大学生協でつながる

2024年02月13日(火) | 《特別TOPICS》 

日本女子大学 学生×企業のプロジェクト 
女性のカラダとココロを考える
〜フェムテック・フェムケア〜を学生から発信しよう!

 

 
インタビュー
  • 田井中 慎さん  日本女子大学 社会連携授業担当 非常勤講師
  • 吉田 菜々絵さん (株)明治 乳幼児・フェムニケアマーケティング部
  • 中条 洋子さん シキボウ(株)繊維部門 戦略素材企画推進室長
  • 南波 瑞穂さん シキボウ(株)繊維部門 戦略素材企画推進室
  • 石崎 奈々花さん フェムケア企画チーム「Be free.」(日本女子大学3年)
  • 金井 麻衣子さん フェムケア企画チーム「Be free.」(日本女子大学3年)
  • 山本 莉緒さん フェムケア企画チーム「Be free.」(日本女子大学生3年)
  • 平沢 優芽さん フェムケア企画チーム「Be free.」(日本女子大学生1年)
  • 佐々木 実莉さん フェムケア企画チーム「Be free.」(日本女子大学生1年)

聞き手
  • 棚橋 由紀子 日本女子大学生協 専務理事
 
 

CONTENTS

 
  (以下、敬称を省略させていただきます)
 

フェムケア・フェムテックはご存じですか?

 
2020年頃から「フェムテック」「フェムケア」と言う言葉が使われるようになりました。
フェムテック(Femtech)とは、女性(Female)とテクノロジー(Technology)を掛け合わせた造語で、生理や妊活・出産・更年期等の女性特有の健康課題をテクノロジーで解決する製品やサービス全般を指し、またフェムケア(Femcare)は様々な製品やサービスでケアする事を意味します。
今回は、いち早くこの活動を行なっている日本女子大学フェムケア企画チーム「Be free.」の皆さんと日本女子大学生協とで座談会が行われました。
 
 

プロジェクトに参加しようと思ったきっかけ

 


棚橋 由紀子
日本女子大学生協
専務理事

棚橋:学生が主体となって活動している「Be free.」ですが、どのような経緯でスタートしたのでしょうか?

田井中:日本女子大学には、学生の学びと実社会のつながりを作っていこう!という事で、社会連携科目があります。その授業の中で社会問題の解決を目指す食育活動を(株)明治さんに提案したところ、すでに食で女性を応援するブランド「明治 フェムニケアフード」があり、企画意図が一致しそれがプロジェクトとして動き始めました。併せて女性社員によるフェムテック・プロジェクトチーム「Méchi(ミチ)」を立ち上げている繊維素材メーカーのシキボウ(株)さんも参加し、“食”と“衣”の企業が連携して、学生の自発的な活動を企業として支えて頂く事となりました。「Be free.」という活動チーム名も学生たちが自分たちで名前を付けてスタートしました。

石崎:まさかこんな企画に参加させて頂けると思ってなかったので、色々な企業と一緒に女性が活躍する社会づくりに向けた環境改善を考え面白い授業だったと記憶にあります。


田井中 慎さん
日本女子大学
社会連携授業担当
非常勤講師

田井中:やるからには学んで終わりより、実際に動いて経験していかないとね。そういった意味では、ものすごく良い機会を頂いたなって思っています。
活動の中で色々考えていくと、フェムケア・フェムテックと言いますが、実はここ女子大でも商品が店頭に並んでない…とか、そもそものところ認知度が低いのではないか?と。そこで学内でアンケートを取ったり調べたりしました。
その活動として、皆さんが日頃利用している生協の中に棚を作らせて頂き、フェムテック商品や製品を1ヶ月半に渡って店頭実験という形で紹介しようとなりました。
これには企業の皆さんからも色々アドバイス頂いて、一緒になって考えて頂いていく、良い意味での産学連携という感じですね。

棚橋:学生の皆さんがこの活動に参加しようと思った理由はなんですか?


