全ては組合員の学びのために
教科書販売のWeb受注、宅配を行った新たなとりくみ

全国的な新型コロナウィルスの感染拡大を受けて、ほとんどの大学が学内を封鎖し、多くの新入生、在校生、大学関係者がかつて経験したことのない新学期を迎えました。
私たち大学生協ももちろん、新たな対応を求められた新学期でした。
対面で教科書を販売することができない状況のなか、オンライン授業に間に合うように宅配で教科書販売を行った、横浜国立大学生協(以下、横国大生協) 書籍担当の永井さんにお話を伺いました。

【インタビュー】
横浜国立大学生協 書籍担当 永井 温子さん

【聞き手】
大学生協事業連合 東京地区 店舗支援部 勉学研究事業支援グループ 秋田 智之さん

秋田
そもそもこのインタビューを永井さんにお願いしようと思った経緯は、教科書の宅配とかWeb受注をしていた会員生協だということと、今までと全然違うことが起きて、その中でもどのシステムを使うかというところで、スマートサーチとかK3()とかいろいろ検討されたりしたと思いますが、その大変な状況の中でも、いろいろと仕事のやり方を考えながら、きちんと整理して進めているなというのがうかがえたということがあります。
永井
ありがとうございます。
秋田
起きるであろうこともタイミングよくいろいろと聞いてくれたので、他のお店の方にとってもいい質問をしながらやってくれたのでよかったなと。あと、東京農大生協が教科書の宅配を受けるにあたって、見学をしに行ったと聞きましたが。
永井
はい、来ていただきました。
秋田
そのあたりの、横の協力具合もいいなと思いましたので、お願いした次第です。
永井
あの、ハードルがガンガン上がってきたのですが(笑)

今年の新学期の業務

秋田
永井さんは中途採用で入って、何年目でしたっけ?
永井
2年目ですね。新学期も2回目です。
秋田
2回目の新学期がこういうバタバタした事態になったわけですね。
今回の新学期で、横国大生協の中での永井さんの役割や仕事は、教科書以外にもいろいろありましたか。
永井
いろいろという訳ではないですが、新学期にビジョンナビセミナーをしようということになりました。募集は6人くらい来ていただいて、やるかやらないかとなった時に、コロナの影響でいま一番新入生が不安なのではないかということで、オンラインで実施しました。なので、教科書とセミナーを担当していました。
秋田
新学期直前に忙しくなる仕事を2つもやっていたわけですね。
永井
もう、びっくりですね(笑)
秋田
ビジョンナビセミナーとかSEQのセミナーを中止するところも多かったと思いますが、横国大生協でやろうと思ったのは、さっきも言われていたように新入生が不安だろうからというのが大きいですか?
永井
秋にずらすことも考えていたのですが、事業連合さんも「いまオンラインで出来るノウハウはあるよ」と言ってくださって、やっぱりいまが一番、先輩にも会えなくて不安なんじゃないかと思って実施しました。
秋田
ビジョンナビセミナーは、今後いつぐらいにやる予定ですか?
永井
1回目が5月16日でしたので、今後は2回目が5月30日で、3回目が8月8日と計3回の予定になります。


横浜国立大学生協
書籍担当 永井 温子さん


大学生協事業連合 東京地区
店舗支援部 勉学研究事業支援グループ
秋田 智之さん

教科書の対面販売からの切り替え

秋田
教科書の方に話を戻すと、Webで受注して宅配をするという話は、いつくらいから出てきましたか?
永井
最初は全然そういう話は出ていなくて、大学の方もちゃんとアルコール消毒をして、いつも整理していただければいいよという感じだったんですけど、その話が終わって、ポンと4月上旬くらいに「全部オンラインになります。教科書を宅配してください」みたいに言われまして、そこで4月上旬くらいですね、決まりました。
秋田
4月上旬に決まって、教科書をいつまでに届けないといけないみたいなのも、その時に分かります?授業が始まるのがいつで、とか。
永井
横国は5月7日から授業開始で、履修登録も全部5月7日からだったので、期限というものはなかったんですけど、学生さんが困るので早めにとにかくやっていただけたら嬉しいみたいな感じでした。
秋田
それは大学から依頼されて
永井
そうです、はい。
秋田
それをやるに向けて、いろいろな方法を検討されたと思いますが、一時期スマートサーチも検討していましたよね。それ以外でも考えていたことはありますか?
永井
スマートリサーチと法政がメールフォームをやっていたと思うので、多摩店さんにメールして「どうでした?」みたいな感じで。3つですね、スマートリサーチとK3とメールフォームを検討していました。
秋田
その時、判断する基準というか、どういうところに重きを置いて選びましたか?
永井
やっぱり費用と導入期間と、あとK3だと事業連合さんのお勧めということで、ノウハウがあるのと、困った時に頼れるかなと思ったので、そこでK3に決めました。

