新入生の保護者21,720名から集約
「2018年度保護者に聞く新入生調査」概要報告

※データの無断転載はお断りいたします。
2019年1月9日

<2018年度の特徴>

  1. 受験から入学までにかかった費用
    奨学金や学資保険の敬遠傾向は継続
    下宿生の新生活用品は「家電用品」「家具」の金額が減少
  2. 保護者の意識
    大学選びの関心事は「設置者」「所在地」がそれぞれ半数以上
    下宿生は「食事や日常生活」「健康面」のほか「人間関係」への心配も大きい

全国大学生活協同組合連合会(以下 全国大学生協連)では、2007年から毎年4月〜5月に新入生の保護者を対象とした「保護者に聞く新入生調査」を実施しており、2018年は129大学生協の21,720名の方から回答を頂きました。

この調査は毎年、受験から入学までにかかった費用をはじめ、受験から入学までに困ったこと、大学生活を送る上での不安といった保護者の意識と併せ、大学生協の事業に対する評価も頂いています。
今回の調査から、引き続き好調な大学生の就職状況を背景に保護者の不安や関心が変化している様子、また奨学金や学資保険など費用面での工夫から見える意識など、子どもの進学に関心を寄せ、行動している保護者の様子を報告いたします。

<調査の概要>

【調査の目的】 新学期の大学生協の取り組みについての保護者の評価や、新入生が入学までにかかる費用、具体的なスケジュール、住まい探しや商品購入の際の意識を調査することにより、新学期事業の総括および次年度提案の基礎データとする。
【調査対象】 2018年に入学した新入生(学部生)の保護者
【調査期間】 2018年4〜5月
【調査方法】 郵送調査(一部手渡しの生協あり)
【回収数】 21,720(129大学生協・回収率33.3%)

サンプル特性(実数:人・構成比:%)

グラフ

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受験から入学までにかかった費用

<平均額について>

  • 各費目の平均額および合計の平均額は、それぞれ「0」と無回答を除いた数値の平均である「有額平均」で表示しています。
  • 費目のいずれかに「0」が含まれていても合計の平均額には反映されるため、各費目の平均額を合計したものと、合計の平均額は一致しない場合があります。

<各費目の内容>

A.出願をするためにかかった費用 受験料/願書を取り寄せた費用
B.受験のための費用 交通費/宿泊費/滞在費・その他
C.大学への学校納付金 入学金/授業料/施設拡充費・その他/寄付金・学校債
①入学した大学への納付金 ②入学しなかった大学への納付金
D.合格発表や入学手続きのための費用  
E.入学式出席のための費用  
F.教科書・教材購入費用 パソコン/教科書/電子辞書/教材/その他
G.住まい探しの費用 交通費/宿泊費・滞在費/礼金・入館金・敷金/斡旋手数料/前家賃や日割分・その他
H.生活用品購入費用 寝具/家具/家電用品/自炊用品/電話加入権・配線工事費/電話機/日用雑貨・自転車・バイク/衣類
I.その他の費用 引越し代・荷物の送料/4月分の生活費/予備の貯金/保険料/生協出資金/お礼・お祝い返し・その他

1.受験から入学までにかかった費用
奨学金や学資保険の敬遠傾向は継続
下宿生の新生活用品は「家電用品」「家具」の金額が減少

(1)受験から入学までにかかった費用(図表1〜4)

国公立・自宅・文科系の1,263,500円から私立・下宿・医歯薬系の3,152,400円まで

  1. 自宅生の受験から入学までにかかった費用

    ○国公立1,278,700円・私立1,530,500円

    • 国公立文科系1,263,500円・国公立理工系1,285,400円・国公立医歯薬系1,313,700円
    • 私立文科系1,378,900円・私立理工系1,738,700円・私立医歯薬系2,349,600円
  2. 下宿生の受験から入学までにかかった費用

    ○国公立1,957,500円・私立2,270,500円

    • 国公立文科系1,934,900円・国公立理工系1,958,900円・国公立医歯薬系2,029,500円
    • 私立文科系2,123,300円・私立理工系2,437,000円・私立医歯薬系3,152,400円

図表

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(2)受験から入学までにかかった費用の特徴 (図表5〜7)

①受験から入学までの費用は入学大学の設置者、専攻、住まいなど進路により大きく違い、平均額は国公立・自宅・文科系の場合が1,263,500円と最も低く、私立・下宿・医歯薬系の3,152,400円が最も高い。

②費目別では前年大きく減少した「出願するためにかかった費用」が前年から13,200円増加。ただし私立(173,200円)の23,700円増加による影響が大きく、国公立(121,500円)は200円減少した。私立は平均の受験学部数も前年の3.4学部から3.7学部に増加した。

③下宿生の「生活用品購入費用」は2年連続減少し300,800円となった。その内訳のうち「家電用品」の減少額が6,900円と大きいほか、「家具」も前年から2,700円減少し、7年ぶりの減少となった。また「住まいを探すための費用」は12年に192,000円まで減少したが、その後は200,000円前後を推移し、18年は前年から400円減の199,700円であった。