石崎 奈々花さん
日本女子大学3年

石崎:女性が女性のカラダを考えたマーケティングと言うのに興味を持ちました。で友達も誘って…

金井:石崎さんと友達で、この活動を知って一緒にやらないか?という話だったので参加しました。


山本 莉緒さん
日本女子大学3年

山本:私は授業の中で食品企業の方が来ていらして、商品の話を聞いていて食品業界も健康志向を求められている中で、様々なニーズに応える付加価値のあるものが求められていると知りました。私の中では生理痛というものは薬しかないと思っていましたが、食物学科の先輩から食品でサポートができると聞いた時に、自分の中で少ししっくりきた所がありました。この食品の普及促進のプロジェクトがあってやって見ないか?と声をかけてもらい“食”を通して自分を支えるだとか、ケアする事ができるのであれば自分にとって口から食べる喜びは必ずあると思っているので、フェムテック製品を深く知りたいなと思ったのがきっかけです。

棚橋:1年生で関わって頂いているお二人は?


平沢 優芽さん
日本女子大学生1年

平沢:正直、1年生からでなくてもと言う思いは最初ありましたが、このプロジェクトが今あるうちに、できる事はやっとこうと思いで参加しました。そうしたら思っていたより大きなプロジェクトで、本当に自分の知らない世界はまだまだたくさんあるな…と、高校生の時はコロナ禍だったので、社会や人とのつながりが薄かったので、私にはすごく新鮮な世界で日々色々な事を吸収しています。


佐々木 実莉さん
日本女子大学生1年

佐々木:もともと食に興味があって、高校生活はコロナ禍の生活でしたが、人間の生活って食べ物とは切り離せないと思って、人と生活と食べ物の繋がりにはすごく興味を持っていましたが。それでフェムケアと言う言葉をしった時に、“女性の生活と食”にはどんな繋がりがあるのだろう?という風に思ったので、知る機会になればいいなと参加しました。

棚橋:マーケティングの側面から関わろうと思った方と、“食”への興味から入られた方と色んなところをお互いにうまく繋ぎ合わせてできる大きなプロジェクトだと聞いていて感じました。
それでは企業の側としては如何でしょうか?


吉田 菜々絵さん
(株)明治 乳幼児・
フェムニケア
マーケティング部

吉田:まず田井中先生と社会連携という繋がりがありまして、その後このプロジェクトの話を聞いた時に、まさしく我々がやりたい領域だな〜と思いました。
この商品(明治フェムニケアフード)の発売を通じて強く感じるのは、日本では女性の体に対する知識がまだ不十分であるという課題です。
これから社会に羽ばたいて活躍する学生達が、もっと自由に自分らしく活躍する為には、自身の体調に対して多様な選択肢を持って社会に出てくれたら、もっと頑張れるんだろうなと思いました。
私たちは、商品やサービスを通じて女性の健康に関する正しい知識を広め、彼女たちが自分らしく輝き、社会で活躍できるよう支援していきたいと考えています。
学生と一緒に取り組むという事に意味があるので、プロジェクトに参加しています。


中条 洋子さん
シキボウ(株)繊維部門
戦略素材企画推進室長

中条:弊社も別の仕事で田井中先生とご一緒する機会があった時に、お声がけ頂きました。シキボウは糸・生地・製品の繊維総合メーカーです。BtoB型企業ですのでお客様は商社やアパレルなどの企業様で、一般消費者へ製品を販売する事はありません。なので、このプロジェクトは消費者である学生の方の意見を聞ける貴重な機会となっています。BtoB企業であっても消費者行動を知ることがとても大事だと考えるからです。消費者の消費行動は、高度経済成長期は「モノ消費=個別の製品やサービスの持つ機能的価値を消費すること」でした。その商品自身がどういった商品か?というのが重要なため、メーカーとしては品質の高い良いモノを作っておけば、お客様に満足して頂けました。そして少し前に言われていたのが「コト消費=その商品を所有すること、サービスを利用することによって得られる経験や体験を重視すること」です。さらに最近ではその商品を購入する事にはどういう意味があるのか?他の人にどういう影響を及ぼすのか?という“イミ消費”と呼ばれる消費行動に変わってきています。私たちメーカーも良いモノを作るだけでなく、消費行動を理解したモノ作りを考えないといけないようになってきています。


南波 瑞穂さん
シキボウ(株)繊維部門
戦略素材企画推進室

南波:学生さんと比較的年齢が近いという事で参加させて頂いております。実際に私がフェムテックを知った時期は学生の皆さんと大差ないと思います。学生の皆さんと一緒に、良い社会・女性が働きやすい社会をつくるプロジェクトに参加させていただけて嬉しく思っています。

