生協として前任業者の想いを引き継ぎ
小規模であるからこその特性を活かした生協創生
山口県立大学生協は、2021年11月に設立総会を開催し、今年で5年目を迎えます。
長年にわたり学生をあたたかく見守り続けた売店のご夫妻の高齢による引退や、コロナ禍による食堂業者の営業中止、さらに同時期に始まったキャンパス移転で売店・食堂の新設が不可欠な中、大学の指揮のもと一丸となっての生協設立について、人見英里理事長にお話を伺いました。
(以下、敬称を省略させていただきます)
聞き手:設立趣意書の中で前任の厚生業者について「学生を我が子と思うあたたかい思いやりの心で育んでくださる」と書かれている箇所に、後を引き継ぐ生協として身の引き締まる思いがしました。
この設立趣意書に込めた想い、設立当時のことも含めてお聞かせください。
山口県立大学生協 人見 英里(以下 人見):以前の南キャンパスは、現在は体育館などを除いて県に返還されているのですが、そこに私が赴任した30年前よりもずっと以前から柳井さんというご夫妻が営まれている売店がありました。昔は食堂も経営されていたらしいのですが難しくなり、食堂は平成20年頃に他の業者さんが撤退したところを飛び込みで営業に来られた(株)ホーユーさんが、こちらの要望にもよく応えて運営してくださっていました。
柳井さんご夫妻とのお付き合いは大学全体の親睦会の忘年会にもご招待し、お店を閉じられる際には有志が日時を決めて集まり、記念品を渡して写真を撮り、お別れの言葉を贈ってセレモニーをしたほどでした。旅行券をプレゼントしたのですが、その後お会いした時に「未だに仏壇に供えているよ」と言われましたね。
そのような関係性のあるところで、生協を設立したということです。
それはもう創らざるを得ない状況にあり、ホーユーさんもコロナ禍で食堂は閉じてしまわれていたので、この新キャンパスを作るにあたって、とにかく食堂のない大学はないだろうという意見があったと聞いています。
うちは小規模すぎて生協が成り立たないとずっと言われていて、山口大学のブランチも無理だと言われて万事休すだったところを、矢川さんに話がいき、なんとか設立できることになったんですかね。設立のメンバーを見ていただくとわかるように、大学が決めて総務部長が代表で役を担い、必死になって創ったということです。
聞き手:コロナ禍でホーユーさんの継続が難しくなったということと、前任の柳井さんがご高齢のため引退を考えられていたのが、まずそもそもの背景ですね。
山口県立大学生協 理事長
人見 英里 先生
人見:柳井さんは引退すると言われていたのを無理にお願いして、こちらのキャンパスでお弁当販売のために教室を一つ潰して売店を作り、ホーユーさんもお弁当販売と、その頃はまだ存在した女子寮が特定給食施設でしたので三食提供をしてくださっていました。
コロナ禍でも全キャンパスを閉じていたのは本当に短い期間で、密にならないように実習なども始めていた頃ですね。とにかく後継になる何かをということでした。
ご尽力いただいたのは今は県に戻られた当時の総務部長で、設立準備会を立ち上げるために人選して、学生は自治会から選出してもらい、事務職員はもちろん、各学科から一人ずつ充て職で先生に来てもらったという感じでした。なので、反対を押し切って設立したわけではなく、むしろ何とかして創らなければという感じでした。
聞き手:前任の方たちとの深いつながりや温かいやり取りがある良い関係性を、生協でも引き継いでほしいという理想的な設立とも言えますね。
生協設立にあたって、どのような要望をお持ちでしたか。
人見:設立によって、もっとシステム的な業務遂行が可能になることを期待していました。例えば、公立大学なので自力でグッズなどの販売はできないため、以前は売店で仕入れて販売してもらっていましたが、売れ残ると全てがお店の負担になりました。
また、TOEICや各種の模擬試験、検定試験などは、担当の教職員がお金を預かり、支払うという流れでしたが、一部の検定などは一定人数以上の申込みになると割引になるなど、会計処理を伴う業務的な負担も問題になっていて、それを大学がするとなると授業料ではないので、預かり金として1円でも余ったら返さなければならないなど、公立大学特有の問題がありました。
