インド出張報告 ― チャーナキヤ大学訪問およびICA関連会議への参加
-このページの内容
本出張の概要について
出張目的
- ICA総会・ICEI年次会議への参加
- チャーナキヤ大学に招待を受け、日本の大学生協についてプレゼンテーション
主な行程
- 11/25 デリー経由でバンガロールに到着
- 11/26 チャーナキヤ大学への訪問、プレゼンテーション
- 11/27 ICA総会への参加、日本の大学生協についてプレゼンテーション
- 11/28 ICEI年次会議への参加
- 11/29 ICA総会での議決
- 11/30 日本に帰国
チャーナキヤ大学でのプレゼンテーションと交流(11/26)
インドの南方の都市バンガロールにあるチャーナキヤ大学に訪問し、大学構内にある施設の見学をしました。設立してまだ3年目の大学ではありますが、広大な土地にキャンパスができていっている様子も見ることができました。その後、チャーナキヤ大学の講義の一環として、日本の大学生協について学生3人から話しました。まずは大学生協の4つの使命と8つのビジョン、それを目指すうえでの食生活、一人暮らし支援などの5つの事業について話しました。その大学生協で活動する学生委員会の活動ややりがいについても話しました。
日本のような大学生協のシステムはインドにはないらしく、学生運動の話に触れるような質問もありました。このような風土や文化の違いはありつつも、チャーナキヤ大学の学生、教職員のみなさんに大学生協の民主的なあり方も伝えることができました。

チャーナキヤ大学 正面
マンションのような学生寮

日本の大学生協について紹介
学生委員会の活動の紹介

たくさんの学生が熱心に聞いてくれました。
最後にみんなで写真撮影。
ICA(国際協同組合同盟)総会(11/27~11/29)
ICA総会の概要
全国大学生協連としては分科会にて学生から日本の学生委員会の活動の様子や活動のやりがいを伝えました。世界各国から協同組合の代表が集まる中で、世界でも特異な学生が主導となっている生活協同組合の姿をアピールすることができ、参加された方からも多くの関心が寄せられました。
分科会での発表
世界各国の協同組合の代表の方。
発表後に海外の方と交流。
協同組合への愛が詰まった場所。
総会の代議員として議決にも参加しました。
ICEI年次会議(11/28)
ICAアジア太平洋地域教育機関協同組合委員会(ICEI)は、1993年にICA-AP生活協同組合委員会の分科会として発足し、キャンパスでの生活の質の向上を目的にキャンパス協同組合の設立を提唱しました。2008年にはベトナムのハノイで開催されたICA-AP地域総会において、ICA-AP生活協同組合委員会から独立した組織となりました。2002年にICAに加盟した全国大学生活協同組合連合会(大学生協連)は、ICEIの設立に重要な役割を果たしました。また、大学生協連の中森専務は、2022年から2024年の間、ICEIの副会長を務めました。フィジー、ヨルダン、ネパール、ベトナムという新しい会員を迎え、現在、14カ国30団体がICEIに加盟しています。
ICEIの主な目的は、大学、短大、高校などの教育機関における教職員や学生を組合員とする協同組合の発展を促進し、若者が協同組合活動に直接参加する機会を提供するとともに、協同組合の価値や自助・共助の重要性を理解してもらうことです。
年次総会では、過去1年間の活動を振り返るとともに、2025年までの計画概要が示されました。また、年次会議では役員選挙が行われ、大学生協連の武川会長が2024年から2026年の議長に選出されました。