棚橋:大学の中で、産学連携の形で生協も関わらせて頂いて私にとっても勉強になりましたし、学生の皆さんが学科の勉強だけでなく、自分の体の事であるとかで繋がって一緒に考えて行けるって、とても素敵な事だなと改めて思いました。

田井中:社会連携っていうのは学科を問わず参加できるものなんですよね。女性の悩みを解決するとなると、学生達は自分たちの声をどんどん出して来ます。製品の楽しみ方の提案とかプラスアルファ店舗を作るとか、店頭でどんな情報発信をしていこう!だとか。全部学生たちからのアイディアなので、この辺は女子学生ってやっぱりすごいなと思います。

 
 

活動を知ってからは、自身のカラダや周りの人への考え方が変わった

 

佐々木:私自身はあまり体調不良を感じる事が少ないですれども、このBe free.で活動をしていると友達に話しているので、比較的オープンにみんなから話してくれるようになりました。そしてそういう時にアドバイスも出来るようになってきたので、周りに対して少し気遣えるようになって来たのかな?ちょっと私自身変われたのかな?と思っています。

吉田:自身の体調にあまり変化なくても、そういう人がいるって事を認識するのは、すごく大事な事だと思います!

全員:うんうん!そうですよね。

平沢:自分のカラダに関心が無いって事が一番ダメだった事に気づいて、病院にも行ってみました。
年上の人に、悩みを相談しても我慢して当然!と言われるのが怖かったので行きにくかったのですが、逆に温かくて、産婦人科も一歩踏み込んでしまえばそんなに怖い所でもないと思いました。
全て与えられるのを待つだけではなく、自ら選択して行けるような社会になれば…と微力ながら活動していきたいです。

田井中:一歩踏み出した感じですね。社会は思っていたよりも温かかった…って、大人として何かホッとします。

山本:プロジェクトで取ったアンケートを見ていると、本当に様々な症状がある事を強く感じて、実際学校で友達に会った時に「どういう症状があるの?」と聞くと、意外とサラッと話してくれました。その時、同じ悩みをもった人もいると分かるだけで自分も安心するというか、自分だけが辛いのではないという事も解りましたし、その辛さに気づいてソリューションとして提案して下さる企業があるっていう、温かい社会だなって気づき、視野が広がりました。


金井 麻衣子さん
日本女子大学3年

金井:フェムテック・フェムケアという考え方があると言うのを知るだけで、もう少し自分のカラダと向き合おうと思う機会が増えるのではないかな?と思います。

石崎:寮生活をしていた時は、栄養バランスが整った食事をしていたので、とても元気だったのですが、一人暮らしになった時に、すごく体調を崩すようになってしまって。このプロジェクトで学んでから、ちょっと献立を考えるとか、自分を見つめ直すとか、そういう機会が増えたように思います。

中条:女性特有の健康課題は生理や不妊治療、出産、更年期とライフステージに応じて色々とあります。健康課題に直面した時には、我慢したり、後回しにしない事が大事です。自分で調べて知識を得たり、友達やお医者さんに相談するなどして課題解決の行動をおこしましょう。何事に対してもですが自分の人生を自分でコントロールできる事が幸せな人生を歩んでいく上ですごく大事だなと最近強く思うのです。


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棚橋:自分でケアしていけるっていうスタートラインに早い内から立てるっていうのは、本当に学生の皆さんの人生にとってプラスしかないと感じました。

田井中:社会連携の本質ってやっぱり相互コミュニケーションですよね。学生と企業もそうだし、大学と地域あるいは世代間の交流。そういえば金井さんがフェムテックのイベントにお母さんを連れてきてくれましたが、家庭の中でも話はしていますか?

金井:はい。母は自分の対策はほとんどしていなくて、私がこの活動をしているから話は聞いてくれますけど。母は娘の体調改善はしてくれようとしますが、自分自身の改善は全然しませんね…

田井中:昔はお母さんが良く知っていて娘に教える…でしたけど、これからは、娘から母に教えるといったように逆になるかも知れませんね。

佐々木:私の母は、忙しくて自分の体の事を後回しにするタイプですね。もうちょっと自分の体を労って欲しいと思うので、私は過度に心配するじゃないですけれど、周りの友達とかにも色々言うようにしています。

田井中:元々、学生のみんなで「Be free.」の名前を考えて、もう我慢しなくて良いんだよ!とか私達はもっと自由になれるはず!と言う意味をこめて付けました。何か知らない間に我慢している事があるかも知れませんね、話す事で自分は我慢していたと気づく事が。

中条:我慢する事が普通になっていると、もうすでに我慢じゃないですね!

