新入生の保護者18,907名の回答
「2021年度保護者に聞く新入生調査」概要報告

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2021年11月10日

保護者に聞く新入生調査報告書

<2021年度の特徴>

  1. 受験から入学までにかかった費用
    「受験学部数」減少に伴い「受験料」は減少
    入学までにかかった費用は増加
  2. 保護者の意識
    大学への期待は高まり「専門知識の教育強化」は7割、
    「一般教養の教育強化」「就職支援」も半数が希望
    大学生活の心配事は「授業形態」「コロナウイルス」「友達付き合いなど」が2人に1人

全国大学生活協同組合連合会(以下 全国大学生協連)では、2007年から毎年4月~5月に新入生の保護者を対象とした「保護者に聞く新入生調査」を実施しており、2021年は126大学生協の18,907名の方から回答をいただきました。

この調査は毎年、受験から入学までにかかった費用をはじめ、受験から入学までに困ったこと、大学生活を送る上での不安といった保護者の意識とあわせ、大学生協の事業に対する評価もいただいています。
今回の調査結果から、新型コロナウイルス感染症拡大が続く中での受験から入学までの変化、大学入試制度の変更による受験費用の変化、今後の大学生活や将来への保護者の不安や期待などを報告いたします。
今回調査をした時期は、新型コロナウイルス感染症が拡大して1年以上となり、再度の緊急事態宣言が2021年4月25日(東京都、京都府、大阪府、兵庫県)、5月12日(愛知県、福岡県)に発出されました。新年度から対面授業を拡大すべく準備していた多くの大学が対面授業の縮小を余儀なくされ、オンライン授業が行われました。

<調査の概要>

【調査の目的】 新学期の大学生協の取り組みについての保護者の評価や、新入生が入学までにかかる費用、具体的なスケジュール、住まい探しや商品購入の際の意識を調査することにより、新学期事業の総括および次年度提案の基礎データとする。
【調査対象】 2021年に入学した新入生(学部生)の保護者
【調査期間】 2021年4月~5月
【調査方法】 インターネット調査(各大学生協の名簿からランダムサンプリングして郵送で依頼、Web画面から回答)
【回収数】 18,907(126 大学生協・回収率 28.7%)

サンプル特性

グラフ

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受験から入学までにかかった費用

<平均額について>

  • 各費目の平均額および合計の平均額は、それぞれ「0」と無回答を除いた「有額平均」で表示しています。
  • 費目のいずれかに「0」が含まれていても「合計」の平均額に反映されるため、「各費目の平均額合計」と「合計」は一致しない場合があります。

<各費目の内容>

A.出願のための費用 受験料/願書を取り寄せた費用
B.受験のための費用(総額のみ) 交通費/宿泊費/滞在費
C ①.入学した大学への納付金 入学金/授業料/施設拡充費・寄付金・学校債・その他
C ②.入学しなかった大学への納付金(総額のみ) 入学金/授業料/施設拡充費・寄付金・学校債・その他
D.合格発表や入学手続きの費用(総額のみ) 交通費/宿泊費
E.入学式出席の費用(総額のみ) 交通費/宿泊費/手土産代/お礼/その他
F.教科書・教材購入の費用 パソコン/教科書/電子辞書本体/教材/その他
G.住まい探しの費用 交通費・宿泊費・滞在費/礼金・入館金・敷金/前家賃や日割分・その他/斡旋手数料・仲介手数料
H.新生活用品購入費用(総額のみ) 寝具/家具/家電用品/自炊用品/インターネット契約・配線工事/電話機・携帯電話/日用雑貨/自転車・バイク/衣類や身のまわりの小物
I.その他の費用 引越し代・荷物の送料/4月分の生活費/予備の貯金/保険料/生協出資金/生協のミールカードなど/お礼・お祝い返し・その他

1.受験から入学までにかかった費用
「受験学部数」減少に伴い「受験料」は減少
入学までにかかった費用は増加

(1)受験から入学までにかかった費用(図表1~4)

国公立・自宅・文科系1,403,500円から私立・下宿・医歯薬系3,157,300円まで

  1. 自宅生の受験から入学までにかかった費用

    ○国公立1,415,300円・私立1,800,000円

    • 国公立文科系1,403,500円・国公立理工系1,408,900円・国公立医歯薬系1,472,600円
    • 私立文科系1,642,800円・私立理工系2,042,500円・私立医歯薬系2,743,800円
  2. 下宿生の受験から入学までにかかった費用

    ○国公立2,099,400円・私立2,464,400円

    • 国公立文科系2,025,300円・国公立理工系2,115,800円・国公立医歯薬系2,260,100円
    • 私立文科系2,322,800円・私立理工系2,754,300円・私立医歯薬系3,157,300円

図表

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(2)受験から入学までにかかった費用の特徴(図表1~8)

①受験から入学までの費用は入学大学の設置者、専攻、住まいなど進路により大きく違い、国公立・自宅・文科系が1,403,500円と最も低く、私立・下宿・医歯薬系の3,157,300円が最も高い。

②費目別では「出願するためにかかった費用」が前年より減少している。国公立は115,600円(20年▲11,500円)、私立は144,100円(同▲6,700円)と国公立の減少が大きい。

③「出願するためにかかった費用」の多くを占める「受験料」122,000円は、前年に引き続き減少した(20年131,800円・19年143,300円)。国公立110,100円(20年▲10,900円)、私立139,500円(同▲6,300円)と国公立の減少が大きい。専攻別では文科系123,300円(同▲10,500円)、理工系120,200円(同▲11,600円)で減少し、医歯薬系は121,900円(同+4,400円)と増加した。