また、看護学科や栄養学科は実習着や実習用品がいろいろと必要で、教員が業者と折衝した上で販売場所を学内に設定し販売してもらうのですが、それが難しい場合は教員が代わりに販売と集金までを行っていました。国立大学などでは、さまざまな物品の調達部門があったりすると聞いているのですが、それと似たようなことを大学生協で代行してもらえるのではないかという、いわゆる虫のいい話ですが、今まで教職員が行ってきた業務の一部を担ってほしいということは、結構言われましたね。
聞き手:そうすると、例えば先生方が使うようなパソコンなども要望としてございましたか。
人見:それは出入り業者さんが結構密に入っていたので、それ程多くの声はないものの、学生用のパソコンの販売はすごく大きくて、全員同じとは言わないまでも、売店が家電量販店などから仕入れて売っていたものが標準になっていたので、特に学生用のパソコンやプリンター、自転車などは取り扱ってほしいという声がありましたね。
聞き手:どちらかというと食堂や教科書販売などを中心に語られることが多いので、お話をお聞きすると大学生協のことをかなりお調べいただいていた印象がありますね。
人見:実は教科書販売に関しては困っていなくて、長い付き合いの地元業者さんが2社あり、そことの取引を終わらせたくないくらいだったのですが、生協の収入源がなくなるとのことで、当時の総務部長と担当者で取引終了のお願いとお詫びに伺ったと聞いています。
聞き手:支援校の生協や準備委員会の皆さんが取り組むことが多いので、ここまで大学がきちんと全面に出てくださって、生協設立に向けて進めていただけることは、なかなかないことだと思います。
人見:山口大学生協さんにもご尽力いただきましたよね。かなり打合せもしたような気がします。
聞き手:生協ができたことによる学生の皆さんの生活の変化、特に設立趣意書の中で語れていることが、日常生活の中で活かされていることなどはございますか。
人見:学生が住んでいるのは、南キャンパスがあった時からできているアパートが多いんですね。北キャンパスに移転してからは、坂を登って登校していることもあり、空き時間に自宅に戻る学生が少なくなったことと、資格系の学科は授業が詰まっていることが多いので、そういう意味では、空き時間に何か食べながら過ごすとか、友達とグループワークをするとか、そういう学生が以前よりも増えた気がします。設立当初はコロナ禍で学生がいませんでしたし、食堂の席もパーテーションで全て区切っていましたが、コロナ禍終了以降は現在のような光景が日常的になっています。
聞き手:やはりご飯を食べて、ちょっとしたものを売店ですぐに買えるので、便利ですしね。
人見:すごくショーケースが大きいと言われていますが、アイスクリームがよく売れていて、ここ(食堂)で食べるのがみんなの楽しみのようですね。
10年くらい前、以前の食堂では限定20~30食の400円台のランチセットがありましたが、価格が高いということで学生にはあまり売れずに、大体教職員が食べていました。生協の食堂でもそこが心配でしたが、今は大体定食形式にすれば700円前後で提供しているものを価格が高いから食べないという話を聞かなくなったので、きちんと食事をする学生が増えているようです。
ですので、食生活支援という意味では、親御さんのきちんと食事をさせたいという想いからミールカードもよく売れていますし、学生自身で選ぶスイーツの売れ行きもいいですし、価格が高いと敬遠されるのではないかという私の心配は杞憂だったようです。
聞き手:拝見すると、皆さん小鉢などをきちんと取っていますね。
女子学生が多いのもあると思いますが、やはりバランスよく食べようという意識が高いと思いました。
人見:主菜にはキャベツが添えられていて、それにプラスして小鉢も選べば、かなりの量の野菜が取れますし、ごはんの量も自分自身の適量を選べますので、以前の食堂で栄養学科の学生が「食事バランスガイド」を掲示しても改善しなかったものが、何もしなくても改善しましたね。一時期、小鉢の品数が少なめだった時には増やしてほしいと要望が寄せられましたし、栄養学科からは「本当は80gのところ60g未満しかないのではないですか?」と疑問を呈する声が上がったりもします。
今の若い女性で一番問題なのは食べないことなので、そういう意味では学生の食事の量が増えたこと、食事の内容について考えてもらうことは、私は栄養学科の教員なので特に良かったと思っています。
