2014 アメリカ大学食堂視察 報告書

(4)視察のまとめ

7.ミールプラン/ハウジングと一体の考え方

大学生協のミールカード(※1)がスタートして 20 年近くになります。各地域、各会員では様々な形、運用のミ ールカードがありますが、大学生協の FS 事業の発展に大いに貢献していると言えます。スタートした当時、アメリカのミールプランを参考にシステム、運用ルール、事業発展の方向性が検討されました。そして様々なアイデアで発展していることはご承知の通りです。

アメリカのミールプランについては各大学の報告内に詳細な内容をご紹介していますので、ご参照ください。

ここではアメリカの大学が提供しているミールプランがハウジング(寮)事業と一体となっている点に着目して報告いたします。今回視察したメインの UC サンタクルーズ、ミシガン州立大学、マサチューセッツ大学のすべてで寮生へのミールプラン加入を義務付けています。つまり、寮室数と同数のミールホルダーを確保できるということです。また、ほとんどの大学で 1 年次は寮への入寮が原則となっています。ということは、ほとんどの学生がミールプランの使用経験があり、退寮した後はダイニングに満足していれば、何らかのミールプラン(フルプラン、あるいは回数プラン)の継続をするということです。以下にミシガン州立大学のサービス組織の組織図を掲載します。この組織は6つの戦略的な部門に分かれ、その一つが「フードサービス部門」であり、その一つが「寮部門」です。それぞれが独立採算方式をとっていますが、ミールプランと寮を紐付するという点ではこの上ない組織だと言えます。入寮者数にあわせたダイニングが必要になりますし、ダイニングは入寮者分の収入が確保できます。ダイニングは利用の確保、拡大に向けて戦略的な投資ができますし、寮にとっても魅力的なダイニングになれば入寮希望が増えます。また、講義室・ダイニング・寮の設置場所に関しても一体的な設計ができます。まさに「住」と「食」が一体となっていると言えます。その結果、大学の福利厚生の価値が高まり、大学の価値が上がっていると言えます。なお、アメリカの大学寮には食堂が無いことが一般的なようです。

大学生協でもミールカードとハウジング(寮)の一体的運営について模索の必要があるのではないかと思います。とくにグローバル人材育成に関連して「寮」が着目されつつあり、大学生協への期待も寄せられています。またアパートマンション事業との連携の可能性もあります(一部の大学生協では実施されています)。今後フードサービス事業という視点だけではなく、豊かなキャンパスライフ実現のために、「住」「食」を関連した展開を模索し、先進事例を学びあいながら、学生生活を支援する事業として発展していくことが期待されます。

※1.各地域、各会員に様々なミールカードプランがあります。
名称や仕組みの違いなどは考慮せず、ミールカードのような食事限定の仕組みのことをミールカードと総称します。