Web受注での宅配作業

秋田
実際にそうやって教科書をWebで受け付けて、宅配してっていうのが始まったのが4月下旬くらいでしたっけ?
永井
そうです。20日から始めました。
秋田
注文が入ってきてから苦労したこととか、大変だったことはありますか?
永井
たくさん(笑) ダブりで注文してしまって、ダブりで送って「いらない」と断られたり、「この日とこの日にまとめてほしい」とか、とにかく備考に何も書いてないとか、お名前欄が電話番号だけで送れないとか。今まで宅配ではやったことのないことで、Amazonってすごいなとか思ったり(笑)
秋田
実際にピッキングして、教科書を箱に詰めて、発送してという作業で、一番多かった時って1日どれくらいになりますか?
永井
そうですね、1日300箱ちょっとくらいですかね。
秋田
それを1日で箱詰めしようと思うと、けっこう人でも要りますし、パートさんが3密にならないようにしなければいけないというので、何か工夫したこととか考えたことってありますか?
永井
横国は大きなホールで教科書販売をしているので、結構広いスペースで空間を空けて作業ができたので、棚を設置する時から広く空けて設置していただいて、展示の本を入れました。対面にならないように同じ方向を向いて作業するとか、あとはマスクを必ず着用するとか、必ず換気をする等、基本的なことですけど、そこは毎日していただいていました。

大変だったこと、嬉しかったこと

秋田
何から何まで初めてのことだらけじゃないですか、3密を避けるとか。そもそも教科書をWebで受注して箱詰めして発送するとか。一番大変だったなと思うことはありますか?
永井
2つありまして、1つはお問い合わせがやはり多発しまして、連日の電話で放心状態になりました。今は落ち着いているんですけど、それが大変でしたし、やっぱりお問い合わせが進まないと学生さんは困るだろうということで、そこは出来る限り対応しておりました。
あとは、K3のデータとヤマトさんのデータが合うはずなのに合わない。二重で配送してしまって、着払いで戻ってきて手数料がかかるとか、そういう配送上のトラブルはかなり悩まされました。
秋田
K3とヤマトの数字が合わないというのは、金額?教科書代の代引き手数料等のK3側の概算が実際の請求と違うというようなことですか?
永井
例えば受注をうけて、申込書とラベルを出してパートさんにお渡しして、お渡しした後に「やっぱり削除してください」と電話がきて、データ上は削除するんですけど、上で作っちゃっていっちゃって、受取拒否で戻ってきてとか、ヤマトさんとK3とパートさんとの現場の関係が上手くとれないと、着払いとか余計な経費がかかってしまって。あとは、発送して供給にあげてしまったのに、後から削除してくださいと言われて、削除したのに供給にはあがっていて、「あれ?なんだろう?」みたいな。そういう上手くいかないことがありましたね。
秋田
本当に手探りだったので、なおさらそうやってイレギュラーな対応をしようと思うと、上手くいかなくなっちゃいますよね。
大変なことばっかりだとなんなので、嬉しかったことがあれば。組合員さんからの反応とか。
永井
横国は購買と一緒になっているのでブラウニーがたくさんあって、店長の許可が下りたので、お菓子と一緒に教科書を送ったらTwitterとかで「チョコブラウニーもらった」とか「ありがとう」とか、そういう声がアップされていて。電話でも「チョコブラウニーありがとうございました」とか問い合わせのついでに言ってくださって、それは職員一同ちょっとあったかい気持ちになりましたね。
秋田
1人に一つずつ入れて、一緒に送って。ぜひ新入生が大学に来られるようになったら、生協を利用しに来てもらいたいですね。
永井
そうですね。覚えていてほしいですね。それは、やってよかったです。

今後、取り組みたいこと

秋田
緊急事態宣言が解除されて、大学に人が戻ってくるのがいつくらいになるかとか、お店の営業がこれからどうなるかって決まってきましたか?
永井
春学期は全てオンラインになるので、人は戻らないだろうと思います。お店の短縮営業はこのまま続くかなという感じですね。
秋田
いまは短縮営業?平日のみですか
永井
平日のみ、11時から2時までの営業です。食堂はまだ開いてなくて、今後もまだわからない状態です。
秋田
そうやって決まってないことも多いですけど、後期に向けてとか、学生が来るようになったらやりたいこととかありますか?
永井
大学に来られない学生さんのために、書籍のECサイトもそうですけど、何か目に見えないけど提供したいというか、本の情報ですとか、生協で買ってくれなくても近場の本屋さんでもいいから、つながりみたいなものが発信できたらなとは思いますし、秋学期は温かくいいフェアがしたいなと思いますね。
秋田
情報発信しようとした時に使っているのはTwitterですか。
永井
はい、Twitterですね。
冊子を作りたいなと思っています。教科書の登録・注文をいただいた方は全員メールアドレスがわかるので。その方々に「教科書ありがとう」みたいな感じで、何かいいコンテンツができたらいいなと思っています。
秋田
教科書購入の時につながりができているので、せっかくならそれを上手く使って、新入生や在校生の人にとって、大学に行きたくなるとか、大学に行けるようになったら生協に行ってみようと思ってもらえるように、何かしら情報を発信したいですね。それはぜひ、やってください。やったらぜひ共有してくださいね。
本日はありがとうございました。

2020年5月26日 WEB会議にてインタビュー

注釈()
K3 教科書申込書作成システム
「K3」は、大学生協が用意しているウェブサイトで教科書の注文を受付けるサイトのこと。学部ごとに全講義の教科書を表示し、学生が買い物かご方式で申し込むと、「教科書購入申込書」を作成することができる。
作成した申込書は学生がプリントアウトして持参することも、生協店舗側で出力することも可能。従来は、商品の引き渡しと決済は店舗で行う。
もともとは「教科書購入申込書」を作成するためのもので、宅配には対応しておらず、配送先の住所等の記入欄はないため、備考欄に書いてもらう必要があった。