④受験から入学までの費用について準備・工夫したことのうち、この間最も多くあげられている「学資保険に入っていた」が49.8%と、11年以降初めて半数を下回った。「学資保険に入っていた」は13年が61.9%で最も高く、14年以降は減少が続いている。次いで「貯蓄を切り崩した」が前年と変わらず35.1%。また今回の調査で新たに選択肢を設けた「自宅通学にさせた」は自宅生の23.5%を占めている。

⑤「奨学金を申請した(する)」は32.1%で、これまで最も高かった12年の39.2%以降緩やかに減少を続けている。

図表

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2.保護者の意識
大学選びの関心事は「設置者」「所在地」がそれぞれ半数以上
下宿生は「食事や日常生活」「健康面」のほか「人間関係」への心配も大きい

(1)受験から入学までの保護者の意識 (図表8〜11)

①子どもの受験大学を選ぶ際に保護者が関心を持ったことは「設置者(国公立・私立)」56.0%、「大学の所在地」52.5%の順に高く、「設置者」は国公立が77.2%(私立22.8%)、「大学の所在地」は自宅生が63.1%(下宿生44.2%)を占め、大学納付金や親元を離れた場合にかかる費用など、家計への影響が大きいことに関心が高い。

②全体では「授業や研究の内容」41.3%(文科系37.6%・理工系47.1%・医歯薬系36.1%)が続くが、私立は「就職実績」46.0%(全体34.4%・国公立27.0%)、医歯薬系の「取得できる資格」50.6%(全体25.5%・文科系26.8%・理工系18.5%)など、大学卒業後の子どもの将来を念頭に受験大学に関心を寄せる保護者も多い。

③大学生活を送る上で心配なことは、下宿生の保護者が多くあげており、特に「食事や日常生活全般」62.7%(全体39.4%・自宅生10.2%)や「事故や病気、けがなど健康面のこと」61.6%(全体43.6%・自宅生21.5%)が高い。また全体でも「友達付き合いなど人間関係のこと」が46.6%(自宅生42.1%・下宿生50.4%)と最も高く、生活面での心配が上位を占める。

④そのほか「就職や将来のこと」は文科系が43.2%、理工系も34.9%と引き続き高く、前年からそれぞれ4.8ポイントと2.7ポイント増加した。しかし最も高かった10年と比較すると文系は6.9ポイント、理系は6.6ポイント減少しており、好調な大学生の就職状況を受け、他の心配事が増加傾向にある中でも、就職に関する心配は縮小される傾向にある。

⑤医歯薬系については、大学生活を過ごす上で社会情勢の変化が与える要因が少ないためか、保護者の心配内容にほとんど変動が見られない。

図表

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(2)入学までの行動 (図表12〜13)

①入学した大学のオープンキャンパスには新入生の49.4%が参加している。推薦生は77.2%と参加が多く、推薦生のうち自宅生の参加は86.1%にも上り、オープンキャンパス以外の見学にも48.6%が訪れている。また一般受験生もオープンキャンパスには37.2%が参加し、うち自宅生は53.9%(下宿生25.7%)と参加率が高い。

②オープンキャンパスに訪れる新入生は増加が続いており、10年と比較すると全体では8.7ポイント増、推薦生が9.9ポイント増(推薦生の自宅生9.9ポイント増・下宿生9.7ポイント増)、一般受験生は7.3ポイント増(一般受験生の自宅生10.6ポイント増・下宿生4.7ポイント増)とそれぞれの入試形態で参加が増えている。

③新入生本人のオープンキャンパスへの参加率の増加とともに、母親などが同行する割合も上がっている。参加した新入生を100とすると49.0%と半数近くに同行者がおり、特に下宿生が55.6%(自宅生43.9%)と同行者がいる割合が高い。

④また参加した新入生を100として入試形態別にみると、同行者がいる割合は推薦生が56.7%と、一般受験生の41.9%と比べて高い。さらに推薦生のうち自宅生が51.5%に対し、下宿生は63.7%と同行者が多い。推薦生は10年(自宅生60.5%・下宿生70.3%)以降下宿生に同行者がいる割合が高い傾向が続いているが、下宿生の保護者が大学生活の準備を兼ねてオープンキャンパスに同行しているためと思われる。

⑤入学式には97.6%(自宅生98.0%・下宿生97.2%)の新入生が出席しており、74.6%(自宅生79.0%・下宿生71.3%)には同行者がいる。入学式への出席の際に同行者がいる割合は10年から7.9ポイント増加しており、その同行者のうち「母親」70.0%(自宅生75.3%・下宿生66.0%)、「父親」29.5%(自宅生28.6%・下宿生29.9%)で、自宅、自宅外に関わらず入学式への父母の同行は増加し続けている。

図表

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