愛媛大学教育学部 家政教育講座 食品栄養学研究室 岡本威明教授
食用コオロギパウダー入りカレーの開発

愛媛大学教育学部 家政教育講座 食品栄養学研究室
岡本威明教授
日本では、伝統的に昆虫を食べる文化が一部で残っており、代表的なものとしては、イナゴ、蚕、蜂の子などが佃煮として販売されている。近年「昆虫食」と言われるさまざまな虫を使用した食品は2015年頃よりオンラインストアを中心としてスタートし、現在まで拡大してきた。一方、世界人口を見てみると、2022年に80億人を突破し、2037年頃には90億人、2058年頃には100億人を超えると予測されている。このように、世界的な人口増加が加速する中で、食糧として利用可能な資源は逼迫した状態になりつつあるのが現状である。特に、2030年以降、タンパク質の供給が需要に対して追いつかなくなることが予想されている。そこで、高タンパク質であり、そして低環境負荷で持続可能な食糧である食用コオロギに着目し、脱脂コオロギパウダーを活用したカレー(うちこおろぎスープカレー)を、地元企業および研究室に配属した大学生と一緒に開発した。
カレーの中には高タンパクの脱脂コオロギパウダーが入っている
ここで、開発に携わった大学生の想いを後述したい。日本では、まだまだ昆虫食に対して忌避感が強く、喫食経験もない人が多い。そのため、人々に受け入れられやすい昆虫食の開発を行うことで、昆虫食に対する嫌悪感などの払拭を目指している。『虫は食べ物じゃない!』と考えるのはもちろん自由である。 しかし、少しでも多くの人が昆虫食に興味を持ち、一度は昆虫食に触れてみてほしい。そして、開発した食品が新しい食の可能性を体感するものになることを願っている。
このたび開発したコオロギパウダー入りカレーは、タンパク質だけでなく、亜鉛、鉄、食物繊維、カルシウムなども豊富に含まれており、コオロギがいかにスーパーフードとして有用であるかを示したものであり、このような情報を消費者に提供していく中で、人々の理解を深めていければと考えている。今後も、昆虫食の優れた面を広く発信できるよう研究・商品開発を進めていく。また、地元企業との共同研究を継続していくことで地域の活性化にも繋げていきたい。
【参考動画】
子どものためのSDGs教室 第3回;持続可能な新しいタンパク源である食用コオロギの活用
愛媛大学生協ショップえみか 大野厚子店長
『うちこおろぎスープカレー』販売について

愛媛大学生協ショップえみか
『愛媛大学ショップえみか』地域の皆さんにも利用してもらえる店舗として設置された、大学ショップです。愛媛大学生協が運営しています。
学内の福利厚生として、2/3のスペースはコンビニショップですが、1/3のスペースは大学の研究、実習の中で商品化されたものや、県内の商品などを販売しています。
今回、教育学部岡本研究室の学生さんが中心になって商品化された、『うちこおろぎカレー』の販売を始めました。
先生、学生さん、企業の担当者さん、生協の4者で商品についての確認、販売価格の設定、宣伝物の内容など打合せの後、9月26日「愛大夜市」に合わせてえみかでの販売がスタートしました。
研究室の学生、山川さんがつくったPOPも宣伝効果UPにつながり、岡本先生の似顔絵も好評です。
ショップ内の展示も学生と協力して!
店舗では、入り口すぐのところに販売スペースを確保し、「まずは見てもらう」ようにしています。また、『うちこおろぎスープカレー』の姉妹品、『コオロ黒カレー(ルーカレー)』や『うちこおろぎ&塩バナナチップス』も一緒にコーナー化しています。
農学部キャンパスの生協店舗でも10月から販売開始しました。

『うちこおろぎスープカレー』 777円

『うちこおろぎ&塩バナナチップス』342円
愛媛大学の研究や学生さんが関わった商品を、学内の皆さんに利用してもらえるよう、生協の店舗でも積極的に販売協力が出来たらと思っています。