ICEI議長に選出された武川先生
ICEI年次会議参加者による集合写真
本出張での感想
加藤
◾️あなたにとってCOOPとは何か今回私は語学に暗く、あまりコミュニケーションをとることができないのではないかということや、事例を聞いてもうまく理解できないのではないかという懸念をしていました。実際インドに降り立ってからは日本とは違う文化や景色に圧倒されていました。しかしICA総会が始まってからはここにいる人たちはCOOPという名のもとに集った仲間なのだと覚悟を決め、積極的に会に参加しました。
実際にICA総会の分科会で各国の協同組合の事例を聞く中で、そしてチャーナキヤ大学の学生の前で発表し、多くの質問を受けた際に、国によって協同組合の在り方に違いがあることを強く感じました。特に、いくつかの国では、協同組合を一つの「協同」という形をとったビジネスモデルとして捉えている人もいることが印象的でした。
しかし、協同組合が今後「Better World」を実現していくためには、単なるビジネスモデルとしてではなく、多くの人の生活に関わるあらゆる側面(消費・生活など)をより良くするためのコミュニティとして位置づけられることが重要だと思います。そのような協同組合のあり方を広めていくことが、一人ひとりが輝かしい生活、「Better Life」を送ることができるようになり「BetterWorld」の実現につながるではないでしょうか。みなさんもぜひ、自分にとってCOOPとはどのような存在か、これまでの経験を振り返ってみてください。
伊藤
◾️日本の主体的な学生の参加の特徴今回のインド訪問で私は2回、日本の大学生協の学生委員の活動について話す場面がありました。その話をした際に質問を受けたのですが、受け答えをしていて感じたのは、日本の大学生協のように学生が主体的に生活協同組合にかかわるということの特異性でした。ほかの国の大学の協同組合の話も聞きましたが、日本のように学生が主導となって生活協同組合の運動を作っているという事例はほとんど耳にしませんでした。世界的に見たときに大学のなかでの協同組合という観点で関心が高いなと感じたのは、大学のカリキュラムの中でどのように協同組合を拡げていくかということでした。日本でも大学のカリキュラムの中で協同組合を学ぶことは行われているとは思うのですが、そこを強化することで協同を拡げていこうという動きは私としては「そういう風にして拡げるのか」と新しい視点を得られたという感覚でした。その視点を踏まえたうえで日本の大学生協において、学生が主体的に協同組合の運動を拡げることは今後も大切にしていきたいと強く感じました。そしてこれが日本の大学生協の強みであり、世界に日本から協同を拡げるうえでもカギになる要素だと感じました。
◾️「協同」のひろがり
ICA総会に参加し「大学」という枠も、「生活」という枠も飛び出した様々な協同組合に所属する人と考え方を学ぶ機会になりました。その中で普段私自身が接している大学生活とは離れた話も多くありましたが、その話をしている人たち全員が「協同」という共通の想いでつながっており、協同によって自分たちの生活や社会を良くしていこうという気持ちを感じました。私たちが大切にしている協同の想いが全世界の生活や社会を良くする可能性を持っている、そしてそれを信じて運動を起こしている人がいるということを実感しました。それと同時に今現在、私たちが日本の大学生協で行っていることの意義がより強く感じられる機会になりました。
私が一人の人間として生きていくうえでも「協同の想い」は心にとめながら、周りの人々と協同しながらよりよい生活や社会にしていくよう努めていきたいと思っています。
武川
2024年11月25日から11月30日にかけて、インドに出張した。学生常勤の加藤さん、伊藤さん、出口さんと事務局として志村さん、ディナさんが一緒だった。出張の目的は、チャーナキヤ大学でのセミナー、国際協同組合同盟(ICA)の大会とICEI年次会議に出席することだった。チャーナキヤ大学はインド南部のベンガルール(バンガロール)に位置する新設校で、キャンパス内は工事が続いていた。チャーナキヤ大学への訪問は大学生協連としては二回目とのことだが、私にとっては初めてのことだった。というか、インド自体が私にとっては初めての訪問だった。
チャーナキヤ大学でのセミナーは、同大学のドングレ教授と大学生協連との協力関係の結果であるが、私にとっては、また別の意味があった。というのは、同教授が2013年8月2014年4月に国際交流基金のフェローとして東京大学に滞在して研究したさいに、受入れ教官としてお世話したご縁があったからである。そのときから10数年ぶりの再会を楽しみにしていた。ちなみに同教授の日本での研究テーマは「マイクロ・ファイナンスにおける水平的統合:アジアの協同組合及び小規模経営に対する日本の大学生協の事業連合の重要性について」というものだった。
チャーナキヤ大学があるベンガルールはインドのシリコンバレーとして知られ、IT企業の集積地である。日本企業の多くもこの地に拠点をおいている。このため発展するインドの姿を目で見ることができると期待した。しかしそれは適わなかった。というのはインドがあまりにも広いので移動に時間がかかり、ベンガルールに着いたのは深夜、そしてセミナーが終わった後はすぐさまデリーに向けて出発しなければならなかったからだ。
発展しつつあるインドの街並みを見ることはできなかったが、セミナーの席で、発展しつつあるインドの教職員の姿を見ることはできた。セミナーでは学生3人が日本の大学生協の現状について報告したのであるが、出席者は目を輝かして聞いていた。チャーナキヤ大学が、大学生協の設立準備中になったからだと思う。
チャーナキヤ大学にデリーに向かい、ICAの大会に出席した。デリーの街は1960年代の東京、改革開放後の中国を思い出させるような大気と自動車のクラクションだった。ICAの大会のなかでは、ICA-AP(国際協同組合同盟アジア太平洋地域)に設置されている教育機関にある協同組合の集まりである、ICEI(教育機関協同組合委員会)年次総会への参加が主主な仕事だった。ここでは伊藤さんが日本の学生委員の活動について紹介し、各国代表から好意的に受け取られた。同じく教育機関の協同組合といっても、国によって、かなり在り方が異なることがわかった。
このICEIでは、予期せぬ事が起こった。というのは前日、先ほどのドングレ教授——ICEIの事務局長から、会長への立候補を打診されたのだ。青天の霹靂で心の準備もできておらず、非常に戸惑ったのだが、ドングレ教授の殺し文句は「NFUCA(全国大学生協連)の成功はアジア諸国にとっての希望である」というものだった。そこまで言われて引き下がるわけにはいかなかった。ということで、ICEIの会長に選出された。
日本からインドまでの移動もそれなりの時間はかかるのだが、それ以上に驚いたのはインド国内での飛行機・自動車の移動だった。滞在の時間より移動の時間の方が長いのではないかと錯覚するほどだった。とこれから発展していく国の広大な面積を実感した。
すべての日程を終えて日本に帰国したのは、11月30日の早朝だった。次回のICEIはスリランカで開催される。