聞き手:理事会には学生の理事も参加されていると思いますが、学生の皆さんの変化や自発的な姿を感じられることはありますか。
人見:学生委員会の活動は他のサークルに比べても活発で、今年の新入生もたくさん入ってくれましたし、学内では今一番活気のある学生活動という位置づけになっています。
新しい試みとして、今までは大学が学生自治会と共に入学式の前後に行っていたサークル紹介などの企画を、生協の学生委員会と一緒に行いました。各サークルの学生も頑張っていましたが、学生委員会の活躍は目覚ましく、同時に開催される保護者向けのキャンパスツアーでの保護者からの評判もとてもよかったです。生協主催の合格者説明会での保護者の方からの評判もとても高いです。それで大学の行事があると学生委員会に声がかかるようになり、生協と関係のない保護者会の学内ツアーなどもお引き受けしたりしていますし、大学からも一目置かれる存在になっていますね。
学生委員が意欲的なこともあり、生協の若手の職員さんがいろいろと指導してくださいますよね。以前、大学でも文科省からの補助金で、学生にプレ社会人経験を積ませるための、教育的配慮の下でのアルバイトである「学生スタッフ」を学内で雇用していたことがあるのですが、生協の職員さんは雇用関係がないにもかかわらず、同じように学生の成長を育んでいただき、そういう意味ではとてもいい学生活動が展開されていると思っています。
聞き手:その違いは何だと先生はお考えですか。
人見:職員が必ず関わり、学生だけの活動ではないということが一つと、目的が販売することではあっても、ただ売るのではなく、合格した人の学科の学びなどを踏まえた上で、その学科の先輩が新入生に寄り添うこと、などではないでしょうか。本当にどうしてあんなに頑張れるのかと私も感じるほどです。
山口県立大学生協 専務理事
矢川 正訓
山口県立大学生協 専務理事 矢川 正訓(以下 矢川):設立当初から「学生委員会活動というのはこういうものだ」と先輩が伝えることが伝統になっていて、それを職員も一緒になって伝えているところが一番大きいのかなと思います。
人見:パソコンは入学式の日にお渡し会をしますが、ネットの接続やMicrosoftの登録などのセットアップ作業を全部生協学生委員がやってくれています。以前は教職員がすごく苦労していましたが、いまは少なくとも2/3の新入生はパソコンを生協で買うので、残りの1/3程度の対応でよく、情報系の先生もすごく助かったと言われています。先輩が親身になって取り組んでくれるのは、やはり先輩から後輩にという想いが大きいんでしょうね。
聞き手:仕事としてやらされているのではなく、例えば自分が新入生だった時にしてもらったこと、してもらいたかったことを、次の新入生にしてあげたいと思ってくれているということですかね。
人見:最初の頃は入学時に生協がない学生たちでしたけど、やったこともないのにできていたのは、まずすごかったですよね。とにかく学生委員会は、いろいろなサークルの中でも別格なくらい頑張っている感じがします。
聞き手:理事会などにおける学生からの活動報告の場面で、理事の先生方からはどんなお声かけがありますか。
人見:毎回発表してくれますので、労いのお言葉もあれば、内容について詳しく知らない理事の先生からは質問が出たりもしています。他生協の理事会では、そんなに質問は出ないと聞きましたが、うちの理事会は職員や教員からの発言がすごく多いですね。
聞き手:生協の職員はもちろん仕事としてですが、先生方や学生の皆さんはある意味ボランティアのような形で参加されていることが多く、そうすると情報量としては圧倒的に生協の職員の方が多くなってしまうので、職員からの報告を聞いて、最終的に承認をするという会議の流れになりがちです。しかし今のお話にあったように、学生の報告に対する活発な質問や意見が出てくること、教職員の方の発言が多いことは理想的な理事会だと思います。
人見:理想的かどうかは別として、私たち教職員は職専免で勤務時間内に理事会に出席できますので、生協の理事会を大学の中にある公式な委員会や会議体に近いイメージで捉えていて、まず出席することに対して誰も仕事を疎かにしていると思っておらず、むしろ行くべきだと考えていると思います。そして通常の委員会では、自分の学科に会議の内容を持ち帰って説明することが常なので、分からないところは質問するのが当たり前ですし、教員の私が議長をしていることで、よりそういうイメージがあるのかもしれないですね。