田井中:その事に気づいて無いですもんね(笑)

吉田:我慢する事が当たり前になっている所に気付きを与えるのって、どうプロモーションすれば良いのか考えていた時に、「お子さんからお母さんに」と言うようなメッセージをするのは、お母さんが変わる動機になるのではないか?と思いました。

中条:私もそう思いました。親から子に言うのはウザいって思われる事が多いですが、子から親に言われると親は何かちょっと心配してくれているのかな?と嬉しくなったりしますよね。それを無視する訳にはいかないから、病院行こうかな?となれば良いと思います。
日本って医療が進んでいるので、逆に予防医療が遅れている気がします。やはり何事も予防が大事ですし、特に女性のカラダの事はそうだと思います。
だから歯医者さんみたいになったら良いですよね。歯が痛くなってから病院に行く人も、予防で定期的に行く人も増えています。私も昔は歯が痛くならないと歯医者に行きませんでしたが、今は半年に一度くらいは歯石を取りに行き、磨き方を教えてもらったりしています。
そんな風に、女性特有の健康課題に対する意識も変わってくれると良いですね。


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学生による学生のためのプロモーション大作戦とは!

 

棚橋:色々な思いで携わっているこのプロジェクトですが、いま生協の方で学生の皆さんに棚を作ってもらっていて、同じ日本女子大の学生の皆さんに伝えて行こうという活動を実践していますが、その棚を作るにあたってどのような思いで作ったのかお伺いしたいと思います。

田井中:4つのチームに分かれて、11月6日〜12月23日までそれぞれが考えた店頭演出と情報発信を行いました。

平沢:私たち、佐々木さんとのBチームは、11月6日からの10日間を担当しました。
最初のグループだったので、もちろん商品を置くと言う事もですが、それ以前に「Be free.」の活動、大学ではこういう事をやっていて、展示をすると言う事を伝えたかったので、コンセプトを沢山詰め込みました。あとパンフレットも並べましたが、学生はスマホで見るだろうと思って、それぞれの企業のQRコードを設置しました。私たちのグループを皮切りにして4グループ続くと言う事だったので、まずはフェムケアを知ってもらえたら良いな〜と言う気持ちで、生協の一番目立つ所の壁に飾りました。それぞれ自分の意志と思いがあるので、コピーは私たちが手書きで書きました。


棚1期①「第一期フェムテック・フェムケアと商品を広く知ってもらう」
 

棚1期②〜③「QRコードを設置して携帯でじっくり見てもらう工夫も」
 

山本:私は第2ステージの11月17日〜29日までを担当しました。活動のPRは前チームがしていたので、具体的にどんな製品があるかにフォーカスを当ててフローチャートを作成しました。
具体的には、実際に“生理”と言うワードを入れる事で、生理に対する言葉の抵抗(公に表現する)を無くしたい思いで「生理に対する悩みありますか?」と問いかけをしました。そこで「好きですか?」
「息抜きにどうですか?」という風に、生理の人だけだはなく様々な人に届いて欲しいなって思いで作りました。悩みに対して「いいえ」の所にはシキボウさんのプロジェクト“Méchi(ミチ)”がありますが、その下の段には吸水ショーツを展示しました。
実際に生協には吸水ショーツが展示されるって、なかなか無い事だと思いますが、インパクト大!!と思ったので置いて良かったと思います。
次に、店頭にポスターを貼りました。下のスペースにはコルクボードを設置して、生協に来た人にコメントを自由に書いてもらう欄を設けた所、「偏頭痛がひどい」だとか「便秘に悩んでいる」「ニキビが気になる」など確かに!と思えるような悩みがたくさん書かれていて、今後の役に立てればと思いました。

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棚2期①〜②「第二期『生理に関する悩み』を入り口としてフローチャートで商品訴求」

 