④「受験料」は減少しているが、予定として考えていた額より「受験料が増えた」は全体で5人に一人(20.1%)、一般受験生は4人に一人(27.5%)となっている。

⑤「受験学部数」は3.4学部(20年3.6学部)と減少した。中でも5学部以上の受験は、国公立20.9%(20年▲4.3ポイント)、私立29.5%(同▲0.9ポイント)と国公立入学者で減少が大きい。入試形態別では、推薦受験生3.7%(同▲0.3ポイント)、一般受験生35.5%(同▲4.7ポイント)と一般受験生の減少が大きい。大学入学共通テスト開始やコロナ禍の移動制限による影響が要因と考えられる。

⑥受験から入学までの費用面で予定と違って困ったことは「教科書や教材、パソコンの費用が高かった」36.2%と高く、「オンライン授業のために購入するものが多かった」も11.4%となっている。「教科書・教材購入費用」214,900円は前年より11,100円増加した。

⑦受験から入学までの費用面で準備・工夫したことは「学資保険に入っていた・進学用の貯金をしていた」が55.7%と過半数となり、続いて「奨学金を申請した(する)」32.7%、「貯蓄を切り崩した」31.7%となっている。「奨学金を申請した」は11年から30%台が続いている。自宅生の「自宅通学にさせた」22.5%は、前年より5.8ポイント減少した。

⑧「その他の費用」としては「4月分の生活費」「予備の貯金」が増加した。また下宿生の「新生活用品購入費用」は293,100円(20年+3,900円)で、購入率が高い品目は「日用雑貨」88.4%、「衣類や身のまわりの小物」86.3%、「寝具」83.9%と続き、「インターネット契約・配線工事の申し込み」は49.5%となっている。

図表

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2.保護者の意識
大学への期待は高まり「専門知識の教育強化」は7割、
「一般教養の教育強化」「就職支援」も半数が希望
大学生活の心配事は「授業形態」「コロナウイルス」「友達付き合いなど」が2人に1人

(1)受験から入学までの保護者の意識(図表9~12)

①子どもを大学に進学させた理由は「本人の希望が強かったから」が 86.4%と大半を占めており、加えて「色々な経験をさせたいから」(56.1%)、「就職や資格取得のために大学卒の学歴が必要だから」(43.0%)、「人間関係を広げさせたいから」(42.9%)、「専門的な知識を身につけさせたいから」(39.4%)と続く。いずれも19年の前回調査より増加し、特に「人間関係を広げさせたいから」(19年+10.3ポイント)、「色々な経験をさせたいから」(同+8.2ポイント)で増加している。

②子どもの入学大学に対して期待することは「専門知識の教育強化」71.5%(19年+11.3ポイント、文科系65.7%・理工系 77.2%・医歯薬系 80.5%)、「社会人としての一般教養の教育強化」55.3%(同+8.0ポイント)と多くの保護者の期待が集まっている。15年から減少が続いていた「就職のための支援強化」54.1%(同+3.2ポイント)は増加に転じた。「基礎学力の教育強化」34.3%(同+11.5ポイント)をはじめ、調査したすべての項目で期待が増加している。

③「授業料減免や奨学金などの経済的支援」は 27.1%(国公立 23.5%・私立 32.2%)と国公立で4人に一人、私立で3人に一人が期待している。

④大学生活を始めるにあたって心配なことは「授業形態(対面・オンライン)のこと」57.9%が最も高い。「新型コロナウイルスへの対応」52.3%(20年63.5%)、「友達付き合いなど人間関係のこと」50.1%も半数を超えている。「友達付き合い…」はコロナ禍以前の19年に比べ増加が大きい(19年42.4%・20年48.4%)。「就職や将来のこと」37.3%(20年▲9.5ポイント)は減少した。

⑤下宿生の保護者は「食事や日常生活全般のこと」59.2%(全体33.8%・自宅生6.5%)や「事故や病気、けがなど健康面のこと」58.6%(全体37.7%・自宅生15.8%)なども心配なこととしてあげている。

図表

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(2)入学までの行動(図表 13~15)

①近年オープンキャンパスに訪れる新入生は増加し、20 年には56.5%(10年40.7%・15年47.3%)となり、全体の31.4%(参加した新入生を100として55.6%)は母親などの同行者も参加していた。しかし21年度入学者向けに大学キャンパスで開催されるオープンキャンパスはコロナ禍のために減少。そのため新入生の参加は38.6%(自宅生51.2%・下宿生26.9%)、母親など同行者の参加は全体の16.1%(参加した新入生を100として41.7%)と大きく減少した。

②各大学がWebサイトで公開したオープンキャンパスは、本人の閲覧が32.7%(推薦受験生50.1%・一般受験生23.5%、自宅生35.6%・下宿生29.1%)、保護者の閲覧が10.8%、「オンライン開催がなかった・知らなかった」39.8%となっている。

③「合格発表」で大学キャンパスへ訪れたのは9.6%(19年21.6%・20年8.1%)、「入学手続き」は39.7%(19年55.6%・20年40.6%)とコロナ禍前と比べて、大学へ訪れる機会は大きく減少している。

④入学式は83.9%が開催された(前年3.3%)。入学式への新入生本人の出席は76.9%と前年(2.5%)より大幅に増加したが、19年(97.7%)までは回復していない。母親など同行者の参加は全体の10.5%(参加した新入生を100として13.7%)にとどまった。

図表

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