それに生協のことを外部業者だと誰も思っていない感じがあって、学内では電話を受ける際の言い回しが決まっているのですが、生協の方にも同じ言い回しで電話を受けてもらうようにお願いしたこともあります。学内の電話番号簿にも載っていますし、内線でやり取りしていますので、もう食堂とショップ担当部門として大学の一部局だと思っているところが強いですね。
聞き手:それは設立趣意書の中に書かれていた、以前の業者の方が大学の一部のようになっていた、そういう精神を引き継いでいるということでしょうか。
人見:それよりはもう少し業務的な感じですね。
以前の売店のご夫妻はすごい方で「〇〇年頃に卒業したでしょう?」と40代ぐらいの卒業生にも声をかけていましたからね。
引退される時には地方紙に掲載されましたので、それを見た大勢の卒業生が花などを持って駆けつけていました。その中で生協は開店したわけです。
矢川:まあ絶対無理だなと、かなわない。そういう慕われ方自体が絶対かなわないと思いましたね。
聞き手:ですが、食堂で働いている職員との会話や、日常のカウンターでのやり取りなどはあるはずですよね。
人見:最初に言われたのは、食堂のカウンターでスタッフが食事を提供したら受け取る学生が「ありがとう」と言うことにびっくりしたということでした。普通は言うものだと私は思っていたので、逆にそのことに驚きましたね。
矢川:アンケートでも食堂の作る方のことをすごくよく書いてくれますよね。
人見:栄養学科の中に地産地消を推進する課外活動サークルがあって、地元の野菜を使った豚汁とか、地元の枇杷を使ったソースをかけたヨーグルトとか、学生がお手伝いする形で加わり、生協からメニューを提供してもらうフェアを一週間限定などで開催するのですが、その時にアンケートも取ってくれていて、回答を見せてもらった時に「本当にいつも暖かいご飯を食べられて幸せです」等の感謝の言葉で溢れていてびっくりしたことがあります。
食堂系の生協の研修で私が講師だった際にこのことを紹介したら、皆さん驚いていましたね。
聞き手:今後どのような点で、生協を強めていくべきだとお考えですか。
人見:いま課題と思っているのは、サークルとフェアのようなことをやりたい時に、消費税の関係で、お金のやり取りがうまくいかなかったケースが昨年ありまして。学生サークルはいわゆる消費税がかからない団体ですが、学生が自ら生み出すものではなく、他所の業者から仕入れた時に消費税を払っている場合、会計的な問題が生じて、やりたい気持ちがあっても折り合わない例がありました。
だから物を置いて売るだけならば簡単ですが「TABLE FOR TWO(TFT)」(1食につき20円の寄付金が、TFTを通じて開発途上国の子どもの学校給食になる活動)のように、そこから寄付が発生する時も難しい場合があります。
あとはコンサートのチケットで、他大学の吹奏楽団と一緒にアーティストを呼んで市民会館で開催する、プレイガイドでも販売するようなものの場合も難しかったですね。
矢川:登録されている業者ではないところとの取引となると難しく、結局は生協がボランティアで行ってもいいのですが、なかなか折り合わないということもあります。
理事会での決定事項となれば、私自身はしてあげたいという気持ちが強いです。
人見:そうすると、自分たちがやりたいことを達成するために、生協に犠牲を払わせることは教育的にいいのかという意見もあり、だからといって学生が自主的に販売することも禁止なので、サークル活動を担当する学生支援部門と学生と生協の三者の関り方、また大学の総務が出入りの業者を指定していたりするので、いろいろな関係者が絡んできてなかなか難しいですね。
聞き手:そういう議論の内容や過程を学生理事がいる場で行うのは、とても大事なことですよね。自分たちのやりたいことをやってもらえるかどうかというだけでなく、実はその裏側には教育的配慮がなされていることを聞くと、おそらく視野が広がると思います。
大学として地域貢献ということ、特に地域に人材を輩出することに力を入れられていると感じますが、その方向性に寄り添うこととして、生協ができることはどんなことだと思われますか。
人見:大学自体が地域貢献の意識が強く、私たちも公開講座などに度々派遣されていますので、さすがに生協まではと、地域貢献のお話はしたことがないと思います。