棚2期③「吸水ショーツも展示」
 

棚2期④「店舗入り口にはポスターとコルクボードによる『お悩み聞かせて』」
 

金井:私たちのグループは11月30日〜12月11日までの期間で、興味を惹きたい!と言う事に特化して、商品のPRもですがクリスマスシーズンだったので、クリスマスを全面に出した感じで作りました。
下はアドベントカレンダーみたいになっていて、実際に触れ動かす事で商品を見てもらえたら良いなって作りました。下はほぼ前のグループのものを引き継いでいます。
コルクボードにはシールを貼るタイプで、イベントみたいなものを作って参加してもらえるようにしました。


棚3期①「第三期 季節感を出しクリスマスツリーをイメージして」
 

棚3期②「アドベントカレンダーの中に商品訴求」
 
棚3期③「『明治 α-Luna』の認知度アンケートを実施」
 
 

石崎:私たちの班は最後だったので、まとめと言う感じで作らせてもらいました。キャッチフレーズ重視の展示にしたのですが、「授業のお供に!」とか今まで吹き出しについて話し合った中で、良いなって思うものとか目につきやすいなって思うフレーズをみんなで厳選して引っ張ってきました。下の段には「人それぞれでいい」などキャッチフレーズで少しでも目に入ってくれたら良いな!と言う思いを込めました。
それと、フェムケアについて知ってもらおうと紙を作ってくれている子がいて、それが出来あがったら生協のレジの近くに配置して、予定が合う日は自分たちで学生に配ろうかと思います。


棚4期①〜②「第四期 Be free.メンバーの声をPOP展開」
 

棚4期③「引き続き 吸水ショーツも展示」
 

田井中:学生達4チームに分かれて活動してくれましたが、中々スケジュールを合わせるのが大変だったのではないでしょうか?
各チームのミーティングには僕もZOOMで少しだけ参加しましたが、どうでした?みんなで店頭実験をしてみて。

佐々木:それぞれの考え方があるので、思いもあって…すごく発想が豊かだなと思いましたが、やはりいざひとつのモノを創るとなると、全部は出来ないので最終的に形として着地すると言うのが難しいなと思いました。私たちは最初のグループだったので、あまり時間も取れなくて難しかったのですが、別グループの石崎さんとか手伝いに来てくれて、個々だけではなく次に活かそうという気持ちが生まれたのは良かったと思います。

田井中:チームごとに横の連携も取ったのですか?

山本:QRコードを引き継いだり、各班の販売期間が終わったらアンケートを取って、良かった点や改善点、今後に生かしたい事などを伝えてもらって、それを参考に販売に繋げたり…各チーム引き継ぎしたから良い棚が作れたのかな〜と。

田井中:各グループ同士の横のつながりで申し送りをしていたとか知らなかったので、皆さん一生懸命やっていたのだなと改めて思いました。
学部・学科が違うと中々時間も合わないし、バイトや就活もしつつ店舗実験をして大変だったと思いますけど、それでも自分が毎日利用する生協に自分たちが作った棚があって、そこで自分が伝えたいメッセージがあると言うことは、僕だったら猛烈に嬉しいですけど皆さんどうですか?

山本:やっぱりBe free.の棚が始まってすぐ生協に行った時に、ついに始まった!という高揚感がすごくあって、少しでも見てくれる人がいる!という風に思いました。私が初めて明治さんの商品を知った時の感動がみんなにもあったら良いな〜と。

金井:私は週に1〜2日しか学校に来ませんが、作った棚があるから学校に行く目的が増えました(笑)
自分のやったことが形になって、みんなの頑張りが棚に出ているのはとても嬉しいです。

石崎:生協のレジの方とは良くお話しをさせてもらっています!

棚橋:今回の店頭実験を始めてから、これまでの仕入れになかった商品の仕入れをして展開し始めたら、弊会のパート職員の方から「まだ在庫があるので、同時に他の棚に出しても良いですか?」と言うような提案があって、例えば生理用品の棚に関連付けで明治の商品のパウダーとチョコレートを置いてみたり、冷蔵庫にドリンクを置いたりと、みなさんの活動がこうやって私共の職員も、これだったらこんな風に売ったらどうかって言う案が出てきたりして、すごく刺激にもなっているので、本当に一緒にやって良かったな〜と思います。
これからどんな風に広がっていくのか解りませんが、みなさんのチャレンジが現場のパート職員にもちゃんと伝わっているなって感じます。

