが、ぼく自身は平和運動をバリバリやっているわけではありません。少しだけやっているのが、ユニセフと国境なき医師団への募金です。ユニセフは学生委員のみなさんもやっておられますね。そういった募金は給料から天引きされるようにしています。同じことをそのまま学生がやることはできませんが、大学生協学生委員会がやっている時に募金をしたり、それ以前に興味を持って学んでみたり新聞やネット記事を読んだり、そういうことがまずは一歩になるとは思います。

どんな小さなことでも平和への活動の1つになるというのは、ぼくも伝えていきたいです。

大学生としてアクティブに学ぼう!

先生から見て今の大学生ってどういう風に見えていますか?

いろんな見方があると思います。1つはぼくにとっては「大事なお客さん」ですよね。自分の生活を成り立たせるという意味では、自分の授業を聞いてくれる貴重なお客さんです。そういう学生がぼくの授業をきっかけにいろんなことを学んでくれるといいとは思います。
大学生といっても多様なので一般なのかわかりませんが、地方国立大である島根大を見ていると比較的真面目な学生が多い印象です。一方で、例えば「平和学」の授業は(今年はオンラインだが)通常は350人が入るホールでやりますが、後ろの方は無法地帯ですよね(笑)。抽選で漏れている人もいますから、深刻には受け止めていませんが問題ではありますね。

大学生に伝えたいことがあれば教えて欲しいです。

少し被るかもしれませんが、いろんなことを学んでほしいというのが一番です。座学だけではなく、授業をきっかけに自分でたくさん調べて広げて学んでほしいですね。それはインターネットでも構いません。あと、こういう機会なので強調したいのは、いろんなことに関心を持ってほしいということです。特に世の中の動き、世界と日本の動き。大学人の立場から見ると「日本学術会議の任命拒否」。今とても大きな問題になっています。これは知っているよね?

はい。知っています。

専門家ではないのでざっくりと話をしますが、これまでの慣例を菅内閣がひっくり返したということです。本来、拒否する場合は拒否する理由を伝えなくてはいけないわけですが、「人事に関わることだから話せない」の一点張りで、それ自体がおかしいですよね。いろいろな見方がされています。菅首相の発言も二転三転していますが…。
大きいのは、学問の自由と大学自治を侵すことにつながるということ。野党だけではなく、理科系も含めて300近くの日本全国の学会が反対声明を出しています。これは、学問の自由と大学の自治を侵すからです。菅首相は、任命を拒否したからといってその人たちが研究することは制限していないと言っていますが、これは間違いです。はっきりは言っていなくても政府の意向に沿わない人を外しているとすれば、政府に対する批判的な意見に蓋をしようとしている、つまり学問に国家権力で箍をはめようとしていることになるわけです。この点は、戦前の滝川事件などに似ていますね。他にもいろいろな問題が「日本学術会議」に絡んでいます。
そう言った問題に関することもインターネットにはたくさんアップされています。積極的に情報を集めていろいろ考えて欲しいですね。「Yahoo!ニュース」にはいろんな記事が上がっています。新聞や報道番組など様々なものがあります。学術会議に反対する立場(=政府の立場)からも意見が上がっています。いろんな情報があるので鵜呑みにはしてほしくないけど、いろいろ見て考えてほしいと思います。

「平和学」への想いから、学び方までいろいろと貴重なお話を聞けました。ありがとうございました。

(記録:四方遼祐/全国学生委員)

※滝川事件:1933年(昭和8年)に京都帝国大学で発生した思想弾圧事件。

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