ただ、栄養学科の先生が理事長になり山口県唯一のフードバンク(NPO法人)を立ち上げていて、県の庁舎になった南キャンパスの建物の中に事務局もあるため、地域活動をする授業などで学生もフードバンクに手伝いに行くこともあり、ボランティア活動やフードポストの設置などができたらという話は以前よりしています。
あとは、授業でいろいろな種類のエコマークを取り上げた時に、生協で売っている商品を例にあげたりしました。そういう環境に関する活動としては生協も方向性は一緒ですし、いま矢川さんと取り組んでいるのが、県の認証の取得ですね。「やまぐち健康応援団」という、食と栄養、身体活動・運動、社会環境の整備など、指定された項目に該当すれば登録対象になるものに関しては、既に登録を終えました。もう一つ「やまぐち食べきり協力店」という取組みは、食品ロス削減の取り組みを実践する旅館やホテル、飲食店が登録できるもので、生協の食堂でも学生の希望する量に応じた食事の提供をしていることもあり、次の理事会で諮って、申請してみてはどうかと検討しています。
聞き手:フードロスについては常にテーマとしてありますが、行政と一緒に取り組んでいる大学生協は少ないと思います。すごくいい取り組みですし、学生の意識も変わりそうですね。
人見:売れ残りとしての残食はあるかもしれませんが、利用するほとんどの学生には残食がないので、そういう意味でも「やまぐち食べきり協力店」の申請は理にかなっているかもしれません。
地域貢献ではないですけど、食事の提供において生協の果たす役割はとても大きいと思っています。高校から大勢の大学見学者が来る際も、学科に「模擬講義は誰がいつ行いますか?」と聞かれるのと同じように、生協には「○○人生徒が来ますが、何時から食事ができますか?」と、部署の一つのようにお尋ねがあります。食事を中心として一日の動きが決まりますので、大学と連携して対応しているところです。
学外組織との連携としては、現在は桜圃校友会に移行している桜圃会(同窓会)から、卒業生で現役デザイナーである教員がデザインした「桜圃」の名に因んだ桜の模様のシールが貼られている食事用トレーを大量に寄付していただいています。
また、学生の保護者で組織されている教育後援会では、就職支援など学生の支援に繋がるさまざまな取組みをされる中で「100円ランチ企画」を試験期間の一週間前に実施されており、学生が支払う100円の昼食代の差額をご負担いただいています。
このような取り組みにおいても、生協がかなりの力を発揮してくれているために成り立っているところが大きいですね。
聞き手:それでは最後に、全国の大学生協関係者に向けて、今後の生協運営の展望も含めたメッセージをいただければと思います。
人見:理事長として生協職員の方々と一緒に、ちょっとした困りごとの解決をしたりすることが多いのですが、生協の職員の方は二言目には「学生さんのために」と言ってくださいます。大学の職員であっても、敢えて口に出して言わないことを私たちも反省しているのですが、生協ではパートさんも含めて「学生さんのためだったらやりましょう」と言ってもらうことに、私たち教職員も触発されて勉強になっています。
また、たった1,300人の学生では生協が設立できないと言われていたところでも、運営できています。ぜひ小規模の生協の皆さん、一緒に自信を持って頑張りましょうと申し上げたいですね。
私自身は大規模な国立大学の出身で、当時から生協を利用していましたが、うちの大学生協とは全然違うもののような気がしています。もちろん30年以上前の話ではありますが、それでもこの手作り感がある生協が創れること、地域と特性を活かせればとても魅力的なものになるかと思います。
矢川:山口県立大学生協の学生委員会はすごく元気で、その学生たちが本当に生協を支えてくれています。大学のお力添えも大きいので、学生と一緒に生協を盛り上げて、大学も元気にしていきたいと思います。一緒に頑張っていきましょう。
聞き手:本日はありがとうございました。
2025年4月23日 山口県立大学にて
山口県立大学 看護栄養学部 栄養学科 教授 (兼任)健康福祉学研究科 教授
農学博士
※2025年度総代会にて理事長交代いたしました。インタビューは人見理事長在任中におこなわれたものです。