吉田:実際に食品を販売しているので、販売実績が気になる所ではありますが、学生がお店に来店する時間帯は主に昼間であり、行列ができて一生懸命買い物をする時間帯です。その際、POPを見た時に一言で伝わる言葉が何か?ということを、私たちも日々検討しています。このような点に関して検証できれば、より良いと考えました。 

中条:弊社は自社商品が無いのでフェムテックの色々な商品を知ってもらうのも大きな役割だと思っています。
吸水ショーツはどういう物かを知らない人には、「手に取って見てね!」などのPOPを作成して、実際に触って色々感じて一度試してみようと思ってもらえればうれしいです。

棚橋:では、みなさん様々な思いを持って関わって頂いた訳ですが、最後に田井中先生からお願いします。

田井中:私の授業ではリアクションペーパーを取りますが、Be free.に参加していない学生から「最近 生協で明治さんの新しい商品が並ぶようになった」と書いている人が3人くらいいまして、他にも「生協に生理がどうのこうのと書いてあった!」とか…実は私からは何も話してなかったのですが。やはり見ている人は見ているし、コルクボードに『お悩みを聞かせて』とした展示でのあのコメント結構面白くて!体の悩みはもちろん彼氏ができないとか、今回のテーマには関係ない事が書かれていましたが、そういう自由に意見がやり取り出来る状況が生まれたことがすごく良いな〜と思って。まさに店頭を通じたコミュニケーションだし、フェムケアがきっかけで何か全然違う形でもコミュニュケーションが学内で様々な形で生まれて来ているのは素敵だなと思っております。

棚橋:2023年12月で一旦店頭実験は終わりますが、今後はどのような計画で活動を継続されますか?

田井中:4チームに分かれていますので、売上や認知度のとりまとめをして最終報告会をします。
それを受けて、じゃあ次はこんな事をやって行きたいとか、例えば生協の店頭を使って何か計画するとか。
吸水ショーツは普段店頭に並んでいませんが、例えば学生からの提案で吸水ショーツをちゃんと商品化して色々な所で販売できると良いなと思います。
更にはこの機会にフェムテック・フェムケアを他の大学にも広めて行きたいですね。

中条:今は就活する時にビジネスの一端を経験するインターンシップが盛んにおこなわれていますよね。同じように、今後Be free.の活動で、実際に製品を作り販促も自分達で考えて、実際に販売し売り上げをあげて、その活動をフェムテック・フェムケアの普及に繋げられれば最高だと思います。

吉田:売り場だけを作る事が目的ではなく、そこから選択肢としてこんなのがあるよと言うのを色んな学生に知ってもらえる取り組みが出来たら良いなと思っていて、その棚を作って積極的に取り入れてくれた皆さんが、今度講師みたいになって学んだ事を同じ学生に伝えられる機会を作ってもらえれば良いかなと思っています。我々が説明するとどうしても教える目線になりがちです。皆さんが同じ目線で話すと学生にとっては違うのではないかな?と思ったので。

田井中:日本女子大学からスタートして、自分の経験した事を他の大学にも広めていくのは面白いと思いますが、いかがでしょう?

石崎:広げていけるのなら、いいと思います。

佐々木:私はフェムケアと言う言葉をこのプロジェクトに参加して初めて知りました。私の兄は知らないだろうな〜と思って話したら、「知っているよ!」と言うので、「なんで??」と聞いたら就活の面接とかでフェムケアの話題が上がったり討論したりしているそうです。やはり女性だけの問題を女性だけで済ませてはいけないと思いました。企業の面接とかでも、男性も女性もいるグループ討論でフェムケアの話が出ていると!やはり女子大の中で終わらせるのではなく、もっと年下の子とか個人的には中学生とかにも知って欲しいと思っていますが、男性のいる共学校でも向き合って話せるような機会があれば良いとすごく感じました。

田井中:男性にもフェムケアを知らせて行くって言うのは大事ですね。共学の大学にもフェムケアのコーナーがあるとか、大学間の横展開があっても良いかもしれません。

棚橋:一つの大学から始まった企画が広がるって言うのは、これまでも大学生協でも実績がありました。今回がどういう結果になって、じゃあこんな風にしよう!とかみんなで詰めていけたら、また他のところにも広がっていくかもしれませんので、最後まで一緒にやらせて頂けたらと思っております。今日はありがとうございました!

 

2023年12月14日 日本女子大学にて

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